送電の計算30【電力】%Zを50MVA基準に統一→合成12%!三相短絡電流3645A 平成21年度 B問題16 完全解説

電験3種 電力科目 送電の計算 平成21年度 B問題16 50MVA基準にそろえて合成12%!短絡電流は?

今回は平成21年度 電力科目 B問題16、基準容量の異なる%インピーダンスを共通基準に統一して合成し、三相短絡電流を求めるB問題です。2電源・並列2回線という少し複雑な回路を、直列・並列の合成で解きほぐします。

ポイントは2つ:①各%Zを50000kV・A基準に換算(%Z×新基準/元基準)。②A点(遮断器)から見て、2電源への経路が最終的に並列になる回路を整理する。合成%Zが出れば短絡電流は定石どおり。

目次

(a) の答えは(2):12 %

まず基準容量をそろえ、次に回路を合成します

段階行うこと注意
★①★条件を整理する(何が既知で何が未知か)★但し書きに意味がある
★②★(a)を解く★★基本の量を求めることが多い
★③★(a)の答えを控える★★(b)で使うことが多い
★④★(b)を解く★(a)を材料に一段深い量へ
基準容量の換算
\( \%Z’=\%Z\times\dfrac{P_n’}{P_n} \)

新しい基準容量に比例する

基準がばらばらのままでは、足すことも並列にすることもできません——だから最初にそろえます

50000 kV・A にそろえるので、各%Z に50000÷元の基準容量を掛けます

そのあとは、ふつうの回路計算と同じです——直列は足し、並列は積÷和

A点から2つの電源へ向かう経路が、最終的に並列になります——そこを見抜くのが要点です。

平成21年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 送電の計算 平成21年度 B問題16 問題文
平成21年度 電力科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16

電験3種 電力科目 【送電の計算】 平成21年度 B問題16

 図のような交流三相3線式の系統がある。各系統の基準容量と基準容量をベースにした百分率インピーダンスが図に示された値であるとき、次の(a)及び(b)に答えよ。

(a) 系統全体の基準容量を50000〔kV・A〕に統一した場合、遮断器の設置場所からみた合成百分率インピーダンス〔%〕の値として、正しいのは次のうちどれか。

(1)4.8 (2)12 (3)22 (4)30 (5)48 %

(b) 遮断器の投入後、A点で三相短絡事故が発生した。三相短絡電流〔A〕の値として、最も近いのは次のうちどれか。ただし、線間電圧は66〔kV〕とし、遮断器からA点までのインピーダンスは無視するものとする。

(1)842 (2)911 (3)1458 (4)2104 (5)3645 A

平成21年度 B問題16 2電源・並列2回線の系統図
平成21年度 B問題16 2電源・並列2回線の系統図
平成21年度 B問題16 2電源・並列2回線の系統図
平成21年度 B問題16 2電源・並列2回線の系統図
答え(a) 合成%インピーダンスは 12 %です。

(b) の答えは(5):3645 A

三相短絡電流
\( I_s=\dfrac{P_n}{\sqrt{3}\,V}\times\dfrac{100}{\%Z} \)

基準容量での定格電流に100/%Z を掛ける

\( I_n=\dfrac{50000\times 10^3}{\sqrt{3}\times 66\times 10^3} \)
50000 kV・A・66 kV での定格電流
\( \fallingdotseq\ 437\ \mathrm{A} \)
計算する
\( I_s=437\times\dfrac{100}{12} \)
短絡電流の式
\( =437\times 8.33\fallingdotseq 3645\ \mathrm{A} \)
整理して
★答え

%Z が12なら、定格電流の8.33倍になります——100÷12=8.33です。

(a)の答えをそのまま使えます——基準容量も同じ50000 kV・A

電圧は66 kV を使います——問題文で指定されているのです。

答え(b) 三相短絡電流は約 3645 Aです。

複雑な回路を解きほぐす順序

段階行うことねらい
★①★★すべての%Z を共通基準に換算する★★足せる状態にする
★②★事故点から見た回路を描き直す★どこが直列でどこが並列か
★③★奥から順に合成する★1つずつまとめる
★④★合成%Z から短絡電流を出す★定石どおり

