今回は平成20年度 電力科目 B問題17、抵抗率から電線抵抗を求めて電圧降下と、電圧降下を制限するための最小断面積を求める計算問題です。
カギは電線抵抗 R=ρ·L/A(ρ=抵抗率、L=長さ、A=断面積)。力率1・リアクタンス無視なので、三相電圧降下 v=√3·I·R で計算します。(b)は電圧降下の制限から必要な断面積を逆算し、標準値を選びます。
(a) の答えは(2):約 6128 V
抵抗率から電線抵抗を求めるところから始めます。
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★答え
抵抗率の単位が Ω・mm²/m なので、そのまま代入できます——長さは m、断面積は mm²です。
力率1なので、電圧降下の式が √3IR と簡単になります——cosθ=1、sinθ=0だから。
平成20年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成20年度 B問題17
三相3線式配電線路がある。電線の抵抗率を1/55[Ω·mm²/m]、線路のこう長を4500[m]、A点の線間電圧を6600[V]、負荷電流を200[A](力率100%)とし、線路リアクタンスは無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
(a) 電線の断面積を60[mm²]とするとき、B点における線間電圧[V]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)6055 (2)6128 (3)6205 (4)6297 (5)6327 V
(b) 電圧降下を300[V]以内にするための電線の最小断面積[mm²]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)60 (2)80 (3)100 (4)120 (5)150 mm²

(b) の答えは(3):100 mm²
電圧降下の条件から、必要な抵抗を逆算します。
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★答え
94.5 mm² 以上あればよいので、80 mm² では足りません——次の100 mm² を選ぶのです。
断面積が大きいほど抵抗が小さく、電圧降下も小さくなります——反比例の関係です。
ここでも計算値そのものではなく、標準値を選びます——遮断器の選定と同じ考え方です。
抵抗率という量
| 材料 | 抵抗率(Ω・mm²/m) | 導電率(%) |
| ★軟銅 | ★★1/58=0.0172 | ★★100(標準) |
| ★★硬銅 | ★★1/55=0.0182 | ★★約97 |
| ★アルミ | ★★1/35=0.0286 | ★★約61 |
本問の1/55は硬銅にあたります——架空配電線に使う材料です。
軟銅を100とした割合が導電率です——硬銅は97%ほど。
アルミは銅より抵抗率が大きいので、同じ抵抗なら太くします——そのかわり軽いのです。
抵抗率の逆数(55や58)で覚えると計算が楽です。
⚠️ よくある間違い
単位を換算しようとする——Ω・mm²/m はそのまま使えます。
電圧降下に√3を入れ忘れる——三相・線間電圧です。
(b)で94.5をそのまま答える——標準値100を選びます。
断面積と抵抗を比例と考える——反比例です。
リアクタンスを考えに入れる——無視すると書かれています。
⏱️ 本番での進め方
①★R=ρL/A。単位がそろっていればそのまま代入。
②★力率1・X無視なら v=√3IR。
③★断面積は R≦v/(√3I) から逆算する。
④★計算値以上の標準断面積を選ぶ。
💡 覚え方
「ロー・エル・わる・エー」——R=ρL/Aです。断面積は逆算してから標準値へ——94.5なら100です。
電圧降下率から負荷電力を求める問題は平成26年度 A問題7(配電の計算:電圧降下率と最大負荷電力)にあります。
力率1という条件が効いている
| 一般の場合 | 本問(力率1・X無視) | |
| ★電圧降下 | ★★√3I(Rcosθ+Xsinθ) | ★★√3IR |
| ★必要な量 | ★★R・X・cosθ・sinθ | ★★R だけ |
力率1なので cosθ=1、sinθ=0 になります——X の項が消えるのです。
しかも問題文でリアクタンスを無視するとあります——二重に簡単になっているのです。
だから抵抗だけを考えればよい問題になります。
こう長4500 m という長さ
| 項目 | 本問の値 | 意味 |
| ★こう長 | ★★4500 m=4.5 km | ★★配電線としては長め |
| ★電圧降下 | ★★472 V | ★★7.2 % |
| ★(b)の制限 | ★★300 V 以内 | ★★4.5 % |
60 mm² のままでは7.2%も下がってしまいます——許容範囲を超えるのです。
だから100 mm² に太くして4.5%に抑えます——それが(b)の意味です。
長い配電線ほど太い電線が要る、という設計の実際です。
標準断面積という決まり
| 標準断面積 | mm² |
| ★小さいほう | ★★14・22・38・60 |
| ★★中くらい | ★★80・100・150 |
| ★大きいほう | ★★200・250・325 |
電線は決まった太さでしか作られていません——94.5 mm² という製品はないのです。
だから計算値以上で最も近い標準値を選びます——100 mm²です。
遮断器の定格遮断電流と同じ考え方です。
断面積を変えると何が変わるか
| 断面積 | 抵抗 | 電圧降下 |
| ★60 mm² | ★★1.364 Ω | ★★472 V |
| ★★100 mm² | ★★0.818 Ω | ★★283 V |
| ★150 mm² | ★★0.545 Ω | ★★189 V |
断面積を大きくすると、抵抗も電圧降下も反比例して小さくなります。
100 mm² なら283 V で、300 V の制限に収まります——(b)の答えの確かめになります。
抵抗率と導電率の関係
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正確には軟銅の抵抗率1/58を基準に比べます——本問の1/55は硬銅より少し良い値です。
問題では計算しやすい数値が使われます——55や58は覚えておくと便利です。
逆数で覚えると、割り算が掛け算になって楽です。
(a)と(b)のつながり
| (a) | (b) | |
| ★与えられるもの | ★★断面積60 mm² | ★★電圧降下300 V以内 |
| ★求めるもの | ★★B点電圧 | ★★最小断面積 |
| ★向き | ★★順方向 | ★★逆方向 |
(a)は順方向、(b)は逆方向の計算です——使う式は同じです。
(a)で472 V も下がることが分かるので、(b)で太くする必要性が見えます——つながっているのです。
B問題は2問で1つの設計の流れになっていることが多いのです。
まとめ
| (a)抵抗 | (1/55)·4500/60=1.364Ω |
| (a)電圧降下 | √3·200·1.364=472V |
| (a)VB | 6600−472=6128V |
| (b)許容抵抗 | 300/(√3·200)=0.866Ω |
| (b)最小断面積 | (1/55)·4500/0.866=94.5→100mm² |
| 答え | (a)-(2),(b)-(3) |
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