今回は令和元年度 電力科目 B問題17、三相配電線路の抵抗による電力損失と、電圧降下率2%以内で増設できる最大負荷を求める計算問題です。
(a)は負荷から電流を求め損失3I²Rを計算。(b)は電圧降下率2%を許容電圧降下v=132Vに直し、近似式から最大の合計負荷を求めて既設60kWを引きます。
(a) の答えは(4):約 161 W
負荷電力から電流を出し、損失を計算します。
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★答え
60 kW に対して損失が161 W なので、0.27%です——ごくわずかです。
電流が6.56 A と小さいので、損失も小さくなります——2乗で効くから。
令和元年度 電力科目 B問題17:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和元年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題17
電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和元年度 B問題17
三相3線式配電線路の受電端に遅れ力率0.8の三相平衡負荷60kW(一定)が接続されている。次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、三相負荷の受電端電圧は6.6kV一定とし、配電線路のこう長は2.5km、電線1線当たりの抵抗は0.5Ω/km、リアクタンスは0.2Ω/kmとする。なお、送電端電圧と受電端電圧の位相角は十分小さいものとして得られる近似式を用いて解答すること。また、配電線路こう長が短いことから、静電容量は無視できるものとする。
(a) この配電線路での抵抗による電力損失の値[W]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)22 (2)54 (3)65 (4)161 (5)220 W
(b) 受電端の電圧降下率を2.0%以内にする場合、受電端でさらに増設できる負荷電力(最大)の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、負荷の力率(遅れ)は変わらないものとする。
(1)476 (2)536 (3)546 (4)1280 (5)1340 kW

(b) の答えは(1):約 476 kW
電圧降下率の制約から、送れる最大の電力を求めます。
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★答え
536 kW は既設と増設を合わせた上限です——そこから既設60 kW を引くのです。
この引き算を忘れると、選択肢(2)536を選んでしまいます——そこが引っかけです。
力率は変わらないという条件なので、合計で計算できます——同じ向きのベクトルだから。
(a)と(b)で使う量が違う
| (a) 損失の計算 | (b) 増設の計算 | |
| ★使う線路定数 | ★★R のみ | ★★R と X の両方 |
| ★理由 | ★★損失は抵抗でしか生じない | ★★電圧降下は両方で生じる |
| ★出発点 | ★★負荷60 kW | ★★電圧降下率2.0 % |
リアクタンスでは電力が消費されません——だから(a)では X を使わないのです。
けれども電圧降下は生じます——だから(b)では X も要るのです。
問題文が「抵抗による電力損失」と書いているのはそのため——言葉に意味があるのです。
2つの小問で使う量が違う点に注意しましょう。
⚠️ よくある間違い
(a)で X も使う——損失は抵抗だけです。
(a)で損失を I²R とする——三相なので3倍です。
(b)で既設分を引き忘れる——536ではなく476です。
電圧降下率をそのまま近似式に入れる——132 V に直します。
力率が変わると考える——変わらないと書かれています。
⏱️ 本番での進め方
①★損失は 3I²R。X は使わない。
②★I=P/(√3 Vr cosθ)。
③★増設可能=許容最大負荷−既設負荷。
④★電圧降下率は先に電圧値へ直す。
💡 覚え方
「損失は抵抗だけ、降下は両方」——(a)と(b)で使う量が違います。最後に既設を引く——それを忘れると536を選ぶのです。
電圧降下率と最大負荷電力は平成26年度 A問題7(配電の計算:電圧降下率と最大負荷電力)にもあります。
静電容量を無視できる理由
| こう長2.5 km(本問) | 長い線路 | |
| ★対地静電容量 | ★★小さい | ★★大きい |
| ★充電電流 | ★★負荷電流に比べて無視できる | ★★無視できない |
| ★計算 | ★★R と X だけでよい | ★★π形やT形で扱う |
問題文が「こう長が短いことから」と断っています——だから静電容量を無視できるのです。
架空配電線なら数十 km でも無視できることが多い——ケーブルだと話が違うのですが。
但し書きは、使ってよい近似を教えてくれます。
損失161 W という値の意味
| 項目 | 値 | 割合 |
| ★負荷電力 | ★★60000 W | ★★100 % |
| ★線路損失 | ★★161 W | ★★0.27 % |
損失は負荷の0.27%にすぎません——電流が小さいからです。
(b)のように536 kW まで増やすと、電流は8.9倍になります——損失は79倍です。
負荷が増えるほど、損失の割合も増えていきます——2乗で効くから。
増設できる負荷を電流で見る
| 既設のみ | 増設後(上限) | |
| ★負荷電力 | ★★60 kW | ★★536 kW |
| ★線電流 | ★★6.56 A | ★★58.6 A |
| ★線路損失 | ★★161 W | ★★12.9 kW |
| ★電圧降下率 | ★★0.22 % | ★★2.0 % |
電流が8.9倍になるので、損失は79倍になります——2乗で効くから。
それでも12.9 kW は536 kW の2.4%です——許容できる範囲でしょう。
電圧降下率がちょうど2.0%になるのが上限の意味です。
(b)の別解:電力から直接求める
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電流を経由せずに、一気に最大電力が出ます——√3が約分で消えるのです。
この形を覚えておくと、計算が速くなります——あとは既設を引くだけです。
力率が変わらないという条件
| 力率が同じ(本問) | 力率が違う場合 | |
| ★既設と増設の電流 | ★★向きが同じ | ★★向きが違う |
| ★合計の出し方 | ★★算術和でよい | ★★ベクトル和が必要 |
| ★電力の合計 | ★★そのまま足せる | ★★有効分ごとに足す |
問題文が「力率は変わらない」と断っています——だから電力を単純に足し引きできるのです。
もし増設負荷の力率が違えば、計算が複雑になります——有効分と無効分に分けるのです。
但し書きが計算を成り立たせています。
電圧降下率2.0 %という制限
| 降下率 | 許容電圧降下 | 最大合計負荷 | 増設可能 |
| ★1.0 % | ★★66 V | ★★268 kW | ★★208 kW |
| ★★2.0 % | ★★132 V | ★★536 kW | ★★476 kW |
| ★3.0 % | ★★198 V | ★★804 kW | ★★744 kW |
降下率と最大負荷は比例します——途中の式がすべて1次だからです。
けれども増設可能量は、既設60 kWを引くので比例しません——そこが注意点です。
制限が厳しいほど、増設できる余地が急に減ります。
まとめ
| (a)電流 | 60000/(√3·6600·0.8)=6.56A |
| (a)損失 | 3·6.56²·1.25=161W |
| (b)許容降下 | 0.02×6600=132V |
| (b)最大電流 | 58.6A |
| (b)最大負荷 | 536kW |
| (b)増設 | 536−60=476kW |
| 答え | (a)-(4),(b)-(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
・電圧降下率と最大負荷(配電計算13):【電力】令和5年度上期 A問題12
・損失率と負荷電力(配電計算32):【電力】平成19年度 A問題10

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