配電1【電験3種 電力】OCGRの不要動作はケーブルが「長い」とき!短いは誤り 令和7年度下期 A問題7 完全解説

電験3種 電力科目 配電 令和7年度下期 A問題7 ケーブルが長いと誤動作する!地絡保護の落とし穴

今回は令和7年度下期 電力科目 A問題76.6kV非接地方式配電線と高圧受電設備の保護の誤り選択問題です。地絡過電流継電器(OCGR)・地絡方向継電器(DGR)・過電流継電器(OCR)と、配電保護の主役が総登場します。

決め手はOCGRが不要動作する条件。OCGRは無方向性(電流の大きさだけを見る)なので、構内の高圧ケーブルのこう長が長いと対地静電容量が大きくなり、構外(外部)地絡事故時に構内ケーブルの充電電流(零相電流)が流れて誤って動作してしまいます。「こう長が短い場合」は正反対です。

目次

令和7年度下期 電力科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和7年度下期 A問題7 問題文
令和7年度下期 電力科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7

電験3種 電力科目 【配電】 令和7年度下期 A問題7

 6.6kV非接地方式配電線及び高圧受電設備の保護に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 高圧受電設備における地絡保護装置は、零相変流器により零相電流を検出して動作させる地絡過電流継電器や、接地用変圧器により零相電圧を検出して零相電流と零相電圧を組み合わせて動作させる地絡方向継電器が用いられる。

(2) 配電線の保護方式として、故障遮断による供給支障を極力少なくする目的で、故障遮断後に電源側から健全な区間を選別して再送電する時限順送式故障区間分離方式がある。

(3) 高圧受電設備における地絡保護装置において、地絡過電流継電器は無方向性のため、構内の高圧ケーブルのこう長が短い場合は外部事故時に大きな零相電流が流れて不要動作することがある。

(4) 地絡事故の保護のため、配電用変電所において各配電線に地絡方向継電器と地絡過電圧継電器を組み合わせて設置される。

(5) 短絡事故の保護のため、配電用変電所において各配電線に過電流継電器が設置される。

答え誤っているのは(3)です。

出題のポイント:ケーブル長とOCGRの不要動作

高圧ケーブル長とOCGRの不要動作条件を整理する出題ポイント
ケーブルが長いほど対地静電容量と充電電流が大きくなることが要点です。

高圧ケーブルが長いほど対地静電容量が大きくなり、外部地絡時の充電電流も増えます。無方向性のOCGRはこの零相電流で不要動作しやすいため、長いケーブルでは方向を判別できるDGRを用います。

答えは(3):不要動作はケーブルが長いときに起きる

長さと対地静電容量の関係が逆に書かれています

選択肢正誤要点
★(1) OCGRとDGRの構成★正しい★ZCTとEVTで検出する
★(2) 時限順送式故障区間分離方式★正しい★健全区間を選別して再送電
★★(3) こう長が短い場合に不要動作★★誤り★★長い場合に不要動作する
★(4) 変電所はDGRとOVGR★正しい★地絡保護の組合せ
★(5) 短絡保護はOCR★正しい★過電流継電器

解法の原理:対地静電容量から零相電流を追う

長い高圧ケーブルの対地静電容量による充電電流をZCTが検出してOCGRが不要動作する仕組み
Cはケーブル長Lに比例し、充電電流Icも大きくなるため、外部地絡時にOCGRが不要動作しやすくなります。
段階起きること
★構外(他の需要家や配電線)で地絡事故が起きる
★②★★系統全体の対地電圧が変化する
★③★★自分の構内ケーブルの対地静電容量にも充電電流が流れる
★④★★その電流が零相変流器を通る
★⑤★★大きさだけを見るOCGRが動作してしまう

ケーブルが長いほど、対地静電容量が大きくなります——だから充電電流も大きいのです。

自分は健全なのに、構外の事故で切れてしまいます——それが不要動作です。

短いケーブルなら充電電流が小さく、動作しません——だから記述(3)は逆なのです。

ケーブルの長い需要家では、方向性のDGRを使います——向きを見れば構内か構外か分かるから。

問題の解説:5つの記述を判定して(3)を選ぶ

配電線と高圧受電設備の保護に関する5つの記述を判定して誤り3を示す解説
選択肢(1)(2)(4)(5)は正しく、短いケーブルで不要動作するとした(3)が誤りです。
地絡過電流継電器(OCGR)地絡方向継電器(DGR)
★見るもの★★零相電流の大きさだけ★★零相電流と零相電圧の位相
★必要な機器★★零相変流器(ZCT)★★ZCT+接地用変圧器(EVT)
★方向の判別★★できない(無方向性)★★できる
★向いている需要家★★構内ケーブルが短い★★構内ケーブルが長い

