今回は平成18年度 電力科目 A問題10、スポットネットワーク受電設備の機器配置を問う空欄補充問題です。特別高圧配電線から負荷までの機器の並びで、(ア)(イ)(ウ)に入る設備を選びます。
配置は電源側からネットワーク変圧器一次側=断路器(ア)、二次側=ネットワークプロテクタ(イ)、ネットワーク母線二次側=幹線保護装置(ウ)。断路器→ネットワーク変圧器→ネットワークプロテクタ→ネットワーク母線→幹線保護装置という流れです。
※本問は単線図を用いた問題ですが、公式PDFが非公開のため、図は掲載せず機器の配置を文章で解説します。
平成18年度 電力科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題10
電験3種 電力科目 【配電】 平成18年度 A問題10
次の文章は、スポットネットワーク受電設備に関する記述である。
スポットネットワーク受電設備において、ネットワーク変圧器の一次側(特別高圧配電線側)に設ける設備が(ア)、ネットワーク変圧器の二次側に設ける保護設備が(イ)、ネットワーク母線の二次側(負荷側)に設ける設備が(ウ)である。
(本問は単線図を用いて(ア)(イ)(ウ)の設備を問う形式であるが、公式問題PDFが非公開のため、各設備の配置位置を文章で示している。)
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(ウ)に当てはまる組合せとして、最も適切なものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (1) ネットワークプロテクタ 断路器 幹線保護装置 (2) ネットワークプロテクタ 断路器 プロテクタヒューズ (3) 断路器 ネットワークプロテクタ プロテクタ遮断器 (4) 断路器 幹線保護装置 プロテクタヒューズ (5) 断路器 ネットワークプロテクタ 幹線保護装置

答えは(5):断路器・ネットワークプロテクタ・幹線保護装置
電源側から負荷側へ、順に並んでいます。
| 位置 | 設備 | 役目 |
| ★(ア) 変圧器の一次側 | ★★断路器 | ★★保守時に回線を切り離す |
| ★(イ) 変圧器の二次側 | ★★ネットワークプロテクタ | ★★故障回線を自動で切り離す |
| ★(ウ) 母線の二次側 | ★★幹線保護装置 | ★★需要家の幹線を守る |
ネットワークプロテクタの3つの部品
| 部品 | 役目 |
| ★★プロテクタヒューズ | ★★プロテクタ遮断器が切れないときの後備保護 |
| ★★プロテクタ遮断器 | ★★指令を受けて回線を開閉する |
| ★★電力方向継電器 | ★★逆電力を検出して遮断器に指令を出す |
プロテクタヒューズや遮断器は、ネットワークプロテクタの一部です——単独では(ウ)に入りません。
ふだんは3回線から同時に受電しています——1回線が故障しても止まらないのです。
故障した回線には、逆向きに電力が流れ込みます——ほかの2回線から回り込むのです。
それを電力方向継電器が捉えて切り離します——だから逆電力を見るのです。
スポットネットワーク方式の特徴
| 項目 | 内容 |
| ★受電回線 | ★★3回線が一般的(同時に受電) |
| ★★信頼度 | ★★1回線が停止しても無停電で供給を続けられる |
| ★★切替の操作 | ★★自動(無電圧の瞬間もない) |
| ★用途 | ★★都心の高層ビル・大規模需要家 |
| ★短所 | ★★設備が高価 |
3回線から同時に受電するのが最大の特徴です——予備ではなく常時並行なのです。
だから1回線が故障しても、瞬時も停電しません——切り替える必要すらないのです。
ビルのエレベータやサーバは停電に弱い——だからこの方式を選ぶのです。
そのかわり設備が高価になります——大規模需要家だから成り立つのです。
⚠️ よくある間違い
(ア)と(イ)を入れ替える——一次側が断路器です。
(ウ)にプロテクタヒューズを当てる——それはプロテクタの構成部品です。
(ウ)にプロテクタ遮断器を当てる——同じく構成部品です。
(イ)に幹線保護装置を当てる——それは母線の二次側です。
予備回線方式と混同する——スポットネットワークは常時並行受電。
⏱️ 本番での進め方
①★配置は断路器→変圧器→プロテクタ→母線→幹線保護装置。
②★ネットワークプロテクタ=ヒューズ+遮断器+電力方向継電器。
③★逆電力を検出して故障回線を切り離す。
④★3回線から常時同時に受電する。
💡 覚え方
「断路器・プロテクタ・幹線保護装置」——上流から3つ並べます。プロテクタの中身はヒューズ・遮断器・方向継電器——部品を単独で答えないこと。
配電系統の保護装置は令和3年度 A問題13(配電:高低圧配電系統の保護)にあります。
ネットワークプロテクタの3つの動作特性
| 特性 | 内容 |
| ★★逆電力遮断特性 | ★★ネットワーク母線から変圧器へ電力が逆流したら開く |
