今回は平成25年度 電力科目 A問題7、真空遮断器(VCB)の構造や特徴の空欄補充問題です。開閉電極の密閉構造・可動電極の機構・騒音・適用電圧と、真空遮断器の要点が問われます。
4つの空欄:開閉電極は真空バルブ内に密閉され、可動電極が動作しても真空を保つベローズで構成。空気遮断器より動作時の騒音が小さく小形軽量で、ガス遮断器と比べると電圧が低い系統(高圧・配電)で広く使われます。
平成25年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7
電験3種 電力科目 【配電】 平成25年度 A問題7
次の文章は、真空遮断器の構造や特徴に関する記述である。
真空遮断器の開閉電極は、(ア)内に密閉され、電極を開閉する操作機構、可動電極が動作しても真空を保つ(イ)、回路と接続する導体などで構成されている。
電路を開放した際に発生するアーク生成物は、真空中に拡散するが、その後、絶縁筒内部に付着することで、その濃度が下がる。
真空遮断器は、空気遮断器と比べると動作時の騒音が(ウ)、機器は小形軽量である。また、真空遮断器は、ガス遮断器と比べると電圧が(エ)系統に広く使われている。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 真空バルブ ベローズ 小さく 高い (2) パッファシリンダ ベローズ 大きく 高い (3) 真空バルブ ベローズ 小さく 低い (4) パッファシリンダ ブッシング変流器 小さく 高い (5) 真空バルブ ブッシング変流器 大きく 低い

答えは(3):真空バルブ・ベローズ・小さく・低い
真空遮断器の構造と特徴が、そのまま問われています。
| 空欄 | 正解 | なぜそうなるか |
| ★(ア) | ★★真空バルブ | ★★電極を真空容器に密閉する |
| ★(イ) | ★★ベローズ | ★★蛇腹で気密を保ちつつ電極を動かす |
| ★(ウ) | ★★小さく | ★★空気を噴出しないので静か |
| ★(エ) | ★★低い | ★★超高圧はガス遮断器の領分 |
真空でアークが消える理由
| 段階 | 起きること |
| ① | ★電極が離れ、アークが発生する |
| ★② | ★★電極の金属が蒸発して金属蒸気になる |
| ★③ | ★★その蒸気がアークを支える |
| ★④ | ★★電流ゼロ点で蒸気が真空中へ一気に拡散する |
| ★⑤ | ★★絶縁が急速に回復してアークが消える |
真空にはアークを支えるものがありません——電子や分子がないから。
だから電流がゼロになった瞬間、一気に絶縁が戻ります——これが真空遮断器の強みです。
アーク生成物は絶縁筒の内側に付着します——濃度が下がって消弧が進むのです。
消弧のための媒体を補給する必要がありません——だから保守が楽なのです。
ベローズという部品
| 内容 | |
| ★形 | ★★蛇腹(じゃばら)状の金属筒 |
| ★役目 | ★★真空を保ったまま可動電極を動かす |
| ★なぜ必要か | ★★軸が貫通すると真空が破れる |
| ★寿命 | ★★繰り返し伸縮するので開閉回数に限りがある |
真空容器の中の電極を、外から動かす必要があります——けれども軸を通せば真空が漏れるのです。
そこで蛇腹を使って、伸び縮みで動きを伝えます——密閉したまま動かせるのです。
この発想が真空遮断器を成り立たせています——だから空欄になりやすいのです。
⚠️ よくある間違い
(ア)をパッファシリンダとする——それはガス遮断器の消弧室です。
(イ)をブッシング変流器とする——それは計器用の部品です。
(ウ)を大きくとする——空気遮断器より静かです。
(エ)を高いとする——超高圧はガス遮断器です。
真空遮断器と真空開閉器を混同する——遮断器は事故電流を切れます。
⏱️ 本番での進め方
①★真空遮断器=真空バルブ+ベローズ。
②★空気遮断器より騒音が小さく小形軽量。
③★ガス遮断器より低い電圧系統で使う。
④★パッファシリンダはガス遮断器の語。
💡 覚え方
「真空バルブ・ベローズ・静か・低い電圧」——4つセットで覚えます。ダミーはパッファシリンダとブッシング変流器——どちらも別の機器の部品です。
遮断器の消弧方式は変電の問題(変電:遮断器の消弧方式)で扱っています。
遮断器の種類と使い分け
消弧の方法で分類されます。
| 種類 | 消弧の方法 | 主な適用電圧 | 現状 |
| ★★真空遮断器(VCB) | ★★真空中への拡散 | ★★高圧〜特別高圧 | ★★配電の主力 |
