配電16【電験3種 電力】引出口は遮断器・区分開閉器・避雷器は並列・低圧引込はケッチヒューズ!令和3年度 A問題13 完全解説

電験3種 電力科目 配電 令和3年度 A問題13 引出口には遮断器!避雷器は線路と並列に接続

今回は令和3年度 電力科目 A問題13、我が国の高低圧配電系統における保護の空欄補充問題です。配電用変電所の引出口から低圧引込線まで、保護装置の配置を段階的に確認できます。

4つの空欄:短絡・地絡事故で高圧配電線を切り離す引出口には遮断器+保護継電器、樹枝状配電線の事故箇所は区分開閉器で切り離し、避雷器は変圧器に対して並列に設置、低圧引込線の短絡保護はケッチヒューズ——保護装置の配置がまるごと問われます。

目次

令和3年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 令和3年度 A問題13 問題文
令和3年度 電力科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和3年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13

電験3種 電力科目 【配電】 令和3年度 A問題13

 次の文章は、我が国の高低圧配電系統における保護に関する記述である。

 6.6kV高圧配電線に短絡や地絡などの事故が生じたとき、直ちに事故の発生した高圧配電線を切り離すために、(ア)と保護継電器が配電用変電所の高圧配電線引出口に設置されている。

 樹枝状方式の高圧配電線で事故が生じた場合、事故が発生した箇所の変電所側直近及び変電所から離れた側の(イ)開閉器を開放することにより、事故が発生した箇所を高圧配電線系統から切り離す。

 柱上変圧器には、変圧器内部及び低圧配電系統内での短絡事故による過電流保護のために高圧カットアウトが設けられているほか、落雷などによる外部異常電圧から保護するために、避雷器を変圧器に対して(ウ)に設置する。

 (エ)は低圧配電線から低圧引込線への接続点などに設けられ、低圧引込線で生じた短絡事故などを保護している。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)高圧ヒューズ区分直列配線用遮断器
(2)遮断器区分並列ケッチヒューズ(電線ヒューズ)
(3)遮断器区分直列配線用遮断器
(4)高圧ヒューズ連系並列ケッチヒューズ(電線ヒューズ)
(5)遮断器連系直列ケッチヒューズ(電線ヒューズ)
答え答えは(2)です。

出題のポイント:配電系統の保護装置を上流から整理

配電用変電所の遮断器から区分開閉器、高圧カットアウト、並列避雷器、ケッチヒューズまでを上流から示す図
上流では広い範囲を、下流では狭い範囲を守り、事故箇所だけを切り離します。

6.6kV高圧配電線の引出口では遮断器と保護継電器が事故線路を切り離し、配電線途中では区分開閉器が事故区間の両側を開放します。柱上変圧器は高圧カットアウトで過電流を保護し、避雷器を変圧器に並列接続して雷サージを大地へ逃がします。低圧引込線はケッチヒューズで保護するため、正しい組合せは(2)です。

答えは(2):遮断器・区分・並列・ケッチヒューズ

閉じた高圧カットアウトと柱上変圧器一次巻線に対して避雷器を並列接続し雷サージを大地へ逃がす単線結線図
避雷器は変圧器と並列に接続し、平常時は負荷電流を妨げず、雷サージ時だけ大地への逃げ道になります。

変電所から住宅まで、保護装置が段階的に並んでいます

空欄正解どこに何を
★(ア)★★遮断器★★引出口に保護継電器とセットで
★(イ)★★区分★★事故箇所の両側を開放する
★(ウ)★★並列★★避雷器は変圧器と並列
★(エ)★★ケッチヒューズ★★低圧引込線の接続点に

配電系統の保護装置を上から順に

場所装置守るもの
★配電用変電所の引出口★★遮断器+保護継電器★★高圧配電線全体
★高圧配電線の途中★★区分開閉器★★事故区間だけを切り離す
★柱上変圧器の一次側★★高圧カットアウト★★変圧器内部と低圧側の短絡
★柱上変圧器に並列★★避雷器★★雷による異常電圧
★低圧引込線の接続点★★ケッチヒューズ★★引込線の短絡

上流ほど広い範囲を、下流ほど狭い範囲を守ります——役割分担ができているのです。

事故が起きたら、なるべく狭い範囲だけを切り離します——停電の影響を小さくするため。

だから区分開閉器が途中に何台も置かれています——事故区間を挟み撃ちにするのです。

この階層構造が、配電系統の保護の基本です

避雷器が並列である理由

つなぎ方平常時雷が来たとき
★★並列(正しい)★★高抵抗で電流を流さない★★導通して過電圧を大地へ逃がす
★直列(誤り)★★負荷電流が流れない★★そもそも機能しない

避雷器は、ふだんは電流を通しません——高い抵抗をもっているから。

けれども過電圧がかかると、急に導通します——そこで大地へ逃がすのです。

だから守りたい機器と並列につなぎます——逃げ道を用意するという発想です。

直列にしたら、平常時に電流が流れません——そもそも成り立たないのです。

⚠️ よくある間違い
(ア)を高圧ヒューズとする——事故電流を遮断するのは遮断器です。
(イ)を連系とする——事故箇所を切り離すのは区分開閉器
(ウ)を直列とする——避雷器は並列です。
(エ)を配線用遮断器とする——それは屋内配線用です。
高圧カットアウトを引出口の装置と混同する——柱上変圧器の一次側です。