OCGRは装置が簡単で安いのが利点です——ZCTだけで済むから。

けれども向きが分からないので、外部事故でも動きます——そこが弱点です。

DGRは零相電圧も測るので、方向を判別できます——だから不要動作しないのです。

ケーブルの長さで、どちらを選ぶかが決まります——それが本問の論点です。

⚠️ よくある間違い
(3)を正しいと考える——長いときに不要動作します
OCGRを方向性と考える——無方向性です
(4)のOVGRを疑う——地絡過電圧継電器で零相電圧を見ます
(5)のOCRを地絡用と考える——短絡保護です。
(2)を知らない方式と考える——時限順送方式のことです

⏱️ 本番での進め方
①★OCGRは無方向性なので外部事故でも動きうる。
②★構内ケーブルが長いほど充電電流が大きく不要動作しやすい。
③★だから長い需要家にはDGRを使う。
④★変電所はDGR+OVGR、短絡はOCR。

💡 覚え方
「長いほど流れる、だから誤動作する」——対地静電容量が大きくなるから。向きが分かれば防げる——それがDGRです。

非接地方式と地絡方向継電器は令和6年度下期 A問題9配電:高低圧配電系統の保護)にあります。

接地用変圧器が零相電圧を作り出す

平常時一線地絡時
★3相の対地電圧の和★★ゼロ★★ゼロでなくなる
★EVTの出力★★現れない★★零相電圧が現れる
★使い道★—★★零相電流と位相を比べる基準

接地用変圧器はEVTまたはGPTと呼ばれます——3相の電圧を合成するのです。

平常時は打ち消し合ってゼロです——地絡すると崩れて現れるのです。

この零相電圧を基準にして、電流の向きを判定します——だからDGRにはEVTが要るのです。

OCGRにはEVTが要りません——大きさしか見ないからです。

波及事故を起こさない責任

場面需要家に求められること
★構内で地絡が起きたとき★★自分の保護装置で切り離す
★構外で地絡が起きたとき★★不要動作せず運転を続ける
★そのために★★ケーブル長に応じてOCGRかDGRを選ぶ

切るべきときに切り、切らざるべきときに切らない——その両方が求められます

不要動作は、自分だけが無用に停電することになります——事業への影響が大きいのです。

だから機器の選定が実務上とても重要になります

時限順送式故障区間分離方式という名前

意味
★時限★★一定時間ごとに動作する
★順送★★電源側から順に送電していく
★故障区間分離★★故障した区間だけを切り離す

名前がそのまま動作を表しています——だから意味で覚えられるのです。

故障遮断後に、健全な区間から順に復旧させます——供給支障を最小にするのが目的。

記述(2)はこの方式を正しく説明しています

配電用変電所の地絡保護の組合せ

継電器検出するもの役目
★★地絡方向継電器(DGR)★★零相電流と零相電圧の位相★★どの配電線が故障かを選ぶ
★★地絡過電圧継電器(OVGR)★★零相電圧の大きさ★★地絡が起きたこと自体を検出する

零相電圧は母線に共通なので、どの回線でも同じ値です——だから「起きたこと」は分かるのです。

けれども「どの回線か」までは分かりません——そこでDGRが向きを見るのです。

2つを組み合わせて、確実に故障回線を切り離します——記述(4)の内容です。

高圧受電設備の地絡保護をまとめる

機器役目略号
★零相変流器★★3線をまとめて通し零相電流を取り出す★ZCT
★接地用変圧器★★零相電圧を取り出す★EVT・GPT
★地絡過電流継電器★★零相電流の大きさで動作★OCGR
★地絡方向継電器★★零相電流と零相電圧の位相で動作★DGR

ZCTだけならOCGR、EVTも加えるとDGRになります——装置が1つ増えるのです。

その分だけ費用は上がりますが、不要動作を防げます——ケーブルの長い需要家では必須です。

OCRとOCGRを取り違えない

略号正式名称守る事故
★★OCR★★過電流継電器★★短絡・過負荷
★★OCGR★★地絡過電流継電器★★地絡

Gが入るかどうかで、地絡か短絡かが分かれます——Gはground(地絡)です。

記述(5)のOCRは短絡保護なので正しい——取り違えないことです。

不要動作を防ぐという視点

求められること内容
★★切るべきときに切る★★構内事故で確実に動作する
★★切らざるべきときに切らない★★構外事故では動作しない

保護装置には、この2つが同時に求められます——どちらか一方では足りないのです。

OCGRは前者はできますが、後者が苦手です——向きが分からないから。

だからケーブルの長い需要家ではDGRを選びます——それが本問の論点です。

まとめ

誤り(3) OCGRの不要動作はケーブルが長い場合
OCGR無方向・零相電流のみ・ケーブル長で不要動作
DGR零相電流+零相電圧で方向判別
地絡保護DGR+地絡過電圧継電器(4)
短絡保護過電流継電器OCR(5)
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・ZCTと零相電流(変電43):【電力】平成20年度 A問題6
・保護継電器と再閉路(架空送電20):【電力】平成30年度 A問題6

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