配電計算42【電験3種 電力】F点までの%Zは上位系統+変圧器=8%→三相短絡電流10.9kA!平成19年度 A問題12 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成19年度 A問題12 F点までの%Zは8%!短絡電流は10.9kA

今回は平成19年度 電力科目 A問題12百分率インピーダンス(%Z)から配電系統の三相短絡電流を求める計算問題です。故障点までにある%Zだけを合成するのがポイントです。

カギは故障点F点までにある%Zだけを足すこと。上位系統(0.5%)+変圧器(7.5%)=8.0%。配電系統(F〜L間10%)はF点より負荷側なのでF点短絡には含めません。短絡電流=基準電流÷(%Z/100)。

目次

平成19年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成19年度 A問題12 問題文
平成19年度 電力科目 A問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成19年度 A問題12

 基準容量10000[kV·A]の系統において、変圧器(容量10000[kV·A]、変圧比66[kV]/6.6[kV]、百分率リアクタンス7.5%)を介して6.6[kV]の配電系統に電力を供給している。上位系統側の百分率インピーダンスは0.5%、配電系統(F点〜L点間)の百分率インピーダンスは10%(いずれも10000[kV·A]基準)である。変圧器二次側のF点で三相短絡事故が発生したときの三相短絡電流[kA]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 4.9 (2) 8.7 (3) 10.9 (4) 11.7 (5) 12.5

答えF点の三相短絡電流は約 10.9 kAです。

答えは(3):約 10.9 kA

故障点までにある%インピーダンスだけを足します

区間%インピーダンスF点短絡に効くか
★上位系統★★0.5%★★効く(電源側)
★変圧器★★7.5%★★効く(電源側)
★★配電系統(F〜L間)★★10%★★効かない(負荷側)
★合成★★8.0%★★0.5+7.5
\( I_n=\dfrac{P_n}{\sqrt{3}\,V}=\dfrac{10000\times 10^3}{\sqrt{3}\times 6600} \)
基準容量での定格電流
\( =\dfrac{10\times 10^6}{11431}\fallingdotseq 874.8\ \mathrm{A} \)
計算する
\( I_s=I_n\times\dfrac{100}{\%Z}=874.8\times\dfrac{100}{8.0} \)
短絡電流の式
\( =874.8\times 12.5\fallingdotseq 10935\ \mathrm{A} \)
整理して
\( \fallingdotseq 10.9\ \mathrm{kA} \)
kA に直す
★答え

すべて同じ10000 kV・A 基準なので、そのまま足せます——換算が要らないのです。

基準電流は6.6 kV 側で計算します——F点が二次側だからです。

故障点より負荷側を含めない理由

段階考えること
★短絡電流は電源からF点へ流れ込む
★②★★その経路にあるインピーダンスだけが電流を制限する
★③★★F点より先(F〜L間)は経路に入らない
★④★★だから10%は合成に含めない

短絡点は、そこで電線どうしがつながった状態です——その先へは電流が行きません

電流はいちばん抵抗の低い道を通ります——短絡点がまさにそれです。

だから負荷側の10%は無関係になります——そこが本問の引っかけです。

「どこが短絡したか」を必ず確かめましょう——合成する範囲が変わるのです。

もしL点で短絡したらどうなるか

\( \%Z=0.5+7.5+10=18.0\ \% \)
L点までなら配電系統も含む
\( I_s=874.8\times\dfrac{100}{18.0} \)
同じ式に入れる
\( \fallingdotseq 4860\ \mathrm{A}=4.9\ \mathrm{kA} \)
計算する
短絡点合成%Z短絡電流
★★F点(変圧器二次側)★★8.0%★★10.9 kA
★★L点(配電線の末端)★★18.0%★★4.9 kA

