今回は令和4年度上期 電力科目 A問題10、架空送電線の振動に関する空欄補充問題です。微風振動の発生しやすい条件(電線の重さ・径間・張力)まで踏み込んで問われる、振動問題の完成形です。
微風振動が発生しやすい条件は「軽い電線・長い径間・大きい張力」。軽いほど風で揺れやすく、径間が長いほど振動が育ちやすく、張力が大きいほど振動が減衰しにくいから、と理屈で覚えましょう。多導体で10m/s超の風ならサブスパン振動、氷雪+強風ならギャロッピングです。
出題のポイント

令和4年度上期 電力科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 【架空送電】 令和4年度上期 A問題10
次の文章は、架空送電線の振動に関する記述である。
架空送電線が電線と直角方向に毎秒数メートル程度の風を受けると、電線の後方に渦を生じて電線が上下に振動することがある。これを微風振動といい、(ア)電線で、径間が(イ)ほど、また、張力が(ウ)ほど発生しやすい。
多導体の架空送電線において、風速が数〜20m/sで発生し、10m/sを超えると激しくなる振動を(エ)振動という。
また、その他の架空送電線の振動には、送電線に氷雪が付着した状態で強い風を受けたときに発生する(オ)や、送電線に付着した氷雪が落下したときにその反動で電線が跳ね上がる現象などがある。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (オ) (1) 重い 長い 小さい サブスパン ギャロッピング (2) 軽い 長い 大きい サブスパン ギャロッピング (3) 重い 短い 小さい コロナ ギャロッピング (4) 軽い 短い 大きい サブスパン スリートジャンプ (5) 重い 長い 大きい コロナ スリートジャンプ
ポイント解説:微風振動は「軽い・長い・張りが強い」で育つ
(ア)軽い・(イ)長い・(ウ)大きい:微風振動(カルマン渦による上下振動)は、軽い電線ほど小さな風のエネルギーでも揺れ、径間が長いほど振動モードが乗りやすく、張力が大きいほど(ピンと張った弦のように)振動が減衰せず持続するため発生しやすい。ACSRのような軽い電線+長径間+高張力の条件がそろう送電線で問題になる。
(エ)サブスパン振動:多導体で風速数〜20m/s、10m/sを超えると激しくなるのはサブスパン振動——風上側素導体の後流(ウェイク)が風下側素導体を揺らす、スペーサ間(サブスパン)の振動。微風振動(数m/s程度の微風)との風速の違いに注意。
(オ)ギャロッピング:氷雪が付着した状態で強い風を受けると、非対称断面に揚力が働いて大振幅・低周波数のギャロッピングが発生(ks7の論点)。文末の「氷雪が落下した反動で跳ね上がる現象」はスリートジャンプ——(オ)ではないが選択肢の引っかけに使われている。よって(2)。
問題の解説
STEP1 微風振動の条件
軽い電線・長い径間・大きい張力で発生しやすい→(ア)(イ)(ウ)。
STEP2 風速で名前が変わる
数m/sの微風=微風振動/数〜20m/s(10m/s超で激化)+多導体=サブスパン振動→(エ)。
STEP3 氷雪系の2つ
付着+強風=ギャロッピング(オ)/落下の反動=スリートジャンプ。→(2)。
答え:(2)
💡 覚え方
微風振動の発生条件は「軽・長・張」(軽い電線・長い径間・大きい張力)。風速の目安:微風振動=数m/s/サブスパン振動=数〜20m/s(10m/s超で激化)。氷雪は付着+風=ギャロッピング、落下=スリートジャンプ。
⚠️ よくある間違い
張力は「小さいほど」ではなく大きいほど発生しやすい(張った弦ほどよく響く)。重い電線は揺れにくい——(ア)は軽い。(オ)をスリートジャンプにしない——「付着した状態で強い風」ならギャロッピング。
まとめ
| (ア)(イ)(ウ) | 軽い電線・長い径間・大きい張力で微風振動 |
| (エ) | サブスパン振動(多導体・10m/s超で激化) |
| (オ) | ギャロッピング(氷雪付着+強風) |
| 落下の反動 | スリートジャンプ(本文末尾の現象) |
| 答え | (2) |
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