| ★★ガス遮断器(GCB) | ★★SF6ガスの吹き付け | ★★超高圧 | ★★送電の主力 |
| ★空気遮断器(ABB) | ★圧縮空気の吹き付け | ★高圧〜超高圧 | ★★騒音が大きく減少 |
| ★油遮断器(OCB) | ★油の分解ガス | ★高圧 | ★★火災の危険でほぼ使われない |
現在は真空遮断器とガス遮断器の2つが主流です——電圧で棲み分けているのです。
配電用変電所や需要家の高圧受電設備は真空遮断器——小形で保守が楽だから。
超高圧の変電所はガス遮断器——高い絶縁耐力が要るから。
空気遮断器と油遮断器は姿を消しつつあります——騒音と火災の問題があるためです。
真空遮断器の短所
良いことばかりではありません。
| 短所 | 内容 | 対策 |
| ★★開閉サージ | ★★消弧能力が高すぎて電流を無理に切り、高い電圧が出る | ★★サージ吸収装置を付ける |
| ★真空の維持 | ★★真空度が下がると遮断できない | ★定期的に真空度を点検する |
| ★ベローズの寿命 | ★★伸縮の繰り返しで疲労する | ★開閉回数を管理する |
真空遮断器は、電流を切る力が強すぎることがあります——ゼロ点を待たずに切ってしまうのです。
すると電流の急変で高い電圧が発生します——これが開閉サージです。
とりわけ電動機やモールド変圧器では注意が要ります——絶縁を傷めることがあるから。
だからサージ吸収装置を組み合わせて使います——短所を知って使うのが実務です。
高圧受電設備での真空遮断器
工場やビルの受電設備で、中心となる機器です。
| 機器 | 役目 | 事故電流を切れるか |
| ★★真空遮断器(VCB) | ★★短絡・地絡事故の電流を遮断する | ★★切れる |
| ★高圧交流負荷開閉器(LBS) | ★負荷電流の開閉のみ | ★★切れない(ヒューズと組む) |
| ★断路器(DS) | ★★無電流状態で回路を切り離す | ★★切れない |
| ★高圧カットアウト(PC) | ★変圧器の保護と開閉 | ★ヒューズが溶断する |
事故電流を切れるのは遮断器だけです——そこが他の機器との決定的な違い。
断路器は電流が流れていないときにしか開けません——開けるとアークが持続して危険だから。
だから断路器を開く前に、必ず遮断器を開きます——操作の順序が決まっているのです。
負荷開閉器はヒューズと組み合わせて事故に備えます——小容量なら遮断器より安いのです。
真空遮断器はその中で、最も確実な保護を担います——だから重要な回路に使うのです。
アーク生成物が絶縁筒に付く意味
問題文にある一文にも、ちゃんと理由があります。
| 段階 | 起きること | 結果 |
| ★① | ★★電極から金属蒸気が出る | ★アークが支えられる |
| ★② | ★★蒸気が真空中へ拡散する | ★★濃度が急に下がる |
| ★③ | ★★絶縁筒の内側に付着する | ★★空間から取り除かれる |
| ★④ | ★★電極間の絶縁が回復する | ★★遮断が完了する |
金属蒸気が残っていると、電流が流れ続けます——だから取り除く必要があるのです。
真空中では、蒸気が一気に広がって薄くなります——ぶつかる相手がいないから。
その蒸気が筒の内側に付いて、空間から消えます——これが速い消弧の秘密です。
付着した金属は絶縁筒を汚しますが、内部の形を工夫して絶縁を保ちます——シールドを設けるのです。
だから遮断の速さと、繰り返しの信頼性が両立します——よくできた機器なのです。
空欄補充で確実に得点するために
ダミーの語がどこの部品かを知っていれば、消去法が効きます。
| ダミーの語 | 本当はどこの部品か |
| ★パッファシリンダ | ★★ガス遮断器の消弧室(ガスを圧縮して吹き付ける) |
| ★ブッシング変流器 | ★★遮断器などのブッシングに組み込む計器用変流器 |
どちらも実在する部品ですが、真空遮断器のものではありません——だから消せるのです。
パッファとは「吹き付ける」という意味です——真空には吹き付けるガスがないのです。
選択肢を見ると、(ア)が真空バルブなのは3つ——そこで2つに絞れます。
あとは(ウ)の騒音か(エ)の電圧のどちらかを決めれば答えが出ます——全部が分からなくても正解できるのです。
まとめ
| (ア) | 真空バルブ(電極を密閉) |
| (イ) | ベローズ(可動電極の気密) |
| (ウ) | 小さく(空気遮断器より騒音) |
| (エ) | 低い(ガス遮断器より適用電圧) |
| 答え | (3) |
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