電源から遠いほど、短絡電流は小さくなります——途中の%Zが積み重なるから。

選択肢の(1)4.9はまさにこの値です——L点と取り違えると選んでしまうのです。

だから遮断器の定格は、設置場所ごとに違います——上流ほど大きな能力が要るのです。

この対比を知っていれば、誤答を避けられます

⚠️ よくある間違い
配電系統の10%を含める——F点より負荷側なので無関係です。
基準電流を66 kV で計算する——F点は6.6 kV 側です。
%Z を小数に直し忘れる——100/8.0=12.5倍です。
基準容量の換算をしようとする——すべて10000 kV・A 基準です。
kA と A を取り違える——10935 A=10.9 kAです。

⏱️ 本番での進め方
①★短絡電流=基準電流×100/%Z。
②★基準電流=Pn/(√3V)。V は故障点側の電圧。
③★%Z は故障点までにあるものだけを合成する。
④★同一基準ならそのまま足せる。

💡 覚え方
「故障点までを足す」——その先は関係ありません電源に近いほど短絡電流は大きい——%Zが小さいからです。

%インピーダンスと短絡電流は平成21年度 B問題16送電の計算:%Zと三相短絡電流)にもあります。

%インピーダンスを使う利点

オーム法パーセント法
★変圧器をまたぐとき★★巻数比の2乗で換算が要る★★そのまま使える
★本問での手間★★66 kV 側と6.6 kV 側で別々に★★足すだけ
★短絡電流★★E/Z で求める★★基準電流×100/%Z

本問には66 kV と6.6 kV の2つの電圧があります——オーム法なら換算が要るのです。

%インピーダンスなら、その換算が不要です——だから0.5と7.5をそのまま足せるのです。

これが系統計算でパーセント法が使われる理由です

基準電流という考え方

基準電流
\( I_n=\dfrac{P_n}{\sqrt{3}\,V} \)

基準容量をその電圧で流したときの電流

基準容量10000 kV・A を6.6 kV で流すと874.8 A です——それが基準になるのです。

%Z が100%なら、短絡電流は基準電流と同じになります——100/100=1倍だから。

本問は8%なので12.5倍です——%Z が小さいほど短絡電流は大きいのです。

短絡電流から何を決めるのか

決めるもの短絡電流との関係
★★遮断器の定格遮断電流★★この電流を切れる能力が要る
★母線・断路器の強度★★短時間耐電流と電磁力に耐える構造
★保護継電器の整定★★どこから動作させるかを決める
★変流器の選定★★過電流強度・飽和しないか

短絡電流が分からなければ、遮断器を選べません——切れない遮断器は意味がないのです。

10.9 kA なら、余裕をみて12.5 kA 級を選びます——規格の階段から選ぶのです。

だから%インピーダンス計算は、設計の出発点になります

変圧器の%リアクタンスが大きい意味

%リアクタンス短絡電流電圧変動
★小さい(4%など)★★大きい★★小さい(電圧が安定)
★★大きい(7.5%など)★★小さい★★大きい

%リアクタンスは、短絡電流を抑える働きをします——大きいほど電流が小さいのです。

けれども大きすぎると、負荷による電圧変動が増えます——両立しないのです。

だからほどよい値に設計されます——配電用変圧器で7.5%前後です。

%インピーダンスの意味をもう一度

%インピーダンスの定義
\( \%Z=\dfrac{\text{定格電流時の電圧降下}}{\text{定格電圧}}\times 100 \)

基準容量を流したときに何%電圧が下がるか

8%とは、基準容量を流すと8%電圧が下がるという意味です——だから短絡すると12.5倍流れるのです。

100÷8=12.5 という関係が、そのまま短絡電流の倍率になります——覚えやすい形です。

%Zが小さいほど強い系統、大きいほど弱い系統といえます

まとめ

F点までの%Z0.5+7.5=8.0%
配電系統10%F点より負荷側→除外
基準電流10e6/(√3·6600)=874.8A
短絡電流874.8/0.08=10.9kA
答え(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・%Zと三相短絡電流(配電計算1):【電力】令和7年度下期 A問題12
・%Zと三相短絡電流(配電計算18):【電力】令和2年度 A問題8

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