今回は平成26年度 電力科目 A問題7、線路の電圧降下率を5%以内に抑えるための最大負荷電力を求める計算問題です。令和5年度上期 A問題12(配電計算13)とまったく同じ問題です。
ポイントは電圧降下率ε=電圧降下v/受電端電圧Vr。ε=5%から許容電圧降下v=0.05×6600=330Vを出し、近似式 v=√3·I·(Rcosθ+Xsinθ) で電流を、負荷電力 P=√3·Vr·I·cosθ で電力を求めます。
平成26年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成26年度 A問題7
こう長2kmの三相3線式配電線路が、遅れ力率85%の平衡三相負荷に電力を供給している。負荷の端子電圧を6.6kVに保ったまま、線路の電圧降下率が5.0%を超えないようにするための負荷電力[kW]の最大値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、1km1線当たりの抵抗は0.45Ω、リアクタンスは0.25Ωとし、その他の条件は無いものとする。なお、本問では送電端電圧と受電端電圧との相差角が小さいとして得られる近似式を用いて解答すること。
(1) 1023 (2) 1799 (3) 2117 (4) 3117 (5) 3600

答えは(2):約 1799 kW
電圧降下率を電圧に直すところから始めます。
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★ここが第一歩
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★答え
電圧降下率のままでは近似式に入れられません——まず330 V に直すのです。
あとは電流→電力と、いつもの2段階です——手順は決まっているのです。
電圧降下率と電圧降下を区別する
| 用語 | 記号と式 | 単位 | 本問の値 |
| ★電圧降下 | ★★v=Vs−Vr | ★★V | ★★330 V |
| ★★電圧降下率 | ★★ε=v/Vr | ★★%(無名数) | ★★5.0 % |
近似式に入るのは電圧降下 v のほうです——率をそのまま入れないこと。
率に受電端電圧を掛ければ、電圧降下になります——v=ε Vrです。
6600 V の5%は330 V——暗算でも出せるのです。
この変換を忘れると、答えが桁違いになります——最初に必ず行いましょう。
3段階の手順を型として覚える
| 段階 | すること | 使う式 |
| ★① | ★★許容電圧降下を出す | ★★v=ε Vr |
| ★② | ★★電流を出す | ★★v=√3 I(Rcosθ+Xsinθ) |
| ★③ | ★★負荷電力を出す | ★★P=√3 Vr I cosθ |
3つの式を順に使うだけです——迷うところがないのです。
R・X にこう長を掛けるのは、②に入る前の下ごしらえ——忘れやすいところ。
sinθ も同じく下ごしらえです——√(1−cos²θ)で出します。
この型は配電計算で何度も出てきます——手が覚えるまで練習する価値があります。
⚠️ よくある間違い
電圧降下率5.0をそのまま近似式に入れる——330 V に直します。
R・X にこう長を掛け忘れる——2 km 分です。
sinθ を0.15とする——√(1−0.85²)=0.527です。
最後に力率を掛け忘れる——皮相電力になってしまう。
√3 を落とす——2か所とも必要です。
⏱️ 本番での進め方
①★まず v=ε Vr で許容電圧降下に直す。
②★v=√3 I(Rcosθ+Xsinθ) で電流。
③★P=√3 Vr I cosθ で負荷電力。
④★R・X はこう長を掛けてから使う。
💡 覚え方
「率を電圧に、電圧を電流に、電流を電力に」——3段階で進みます。6600 V の5%は330 V——ここが出発点です。
★同一の問題が令和5年度上期 A問題12(配電の計算:電圧降下率と最大負荷電力)にあります。
電圧降下率の上限が決まっている理由
| 段階 | 内容 |
| ★需要家の電圧 | ★★101±6 V などの範囲に収める必要がある |
| ★高圧配電線の役割 | ★★柱上変圧器まで電圧を届ける |
| ★だから | ★★高圧側の電圧降下にも上限を設ける |
| ★目安 | ★★高圧配電線で数%程度 |
高圧側で下がりすぎると、低圧側で取り返せません——タップにも限りがあるから。
だから設計の段階で上限を決めておきます——本問の5.0%がそれです。
その範囲でどれだけ送れるかを求めるのが本問です。
R と X のどちらが効いているか
| 項 | 値 | 割合 |
| ★R cosθ | ★★0.9×0.85=0.765 | ★★74 % |
| ★X sinθ | ★★0.5×0.527=0.263 | ★★26 % |
本問では抵抗分のほうが大きく効いています——R>X の線路だから。
配電線は電線が細いので、抵抗の割合が大きくなります——送電線とは逆です。
だから配電では太線化が有効な対策になります——R を直接減らせるから。
答えの桁を見当づける
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★同じ答え
皮相電力を先に出す手もあります——どちらでも同じです。
選択肢の(3)2117は、力率を掛け忘れた皮相電力に近い値——そこが引っかけです。
誤りの型が選択肢に仕込まれていると意識しましょう。
同じ型の問題を並べて確かめる
| 年度 | 条件 | 答え |
| ★★平成26年度 A問題7 | ★★6.6 kV・2 km・R0.45 X0.25・力率0.85・ε5.0% | ★★1799 kW |
| ★★令和5年度上期 A問題12 | ★★まったく同じ条件 | ★★同じ |
数値まで含めて同一の問題が再出題されています——9年を隔ててです。
だから過去問を解いておく価値がとても高い——そのまま得点になるのです。
配電計算でも、こうした再出題が見られます。
電圧降下率の上限を変えるとどうなるか
| 電圧降下率 | 許容電圧降下 | 最大負荷電力 |
| ★2.0 % | ★★132 V | ★★約720 kW |
| ★★5.0 % | ★★330 V | ★★約1799 kW |
| ★10.0 % | ★★660 V | ★★約3598 kW |
電圧降下率と最大負荷電力は比例します——途中の式がすべて1次だからです。
だから5%を10%にすれば、送れる電力も2倍になります——けれども電圧が下がりすぎるのです。
需要家の電圧を守るために、上限が決められています。
3つの式で何が消えるか
| 式 | 使う量 | 求まる量 |
| ★v=εVr | ★★ε・Vr | ★★v |
| ★v=√3I(Rcosθ+Xsinθ) | ★★v・R・X・cosθ | ★★I |
| ★P=√3VrIcosθ | ★★Vr・I・cosθ | ★★P |
順に使えば、必ず答えにたどり着きます——迷うところがないのです。
cosθ は2回、√3 も2回出てきます——どちらも忘れやすいところ。
与えられた量と求める量を書き出すと、道筋が見えます。
まとめ
| R・X | 0.9Ω・0.5Ω |
| 許容降下v | 0.05×6600=330V |
| 電流I | 330/[√3(0.9·0.85+0.5·0.527)]=185A |
| 負荷電力P | √3·6600·185·0.85=1800kW |
| 答え | (2) 1799 |
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