今回は令和7年度下期 電力科目 B問題16、三相3線式1回線の専用配電線で電圧降下の近似式から電流と負荷電力を求める計算問題です。送り出し電圧と端子電圧の差(電圧降下)を手がかりに電流を逆算します。
カギは三相の電圧降下近似式 v=√3·I·(R·cosθ+X·sinθ)。(a)は電圧降下150Vから電流を求めて負荷電力W1を計算。(b)は線路損失3I²Rが不変=電流が不変という条件から、力率変化後のW2を求めます。
令和7年度下期 電力科目 B問題16:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16
電験3種 電力科目 【配電の計算】 令和7年度下期 B問題16
三相3線式1回線の専用配電線がある。変電所の送り出し電圧が6600V、末端にある負荷の端子電圧が6450V、力率が遅れの70%であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、電線1線当たりの抵抗は0.5Ω/km、リアクタンスは0.4Ω/km、線路のこう長は5kmとする。また、送電端電圧と受電端電圧との相差角は小さいものとする。
(a) この負荷に供給される電力W1の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)369 (2)180 (3)123 (4)213 (5)240 kW
(b) 負荷が遅れ力率80%、W2[kW]に変化したが線路損失は変わらなかった。W2の値[kW]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)141 (2)243 (3)274 (4)415 (5)334 kW
出題のポイント:電圧降下で電流、線路損失で電流一定

まず送受電端の電圧差150 Vを三相電圧降下近似式に代入して電流を求めます。力率変更後は線路損失3I²Rが不変なので電流も不変となり、有効電力は力率の比だけ増加します。
(a) の答えは(4):約 213 kW
電圧降下150 V から電流を逆算します。
★
★
★
★
★
★答え
電力の計算には受電端電圧6450 V を使います——負荷にかかる電圧だから。
解法の原理:三相配電線の電圧降下と線路損失

★
★
★
★
★答え
力率が変わると係数も変わり、電圧降下がわずかに増えます——3.178から3.2へ。
R が X より大きいので、力率が上がると係数も増えます——2.5対2.0だから。
同じ型の問題が3年度分ある
| 年度 | R・X | W₁ | W₂ |
| ★★令和7年度下期(本問) | ★★2.5・2.0 Ω | ★★213 kW | ★★243 kW |
| ★令和4年度上期 | ★★2.25・1.75 Ω | ★★240 kW | ★★274 kW |
| ★平成18年度 | ★★2.25・1.75 Ω | ★★同じ | ★★同じ |
条件も設問もまったく同じで、線路定数だけが違います——本問はR・Xがやや大きいのです。
だから同じ電圧降下150 V でも、電流が小さくなります——27.25 A に対し30.7 A。
解き方はまったく同じなので、1つ覚えれば3年度分に対応できます——効率のよい学習です。
電力科目では、こうした型の繰り返しが多く見られます。
⚠️ よくある間違い
(b)で電圧降下を150 V のままとする——151 V に増えます。
損失一定を電力一定と読む——電流一定です。
(a)で送電端電圧を使う——負荷の電力なので受電端。
sinθ を0.3とする——√(1−0.7²)=0.714です。
こう長を掛け忘れる——5 km 分です。
⏱️ 本番での進め方
①★v=√3I(Rcosθ+Xsinθ) で電流を出す。
②★W=√3 Vr I cosθ で電力へ。
③★損失一定=電流一定。
④★力率が変われば電圧降下も受電端電圧も変わる。
💡 覚え方
「降下から電流、電流から電力」——2段階で進みます。(b)では電流だけが変わらない——電圧は計算し直すのです。
★同型の問題が令和4年度上期 B問題17(配電の計算:電圧降下と損失一定)にあります。線路定数が違うだけです。
相差角が小さいという前提
★
2.3 %なので、相差角はごく小さいはずです——近似式が問題なく使えるのです。
問題文の「相差角は小さいものとする」は、その合図です。
配電線の降下率はふつう数%なので、いつも近似式が使えます。
R と X の比で係数が変わる
| 力率 | Rcosθ+Xsinθ | 電圧降下 |
| ★0.7 | ★★3.178 | ★★150 V |
| ★★0.8 | ★★3.200 | ★★151 V |
力率が上がったのに係数はわずかに増えています——R>X だからです。
2.5対2.0でRのほうが大きいので、cosθが増える効果が勝ちます。
「力率改善で電圧降下が減る」は、電流が変わる場合の話です——電流一定ならこうなるのです。
W₁とW₂の比を確かめる
★
★
ほぼ一致しますが、わずかにずれます——受電端電圧が6450から6449へ変わるから。
送電端電圧が一定という条件なので、厳密には比例しません。
試験では選択肢の刻みが粗いので、力率の比だけでも答えが出ます。
問題の解説:(a)と(b)の負荷電力を順に求める


| 段階 | すること | 本問の値 |
| ★① | ★★R・X を求める | ★★2.5・2.0 Ω |
| ★② | ★★電圧降下から電流を出す | ★★27.25 A |
| ★③ | ★★W₁を計算する | ★★213 kW |
| ★④ | ★★電流一定で新しい降下を出す | ★★151 V |
| ★⑤ | ★★W₂を計算する | ★★243 kW |
5段階で確実に答えにたどり着きます——④で電圧を計算し直すのが要点です。
(a)で求めた電流を(b)でそのまま使うのが、B問題のつながりです。
専用配電線という条件
| 専用配電線(本問) | 一般の配電線 | |
| ★負荷 | ★★1つの需要家だけ | ★★多数の需要家 |
| ★電流 | ★★全区間で同じ | ★★区間ごとに変わる |
| ★計算 | ★★1回で済む | ★★区間ごとに必要 |
専用配電線なので、途中に分岐がありません——だから電流が全区間で同じです。
もし途中に負荷があれば、区間ごとに計算する必要があります。
問題文の「専用配電線」という言葉に意味があるのです。
まとめ
| R・X | 2.5Ω・2.0Ω(×5km) |
| 電圧降下 | 6600−6450=150V |
| (a)電流 | 150/[√3(2.5·0.7+2.0·0.714)]=27.25A |
| (a)W1 | √3·6450·27.25·0.7=213kW |
| (b)W2 | 損失一定→I不変→√3·6449·27.25·0.8=243kW |
| 答え | (a)-(4),(b)-(2) |
▼あわせて解きたい関連問題
・電圧降下率と負荷電力(配電計算16):【電力】令和4年度上期 B問題17
・電圧降下の近似式(送電の計算10):【電力】令和4年度下期 B問題16

コメント