今回は令和5年度上期 電力科目 A問題11、22(33)kV配電系統の誤り選択問題です。平成21年度 問8(配電37)とまったく同一の問題で、6.6kV配電との比較・接地方式・電圧格上げの効果が問われます。
決め手は接地方式。22(33)kV配電系統は地絡電流抑制の観点から中性点を抵抗接地するのが一般的です。「中性点を直接接地」は地絡電流を大きくしてしまい、地絡電流抑制の目的と逆なので誤りです。
令和5年度上期 電力科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11
電験3種 電力科目 【配電】 令和5年度上期 A問題11
22(33)[kV]配電系統に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 6.6[kV]の配電線に比べ電圧対策や供給力増強対策として有効なので、長距離配電の必要となる地域や新規開発地域への供給に利用されることがある。
(2) 電気方式は、地絡電流抑制の観点から中性点を直接接地した三相3線方式が一般的である。
(3) 各種需要家への電力供給は、特別高圧需要家へは直接に、高圧需要家へは途中に設けた配電塔で6.6[kV]に降圧して高圧架空配電線路を用いて、低圧需要家へはさらに柱上変圧器で200〜100[V]に降圧して、行われる。
(4) 6.6[kV]の配電線に比べ33[kV]の場合は、負荷が同じで配電線の線路定数も同じなら、電流は1/5となり電力損失は1/25となる。電流が同じであれば、送電容量は5倍となる。
(5) 架空配電系統では保安上の観点から、特別高圧絶縁電線や架空ケーブルを使用する場合がある。
出題のポイント:高電圧化の効果と抵抗接地

6.6kVから33kVへ電圧を5倍にすると、同じ負荷では電流が1/5、同じ線路抵抗なら電力損失が1/25になります。また22(33)kV配電では、地絡電流を抑制するため中性点と大地の間に抵抗を入れる抵抗接地を用います。直接接地は地絡電流が大きくなりやすいため、記述(2)が誤りです。
答えは(2):22(33)kV 配電は抵抗接地
「地絡電流抑制のため」と「直接接地」が矛盾しています。
| 選択肢 | 正誤 | 要点 |
| ★(1) 長距離・新規開発地域向け | ★正しい | ★電圧対策と供給力増強 |
| ★★(2) 中性点を直接接地 | ★★誤り | ★★抵抗接地が一般的 |
| ★(3) 配電塔で6.6 kV に降圧 | ★正しい | ★需要家の区分に応じて供給 |
| ★(4) 電流1/5・損失1/25・容量5倍 | ★正しい | ★電圧比が5倍 |
| ★(5) 特別高圧絶縁電線・架空ケーブル | ★正しい | ★保安上の配慮 |
高電圧化の効果と抵抗接地

| 判断の材料 | 非接地が向く | 抵抗接地が向く | 直接接地が向く |
| ★系統の電圧 | ★★6.6 kV | ★★22〜154 kV | ★★187 kV 以上 |
| ★線路の長さ | ★★短い | ★★中くらい | ★★長い |
| ★対地静電容量 | ★★小さい | ★★中くらい | ★★大きい |
| ★絶縁の費用 | ★★安いので√3倍でも耐えられる | ★★ほどほど | ★★高いので電圧上昇を抑えたい |
非接地でも、線路が長くなると地絡電流が増えます——対地静電容量が大きくなるから。
22 kV 配電は長距離なので、非接地では電流が大きくなりすぎます——だから抵抗を入れて抑えるのです。
けれども直接接地にすると、今度は大きくなりすぎます——数千アンペアになります。
その中間をとるのが抵抗接地です——ちょうどよい値に決められるのです。
5記述を判定して誤り(2)を選ぶ

