配電計算18【電験3種 電力】%Z合成で二次側三相短絡電流→遮断器の定格遮断電流20kA!令和2年度 A問題8 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 令和2年度 A問題8 同じ問題が再登場!%Z合成から遮断器を選ぶ

今回は令和2年度 電力科目 A問題8百分率インピーダンス(%Z)から三相短絡電流を求め、遮断器の定格遮断電流を選定する計算問題です。令和7年度下期 A問題12(配電計算1)とまったく同じ問題で、選択肢の並びだけが異なります。

ポイントは%Zの合成と基準電流。電源%Z(1.1%)と変圧器%Z(10.6%)は同一基準(20MV·A)なので単純加算して11.7%。二次側6.6kVの基準電流で割れば三相短絡電流が出ます。遮断器の定格遮断電流は短絡電流以上の標準値を選びます。

目次

令和2年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和2年度 A問題8 問題文
令和2年度 電力科目 A問題8 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8

電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和2年度 A問題8

 定格容量20MV·A、一次側定格電圧77kV、二次側定格電圧6.6kV、百分率インピーダンス10.6%(基準容量20MV·A)の三相変圧器がある。三相変圧器の一次側は77kVの電源に接続され、二次側は負荷のみが接続されている。三相変圧器の一次側から見た電源の百分率インピーダンスは、1.1%(基準容量20MV·A)である。抵抗分及びその他の定数は無視する。三相変圧器の二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値[kA]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 1.5 (2) 2.6 (3) 6.0 (4) 20.0 (5) 260.0

答え遮断器の定格遮断電流は 20.0 kAです。

答えは(4):20.0 kA

短絡電流を計算してから、規格の標準値を選びます

\( \%Z=1.1+10.6=11.7\ \% \)
同一基準なのでそのまま加算
\( I_n=\dfrac{20\times 10^6}{\sqrt{3}\times 6600} \)
二次側の基準電流
\( =\dfrac{20\times 10^6}{11431}\fallingdotseq 1750\ \mathrm{A} \)
計算する
\( I_s=1750\times\dfrac{100}{11.7}\fallingdotseq 14953\ \mathrm{A} \)
三相短絡電流
\( \fallingdotseq 14.95\ \mathrm{kA} \)
kA に直す
\( 14.95\ \mathrm{kA}\ \rightarrow\ 20.0\ \mathrm{kA} \)
これ以上の標準値を選ぶ
★答え

計算値そのものが答えではありません——遮断器の定格は規格で決まっているから。

14.95 kA を切れる遮断器が要るので、20 kA 級を選びます——下回ってはいけないのです。

定格遮断電流の標準値

標準値選ばれる短絡電流の範囲
★8 kA★★8 kA 以下
★12.5 kA★★8 kA 超〜12.5 kA
★★20 kA★★12.5 kA 超〜20 kA(本問はここ)
★25 kA・31.5 kA・40 kA★★それ以上

遮断器は、この階段の中から選びます——好きな値を注文するわけではないのです。

14.95 kA なら、12.5 kA では足りません——次の20 kA を選ぶのです。

だから選択肢に14.95に近い値がなくても慌てないこと——標準値を選ぶ問題だからです。

選択肢の(3)6.0や(2)2.6は、そもそも足りません

基準が違うときは換算が要る

本問基準が違う場合
★電源の%Z★★1.1%(20 MV・A 基準)★★別基準なら換算が必要
★変圧器の%Z★★10.6%(20 MV・A 基準)★★同じく
★合成★★そのまま加算できる★★換算してから加算
基準容量の換算
\( \%Z’=\%Z\times\dfrac{P_n’}{P_n} \)

新しい基準容量に比例する

本問は両方とも20 MV・A 基準なので、換算が要りません——問題文がそう書いているのです。

もし変圧器の%Z が自己容量基準なら、換算してから足します——そこを確かめるのです。

基準がそろっているかは、必ず最初に確認しましょう

⚠️ よくある間違い
計算値14.95をそのまま答える——選択肢にありません。標準値を選びます
基準電流を一次側77 kV で計算する——二次側6.6 kVです。
%Z を小数に直し忘れる——100/11.7=8.55倍です。
電源の%Z を含めない——電源から故障点までの経路にあります。
下回る標準値を選ぶ——短絡電流以上でなければ切れません