⏱️ 本番での進め方
①★引出口=遮断器+保護継電器。
②★事故区間の切り離し=区分開閉器。
③★避雷器は保護対象と並列。
④★低圧引込線=ケッチヒューズ。

💡 覚え方
「引出口は遮断器、途中は区分開閉器、避雷器は並列、引込はケッチヒューズ」——上流から下流へ順に並べて覚えます

真空遮断器の構造は平成25年度 A問題7配電:真空遮断器)にあります。

区分開閉器が事故区間を切り離すしくみ

時限順送方式という手順で動きます

段階起きること
★配電線で事故が起き、引出口の遮断器が動作する
★②★★停電により、すべての区分開閉器が開放される
★③★★遮断器が再閉路し、送電を再開する
★④★★区分開閉器が変電所側から順に一定時限で閉じる
★⑤★★事故区間の開閉器を閉じた瞬間に再び事故になる
★⑥★★その開閉器が事故を検出して開いたまま固定される

順に閉じていって、事故が再発した場所を突き止めます——自動で探し当てるのです。

事故区間より手前は、その時点で送電が復旧しています——停電範囲が狭くなるのです。

事故区間より先は、他の線路から連系開閉器で送ります——だから全部が停電しないのです。

区分開閉器と連系開閉器は、役目が違います——本問の(イ)は区分です。

高圧カットアウトの役目

柱上変圧器を守る、いちばん身近な保護装置です

項目内容
★どこに付くか★★柱上変圧器の一次側(高圧側)
★何から守るか★★変圧器内部の故障と低圧側の短絡
★中身★★ヒューズ(限流形または非限流形)
★もう一つの役目★★開閉器として変圧器を切り離せる

変圧器が壊れたとき、高圧配電線から切り離します——そのままでは配電線全体が停電するから。

ヒューズが溶けて、その変圧器だけを切り離します——周りの家は停電しないのです。

保守のときは、手で開いて変圧器を切り離せます——開閉器としても使えるのです。

ケッチヒューズはさらに下流、低圧引込線を守ります——守る範囲が段階的に分かれているのです。

ケッチヒューズという名前

電線ヒューズとも呼ばれます

項目内容
★どこに付くか★★低圧配電線から低圧引込線への接続点
★何を守るか★★引込線で起きた短絡事故
★なぜ必要か★★引込線は細く、事故が起きやすい
★守られる範囲★★その1軒だけが停電する

引込線は電柱から各戸へ引かれる細い電線です——樹木や強風で切れることがあるのです。

そこで短絡が起きても、配電線全体を止めたくありません——だから接続点にヒューズを入れるのです。

ヒューズが溶ければ、その1軒だけが停電します——影響を最小限にできるのです。

配線用遮断器は屋内配線用で、位置が違います——分電盤の中にあります。

名前で選ぶのではなく、どこに付くかで判断しましょう——問題文は接続点と書いているのです。

区分開閉器と連系開閉器の違い

名前が似ていますが、置き場所も役目も違います

区分開閉器連系開閉器
★どこにあるか★★1本の配電線の途中★★2本の配電線のつなぎ目
★平常時★★閉じている★★開いている
★役目★★事故区間を切り離す★★別の線路から応援送電する
★本問の(イ)★★これが正解★不正解

区分開閉器は、配電線を区間に分けるためのものです——ふだんは閉じているのです。

連系開閉器は、別の配電線とつなぐためのものです——ふだんは開いているのです。

事故が起きたら、区分開閉器で事故区間を切り離します——問題文もそう書いているのです。

そのうえで、事故区間より先へは連系開閉器から送ります——2つがそろって停電範囲が最小になるのです。

だから(イ)は区分が正解——連系では文意が通らないのです。

樹枝状方式という配電のかたち

本問の前提になっている配電方式です

方式長所短所
★★樹枝状(放射状)★★変電所から枝分かれ★★安く、増設しやすい★★事故で停電範囲が広い
★ループ★環状につなぐ★★両側から送れる★設備が増える
★ネットワーク★網目状★★信頼度が最も高い★★高価

日本の高圧配電線は、ほとんどが樹枝状です——安くて増設しやすいから。

けれども途中で事故が起きると、その先が全部停電します——枝分かれの構造だから

だから区分開閉器と連系開閉器で補います——本問の(イ)がまさにそれです。

都心の重要な地域ではネットワーク方式が使われます——費用をかけて信頼度を上げるのです。

方式によって保護の考え方も変わります——本問は樹枝状の場合です。

まとめ

高低圧配電系統保護の空欄と選択肢一から五を照合し遮断器、区分、並列、ケッチヒューズの選択肢二を選ぶ表
引出口は遮断器、途中は区分開閉器、避雷器は並列、低圧引込線はケッチヒューズで、正解は(2)です。
(ア)遮断器(引出口・事故切り離し)
(イ)区分(開閉器で事故箇所切り離し)
(ウ)並列(避雷器を変圧器に並列)
(エ)ケッチヒューズ(低圧引込の短絡保護)
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・非接地方式配電線の保護(配電1):【電力】令和7年度下期 A問題7
・高低圧配電系統の保護(配電4):【電力】令和6年度下期 A問題9

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