| 観点 | 6.6 kV のまま | 22(33)kV に格上げ |
| ★設備の費用 | ★★安い | ★★高い |
| ★電力損失 | ★★大きい | ★★25分の1になる |
| ★送れる範囲 | ★★半径数キロメートル | ★★はるかに広い |
| ★向いている地域 | ★★需要が密集した市街地 | ★★長距離配電・新規開発地域 |
格上げすれば損失は大きく減りますが、費用も増えます——そのつり合いで決まるのです。
短い距離なら、6.6 kV でも損失はたかが知れています——格上げの価値がないのです。
長距離になると、損失も電圧降下も無視できません——そこで格上げが効いてくるのです。
だから記述(1)は「利用されることがある」と書いています——限定的な使い方なのです。
⚠️ よくある間違い
(2)を正しいと考える——直接接地では地絡電流が最大です。
(4)の損失を1/5と考える——電流の2乗なので1/25です。
(4)の容量を25倍と考える——電圧に比例で5倍です。
(3)の配電塔を知らずに選ぶ——22 kV を6.6 kV に落とす設備です。
非接地が常に最善と考える——線路が長いと電流が増えます。
⏱️ 本番での進め方
①★22(33)kV 配電は中性点抵抗接地。
②★接地方式は電圧・線路長・静電容量で決まる。
③★電圧5倍→電流1/5・損失1/25・容量5倍。
④★格上げは費用と損失削減のつり合いで決める。
💡 覚え方
「長い線路には抵抗接地」——非接地では電流が増えすぎるから。直接接地は超高圧の話——配電には向きません。
★この問題は平成21年度 A問題8とまったく同一です(配電:22(33)kV配電系統(H21))。14年を隔てての再出題です。
配電塔と配電用変電所の違い
| 配電用変電所 | 配電塔 | |
| ★受ける電圧 | ★★66 kV など | ★★22(33)kV |
| ★送り出す電圧 | ★★6.6 kV | ★★6.6 kV |
| ★規模 | ★★大きい(敷地が要る) | ★★小さい(塔状の設備) |
| ★役目 | ★★地域全体へ配電する | ★★22 kV 配電線の途中で高圧に落とす |
22 kV 配電では、高圧需要家に直接供給できません——受電設備が6.6 kV 用だから。
そこで途中に配電塔を置いて6.6 kV に落とします——それが記述(3)の内容です。
特別高圧需要家へは22 kV のまま直接供給します——需要家の規模で分けるのです。
同じ問題が繰り返し出る理由
| 観点 | 内容 |
| ★出題範囲が決まっている | ★★配電の論点は限られている |
| ★重要な論点 | ★★22 kV 配電の接地方式は繰り返し問われる |
| ★対策 | ★★過去問をそのまま覚える価値がある |
本問は14年前とまったく同じ問題です——選択肢の文言まで同一です。
だから過去問を解いておけば、確実に得点できます——電力科目の学習効率がよい理由です。
抵抗接地の抵抗値をどう決めるか
| 抵抗値 | 地絡電流 | 起きること |
| ★小さい | ★★大きい | ★★検出は容易だが誘導障害と被害が大きい |
| ★★ほどよい | ★★数百アンペア程度 | ★★検出でき、被害も抑えられる |
| ★大きい | ★★小さい | ★★被害は小さいが検出しにくい |
抵抗接地は「抑える」だけが目的ではありません——検出できる大きさは残すのです。
だからちょうどよい抵抗値を選びます——設計の判断になります。
直接接地では、この調整ができません——電流が成り行きで決まるのです。
特別高圧絶縁電線と架空ケーブル
| 電線 | 構造 | 使う場面 |
| ★裸電線 | ★★被覆なし | ★★人家から離れた区間 |
| ★★特別高圧絶縁電線 | ★★絶縁体の被覆あり | ★★人家や樹木に近い区間 |
| ★★架空ケーブル | ★★遮へい層まで備える | ★★とりわけ接近する区間 |
22 kV は特別高圧なので、触れれば致命的です——だから保安上の配慮が要るのです。
区間によって使い分けるのが実際のやり方です——記述(5)は正しいのです。
誤り選択で目的と手段の食い違いを探す
| 記述の型 | 見るところ | 本問での例 |
| ★★目的+手段 | ★★手段が目的に合っているか | ★★「地絡電流抑制のため直接接地」 |
| ★数値の比較 | ★★比例か2乗かを確かめる | ★★電流1/5・損失1/25 |
| ★位置や順序 | ★★上流か下流かを確かめる | ★★配電塔での降圧 |
「〜のため」と書かれていたら、手段と照らします——そこに矛盾を仕込みやすいから。
直接接地は地絡電流を最大にする方式です——抑制という目的と正反対です。
だから読んだ瞬間に誤りだと分かります——知識がなくても論理でたどり着けるのです。
6.6 kV と22 kV を数字で比べる
| 項目 | 6.6 kV | 33 kV |
| ★電圧の比 | ★★1 | ★★5 |
| ★同じ電力での電流 | ★★1 | ★★1/5 |
| ★同じ電力での損失 | ★★1 | ★★1/25 |
| ★同じ電流での送電容量 | ★★1 | ★★5 |
| ★同じ電流での電圧降下率 | ★★1 | ★★1/5 |
電圧比が5倍という1つの数字から、すべてが出ます——33÷6.6=5です。
比例するもの、反比例するもの、2乗で効くものを分けます——そこが問われるのです。
損失だけが2乗なので、いちばん大きく変わります——25分の1になります。
特別高圧という区分
| 区分 | 電圧 | 22kVの位置づけ |
| ★低圧 | ★★交流600V以下 | ★— |
| ★高圧 | ★★600Vを超え7000V以下 | ★★6.6kVはここ |
| ★★特別高圧 | ★★7000Vを超える | ★★22kV・33kVはここ |
7000Vが高圧と特別高圧の境目です——22kVは特別高圧になります。
だから特別高圧需要家へは直接供給できます——(3)の前半の意味です。
まとめ
| 誤り | (2) 抵抗接地が一般的(直接接地は誤り) |
| 有効性 | 電圧対策・供給力増強(1) |
| 電圧効果 | 電流1/5・損失1/25・容量5倍(4) |
| 供給 | 段階的降圧(3) |
| 電線 | 特別高圧絶縁電線・架空ケーブル(5) |
| 答え | (2) |
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