配電計算41【電験3種 電力】抵抗率から電圧降下!VB=6128V・最小断面積100mm² 平成20年度 B問題17 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成20年度 B問題17 電圧を保つのに必要な太さ!最小100mm²

今回は平成20年度 電力科目 B問題17、抵抗率から電線抵抗を求めて電圧降下と、電圧降下を制限するための最小断面積を求める計算問題です。

カギは電線抵抗 R=ρ·L/A(ρ=抵抗率、L=長さ、A=断面積)。力率1・リアクタンス無視なので、三相電圧降下 v=√3·I·R で計算します。(b)は電圧降下の制限から必要な断面積を逆算し、標準値を選びます。

目次

(a) の答えは(2):約 6128 V

抵抗率から電線抵抗を求めるところから始めます

電線の抵抗
\( R=\rho\dfrac{L}{A} \)

ρ:抵抗率 L:長さ A:断面積

\( R=\dfrac{1}{55}\times\dfrac{4500}{60} \)
数値を入れる
\( =\dfrac{4500}{3300}\fallingdotseq 1.364\ \Omega \)
計算する
\( v=\sqrt{3}\,IR=\sqrt{3}\times 200\times 1.364 \)
力率1・X無視なので
\( \fallingdotseq 472\ \mathrm{V} \)
電圧降下
\( V_B=6600-472\fallingdotseq 6128\ \mathrm{V} \)
A点から引く
★答え

抵抗率の単位が Ω・mm²/m なので、そのまま代入できます——長さは m、断面積は mm²です。

力率1なので、電圧降下の式が √3IR と簡単になります——cosθ=1、sinθ=0だから。

平成20年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成20年度 B問題17 問題文
平成20年度 電力科目 B問題17 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成20年度 B問題17

 三相3線式配電線路がある。電線の抵抗率を1/55[Ω·mm²/m]、線路のこう長を4500[m]、A点の線間電圧を6600[V]、負荷電流を200[A](力率100%)とし、線路リアクタンスは無視するものとして、次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 電線の断面積を60[mm²]とするとき、B点における線間電圧[V]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)6055 (2)6128 (3)6205 (4)6297 (5)6327 V

(b) 電圧降下を300[V]以内にするための電線の最小断面積[mm²]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)60 (2)80 (3)100 (4)120 (5)150 mm²

答え(a) B点の線間電圧は約 6128 Vです。

(b) の答えは(3):100 mm²

電圧降下の条件から、必要な抵抗を逆算します

\( R\le\dfrac{v}{\sqrt{3}I}=\dfrac{300}{\sqrt{3}\times 200} \)
許容できる抵抗
\( =\dfrac{300}{346.4}\fallingdotseq 0.866\ \Omega \)
計算する
\( A\ge\rho\dfrac{L}{R}=\dfrac{1}{55}\times\dfrac{4500}{0.866} \)
断面積について解く
\( =\dfrac{81.82}{0.866}\fallingdotseq 94.5\ \mathrm{mm^2} \)
計算する
\( 94.5\ \rightarrow\ 100\ \mathrm{mm^2} \)
これ以上の標準値を選ぶ
★答え

94.5 mm² 以上あればよいので、80 mm² では足りません——次の100 mm² を選ぶのです。

断面積が大きいほど抵抗が小さく、電圧降下も小さくなります——反比例の関係です。

ここでも計算値そのものではなく、標準値を選びます——遮断器の選定と同じ考え方です。

答え(b) 必要な最小断面積は 100 mm²です。

抵抗率という量

材料抵抗率(Ω・mm²/m)導電率(%)
★軟銅★★1/58=0.0172★★100(標準)
★★硬銅★★1/55=0.0182★★約97
★アルミ★★1/35=0.0286★★約61

