配電計算22【電験3種 電力】線路損失一定→P∝力率→変化後の力率cosφ2=0.95!平成30年度 A問題13 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成30年度 A問題13 損失が同じなら電力は力率に比例!0.95へ

今回は平成30年度 電力科目 A問題13線路損失を一定に保ったまま負荷電力と力率が変化したときの、変化後の力率を求める計算問題です。損失一定=電流一定がカギです。

ポイントは線路損失3I²Rが一定=電流Iが一定。端子電圧Vも一定なので、負荷電力 P=√3·V·I·cosφ は力率cosφに比例。P1/P2=cosφ1/cosφ2 の関係から cosφ2 を求めます。

目次

平成30年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成30年度 A問題13 問題文
平成30年度 電力科目 A問題13 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成30年度 A問題13

 三相3線式高圧配電線で力率cosφ1=0.76(遅れ)、負荷電力P1[kW]の三相平衡負荷に電力を供給している。三相平衡負荷の電力がP2[kW]、力率がcosφ2(遅れ)に変化したが線路損失は変わらなかった。P1がP2の0.8倍であったとき、負荷電力が変化した後の力率cosφ2(遅れ)の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし、負荷の端子電圧は変わらないものとする。

(1) 0.61 (2) 0.68 (3) 0.85 (4) 0.90 (5) 0.95

答え変化後の力率は 0.95です。

答えは(5):0.95

比の立て方を間違えないことが、この問題の要です

\( P_{loss}=3I^2R\ \text{が一定}\ \Rightarrow\ I\ \text{が一定} \)
損失一定の読み替え
\( P=\sqrt{3}\,VI\cos\varphi\ \Rightarrow\ P\propto\cos\varphi \)
V も I も一定なので
\( \dfrac{P_1}{P_2}=\dfrac{\cos\varphi_1}{\cos\varphi_2} \)
比の関係
\( 0.8=\dfrac{0.76}{\cos\varphi_2} \)
P₁ は P₂ の0.8倍
★条件を代入
\( \cos\varphi_2=\dfrac{0.76}{0.8}=0.95 \)
解く
★答え

「P₁ が P₂ の0.8倍」なので、P₁/P₂=0.8 です——分母と分子を取り違えないこと。

掛けるのではなく割ります——0.76×0.8 では答えが合わないのです。

電力が増えたのだから、力率も上がっているはずです——0.76より大きい値になると見当がつきます。

「AがBの何倍」を式にする練習

問題文の言い方式にすると間違えやすい形
★★P₁ が P₂ の0.8倍★★P₁=0.8 P₂ つまり P₁/P₂=0.8★★P₂/P₁=0.8 としてしまう
★P₂ が P₁ の1.25倍★★P₂/P₁=1.25(同じことを逆から言った形)★—

「AがBの何倍」なら、A÷B がその倍率です——前に来たほうが分子

本問はP₁が先に来ているので、P₁が分子です——P₁/P₂=0.8

0.8は1より小さいので、P₁のほうが小さいと分かります——つまり電力は増えたのです。

だから力率も上がる、と見当をつけられます——選択肢を絞る手がかりになります。

答えの見当をつけてから計算する

段階分かること選択肢の絞り込み
★①★★電力が増えた(P₂>P₁)★★力率は0.76より大きい
★②★★(1)0.61 と(2)0.68 が消える★★残るは(3)(4)(5)
★③★★0.76÷0.8 を計算する★★0.95 に決まる

計算する前に、増えるか減るかを考えます——それだけで選択肢が半分に減るのです。

もし計算を間違えて0.61を出しても、おかしいと気づけます——検算の代わりになるのです。

逆数を取ってしまう誤りも、この段階で防げます——0.8÷0.76=1.05 は力率になりえないから。

力率は1を超えません——これも大事な確かめです。

⚠️ よくある間違い
0.76×0.8=0.61 とする——割り算です
P₂/P₁=0.8 と読む——P₁ が分子です。
損失一定を電力一定と読む——電流一定です。
力率が1を超える答えを出す——ありえません
電力が減ったと考える——P₁が0.8倍なので増えています

