今回は平成30年度 電力科目 A問題8、単相変圧器3台をΔ-Δ結線した配電系統で三相平衡負荷への供給電力を求める計算問題です。二次側の実測電圧から一次側電圧を求めるのがポイントです。
カギは一次線間電圧は定格6600Vではなく、二次実測200Vから巻数比で換算すること。理想変圧器・線路インピーダンス無視なので、一次側電力=負荷電力。V1=200×(6600/210) で一次電圧を求めます。
答えは(3):約 174 kW
定格電圧ではなく、実測値から一次電圧を求めます。
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★ここが要点
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★答え
理想変圧器で線路インピーダンスも無視なので、一次側の電力=負荷の電力です——損失がないから。
だから一次側の電圧と電流で計算できます——二次側の電流は与えられていないのです。
定格6600 V を使うと183 kW になり、答えが合いません——そこが最大の落とし穴です。
平成30年度 電力科目 A問題8:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題8
電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成30年度 A問題8
図のように、単相の変圧器3台を一次側、二次側ともにΔ結線し、三相対称電源とみなせる配電系統に接続した。変圧器の一次側の定格電圧は6600V、二次側の定格電圧は210Vである。二次側に三相平衡負荷を接続したときに、一次側の線電流20A、二次側の線間電圧200Vであった。負荷に供給されている電力[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、負荷の力率は0.8とする。なお、変圧器は理想変圧器とみなすことができ、線路のインピーダンスは無視することができる。
(1) 58 (2) 101 (3) 174 (4) 218 (5) 302



なぜ定格電圧を使ってはいけないのか
| 定格値 | 実際の値 | |
| ★二次線間電圧 | ★★210 V | ★★200 V(実測) |
| ★一次線間電圧 | ★★6600 V | ★★6286 V(換算値) |
| ★計算結果 | ★★183 kW(誤り) | ★★174 kW(正解) |
定格電圧は「そう作られている」という値にすぎません——実際にそうなっているとは限らないのです。
二次側が200 V なら、一次側も比例して低いはずです——巻数比は変わらないから。
だから実測の200 V から換算します——それが正しい運転電圧です。
問題文がわざわざ「二次側の線間電圧200 V であった」と書いているのは、この意図です。
Δ結線では線間電圧=相電圧
| 結線 | 線間電圧と相電圧 | 線電流と相電流 |
| ★★Δ結線 | ★★等しい | ★★線電流=√3×相電流 |
| ★Y結線 | ★★線間=√3×相電圧 | ★★等しい |
Δ結線では、変圧器1台の巻線が線間にそのまま入ります——だから線間電圧=相電圧です。
だから巻数比をそのまま線間電圧に使えます——√3 が出てこないのです。
もしY結線なら、√3 の扱いが加わります——結線を確かめることが大切です。
本問はΔ-Δ結線なので、素直に換算できます。
⚠️ よくある間違い
定格の6600 V をそのまま使う——実測から換算した6286 Vです。
Δ結線で√3 を掛ける——線間=相電圧です。
力率0.8を掛け忘れる——皮相電力になってしまう。
二次側で計算しようとする——二次電流が与えられていません。
巻数比を210/6600とする——一次÷二次です。
⏱️ 本番での進め方
①★運転電圧は実測値から巻数比で換算する。
②★Δ結線では線間電圧=相電圧。
③★理想変圧器・線路Z無視なら一次電力=負荷電力。
④★定格電圧をそのまま使わない。
💡 覚え方
「定格ではなく実測から」——200 V を巻数比で一次へ。Δ結線は線間=相電圧——√3 は出てきません。
V結線と変圧器の容量は平成21年度 A問題12(配電:配電用変圧器)にあります。
巻数比という考え方
巻数は変えられないので、電圧の比はつねに一定です——運転状態が変わっても同じ。
だから二次が200 V なら、一次は6600×(200/210) になります——比例して下がるのです。
これが6286 V という値の意味です——定格より約5%低いのです。
電流も巻数比で換算できる
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二次側で計算しても同じ174 kW になります——損失がないからです。
電圧は巻数比で下がり、電流は巻数比で上がります——積は変わらないのです。
理想変圧器という前提
| 前提 | 意味 | 本問での効き方 |
| ★理想変圧器 | ★★損失も漏れもない | ★★一次電力=二次電力 |
| ★線路インピーダンス無視 | ★★電圧降下がない | ★★二次電力=負荷電力 |
| ★あわせて | ★— | ★★一次電力=負荷電力 |
2つの前提があるので、一次側の値だけで負荷電力が出せます——途中で失われないから。
実際には数%の損失がありますが、試験では無視します——問題文が断っているのです。
但し書きは計算を成り立たせるためにあります。
Δ-Δ結線の特徴
| 項目 | 内容 |
| ★線間電圧と相電圧 | ★★等しい(√3 が出てこない) |
| ★線電流と相電流 | ★★線電流=√3×相電流 |
| ★第3調波 | ★★Δ内を還流して外に出ない |
| ★1台故障時 | ★★V結線として運転を続けられる |
| ★中性点 | ★★取り出せない(非接地) |
Δ結線は第3調波を内部で還流させます——だから波形がきれいなのです。
1台が故障してもV結線として使えるのも利点です——出力は57.7%に落ちるのですが。
中性点が取り出せないので、非接地方式になります——6.6 kV 配電と相性がよいのです。
計算に使わない数字を見分ける
| 与えられた値 | 使うか | 役割 |
| ★一次定格6600 V | ★★使う | ★★巻数比の分子 |
| ★二次定格210 V | ★★使う | ★★巻数比の分母 |
| ★二次実測200 V | ★★使う | ★★換算のもと |
| ★一次線電流20 A | ★★使う | ★★電力の計算 |
| ★力率0.8 | ★★使う | ★★有効電力にする |
本問は与えられた数字をすべて使います——使わない数字がないのです。
定格電圧2つは、巻数比を作るために出てきます——そのまま電圧として使うのではないのです。
役割を見分けると、誤りを避けられます。
変圧器の電圧が下がっている意味
| 定格 | 実際 | 差 | |
| ★二次線間電圧 | ★★210 V | ★★200 V | ★★約5%低い |
| ★一次線間電圧 | ★★6600 V | ★★6286 V | ★★約5%低い |
上流の配電線ですでに電圧が下がっているのです——負荷が多い時間帯など。
だから二次側も同じ割合で下がります——巻数比は変わらないから。
こうした状況は実際によく起きます——だから実測値で計算するのです。
まとめ
| 結線 | Δ-Δ(線間=相電圧) |
| 一次電圧 | 200×6600/210=6286V |
| 一次電流 | 20A |
| 供給電力 | √3·6286·20·0.8=174kW |
| 答え | (3) |
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