本問の1/55は硬銅にあたります——架空配電線に使う材料です。

軟銅を100とした割合が導電率です——硬銅は97%ほど。

アルミは銅より抵抗率が大きいので、同じ抵抗なら太くします——そのかわり軽いのです。

抵抗率の逆数(55や58)で覚えると計算が楽です

⚠️ よくある間違い
単位を換算しようとする——Ω・mm²/m はそのまま使えます
電圧降下に√3を入れ忘れる——三相・線間電圧です。
(b)で94.5をそのまま答える——標準値100を選びます
断面積と抵抗を比例と考える——反比例です。
リアクタンスを考えに入れる——無視すると書かれています

⏱️ 本番での進め方
①★R=ρL/A。単位がそろっていればそのまま代入。
②★力率1・X無視なら v=√3IR。
③★断面積は R≦v/(√3I) から逆算する。
④★計算値以上の標準断面積を選ぶ。

💡 覚え方
「ロー・エル・わる・エー」——R=ρL/Aです。断面積は逆算してから標準値へ——94.5なら100です。

電圧降下率から負荷電力を求める問題は平成26年度 A問題7配電の計算:電圧降下率と最大負荷電力)にあります。

力率1という条件が効いている

一般の場合本問(力率1・X無視)
★電圧降下★★√3I(Rcosθ+Xsinθ)★★√3IR
★必要な量★★R・X・cosθ・sinθ★★R だけ

力率1なので cosθ=1、sinθ=0 になります——X の項が消えるのです。

しかも問題文でリアクタンスを無視するとあります——二重に簡単になっているのです。

だから抵抗だけを考えればよい問題になります

こう長4500 m という長さ

項目本問の値意味
★こう長★★4500 m=4.5 km★★配電線としては長め
★電圧降下★★472 V★★7.2 %
★(b)の制限★★300 V 以内★★4.5 %

60 mm² のままでは7.2%も下がってしまいます——許容範囲を超えるのです。

だから100 mm² に太くして4.5%に抑えます——それが(b)の意味です。

長い配電線ほど太い電線が要る、という設計の実際です

標準断面積という決まり

標準断面積mm²
★小さいほう★★14・22・38・60
★★中くらい★★80・100・150
★大きいほう★★200・250・325

電線は決まった太さでしか作られていません——94.5 mm² という製品はないのです。

だから計算値以上で最も近い標準値を選びます——100 mm²です。

遮断器の定格遮断電流と同じ考え方です

断面積を変えると何が変わるか

断面積抵抗電圧降下
★60 mm²★★1.364 Ω★★472 V
★★100 mm²★★0.818 Ω★★283 V
★150 mm²★★0.545 Ω★★189 V

断面積を大きくすると、抵抗も電圧降下も反比例して小さくなります

100 mm² なら283 V で、300 V の制限に収まります——(b)の答えの確かめになります。

抵抗率と導電率の関係

\( \rho=\dfrac{1}{55}\fallingdotseq 0.0182\ \Omega\cdot\mathrm{mm^2/m} \)
本問の抵抗率
\( \text{導電率}=\dfrac{1/55}{1/58}\times 100\fallingdotseq 105\ \% \)
軟銅と比べると

正確には軟銅の抵抗率1/58を基準に比べます——本問の1/55は硬銅より少し良い値です。

問題では計算しやすい数値が使われます——55や58は覚えておくと便利です。

逆数で覚えると、割り算が掛け算になって楽です

(a)と(b)のつながり

(a)(b)
★与えられるもの★★断面積60 mm²★★電圧降下300 V以内
★求めるもの★★B点電圧★★最小断面積
★向き★★順方向★★逆方向

(a)は順方向、(b)は逆方向の計算です——使う式は同じです。

(a)で472 V も下がることが分かるので、(b)で太くする必要性が見えます——つながっているのです。

B問題は2問で1つの設計の流れになっていることが多いのです。

まとめ

(a)抵抗(1/55)·4500/60=1.364Ω
(a)電圧降下√3·200·1.364=472V
(a)VB6600−472=6128V
(b)許容抵抗300/(√3·200)=0.866Ω
(b)最小断面積(1/55)·4500/0.866=94.5→100mm²
答え(a)-(2),(b)-(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・最小断面積(送電の計算7):【電力】令和6年度上期 A問題13
・電圧降下の近似式(配電計算3):【電力】令和7年度下期 B問題16

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