⏱️ 本番での進め方
①★同一基準なら%Z はそのまま加算。
②★基準電流は故障点側の電圧で計算する。
③★Is=In×100/%Z。
④★定格遮断電流は短絡電流以上の標準値を選ぶ。

💡 覚え方
「計算して、それ以上の標準値」——2段階です。14.95なら20 kA——12.5では足りないのです。

%Zから短絡電流を求める問題は平成19年度 A問題12配電の計算:%Zと三相短絡電流)にもあります。

遮断器を選ぶときに見る2つの値

項目何と比べるか本問では
★★定格遮断電流★★三相短絡電流以上★★14.95 kA→20 kA
★定格電圧★★系統の最高電圧以上★★6.6 kV 系統なら7.2 kV 級
★定格電流★★常時流れる負荷電流以上★★別途決める

短絡電流だけでなく、電圧も電流も確かめます——3つの定格があるのです。

本問が問うているのは定格遮断電流だけです——短絡電流から決まるのです。

定格電圧は公称電圧より少し高い値になっています——6.6 kV 系統なら7.2 kV 級です。

%インピーダンスが小さいと何が起きるか

合成%Z短絡電流(本問の条件で)必要な遮断器
★5 %★★35.0 kA★★40 kA 級
★★11.7 %(本問)★★14.95 kA★★20 kA 級
★20 %★★8.75 kA★★12.5 kA 級

%Z が小さいほど、大きな遮断器が必要になります——費用も上がるのです。

だから変圧器の%Z は、ほどよい値に設計されます——小さすぎても困るのです。

本問の10.6%は、配電用変圧器として一般的な値です

一次側と二次側のどちらで計算するか

一次側(77 kV)二次側(6.6 kV)
★基準電流★★約150 A★★約1750 A
★短絡電流★★約1.28 kA★★約14.95 kA
★本問で使うのは★★—★★こちら

遮断器は二次側に設置するので、二次側で計算します——問題文にそう書いてあるのです。

電圧が低いほど電流は大きくなります——同じ容量なら反比例だから。

だから低圧側ほど大きな遮断能力が必要になります

同一問題が令和7年度にも出ている

年度問題番号違い
★令和2年度★★A問題8★★本問
★★令和7年度下期★★A問題12★★選択肢の並びだけが違う

数値も条件もまったく同じ問題です——5年を隔てての再出題です。

だから解き方を覚えておけば、確実に得点できます

配電計算でも、こうした再出題が見られます

計算の流れを1枚で見る

段階本問の値
★①★★%Z を合成★★1.1+10.6=11.7 %
★②★★In=S/(√3V)★★1750 A
★③★★Is=In×100/%Z★★14.95 kA
★④★★標準値を選ぶ★★20 kA

4段階のうち、④が配電計算らしいところです——計算値で終わらないのです。

実務では機器を選定するところまでが仕事です——その感覚を問うているのです。

%インピーダンスが便利な理由

オーム法パーセント法
★変圧器をまたぐとき★★巻数比の2乗で換算★★そのまま使える
★本問の手間★★77kV側と6.6kV側で別々に★★1.1と10.6を足すだけ
★短絡電流★★E/Zで求める★★In×100/%Z

本問には77 kVと6.6 kVの2つの電圧があります——オーム法なら換算が要るのです。

%インピーダンスなら換算が不要です——だから系統計算で使われるのです。

基準容量さえそろっていれば、足すだけで済みます

まとめ

合成%Z1.1+10.6=11.7%
基準電流20e6/(√3×6600)=1749.5A
短絡電流1749.5/0.117=14.95kA
定格遮断電流短絡電流以上の標準値=20.0kA
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(配電計算1):【電力】令和7年度下期 A問題12
・%ZとOCR整定(配電計算11):【電力】令和5年度下期 B問題16

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