今回は令和7年度下期 電力科目 A問題12、百分率インピーダンス(%Z)から三相短絡電流を求め、遮断器の定格遮断電流を選定する計算問題です。電源と変圧器の%Zを合成して二次側の短絡電流を計算します。
ポイントは%Zの合成と基準電流。電源%Z(1.1%)と変圧器%Z(10.6%)は同一基準(20MV·A)なので単純に加算して11.7%。二次側6.6kVの基準電流で割れば三相短絡電流が出ます。遮断器の定格遮断電流は短絡電流以上の標準値を選びます。
令和7年度下期 電力科目 A問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12
電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和7年度下期 A問題12
定格容量20MV·A、一次側定格電圧77kV、二次側定格電圧6.6kV、百分率インピーダンス10.6%(基準容量20MV·A)の三相変圧器がある。三相変圧器の一次側は77kVの電源に接続され、二次側は負荷のみが接続されている。三相変圧器の一次側から見た電源の百分率インピーダンスは、1.1%(基準容量20MV·A)である。抵抗分及びその他の定数は無視する。三相変圧器の二次側に設置する遮断器の定格遮断電流の値[kA]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 260.0 (2) 6.0 (3) 20.0 (4) 2.6 (5) 1.5
出題のポイント:%Zを合成して標準定格を選ぶ

電源と変圧器は同じ20 MV・A基準で、短絡電流の通り道に直列にあるため、%インピーダンスを加えます。二次側の基準電流を合成%Zの小数値で割り、得られた短絡電流以上の標準定格を選びます。
答えは(3):20.0 kA
電源から故障点までの%インピーダンスを足します。
★
★
★
★答え
計算値そのものは選択肢にありません——標準値を選ぶ問題だからです。
14.95 kA を切れる遮断器が要るので、20 kA 級——6.0 kA では足りないのです。
解法の原理:%インピーダンス法の3段階

| 区間 | %Z | 短絡電流の経路か |
| ★電源〜変圧器一次側 | ★★1.1 % | ★★経路にある(足す) |
| ★変圧器そのもの | ★★10.6 % | ★★経路にある(足す) |
| ★変圧器二次側〜負荷 | ★★— | ★★故障点より先なので無関係 |
短絡電流は電源から故障点へ流れ込みます——その道筋にあるものだけを数えるのです。
電源と変圧器は一本道でつながっています——だから直列=足し算です。
もし2つの電源があれば、並列になって積÷和になります——本問は1つなので単純です。
回路図を描いて経路をたどるのが確実です。
短絡電流の大きさを実感する
| 値 | 定格電流との比 | |
| ★基準電流(定格) | ★★1750 A | ★★1倍 |
| ★★三相短絡電流 | ★★14950 A | ★★約8.5倍 |
%Z が11.7%なら、短絡電流は定格の8.5倍です——100÷11.7=8.55だから。
この倍率を頭に入れておくと、桁の誤りに気づけます——ふつうは数倍から数十倍です。
選択肢の(1)260.0 kA は定格の150倍で、ありえません——その時点で消せるのです。
(4)2.6や(5)1.5は定格より小さく、これもありえません。
⚠️ よくある間違い
計算値14.95をそのまま探す——標準値を選びます。
基準電流を77 kV で計算する——二次側6.6 kVです。
電源の%Z を含めない——経路にあります。
%Z を小数に直し忘れる——100/11.7=8.55倍です。
短絡電流より小さい標準値を選ぶ——切れません。
⏱️ 本番での進め方
①★%Z は故障点までの経路にあるものだけを合成。
②★同一基準なら直列は単純加算。
③★Is=In×100/%Z。定格の8.5倍という感覚を持つ。
④★定格遮断電流は計算値以上の標準値。
💡 覚え方
「経路にあるものだけ足す」——故障点より先は関係ありません。100÷%Z が倍率——11.7%なら8.5倍です。
★この問題は令和2年度 A問題8とまったく同一です(配電の計算:%Zと遮断器の選定(R02))。選択肢の並びが違うだけです。
遮断器が切れないとどうなるか
| 段階 | 起きること |
| ① | ★短絡電流が流れ続ける |
| ★② | ★★アークが持続して遮断器自体が損傷する |
| ★③ | ★★上位の遮断器が動作し、停電範囲が広がる |
| ★④ | ★★母線や機器が電磁力と熱で壊れる |
定格を下回る遮断器を選ぶと、事故時に切れません——被害が拡大するのです。
だから計算値以上の標準値を選ぶ決まりになっています——安全側に倒すのです。
本問が「定格遮断電流」を問うているのは、この設計判断です。
抵抗分を無視するという前提
| 抵抗を無視する | 抵抗も考える | |
| ★%Z の合成 | ★★算術和でよい | ★★ベクトル和が必要 |
| ★短絡電流 | ★★やや大きめに出る | ★★少し小さくなる |
| ★設計として | ★★安全側 | ★★正確 |
抵抗を無視すると、短絡電流が大きめに出ます——設計としては安全側です。
高圧以上ではリアクタンスが支配的なので、誤差も小さい——だから実務でも無視することが多いのです。
問題文の但し書きは、計算を簡単にするためのものです。
遮断器の定格遮断電流の標準値
| 標準値 | 選ばれる短絡電流の範囲 |
| ★8 kA | ★★8 kA以下 |
| ★12.5 kA | ★★8超〜12.5 kA |
| ★★20 kA | ★★12.5超〜20 kA(本問はここ) |
| ★25・31.5・40 kA | ★★それ以上 |
この階段の中から選ぶので、計算値ちょうどの製品はありません——規格で決まっているのです。
14.95 kA なら12.5 kA では足りず、20 kA になります——すぐ上を選ぶのです。
問題の解説:短絡電流から定格遮断電流を選ぶ