⏱️ 本番での進め方
①★損失一定=電流一定。電力は力率に比例。
②★「AがBの何倍」は A÷B。
③★cosφ₂=cosφ₁÷(P₁/P₂)。
④★計算前に増減の向きを見当づける。

💡 覚え方
「前に来たほうが分子」——P₁がP₂の0.8倍ならP₁/P₂=0.8です。電力が増えれば力率も上がる——先に向きを決めると間違えません。

★同型の問題が令和7年度上期 A問題13配電の計算:損失一定と負荷電力)にあります。そちらは電力の比を問うています

損失一定という条件が使われる問題

問われ方使う関係
★電力の比を求める★★W₂/W₁=cosθ₂/cosθ₁
★★変化後の力率を求める★★cosφ₂=cosφ₁÷(P₁/P₂)
★変化後の電力を求める★★P₂=P₁×(cosφ₂/cosφ₁)

どれも同じ1つの関係式から出てきます——P ∝ cosφです。

何を求めるかによって、式を変形するだけ——覚えるのは1つで足りるのです。

本問は2番目の型にあたります

力率0.76と0.95で無効電力はどう変わるか

力率sinφ同じ電流での無効分
★0.76★★0.650★★0.650 I
★★0.95★★0.312★★0.312 I

無効分が半分以下に減っています——その分が有効分に回ったのです。

力率0.95は、実務でも目標とされる値です——これ以上は費用に見合わないのです。

同じ電流でどれだけ多く送れるか

\( \dfrac{P_2}{P_1}=\dfrac{\cos\varphi_2}{\cos\varphi_1}=\dfrac{0.95}{0.76} \)
逆から見た比
\( =1.25 \)
計算する
変化前変化後
★力率★★0.76★★0.95
★負荷電力★★P₁★★1.25 P₁
★線電流★★同じ★★同じ
★線路損失★★同じ★★同じ

P₁ が P₂ の0.8倍ということは、P₂ は P₁ の1.25倍です——1÷0.8=1.25

設備を増やさずに25%多く送れるようになりました——力率改善の効果です。

力率の値から sinφ を出す

\( \sin\varphi=\sqrt{1-\cos^2\varphi} \)
基本の関係
\( \sin\varphi_1=\sqrt{1-0.76^2}=\sqrt{0.4224}\fallingdotseq 0.650 \)
変化前
\( \sin\varphi_2=\sqrt{1-0.95^2}=\sqrt{0.0975}\fallingdotseq 0.312 \)
変化後

力率が1に近づくほど、sinφ は急に小さくなります——2乗して引くからです。

0.95でも sinφ は0.312あります——無効電力がゼロではないのです。

計算結果を式に戻して確かめる

\( P_1=\sqrt{3}VI\times 0.76 \)
変化前の電力
\( P_2=\sqrt{3}VI\times 0.95 \)
変化後の電力
\( \dfrac{P_1}{P_2}=\dfrac{0.76}{0.95}=0.8 \)
比を確かめる
★条件と一致

答えを式に戻すと、0.8になって条件と合います——これで検算完了です。

もし0.61を選んでいたら、0.76÷0.61=1.25 となり条件と合いません——すぐ気づけるのです。

比の問題は、戻して確かめるのが速いのです。

力率改善の実務上の目標

力率扱い
★0.85未満★★電気料金が割増になる
★★0.85以上(遅れ)★★割引が受けられる
★1.0に近い★★損失も電圧降下も最小
★進み側★★軽負荷時に電圧が上がり不利

力率0.95は、割引を受けつつ進み側に行きすぎない値です——だから目標にされるのです。

本問の変化後の力率がちょうど0.95なのは、その実務感覚に合っています

数字に現実味があるかどうかも、検算の手がかりになります

まとめ

損失一定3I²R一定→I一定
電力P=√3·V·I·cosφ∝cosφ
P1/P2=0.8=cosφ1/cosφ2
cosφ20.76/0.8=0.95
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・損失一定と力率(配電計算5):【電力】令和7年度上期 A問題13
・損失一定と負荷電力(配電計算3):【電力】令和7年度下期 B問題16

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