今回は平成23年度 電力科目 A問題12、大都市の大口需要家向けスポットネットワーク方式の空欄補充問題です。受電回線数・機器構成・ネットワークプロテクタ・供給信頼度と、方式の要点が問われます。
4つの空欄:一つの需要家に3回線で供給、機器は断路器→ネットワーク変圧器→ネットワークプロテクタ→ネットワーク母線の順。ネットワークプロテクタはプロテクタヒューズ+プロテクタ遮断器+電力方向継電器で構成され、特別高圧配電線の単一故障時でも無停電で供給できます。
平成23年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12
電験3種 電力科目 【配電】 平成23年度 A問題12
次の文章は、スポットネットワーク方式に関する記述である。
スポットネットワーク方式は、ビルなどの需要家が密集している大都市の供給方式で、一つの需要家に(ア)回線で供給されるのが一般的である。
機器の構成は、特別高圧配電線から断路器、(イ)及びネットワークプロテクタを通じて、ネットワーク母線に並列に接続されている。
また、ネットワークプロテクタは、(ウ)、プロテクタ遮断器、電力方向継電器で構成されている。
スポットネットワーク方式は、供給信頼度の高い方式であり、(エ)の単一故障時でも無停電で電力を供給することができる。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 1 ネットワーク変圧器 断路器 特別高圧配電線 (2) 3 ネットワーク変圧器 プロテクタヒューズ ネットワーク母線 (3) 3 遮断器 プロテクタヒューズ ネットワーク母線 (4) 1 遮断器 断路器 ネットワーク母線 (5) 3 ネットワーク変圧器 プロテクタヒューズ 特別高圧配電線

答えは(5):3・ネットワーク変圧器・プロテクタヒューズ・特別高圧配電線
回線数・機器の順序・保護装置の中身・信頼度の順に問われています。
| 空欄 | 正解 | なぜそうなるか |
| ★(ア) | ★★3 | ★★3回線受電が一般的 |
| ★(イ) | ★★ネットワーク変圧器 | ★★断路器の次は変圧器 |
| ★(ウ) | ★★プロテクタヒューズ | ★★プロテクタの構成要素の1つ |
| ★(エ) | ★★特別高圧配電線 | ★★電源側の1回線停止には強い |
なぜ3回線なのか
| 回線数 | 1回線停止時に残る回線 | 1台あたり必要な容量 |
| ★2回線 | ★★1回線 | ★★全負荷の100% |
| ★★3回線 | ★★2回線 | ★★全負荷の50% |
| ★4回線 | ★★3回線 | ★★全負荷の33% |
1回線が止まっても全負荷をまかなえる必要があります——これをN−1基準といいます。
2回線だと、1台で全部を背負うことになります——変圧器が大きくなりすぎるのです。
3回線なら、1台あたり全負荷の半分で足ります——設備が現実的な大きさに収まるのです。
4回線にしても、費用が増えるわりに効果が薄い——だから3回線が標準になっています。
「単一故障」という言葉の意味
| 故障の起き方 | スポットネットワークでは |
| ★★特別高圧配電線の1回線が故障 | ★★無停電で供給を続けられる |
| ★★ネットワーク変圧器の1台が故障 | ★★同じく無停電で続けられる |
| ★2回線が同時に故障 | ★★残り1回線では容量が足りない恐れ |
| ★★ネットワーク母線が故障 | ★★受電できず全停電 |
単一故障とは、1か所だけが壊れる場合のことです——そこまでは必ず守るのが設計方針。
問題文が「特別高圧配電線の単一故障時でも」と限定しているのはそのためです。
母線の故障は、この方式でも守れません——全回線が集まる唯一の共通部分だから。
だから(エ)はネットワーク母線ではなく特別高圧配電線です。
⚠️ よくある間違い
(ア)を1とする——複数回線でなければ意味がありません。
(イ)を遮断器とする——断路器の次はネットワーク変圧器です。
(ウ)を断路器とする——それは変圧器の一次側です。
(エ)をネットワーク母線とする——母線故障では無停電にできません。
プロテクタの構成を2つと考える——ヒューズ・遮断器・電力方向継電器の3つ。
⏱️ 本番での進め方
①★スポットネットワークは3回線受電が一般的。
②★順序は断路器→変圧器→プロテクタ→母線。
③★プロテクタ=ヒューズ+遮断器+電力方向継電器。
④★守れるのは特別高圧配電線の単一故障まで。
💡 覚え方
「3回線・変圧器・ヒューズ・配電線」——4つの空欄を順に並べます。母線の故障は守れない——だから(エ)は配電線です。
機器の並び順は令和2年度 A問題13(配電:スポットネットワーク方式)で詳しく問われています。
4段構成の役割分担