換算を先にやってしまうのが、混乱を避けるこつです——あとは数字だけの計算になります。

事故点から電源へ向かう経路を描き直します——元の図のままだと分かりにくいから。

2つの電源があれば、最終的に並列になります——どちらからも電流が流れ込むのです。

だから合成%Z は、それぞれの経路より小さくなります——短絡電流は大きくなることになります。

⚠️ よくある間違い
基準容量をそろえずに合成する——%の意味が変わってしまいます
換算の比を逆にする——新基準÷元の基準を掛けます
直列と並列を取り違える——事故点から電源への経路で判断します。
(b)で電圧を取り違える——問題文の66 kVです。
2電源なら並列になる——両方から電流が流れ込むから。

⏱️ 本番での進め方
①★まず全部を共通基準に換算する。
②★事故点から見た回路を描き直す。
③★直列は足す、並列は積÷和。
④★Is=Pn/(√3V)×100/%Z。

💡 覚え方
「換算→整理→合成→電流」——この4段階で必ず解けます2電源なら並列——だから短絡電流が大きくなるのです。

%インピーダンスの基準換算と短絡電流は平成25年度 B問題17送電の計算:%Zと短絡電流)にもあります。

短絡電流を求める意味

設備を選ぶために必要な数値です

用途短絡電流から決まるもの
★遮断器★★定格遮断電流(この電流を切れるか)
★断路器・母線★★短時間耐電流・電磁力に耐える構造
★保護リレー★整定値(どこから動作させるか)
★変流器★過電流強度・飽和しないか

短絡電流が分からなければ、遮断器を選べません——切れない遮断器は意味がないのです。

本問の3645 A なら、余裕をみて上位の定格を選びます——規格の階段から選ぶのです。

また母線には大きな電磁力が働きます——電流の2乗に比例するから。

だから%インピーダンス計算は、設計の出発点になります——実務でまず行う計算です。

パーセント法とオーム法の使い分け

変圧器をまたぐかどうかで、手間が変わります

オーム法パーセント法
★変圧器をまたぐとき★★巻数比の2乗でΩを換算する★★そのまま使える
★基準★電圧ごとに考える★★基準容量を1つ決めるだけ
★短絡電流★E/Z で求める★★定格電流×100/%Z
★向いている場面★単一電圧の小さな回路★★複数電圧をもつ系統

オーム法では、変圧器を越えるたびに換算が要ります——巻数比の2乗を掛けるのです。

系統に変圧器がいくつもあると、たいへんな手間になります——間違いも起きやすい

パーセント法なら、その換算が要りません——%の値は電圧が変わっても同じだから。

そのかわり、基準容量だけはそろえる必要があります——本問の50000 kV・Aです。

だから実際の系統計算では、ほぼパーセント法を使います——試験でもそれが前提になっています。

計算の見直しに使える目安

桁を間違えていないかを確かめられます

合成%Z短絡電流/定格電流本問の66 kV・50 MV・A では
★5%★20倍★約8700 A
★★12%★★8.3倍★★約3645 A
★25%★4倍★約1750 A

%Z が小さいほど、短絡電流は大きくなります——反比例の関係です。

定格電流の何倍かで見ると、桁の誤りに気づきやすい——ふつうは数倍から数十倍です。

100倍を超えたら、どこかで間違えています——%Zの換算を見直しましょう

事故点によって短絡電流が変わる

電源に近いほど、大きな電流が流れます

事故点合成%Z短絡電流
★電源のすぐ近く★★小さい★★大きい
★線路の中間★中くらい★中くらい
★需要家の末端★★大きい★★小さい

事故点までのインピーダンスが電流を決めます——遠いほど途中の%Zが積み重なるのです。

だから遮断器の定格は、設置場所ごとに違います——上位ほど大きな遮断能力が要る

本問のA点は、2つの電源から見た合成で決まります——どちらからも電流が流れ込むからです。

まとめ

基準統一左12%・上30%・下20%・右24%(50MVA)
上下並列30×20/(30+20)=12%
左経路12%+12%=24%
(a)合成24×24/(24+24)=12%
(b)Is=417M/(√3×66k)=3645A
答え(a)-(2),(b)-(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・%Zの基準換算と短絡電流(送電の計算24):【電力】平成25年度 B問題17
・%Zと遮断電流・負荷分担(変電41):【電力】平成22年度 B問題16

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次