| ★★差電圧投入特性 | ★★変圧器側の電圧が母線より高いとき閉じる |
| ★★無電圧投入特性 | ★★母線が停電しているとき、電圧が来たら閉じる |
1回線が故障すると、その回線へ電力が逆流します——ほかの2回線から回り込むのです。
それを検出して開くのが逆電力遮断特性——いちばん大事な動作です。
復旧したら自動で閉じます——そのための投入特性です。
レギュラーネットワークとの違い
| スポットネットワーク | レギュラーネットワーク | |
| ★供給先 | ★★1つの大口需要家 | ★★低圧の面的な区域 |
| ★母線 | ★★その需要家の構内 | ★★街路の低圧配電網 |
| ★使われる場所 | ★★高層ビルなど | ★★大都市の繁華街 |
スポットとは「一点」という意味です——1つの需要家に集中して供給するのです。
レギュラーは低圧の網目状で、面的に供給します——名前で区別できるのです。
受電方式を信頼度の順に並べる
| 方式 | 回線 | 停電の有無 | 費用 |
| ★1回線受電 | ★★1回線 | ★★事故で停電する | ★★安い |
| ★本線・予備線 | ★★2回線(片方は待機) | ★★切替の間だけ停電 | ★中くらい |
| ★ループ受電 | ★★2回線(両方から) | ★★短時間または無停電 | ★やや高い |
| ★★スポットネットワーク | ★★3回線(常時同時) | ★★無停電 | ★★最も高い |
信頼度が上がるほど、費用も上がります——需要家が選ぶのです。
スポットネットワークは最上位の方式です——切替そのものが要らないから。
だから都心の高層ビルで採用されます。
ネットワーク変圧器の役目
| 項目 | 内容 |
| ★何をするか | ★★特別高圧を420 V 前後に落とす |
| ★台数 | ★★受電回線と同じ数(一般に3台) |
| ★特徴 | ★★1台停止しても残りで全負荷をまかなえる容量にする |
3台のうち1台が止まっても、残る2台で足ります——だから無停電で続けられるのです。
そのぶん容量に余裕をもたせています——費用が高くなる理由でもあります。
ネットワーク母線という考え方
| ふつうの受電 | スポットネットワーク | |
| ★変圧器の二次側 | ★★それぞれ別の母線 | ★★1本の母線に並列につなぐ |
| ★負荷の見え方 | ★★系統ごとに分かれる | ★★すべての負荷が1つの母線から |
| ★1回線停止時 | ★★その系統が停電 | ★★母線の電圧は保たれる |
3台の変圧器の二次側を1本の母線につなぎます——だからネットワーク母線です。
1台が切り離されても、残り2台が母線を支えます——電圧が途切れないのです。
この構成があるから、無停電が実現できます——プロテクタと組み合わせて働くのです。
断路器を一次側に置く理由
| 場面 | 断路器の役目 |
| ★変圧器の点検 | ★★その回線を特別高圧配電線から切り離す |
| ★安全の確認 | ★★目に見える形で開放されていることを示す |
| ★注意点 | ★★電流が流れていない状態で操作する |
点検のときは、確実に切り離す必要があります——作業者の安全のためです。
だから一次側の先頭に断路器を置きます——(ア)が断路器である理由です。
プロテクタヒューズが後備である意味
| プロテクタ遮断器 | プロテクタヒューズ | |
| ★動作の順 | ★★先に動く | ★★動かないときに溶ける |
| ★復旧 | ★★自動で再投入できる | ★★交換が必要 |
| ★位置づけ | ★★主保護 | ★★後備保護 |
遮断器が働けば、ヒューズは溶けません——だから交換の手間がないのです。
遮断器が故障したときだけ、ヒューズが最後の砦になります——二重の備えです。
だから(ウ)には単独では入りません——プロテクタの一部だからです。
無停電が求められる需要家
| 需要家 | 止まると困ること |
| ★高層ビル | ★★エレベータに人が閉じ込められる |
| ★データセンター | ★★機器が停止しデータが失われる |
| ★病院 | ★★生命維持装置が止まる |
| ★工場 | ★★製造中の仕掛品が無駄になる |
瞬時の停電でも大きな損害になる需要家があります——だから費用をかけるのです。
スポットネットワークは、その要求に応える方式です——3回線から常時受電するから。
それでも構内の事故には別の備えが要ります——幹線保護装置がその一つです。
まとめ
| (ア) | 断路器(ネットワーク変圧器一次側) |
| (イ) | ネットワークプロテクタ(二次側) |
| (ウ) | 幹線保護装置(母線二次側) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・スポットネットワークの順序(配電18):【電力】令和2年度 A問題13
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