| 段 | 機器 | 担う役目 |
| ★1段目 | ★★断路器 | ★★保守のときに確実に切り離す |
| ★2段目 | ★★ネットワーク変圧器 | ★★特別高圧を低圧に落とす |
| ★3段目 | ★★ネットワークプロテクタ | ★★故障回線を自動で切り離す |
| ★4段目 | ★★ネットワーク母線 | ★★全回線を並列にして負荷へ配る |
それぞれの段に、はっきりした役目があります——だから順序が決まるのです。
切り離す・落とす・守る・配る、という流れです——覚えやすいのです。
(イ)は2段目なので、ネットワーク変圧器になります。
電力方向継電器が判断すること
| 電力の向き | 意味 | プロテクタの動作 |
| ★変圧器→母線 | ★★正常に受電している | ★★閉じたまま |
| ★★母線→変圧器 | ★★その回線が故障している | ★★遮断器を開く |
正常なら、電力は変圧器から母線へ流れます——受電しているのだから当然です。
その回線が故障すると、逆向きに流れ込みます——ほかの回線から回り込むのです。
向きが逆になったら切り離す、という単純な判断です。
大都市の需要家が密集する地域
| 条件 | 大都市中心部の事情 |
| ★負荷密度 | ★★1棟で数千キロワットを使う |
| ★配電線 | ★★特別高圧の地中配電系統が整備されている |
| ★停電の損害 | ★★エレベータ・空調・情報機器が止まる |
| ★用地 | ★★受電設備を置く場所が限られる |
需要家が密集しているので、地中配電が整備されています——だから3回線を引けるのです。
郊外では、そもそも複数回線を引く配電網がありません——この方式が使えないのです。
問題文が「大都市の供給方式」と書いているのはそのためです。
並列に接続するということ
| 正常時 | 1回線が停止 | |
| ★母線への供給 | ★★3台の変圧器すべてから | ★★残り2台から |
| ★母線の電圧 | ★★保たれている | ★★保たれたまま |
| ★負荷から見て | ★★変化なし | ★★何も起きていないように見える |
母線で並列につないでいるから、切替が要りません——残った回線がそのまま支えるのです。
だから瞬時の停電も起きません——(エ)の「無停電」の意味です。
スポットネットワークの問題で問われること
| 論点 | 押さえること | 出題例 |
| ★回線数 | ★★3回線 | ★★本問の(ア) |
| ★機器の順序 | ★★断路器→変圧器→プロテクタ→母線 | ★★令和2年度 |
| ★プロテクタの構成 | ★★ヒューズ・遮断器・電力方向継電器 | ★★本問の(ウ) |
| ★弱点 | ★★母線故障では受電できない | ★★平成27年度 |
問われるのはこの4点にほぼ限られます——だから覚える価値が高いのです。
本問は前の3点を1問で確かめています——基本の確認です。
4点をまとめて押さえておけば、どの年度でも対応できます。
断路器から母線までを一息で言う
| 順 | 機器 | ひとことで |
| ★1 | ★★断路器 | ★★切り離す |
| ★2 | ★★ネットワーク変圧器 | ★★落とす |
| ★3 | ★★ネットワークプロテクタ | ★★守る |
| ★4 | ★★ネットワーク母線 | ★★配る |
「切り離す・落とす・守る・配る」の4語で順序が出ます——暗記が楽になるのです。
(イ)は2番目なので「落とす」=ネットワーク変圧器です。
この4語は令和2年度の並び順の問題にもそのまま使えます。
信頼度を高める3つの工夫
| 工夫 | 内容 | 効果 |
| ★★複数回線から受電 | ★★3回線を同時に使う | ★★1回線が止まっても続く |
| ★★母線で並列にする | ★★変圧器の二次側を1本にまとめる | ★★切替が要らない |
| ★★自動で切り離す | ★★プロテクタが逆電力を検出する | ★★人の操作が要らない |
3つがそろって初めて無停電が実現します——どれか1つでは足りないのです。
だから機器の構成も決まった形になります——本問の(イ)(ウ)がその一部です。
費用は高くなりますが、大口需要家なら見合います。
まとめ
| (ア) | 3(回線受電) |
| (イ) | ネットワーク変圧器 |
| (ウ) | プロテクタヒューズ |
| (エ) | 特別高圧配電線(の単一故障で無停電) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・スポットネットワークの順序(配電18):【電力】令和2年度 A問題13
・ネットワーク方式の特徴(配電27):【電力】平成27年度 A問題12

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