配電31【電験3種 電力】ケッチヒューズは低圧引込線の分岐点(電源側)!「需要場所の取付点」は誤り 平成25年度 A問題11 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成25年度 A問題11 ケッチヒューズは分岐点に付ける!取付点は誤り

今回は平成25年度 電力科目 A問題11我が国の配電系統の特徴の誤り選択問題です。配電用変電所の保護・柱上変圧器・6.6kV/22kV/33kV・低圧配電方式・引込線保護と、配電の全体像が問われます。

決め手はケッチヒューズの設置位置。ケッチヒューズ(電線ヒューズ)は、低圧配電線から引込線が分岐する電源側の分岐点に設けます。「需要場所(需要家側)の取付点」に設けるという記述は位置が逆で誤りです。

目次

答えは(5):ケッチヒューズは分岐点(電源側)に設ける

設置する場所が逆に書かれています

選択肢正誤要点
★(1) 過電流継電器と地絡方向継電器★正しい★短絡と地絡の両方を守る
★(2) 高圧カットアウトで波及を防ぐ★正しい★変圧器の一次側
★(3) 6.6 kV と22・33 kV★正しい★需要の多い地域では格上げ
★(4) 単相3線式とV結線三相4線式★正しい★電灯と動力の共用
★★(5) 需要場所の取付点に設ける★★誤り★★引込線が分岐する電源側に設ける

平成25年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成25年度 A問題11 問題文
平成25年度 電力科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11

電験3種 電力科目 【配電】 平成25年度 A問題11

 我が国の配電系統の特徴に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 高圧配電線路の短絡保護と地絡保護のために、配電用変電所には過電流継電器と地絡方向継電器が設けられている。

(2) 柱上変圧器には、過電流保護のために高圧カットアウトが設けられ、柱上変圧器内部及び低圧配電系統内での短絡事故を高圧系統側に波及させないようにしている。

(3) 高圧配電線路では、通常、6.6[kV]の三相3線式を用いている。また、都市周辺などのビル・工場が密集した地域の一部では、電力需要が多いため、さらに電圧階級が上の22[kV]や33[kV]の三相3線式が用いられることもある。

(4) 低圧配電線路では、電灯線には単相3線式を用いている。また、単相3線式の電灯と三相3線式の動力を共用する方式として、V結線三相4線式も用いている。

(5) 低圧引込線には、過電流保護のために低圧引込線の需要場所の取付点にケッチヒューズ(電線ヒューズ)が設けられている。

答え誤っているのは(5)です。

なぜ電源側の分岐点に置くのか

置く場所引込線で短絡したとき結果
★★分岐点(電源側)★★ヒューズが引込線より電源側にある★★溶断して引込線を切り離せる
★需要場所の取付点(負荷側)★★事故点より負荷側にある★★事故電流が通らず溶断しない

保護装置は、守りたい区間より電源側に置きます——これは保護の大原則です。

負荷側に置くと、事故電流がその装置を通りません——だから働かないのです。

ケッチヒューズが守るのは引込線そのものです——だから引込線の手前に置くのです。

そうすれば、事故が低圧幹線へ波及しません——1軒だけの停電で済むのです。

配電系統をひととおり見わたす

電圧・方式保護装置
★配電用変電所★★6.6 kV 三相3線式を送り出す★★過電流継電器・地絡方向継電器+遮断器
★高圧配電線★★6.6 kV(一部22・33 kV)★★区分開閉器で区間を分ける
★柱上変圧器★★100/200 V に落とす★★高圧カットアウト(一次側)
★低圧配電線★★単相3線式・V結線三相4線式★★—
★低圧引込線★★各戸へ引き込む★★ケッチヒューズ(分岐点)

本問の5つの選択肢は、この表を上から順になぞっています——配電系統の全体像です。

どの段にも、その段を守る装置が置かれています——階層的な保護です。

下位ほど守る範囲が狭く、動作も早い——それが保護協調です。

この表を覚えておけば、配電の問題の多くに対応できます

⚠️ よくある間違い
(5)を正しいと考える——分岐点(電源側)に設けます
(1)の地絡方向継電器を疑う——多回線なので方向で判別します。
(3)の22・33 kV を誤りと考える——需要の多い地域で使われます
(4)のV結線三相4線式を疑う——電灯動力共用の標準的な方式です。
ケッチヒューズを地絡保護と考える——短絡保護です。

⏱️ 本番での進め方
①★ケッチヒューズは低圧引込線の分岐点(電源側)。
②★保護装置は守りたい区間より電源側に置く。
③★変電所=OCR+DGR、柱上変圧器=高圧カットアウト。
④★低圧は単相3線式とV結線三相4線式。