| 段階 | 式 | 本問の値 |
| ★① | ★★%Zを合成 | ★★11.7 % |
| ★② | ★★In=S/(√3V) | ★★1750 A |
| ★③ | ★★Is=In×100/%Z | ★★14.95 kA |
| ★④ | ★★標準値を選ぶ | ★★20 kA |
①〜③が計算、④が判断です——そこまでが1問になっています。
実務では機器を選ぶところまでが仕事なので、この形が問われます。
変圧器の%インピーダンスの意味
| %Z | 短絡電流 | 電圧変動 |
| ★小さい(4 %) | ★★大きい | ★★小さい |
| ★★10.6 %(本問) | ★★ほどよい | ★★ほどよい |
| ★大きい(20 %) | ★★小さい | ★★大きい |
%Zが小さいほど短絡電流が大きくなり、大きな遮断器が要ります——費用が上がるのです。
逆に大きすぎると、負荷による電圧変動が増えます——両立しないのです。
だから10 %前後に設計されます——本問の値は一般的です。
選択肢の桁で誤りを見分ける
| 選択肢 | 定格電流1750Aとの比 | 判断 |
| ★(1) 260.0 kA | ★★約150倍 | ★★大きすぎる |
| ★(2) 6.0 kA | ★★約3.4倍 | ★★%Zが29 %相当で合わない |
| ★★(3) 20.0 kA | ★★約11倍 | ★★妥当(正解) |
| ★(4) 2.6 kA | ★★約1.5倍 | ★★小さすぎる |
| ★(5) 1.5 kA | ★★定格以下 | ★★ありえない |
短絡電流は定格の数倍から数十倍が相場です——その感覚で選択肢を絞れるのです。
(5)は定格電流1750 A より小さく、明らかにおかしい——計算前に消せるのです。
桁の見当をつけてから計算すると、誤りに気づきやすくなります。
二次側に遮断器を置く意味
| 場所 | 守る範囲 |
| ★変圧器の一次側 | ★★変圧器そのものと二次側全体 |
| ★★変圧器の二次側(本問) | ★★配電線と負荷 |
| ★配電線の途中 | ★★その先の区間 |
二次側の遮断器は、配電線で起きた事故を切り離します——変圧器を守るのです。
だから二次側の短絡電流で定格を決めます——一次側ではないのです。
設置場所と守る範囲を対応させて考えましょう。
まとめ
| 合成%Z | 1.1+10.6=11.7% |
| 基準電流 | 20e6/(√3×6600)=1749.5A |
| 短絡電流 | 1749.5/0.117=14.95kA |
| 定格遮断電流 | 短絡電流以上の標準値=20.0kA |
| 答え | (3) |
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