配電計算23【電験3種 電力】太陽光接続前VAB=99V・接続後107VとなるI=20A!平成30年度 B問題16 完全解説

電験3種 電力科目 配電の計算 平成30年度 B問題16 太陽光をつなぐと99Vが107Vに!電流は?

今回は平成30年度 電力科目 B問題16、太陽光発電を接続した単相3線式配電線路で接続前後の端子電圧と、目標電圧を実現する太陽光出力電流を求める計算問題です。

ポイントは負荷が定電流なので中性線電流は負荷差(25−20=5A)で一定、太陽光電流Iは外線ループを流れてA点電圧を押し上げること。VAB=99+0.4I の関係から出力電流を逆算します。

目次

(a) の答えは(2):99 V

上側の外線と中性線を、別々にたどります

\( V_P=105-25\times 0.2=100\ \mathrm{V} \)
上外線の1区間で降下
\( V_A=V_P=100\ \mathrm{V} \)
P−A間は電流が流れない
★ここが要点
\( I_N=25-20=5\ \mathrm{A} \)
中性線には差が流れる
\( V_Q=5\times 0.2=1.0\ \mathrm{V}=V_B \)
中性点からの電位差
\( V_{AB}=100-1.0=99\ \mathrm{V} \)
上外線と中性線の差
★答え

太陽光がない状態では、P−A間に電流が流れません——だから電圧降下もゼロです。

中性線には上下の負荷の差5 A が流れます——その分だけ B点の電位が上がるのです。

A点とB点の差を取ると99 V になります——100 V を下回っているのです。

平成30年度 電力科目 B問題16:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成30年度 B問題16 問題文
平成30年度 電力科目 B問題16 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成30年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 B問題16

電験3種 電力科目 【配電の計算】 平成30年度 B問題16

 図のように、電圧線及び中性線の各部の抵抗が0.2Ωの単相3線式低圧配電線路において、末端のAC間に太陽光発電設備が接続されている。各部の電圧及び電流が図に示された値であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、負荷は定電流特性で力率は1、太陽光発電設備の出力(交流)は電流I[A]、力率1で一定とする。また、線路のインピーダンスは抵抗とし、図示していないインピーダンスは無視するものとする。二次電圧は105/105V、上側負荷は25A、下側負荷は20Aである。

図のように、電圧線及び中性線の各部の抵抗が0.2Ωの単相3線式低圧配電線路において、末端のAC間に太陽光発電設備が接続されている。各部の電圧及び電流が図に示された値であるとき、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、負荷は定電流特性で力率は1、太陽光発電設備の出力(交流)は電流I[A]、力率1で一定とする。また、線路のインピーダンスは抵抗とし、図示していないインピーダンスは無視するものとする。(二次105/105V、上負荷25A、下負荷20A)

(a) 太陽光発電設備を接続する前のAB間の端子電圧VABの値[V]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)96 (2)99 (3)100 (4)101 (5)104 V

(b) 太陽光発電設備を接続したところ、AB間の端子電圧VAB[V]が107Vとなった。このときの太陽光発電設備の出力電流(交流)Iの値[A]として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1)5 (2)15 (3)20 (4)25 (5)30 A

平成30年度 B問題16 太陽光発電を接続した単相3線式低圧配電線路
平成30年度 B問題16 太陽光発電を接続した単相3線式低圧配電線路
平成30年度 B問題16 太陽光発電を接続した単相3線式低圧配電線路
平成30年度 B問題16 太陽光発電を接続した単相3線式低圧配電線路
答え(a) 接続前の端子電圧は 99 Vです。

(b) の答えは(3):20 A

太陽光の電流が、電圧を押し上げます

\( V_{AB}=99+0.4I \)
太陽光電流 I による上昇分
\( 107=99+0.4I \)
条件を代入
\( 0.4I=8\ \Rightarrow\ I=20\ \mathrm{A} \)
解く
★答え
区間太陽光電流の効き方係数
★P−A間(上外線)★★A点の電位を上げる★★0.2
★B−Q間(中性線)★★B点の電位を下げる★★0.2
★合計★★VAB を上げる★★0.4

太陽光の電流は、A点から左へ向かって流れます——ふつうと逆向きです。

だからP−A間で電圧が上がる向きに働きます——電圧降下が負になるのです。

中性線側でも同じことが起きるので、合わせて0.4 I——2区間分です。

答え(b) 太陽光の出力電流は 20 Aです。

逆潮流で電圧が上がるしくみ

ふつうの負荷太陽光(逆潮流)
★電流の向き★★変圧器から負荷へ★★負荷側から変圧器へ
★線路での電圧★★末端ほど下がる★★末端ほど上がる
★本問での効果★★99 V まで下がる★★107 V まで上がる

