架空送電12【電験3種 電力】ダンパの目的は振動吸収!着雪防止と混ぜた誤りを見抜く 令和4年度下期 A問題8 完全解説

電験3種 電力科目 架空送電 令和4年度下期 A問題8 ダンパの目的は振動を抑えること!誤りを見抜く

今回は令和4年度下期 電力科目 A問題8、架空送電線路の構成要素の誤り選択問題です。実はこの問題、令和5年度下期A問題8(架空送電9)としてほぼ同一の文面で再出題されています——それだけ定番の付属品ラインナップということ。

登場するのはアークホーン・トーショナルダンパ・アーマロッド・相間スペーサ・埋設地線の5点。誤りはやはりトーショナルダンパで、本来の役割(微風振動のエネルギー吸収)が「着雪防止」の説明にすり替えられています。

目次

令和4年度下期 電力科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 架空送電 令和4年度下期 A問題8 問題文
令和4年度下期 電力科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8

電験3種 電力科目 【架空送電】 令和4年度下期 A問題8

 架空送電線路の構成要素に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) アークホーン:がいしの両端に設けられた金属電極をいい、雷サージによるフラッシオーバの際生じるアークを電極間に生じさせ、がいし破損を防止するものである。

(2) トーショナルダンパ:着雪防止が目的で電線に取り付ける。風による振動エネルギーで着雪を防止し、ギャロッピングによる電線間の短絡事故などを防止するものである。

(3) アーマロッド:電線の振動疲労防止やアークスポットによる電線溶断防止のため、クランプ付近の電線に同一材質の金属を巻き付けるものである。

(4) 相間スペーサ:強風などによる電線相互の接近及び衝突を防止するため、電線相互の間隔を保持する器具として取り付けるものである。

(5) 埋設地線:塔脚の地下に放射状に埋設された接地線、あるいは、いくつかの鉄塔を地下で連結する接地線をいい、鉄塔の塔脚接地抵抗を小さくし、逆フラッシオーバを抑止する目的等のため取り付けるものである。

答え誤っている記述は (2)です。

出題のポイント:部品の取付位置と守る対象を対応させる

アークホーン、アーマロッド、相間スペーサ、埋設地線の取付位置と役割を確認する解説
選択肢(1)(3)(4)(5)は、それぞれの部品の正しい取付位置と目的を示しています。

アークホーンはがいし、アーマロッドはクランプ付近の電線、相間スペーサは相間距離、埋設地線は塔脚接地を守ります。トーショナルダンパは微風振動を吸収する部品であり、着雪防止やギャロッピングによる相間短絡の防止が主目的ではありません。

平成20年度A9とまったく同じ問題

5つの記述が一字一句同じです——14年を隔てた再出題になります。

架空送電線路の構成要素は、実務の基本——だから繰り返し問われます

誤りは(2):トーショナルダンパは振動対策

部品正しい目的働き
★トーショナルダンパ★★微風振動の防止★ねじり方向の動きで振動を吸収する
★難着雪リング★★着雪防止★雪が筒状に成長するのを妨げる
★スパイラルロッド★★着雪防止・風騒音低減★螺旋状に巻いて気流を乱す

「ダンパ」と名の付く部品は、振動を抑えるものです——着雪防止用ではありません

問題文の後半「ギャロッピングによる短絡事故を防止」も食い違います——ギャロッピング対策は相間スペーサだからです。

部品を目的別に整理する

トーショナルダンパの微風振動対策と、着雪対策部品およびギャロッピング対策の相間スペーサを比較する解説
トーショナルダンパは微風振動のエネルギーを吸収するため、着雪・ギャロッピング対策とする(2)は誤りです。

本問の5つを、守る対象ごとに分けましょう

守る対象部品脅威
★がいし★アークホーン★雷サージによるアーク
★電線★アーマロッド★振動疲労・アークスポット
★相間の絶縁★相間スペーサ★強風・ギャロッピング
★系統全体★埋設地線★逆フラッシオーバ

それぞれ守る対象が違います——だから役割が重ならないのです。

トーショナルダンパは電線を守る部品——アーマロッドと同じ系統になります。

着雪防止は、また別の系統の部品——難着雪リングやスパイラルロッドです。

アークスポットという現象

(3)に出てくる用語を確かめましょう

段階起きること
★雷サージでがいしがフラッシオーバする
★②★アークの足が電線に固定される
★③★その一点が数千度に熱せられる
★④★アルミが溶けて素線が切れる

アークが電線の一点に集中すると、そこが溶けます——それがアークスポットです。

アーマロッドを巻いてあれば、そちらが溶けて本体は無事——身代わりになるのです。

だから振動対策と溶断対策を兼ねています——問題文の(3)が2つの目的を書いている理由です。

アークホーンで電線から遠ざけるのが第一の対策——それでも当たった場合の備えがアーマロッドになります。

⚠️ よくある間違い
(2)の「ギャロッピングによる短絡事故を防止」だけを見て正しいと判断する——ギャロッピング対策は相間スペーサです。
「ダンパ」は振動を抑える部品——名前から判断できます
(1)のアークホーンを疑ってしまう——がいしを守る身代わりで正しい。
(3)の「同一材質の金属」を疑ってしまう——異種金属では電食が起きます
(5)の埋設地線を疑ってしまう——塔脚接地抵抗を下げる標準的な対策です。
部品の名前と目的が食い違うものを探す——それが本問の解き方になります。