💡 覚え方
「守りたいものの手前に置く」——保護装置の位置はこれで決まります負荷側では電流が通らない——だから働かないのです。

配電系統の保護装置は令和3年度 A問題13配電:高低圧配電系統の保護)にあります。

ケッチヒューズという名前と役目

項目内容
★別名★★電線ヒューズ
★位置★★低圧配電線から引込線が分岐する点
★守る事故★★引込線の短絡
★守る範囲★★その引込線につながる需要家だけ

引込線は細く、樹木や強風で切れやすい部分です——だから専用の保護が要るのです。

そこで短絡しても、低圧幹線までは波及しません——ヒューズが先に溶けるから。

これも保護協調の考え方です——下位が先に動くのです。

配電用変電所に2種類の継電器を置く理由

継電器守る事故検出するもの
★★過電流継電器(OCR)★★短絡・過負荷★★線電流の大きさ
★★地絡方向継電器(DGR)★★一線地絡★★零相電流と零相電圧の位相

短絡は電流が大きいので、大きさで分かります——過電流継電器で足りるのです。

地絡は電流が小さく、負荷電流に埋もれます——だから別の継電器が要るのです。

2種類そろって、初めて配電線を守れます——記述(1)は正しいのです。

保護装置を置く位置の原則

原則内容本問での例
★★守る区間より電源側に置く★★事故電流がその装置を通る必要がある★★ケッチヒューズは分岐点
★★下位ほど早く動作させる★★停電範囲を最小にする★★高圧カットアウトが遮断器より先
★事故の種類に合った装置を選ぶ★★短絡と地絡では検出量が違う★★OCRとDGRを併設

この3つの原則で、配電の保護はすべて説明できます——個別に暗記しなくてよいのです。

記述(5)は1つ目の原則に反しています——だから誤りだと分かります。

位置を問う問題では、まずこの原則を思い出しましょう

22・33 kV 配電が使われる地域

地域電圧理由
★一般の市街地★★6.6 kV★★距離が短く需要も適度
★★ビル・工場が密集した地域★★22・33 kV★★電力需要が極めて多い
★★長距離配電が要る地域★★22・33 kV★★6.6 kV では電圧が保てない

6.6 kV が全国の標準ですが、例外もあります——それが記述(3)の後半です。

需要が多い地域では、格上げのほうが経済的になります——損失が25分の1になるから。

波及事故を防ぐという共通の考え方

装置波及を防ぐ範囲
★高圧カットアウト★★柱上変圧器の事故が高圧系統へ及ぶのを防ぐ
★ケッチヒューズ★★引込線の事故が低圧幹線へ及ぶのを防ぐ
★需要家の遮断器★★構内の事故が配電線へ及ぶのを防ぐ

どれも「自分のところで止める」という考え方です——上位に迷惑をかけないのです。

記述(2)はまさにその説明になっています——「高圧系統側に波及させない」

ケッチヒューズも同じ役目を、もう1段下で果たします——だから電源側に置くのです。

この考え方が配電系統の保護を貫いています

我が国の配電系統の特徴をまとめる

項目日本での標準
★高圧配電の電圧★★6.6 kV 三相3線式(一部22・33 kV)
★高圧の中性点★★非接地
★系統の形★★放射状(樹枝状)
★低圧の電灯★★単相3線式 100/200 V
★電灯動力の共用★★V結線三相4線式

この5点が、日本の配電系統の骨格です——どの年度でも前提になるのです。

本問はその骨格を1問で確かめる作りになっています——だから「特徴に関する記述」なのです。

骨格を押さえておけば、細かい年度差にも対応できます

配電系統の問題で見るべきところ

確認点問われ方
★装置の位置★★電源側か負荷側か・一次側か二次側か
★装置の役目★★短絡か地絡か・遮断できるか
★方式の名称★★単相3線式かV結線三相4線式か

誤りはこの3点のどれかに仕込まれます——本問は位置でした。

読むときにこの3点を意識すると、見落としが減ります

まとめ

誤り(5) ケッチヒューズは分岐点(電源側)
変電所過電流継電器+地絡方向継電器(1)
柱上変圧器高圧カットアウトで波及防止(2)
高圧配電6.6kV・22/33kV三相3線式(3)
低圧配電単相3線式・V結線三相4線式(4)
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・高低圧配電系統の保護(配電16):【電力】令和3年度 A問題13
・配電線路の電気方式(配電19):【電力】令和元年度 A問題12

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