電流が逆向きに流れると、電圧降下も逆向きになります——つまり電圧が上がるのです。

99 V が107 V になったので、8 V も上昇しました——許容範囲の上限107 V ちょうどです。

これ以上出力が増えると、上限を超えてしまいます——だから出力抑制がかかるのです。

本問は分散型電源の電圧上昇を数字で示した問題です

⚠️ よくある間違い
(a)でP−A間の降下を考える——電流が流れないのでゼロです。
中性線の電流を25 A とする——差の5 Aです。
(b)で係数を0.2とする——外線と中性線で2区間分の0.4
太陽光で電圧が下がると考える——逆潮流なので上がります
VAB と VBC を取り違える——上側の電圧です。

⏱️ 本番での進め方
①★電流が流れない区間では電圧降下もゼロ。
②★中性線を流れるのは上下の負荷の差。
③★逆潮流は電圧を押し上げる。
④★外線と中性線の両方で効くので係数は2区間分。

💡 覚え方
「逆に流れれば逆に上がる」——電圧降下の符号が反転します。中性線は差の電流——25−20=5 Aです。

同じ構成の問題が令和5年度下期 B問題17配電の計算:太陽光の逆潮流と電流分担)にあります。

定電流特性という条件

負荷の種類電圧が変わると本問での扱い
★★定電流特性★★電流は変わらない★★25 A・20 A のまま
★定インピーダンス特性★★電圧に比例して電流が変わる★★計算が複雑になる
★定電力特性★★電圧に反比例して電流が変わる★★同じく複雑

定電流特性なので、電圧が上がっても電流は変わりません——だから計算が簡単になります。

実際の負荷はもっと複雑ですが、試験では単純化します——問題文の但し書きです。

この条件があるから、中性線の電流が5 A で一定になります

上限107 V という意味

標準電圧維持すべき範囲本問の値
★100 V★★95〜107 V(101±6 V)★★107 V ちょうど

107 V は許容範囲のぎりぎり上限です——これ以上は認められないのです。

だから太陽光の出力20 A が、この地点での限界になります——それ以上は出力抑制です。

本問は、その限界を計算で求めているのです

(a)と(b)のつながり

(a)(b)
★太陽光★★なし(I=0)★★あり(I=20 A)
★端子電圧★★99 V★★107 V
★向き★★順方向の計算★★逆算

(a)で基準の99 V を出しておくと、(b)が一気に解けます——99+0.4I の形になるからです。

B問題は(a)が(b)の足場になっていることが多い——だから(a)を確実に

8 V の上昇に20 A が必要、という関係が分かります

中性線の電流が変わらない理由

太陽光なし太陽光あり
★上負荷★★25 A★★25 A(定電流)
★下負荷★★20 A★★20 A(定電流)
★中性線★★5 A★★5 A

中性線に流れるのは上下の負荷の差です——太陽光は関係しないのです。

負荷が定電流特性なので、差も変わりません——だから5 A で一定です。

太陽光の電流は外線のループを流れるので、中性線には現れません

この性質が、(b)の式を簡単にしています

単相3線式の電位を図で追う

地点電位(中性点を0とすると)本問(a)の値
★変圧器の上端子★★+105 V★★105 V
★P点★★105−25×0.2★★100 V
★A点★★P点と同じ★★100 V
★Q点・B点★★+5×0.2★★1.0 V

中性点を基準にして、各点の電位を書き出します——差を取れば端子電圧です。

中性線に電流が流れると、B点の電位が0でなくなります——そこが見落としやすいのです。

だから VAB は100−1.0=99 V になります

太陽光が系統に与える影響

影響内容
★★電圧上昇★★逆潮流で末端の電圧が上がる
★★出力抑制★★上限を超えると発電を絞られる
★変圧器の負担軽減★★近くの負荷をまかなう分だけ楽になる

本問は107 V ちょうどなので、これ以上は抑制がかかります——20 A が限界です。

末端に太陽光を付けた人ほど、抑制を受けやすくなります——電圧が上がりやすいから。

計算の順序をまとめる

段階すること
★①★★中性線の電流を求める(上下の差)
★②★★電流が流れる区間と流れない区間を分ける
★③★★各点の電位を計算する
★④★★差を取って端子電圧にする

②の見極めが要点です——P−A間は無電流なので降下ゼロです。

太陽光があると、その区間にも電流が流れます——だから(b)で効いてくるのです。

まとめ

(a)VA105−25·0.2=100V
(a)VB(25−20)·0.2=1.0V
(a)VAB99V
(b)VA(I)100+0.4I
(b)VAB99+0.4I=107→I=20A
答え(a)-(2),(b)-(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・太陽光と単相3線式(配電計算12):【電力】令和5年度下期 B問題17
・太陽光と単相3線式(配電計算43):【電力】平成19年度 B問題17

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