今回は令和2年度 電力科目 A問題8、百分率インピーダンス(%Z)から三相短絡電流を求め、遮断器の定格遮断電流を選定する計算問題です。令和7年度下期 A問題12(配電計算1)とまったく同じ問題で、選択肢の並びだけが異なります。
ポイントは%Zの合成と基準電流。電源%Z(1.1%)と変圧器%Z(10.6%)は同一基準(20MV·A)なので単純加算して11.7%。二次側6.6kVの基準電流で割れば三相短絡電流が出ます。遮断器の定格遮断電流は短絡電流以上の標準値を選びます。
令和2年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8
電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和2年度 A問題8
定格容量20MV·A、一次側定格電圧77kV、二次側定格電圧6.6kV、百分率インピーダンス10.6%(基準容量20MV·A)の三相変圧器がある。三相変圧器の一次側は77kVの電源に接続され、二次側は負荷のみが接続されている。三相変圧器の一次側から見た電源の百分率インピーダンスは、1.1%(基準容量20MV·A)である。抵抗分及びその他の定数は無視する。三相変圧器の二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値[kA]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 1.5 (2) 2.6 (3) 6.0 (4) 20.0 (5) 260.0

答えは(4):20.0 kA
短絡電流を計算してから、規格の標準値を選びます。
★
★
★
★
★答え
計算値そのものが答えではありません——遮断器の定格は規格で決まっているから。
14.95 kA を切れる遮断器が要るので、20 kA 級を選びます——下回ってはいけないのです。
定格遮断電流の標準値
| 標準値 | 選ばれる短絡電流の範囲 |
| ★8 kA | ★★8 kA 以下 |
| ★12.5 kA | ★★8 kA 超〜12.5 kA |
| ★★20 kA | ★★12.5 kA 超〜20 kA(本問はここ) |
| ★25 kA・31.5 kA・40 kA | ★★それ以上 |
遮断器は、この階段の中から選びます——好きな値を注文するわけではないのです。
14.95 kA なら、12.5 kA では足りません——次の20 kA を選ぶのです。
だから選択肢に14.95に近い値がなくても慌てないこと——標準値を選ぶ問題だからです。
選択肢の(3)6.0や(2)2.6は、そもそも足りません。
基準が違うときは換算が要る
| 本問 | 基準が違う場合 | |
| ★電源の%Z | ★★1.1%(20 MV・A 基準) | ★★別基準なら換算が必要 |
| ★変圧器の%Z | ★★10.6%(20 MV・A 基準) | ★★同じく |
| ★合成 | ★★そのまま加算できる | ★★換算してから加算 |
本問は両方とも20 MV・A 基準なので、換算が要りません——問題文がそう書いているのです。
もし変圧器の%Z が自己容量基準なら、換算してから足します——そこを確かめるのです。
基準がそろっているかは、必ず最初に確認しましょう。
⚠️ よくある間違い
計算値14.95をそのまま答える——選択肢にありません。標準値を選びます。
基準電流を一次側77 kV で計算する——二次側6.6 kVです。
%Z を小数に直し忘れる——100/11.7=8.55倍です。
電源の%Z を含めない——電源から故障点までの経路にあります。
下回る標準値を選ぶ——短絡電流以上でなければ切れません。
⏱️ 本番での進め方
①★同一基準なら%Z はそのまま加算。
②★基準電流は故障点側の電圧で計算する。
③★Is=In×100/%Z。
④★定格遮断電流は短絡電流以上の標準値を選ぶ。
💡 覚え方
「計算して、それ以上の標準値」——2段階です。14.95なら20 kA——12.5では足りないのです。
%Zから短絡電流を求める問題は平成19年度 A問題12(配電の計算:%Zと三相短絡電流)にもあります。
遮断器を選ぶときに見る2つの値
| 項目 | 何と比べるか | 本問では |
| ★★定格遮断電流 | ★★三相短絡電流以上 | ★★14.95 kA→20 kA |
| ★定格電圧 | ★★系統の最高電圧以上 | ★★6.6 kV 系統なら7.2 kV 級 |
| ★定格電流 | ★★常時流れる負荷電流以上 | ★★別途決める |
短絡電流だけでなく、電圧も電流も確かめます——3つの定格があるのです。
本問が問うているのは定格遮断電流だけです——短絡電流から決まるのです。
定格電圧は公称電圧より少し高い値になっています——6.6 kV 系統なら7.2 kV 級です。
%インピーダンスが小さいと何が起きるか
| 合成%Z | 短絡電流(本問の条件で) | 必要な遮断器 |
| ★5 % | ★★35.0 kA | ★★40 kA 級 |
| ★★11.7 %(本問) | ★★14.95 kA | ★★20 kA 級 |
| ★20 % | ★★8.75 kA | ★★12.5 kA 級 |
%Z が小さいほど、大きな遮断器が必要になります——費用も上がるのです。
だから変圧器の%Z は、ほどよい値に設計されます——小さすぎても困るのです。
本問の10.6%は、配電用変圧器として一般的な値です。
一次側と二次側のどちらで計算するか
| 一次側(77 kV) | 二次側(6.6 kV) | |
| ★基準電流 | ★★約150 A | ★★約1750 A |
| ★短絡電流 | ★★約1.28 kA | ★★約14.95 kA |
| ★本問で使うのは | ★★— | ★★こちら |
遮断器は二次側に設置するので、二次側で計算します——問題文にそう書いてあるのです。
電圧が低いほど電流は大きくなります——同じ容量なら反比例だから。
だから低圧側ほど大きな遮断能力が必要になります。
同一問題が令和7年度にも出ている
| 年度 | 問題番号 | 違い |
| ★令和2年度 | ★★A問題8 | ★★本問 |
| ★★令和7年度下期 | ★★A問題12 | ★★選択肢の並びだけが違う |
数値も条件もまったく同じ問題です——5年を隔てての再出題です。
だから解き方を覚えておけば、確実に得点できます。
配電計算でも、こうした再出題が見られます。
計算の流れを1枚で見る
| 段階 | 式 | 本問の値 |
| ★① | ★★%Z を合成 | ★★1.1+10.6=11.7 % |
| ★② | ★★In=S/(√3V) | ★★1750 A |
| ★③ | ★★Is=In×100/%Z | ★★14.95 kA |
| ★④ | ★★標準値を選ぶ | ★★20 kA |
4段階のうち、④が配電計算らしいところです——計算値で終わらないのです。
実務では機器を選定するところまでが仕事です——その感覚を問うているのです。
%インピーダンスが便利な理由
| オーム法 | パーセント法 | |
| ★変圧器をまたぐとき | ★★巻数比の2乗で換算 | ★★そのまま使える |
| ★本問の手間 | ★★77kV側と6.6kV側で別々に | ★★1.1と10.6を足すだけ |
| ★短絡電流 | ★★E/Zで求める | ★★In×100/%Z |
本問には77 kVと6.6 kVの2つの電圧があります——オーム法なら換算が要るのです。
%インピーダンスなら換算が不要です——だから系統計算で使われるのです。
基準容量さえそろっていれば、足すだけで済みます。
まとめ
| 合成%Z | 1.1+10.6=11.7% |
| 基準電流 | 20e6/(√3×6600)=1749.5A |
| 短絡電流 | 1749.5/0.117=14.95kA |
| 定格遮断電流 | 短絡電流以上の標準値=20.0kA |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・同一問題(配電計算1):【電力】令和7年度下期 A問題12
・%ZとOCR整定(配電計算11):【電力】令和5年度下期 B問題16

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