今回は平成19年度 電力科目 A問題12、百分率インピーダンス(%Z)から配電系統の三相短絡電流を求める計算問題です。故障点までにある%Zだけを合成するのがポイントです。
カギは故障点F点までにある%Zだけを足すこと。上位系統(0.5%)+変圧器(7.5%)=8.0%。配電系統(F〜L間10%)はF点より負荷側なのでF点短絡には含めません。短絡電流=基準電流÷(%Z/100)。
平成19年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成19年度 A問題12
基準容量10000[kV·A]の系統において、変圧器(容量10000[kV·A]、変圧比66[kV]/6.6[kV]、百分率リアクタンス7.5%)を介して6.6[kV]の配電系統に電力を供給している。上位系統側の百分率インピーダンスは0.5%、配電系統(F点〜L点間)の百分率インピーダンスは10%(いずれも10000[kV·A]基準)である。変圧器二次側のF点で三相短絡事故が発生したときの三相短絡電流[kA]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1) 4.9 (2) 8.7 (3) 10.9 (4) 11.7 (5) 12.5

答えは(3):約 10.9 kA
故障点までにある%インピーダンスだけを足します。
| 区間 | %インピーダンス | F点短絡に効くか |
| ★上位系統 | ★★0.5% | ★★効く(電源側) |
| ★変圧器 | ★★7.5% | ★★効く(電源側) |
| ★★配電系統(F〜L間) | ★★10% | ★★効かない(負荷側) |
| ★合成 | ★★8.0% | ★★0.5+7.5 |
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★答え
すべて同じ10000 kV・A 基準なので、そのまま足せます——換算が要らないのです。
基準電流は6.6 kV 側で計算します——F点が二次側だからです。
故障点より負荷側を含めない理由
| 段階 | 考えること |
| ① | ★短絡電流は電源からF点へ流れ込む |
| ★② | ★★その経路にあるインピーダンスだけが電流を制限する |
| ★③ | ★★F点より先(F〜L間)は経路に入らない |
| ★④ | ★★だから10%は合成に含めない |
短絡点は、そこで電線どうしがつながった状態です——その先へは電流が行きません。
電流はいちばん抵抗の低い道を通ります——短絡点がまさにそれです。
だから負荷側の10%は無関係になります——そこが本問の引っかけです。
「どこが短絡したか」を必ず確かめましょう——合成する範囲が変わるのです。
もしL点で短絡したらどうなるか
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★
| 短絡点 | 合成%Z | 短絡電流 |
| ★★F点(変圧器二次側) | ★★8.0% | ★★10.9 kA |
| ★★L点(配電線の末端) | ★★18.0% | ★★4.9 kA |
電源から遠いほど、短絡電流は小さくなります——途中の%Zが積み重なるから。
選択肢の(1)4.9はまさにこの値です——L点と取り違えると選んでしまうのです。
だから遮断器の定格は、設置場所ごとに違います——上流ほど大きな能力が要るのです。
この対比を知っていれば、誤答を避けられます。
⚠️ よくある間違い
配電系統の10%を含める——F点より負荷側なので無関係です。
基準電流を66 kV で計算する——F点は6.6 kV 側です。
%Z を小数に直し忘れる——100/8.0=12.5倍です。
基準容量の換算をしようとする——すべて10000 kV・A 基準です。
kA と A を取り違える——10935 A=10.9 kAです。
⏱️ 本番での進め方
①★短絡電流=基準電流×100/%Z。
②★基準電流=Pn/(√3V)。V は故障点側の電圧。
③★%Z は故障点までにあるものだけを合成する。
④★同一基準ならそのまま足せる。
💡 覚え方
「故障点までを足す」——その先は関係ありません。電源に近いほど短絡電流は大きい——%Zが小さいからです。
%インピーダンスと短絡電流は平成21年度 B問題16(送電の計算:%Zと三相短絡電流)にもあります。
%インピーダンスを使う利点
| オーム法 | パーセント法 | |
| ★変圧器をまたぐとき | ★★巻数比の2乗で換算が要る | ★★そのまま使える |
| ★本問での手間 | ★★66 kV 側と6.6 kV 側で別々に | ★★足すだけ |
| ★短絡電流 | ★★E/Z で求める | ★★基準電流×100/%Z |
本問には66 kV と6.6 kV の2つの電圧があります——オーム法なら換算が要るのです。
%インピーダンスなら、その換算が不要です——だから0.5と7.5をそのまま足せるのです。
これが系統計算でパーセント法が使われる理由です。
基準電流という考え方
基準容量10000 kV・A を6.6 kV で流すと874.8 A です——それが基準になるのです。
%Z が100%なら、短絡電流は基準電流と同じになります——100/100=1倍だから。
本問は8%なので12.5倍です——%Z が小さいほど短絡電流は大きいのです。
短絡電流から何を決めるのか
| 決めるもの | 短絡電流との関係 |
| ★★遮断器の定格遮断電流 | ★★この電流を切れる能力が要る |
| ★母線・断路器の強度 | ★★短時間耐電流と電磁力に耐える構造 |
| ★保護継電器の整定 | ★★どこから動作させるかを決める |
| ★変流器の選定 | ★★過電流強度・飽和しないか |
短絡電流が分からなければ、遮断器を選べません——切れない遮断器は意味がないのです。
10.9 kA なら、余裕をみて12.5 kA 級を選びます——規格の階段から選ぶのです。
だから%インピーダンス計算は、設計の出発点になります。
変圧器の%リアクタンスが大きい意味
| %リアクタンス | 短絡電流 | 電圧変動 |
| ★小さい(4%など) | ★★大きい | ★★小さい(電圧が安定) |
| ★★大きい(7.5%など) | ★★小さい | ★★大きい |
%リアクタンスは、短絡電流を抑える働きをします——大きいほど電流が小さいのです。
けれども大きすぎると、負荷による電圧変動が増えます——両立しないのです。
だからほどよい値に設計されます——配電用変圧器で7.5%前後です。
%インピーダンスの意味をもう一度
8%とは、基準容量を流すと8%電圧が下がるという意味です——だから短絡すると12.5倍流れるのです。
100÷8=12.5 という関係が、そのまま短絡電流の倍率になります——覚えやすい形です。
%Zが小さいほど強い系統、大きいほど弱い系統といえます。
まとめ
| F点までの%Z | 0.5+7.5=8.0% |
| 配電系統10% | F点より負荷側→除外 |
| 基準電流 | 10e6/(√3·6600)=874.8A |
| 短絡電流 | 874.8/0.08=10.9kA |
| 答え | (3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・%Zと三相短絡電流(配電計算1):【電力】令和7年度下期 A問題12
・%Zと三相短絡電流(配電計算18):【電力】令和2年度 A問題8

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