⏱️ 本番での進め方
①★「ダンパ」と付く部品は振動対策。着雪防止ではない。
②★着雪防止は難着雪リング・スパイラルロッド。
③★アーマロッドは振動疲労とアークスポットの両方に効く。
④★平成20年度A9と完全に同一問題。

💡 覚え方
「ダンパは揺れ、リングは雪」——名前が目的を表しています14年ぶりの再出題——構成要素は繰り返し問われる基本です。

まったく同じ問題が平成20年度 A問題9架空送電:架空送電線路の構成要素)にあります。振動と対策は平成27年度 A問題8架空送電:架空送電線の振動)へ。

がいし装置の全体像

(1)のアークホーンが付く場所を確かめましょう

部品位置役割
★アークホーン(上部)★鉄塔側★アークの一端を受ける
★がいし連★中間★絶縁を担う
★アークホーン(下部)★電線側★アークのもう一端を受ける
★クランプ★最下部★電線を固定する

上下2つのホーンの間で放電させます——だから「がいしの両端に設けられた金属電極」です。

ホーンの間隔は、がいし連の長さより少し短くします——そちらが先に放電するように

短すぎると平常時にも放電してしまいます——そのつり合いで間隔が決まるのです。

アークホーンは焼損しても交換が容易——がいしを替えるより安く済みます

要点をもう一度

架空送電線路の5つの構成要素を照合し、誤っている選択肢2を確定する解説
誤っている記述はトーショナルダンパの目的を取り違えた(2)です。

平成20年度A9とまったく同じ問題です

部品目的正誤
(1) アークホーンがいしの破損防止
★(2) トーショナルダンパ★着雪防止と書かれている★誤(微風振動対策)
(3) アーマロッド振動疲労・溶断の防止
(4) 相間スペーサ電線相互の接近防止
(5) 埋設地線塔脚接地抵抗の低減

「ダンパ」は制振部品——名前から目的が分かります

14年ぶりの再出題——構成要素は繰り返し問われる基本です。

名前から役割を推測する

名前の要素意味
★ダンパ★振動を減衰させる★ストックブリッジダンパ・トーショナルダンパ
★ロッド★棒状に巻く★アーマロッド・スパイラルロッド
★スペーサ★間隔を保つ★相間スペーサ・多導体スペーサ
★ホーン★角状の電極★アークホーン

名前が機能を表しているものが多い——そこから目的を推測できます

本問は対応が崩れているものを探す問題——「ダンパなのに着雪防止」が不自然です。

電線を守る部品の系統

(3)のアーマロッドと同じ系統の部品を見ましょう

部品守るもの脅威
★アーマロッド★クランプ付近の電線★振動疲労・アークスポット
★ダンパ★電線全体★微風振動
★プロテクタ★クランプ内の電線★局部的な圧縮

クランプは電線を強く握るので、そこに応力が集中します——振動の節にもなるのです。

だからクランプ付近が最も弱い場所になります——断線はここで起きることが多い。

アーマロッドを巻けば、断面が実質的に太くなります——曲げが分散されるのです。

同時にアークの的にもなるので、溶断も防げます——1つの部品が2つの役目を果たします。

だから問題文の(3)が2つの目的を並べている——正確な記述です。

相間スペーサの実際

(4)の相間スペーサを、もう少し見ましょう

項目内容
★材質★FRP(絶縁性の樹脂)
★取付位置★径間の中央付近に1〜2か所
★長さ★相間距離に合わせる(数 m)
★守るもの★★相どうしの接触による短絡

絶縁物でなければ、相どうしをつないでしまいます——だからFRPです。

径間の中央が最も揺れるので、そこに付けます——両端は支持されていて動かないから。

ギャロッピングでは振幅が数メートルに達します——相間距離を超えれば接触するのです。

スペーサがあれば、物理的に近づけません——確実な対策になります。

着雪の多い地域では標準的に取り付けられます

まとめ

誤り(2) ダンパの目的は微風振動吸収(着雪防止ではない)
アークホーンアーク誘導→がいし破損防止(1)
アーマロッド同一材質巻付け→疲労・溶断防止(3)
相間スペーサ相間の接触・衝突防止(4)
埋設地線接地抵抗低減→逆FO抑止(5)
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・ほぼ同一の再出題(架空送電9):【電力】令和5年度下期 A問題8
・振動4種の総まとめ(架空送電7):【電力】令和6年度上期 A問題8

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