今回は平成26年度 電力科目 A問題13、高圧架空配電系統を構成する機材とその特徴の誤り選択問題です。柱上変圧器・鋼板組立柱・電線・避雷器・区分開閉器と、配電機材が総登場します。
決め手は区分開閉器の役割。区分開閉器(柱上開閉器)は負荷電流の開閉や配電線の区分(事故区間の切り離し)に使われますが、短絡事故電流を遮断する能力はありません。「主に事故電流の遮断に使用」は誤りです(遮断は変電所の遮断器が行う)。
平成26年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13
電験3種 電力科目 【配電】 平成26年度 A問題13
高圧架空配電系統を構成する機材とその特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 柱上変圧器は、鉄心に低損失材料の方向性けい素鋼板やアモルファス材を使用したものが実用化されている。
(2) 鋼板組立柱は、山間部や狭あい場所など搬入困難な場所などに使用されている。
(3) 電線は、一般に銅又はアルミが使用され、感電死傷事故防止の観点から、原則として絶縁電線である。
(4) 避雷器は、特性要素を内蔵した構造が一般的で、保護対象機器にできるだけ接近して取り付けると有効である。
(5) 区分開閉器は、一般に気中形、真空形があり、主に事故電流の遮断に使用されている。

答えは(5):区分開閉器は事故電流を遮断しない
役割を1段階上に見積もった記述です。
| 選択肢 | 正誤 | 要点 |
| ★(1) 方向性けい素鋼板・アモルファス | ★正しい | ★鉄損を減らす材料 |
| ★(2) 鋼板組立柱 | ★正しい | ★分割して搬入できる |
| ★(3) 原則として絶縁電線 | ★正しい | ★感電死傷事故の防止 |
| ★(4) 避雷器は機器に接近 | ★正しい | ★引下げ線を短くする |
| ★★(5) 主に事故電流の遮断に使用 | ★★誤り | ★★負荷電流の開閉と区分が役目 |
避雷器を機器に接近させる理由
引下げ線が長いと、そこに電圧が生じます。
雷電流は、ごく短時間に大きく変化します——di/dt が極めて大きいのです。
だから短い電線でも、無視できない電圧が出ます——数千ボルトになることもあるのです。
その分だけ、機器にかかる電圧が高くなります——避雷器の効きが落ちるのです。
だからできるだけ接近させ、線を短くします——(4)は正しい記述です。
配電線に絶縁電線を使う理由
| 裸電線 | 絶縁電線(高圧絶縁電線など) | |
| ★触れたとき | ★★ただちに感電する | ★★被覆があるぶん安全側 |
| ★樹木が触れたとき | ★★地絡する | ★★すぐには地絡しない |
| ★使う場所 | ★★送電線(高い場所) | ★★配電線(人家に近い) |
送電線は鉄塔の上にあり、人が近づけません——だから裸電線でよいのです。
配電線は電柱の上で、街路樹や建物に近い——だから絶縁電線を使うのです。
絶縁電線は重く高価ですが、安全のために使います——(3)は正しい記述です。
ただし完全な絶縁ではありません——触れれば危険なことに変わりはないのです。
⚠️ よくある間違い
(5)を正しいと考える——事故電流を遮断するのは遮断器です。
(2)の鋼板組立柱を知らずに選ぶ——分割搬入できる支持物です。
(3)を裸電線が原則と考える——配電では絶縁電線が原則。
(4)を「離して付ける」と考える——接近させるほど有効です。
気中形・真空形の部分で誤りを探す——そこは正しいです。
⏱️ 本番での進め方
①★区分開閉器は負荷電流の開閉と区分が役目。
②★事故電流の遮断は変電所の遮断器。
③★避雷器は保護対象に接近させる(引下げ線を短く)。
④★配電線は原則として絶縁電線。
💡 覚え方
「開閉器は切り替え、遮断器は事故を切る」——能力が違うのです。避雷器は近づけるほど効く——引下げ線に電圧が出るから。
配電用機材と語句の組合せは平成18年度 A問題9(配電:配電用機材と語句)にあります。
鋼板組立柱という支持物
| 鉄筋コンクリート柱 | 鋼板組立柱 | |
| ★運び方 | ★★1本のまま大型車で運ぶ | ★★分割して人力でも運べる |
| ★組み立て | ★★不要 | ★★現地で継ぎ合わせる |
| ★向いている場所 | ★★道路が整っている場所 | ★★山間部・狭あい場所 |
コンクリート柱は重く、長いままでは運べません——山道に大型車は入らないのです。
鋼板組立柱なら、分割して担いで運べます——現地で組み立てるのです。
だから(2)は正しい記述です。
方向性けい素鋼板とは
| 無方向性 | 方向性 | |
| ★結晶の向き | ★★ばらばら | ★★磁化しやすい向きにそろえる |
| ★鉄損 | ★普通 | ★★小さい |
| ★主な用途 | ★★回転機(向きが変わる) | ★★変圧器(向きが決まっている) |
変圧器の磁束は、鉄心の中を決まった向きに流れます——だから向きをそろえられるのです。
そろえると磁化しやすくなり、鉄損が減ります——(1)は正しい記述です。
開閉器と遮断器の能力の差
| 機器 | 負荷電流 | 事故電流 | 無電流 |
| ★★遮断器 | ★★切れる | ★★切れる | ★切れる |
| ★★開閉器 | ★★切れる | ★★切れない | ★切れる |
| ★★断路器 | ★★切れない | ★★切れない | ★★切れる |
3つの機器は、切れる電流の範囲で区別できます——遮断器が最も強いのです。
区分開閉器は真ん中で、負荷電流までしか切れません——だから(5)は誤りです。
この3段階を表で覚えておくと、似た問題にすべて対応できます。
避雷器の特性要素
| 平常の電圧 | 雷サージ | |
| ★特性要素の抵抗 | ★★極めて高い | ★★急に低くなる |
| ★流れる電流 | ★★ほとんどゼロ | ★★大地へ大電流が流れる |
| ★材料 | ★★酸化亜鉛素子 | ★同じ |
特性要素とは、非線形抵抗をもつ素子のことです——電圧で抵抗が変わるのです。
だから平常時は電流を通さず、雷のときだけ導通します——(4)の「特性要素を内蔵」はそのことです。
配電機材の問題で狙われる点
| 機材 | よく問われる誤り |
| ★区分開閉器 | ★★事故電流を遮断できると書く |
| ★高圧カットアウト | ★★形状を1種類だけと書く |
| ★避雷器 | ★★直列に接続すると書く/離して付けると書く |
| ★電線 | ★★配電線に裸電線が原則と書く |
| ★柱上変圧器 | ★★アモルファスを小型化のためと書く |
誤りの作り方には型があります——能力を過大に書く・逆に書く・限定しすぎる。
この一覧を頭に入れておけば、初見の年度でも当たりが付きます。
配電の機材問題は繰り返し出るので、覚える価値があります。
事故電流を切るのは誰か
| 事故の場所 | 切り離す装置 | どこにあるか |
| ★高圧配電線 | ★★遮断器 | ★★配電用変電所の引出口 |
| ★柱上変圧器の内部 | ★★高圧カットアウト | ★★変圧器の一次側 |
| ★低圧引込線 | ★★ケッチヒューズ | ★★接続点 |
| ★需要家の構内 | ★★需要家の遮断器 | ★★引込口 |
区分開閉器は、この表のどこにも出てきません——切るのが仕事ではないのです。
区分開閉器の仕事は、切れた後に区間を分けること——順番が違うのです。
絶縁電線でも起きる事故
| 事故 | 起きかた | 対策 |
| ★★断線による地絡 | ★★被覆が破れた箇所から地絡する | ★★断線検出装置 |
| ★樹木接触 | ★★長期間触れると被覆が傷む | ★★定期的な樹木の伐採 |
| ★鳥獣の接触 | ★★端子部など被覆のない箇所で短絡 | ★カバーの取り付け |
絶縁電線は安全側に働きますが、万能ではありません——被覆は薄いのです。
むしろ被覆があるために、断線しても地絡せず気づきにくいことがあります——だから検出装置が要るのです。
それでも裸電線より安全なので、原則として使われます。
配電の機材を役割で3つに分ける
| 役割 | 機材 |
| ★支える | ★★鉄筋コンクリート柱・鋼板組立柱・がいし・腕金 |
| ★送る・変える | ★★絶縁電線・ケーブル・柱上変圧器 |
| ★守る・切る | ★★避雷器・高圧カットアウト・区分開閉器 |
本問の5つの選択肢は、この3つの役割にまたがっています——分けて考えると整理しやすいのです。
誤りが仕込まれるのは「守る・切る」の欄が多い——能力の差が分かりにくいから。
だから遮断器・開閉器・断路器の区別を最優先で覚えます。
まとめ
| 誤り | (5) 区分開閉器は事故電流を遮断しない |
| 柱上変圧器 | 方向性けい素鋼板・アモルファス(1) |
| 鋼板組立柱 | 山間部・狭あい場所に使用(2) |
| 電線 | 原則絶縁電線(3) |
| 避雷器 | 機器に接近して設置(4) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
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