配電26【電験3種 電力】地中配電の得失!都市景観◎・他物接触事故少・設備増強△・フェランチ効果大 平成27年度 A問題11 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成27年度 A問題11 都市の景観は守れるが増設は苦手!地中の得失

今回は平成27年度 電力科目 A問題11地中配電線路の得失(メリット・デメリット)の空欄補充問題です。架空配電線路と比較した地中化の利点と欠点が、4つの空欄で整理できます。

利点は都市の景観が良く、台風等で他物接触による事故が少ないこと。欠点は建設費が高く、掘削工事を要するため設備増強が容易でなく、ケーブルの対地静電容量によるフェランチ効果の影響が大きいこと——地中配電の得失がまるごと問われます。

目次

平成27年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成27年度 A問題11 問題文
平成27年度 電力科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11

電験3種 電力科目 【配電】 平成27年度 A問題11

 次の文章は、地中配電線路の得失に関する記述である。

 地中配電線路は、架空配電線路と比較して、(ア)が良くなる、台風等の自然災害発生時において(イ)による事故が少ない等の利点がある。

 一方で、架空配電線路と比較して、地中配電線路は高額の建設費用を必要とするほか、掘削工事を要することから需要増加に対する(ウ)が容易ではなく、またケーブルの対地静電容量による(エ)の影響が大きい等の欠点がある。

 上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)都市の景観他物接触設備増強フェランチ効果
(2)都市の景観操業者過失保護協調フェランチ効果
(3)需要率他物接触保護協調電圧降下
(4)都市の景観他物接触設備増強電圧降下
(5)需要率操業者過失設備増強フェランチ効果
答え答えは(1)です。

答えは(1):都市の景観・他物接触・設備増強・フェランチ効果

利点2つと欠点2つが、順に並んでいます

空欄正解利点か欠点か
★(ア)★★都市の景観★★利点(良くなる)
★(イ)★★他物接触★★利点(事故が少ない)
★(ウ)★★設備増強★★欠点(容易でない)
★(エ)★★フェランチ効果★★欠点(影響が大きい)

なぜフェランチ効果が大きいのか

段階起きること
★ケーブルは導体と遮へい層が近く、間に絶縁体がある
★②★★だから対地静電容量が架空線より大きい
★③★★軽負荷時に進み電流が多く流れる
★④★★進み電流がリアクタンスを流れると電圧が上がる
★⑤★★受電端電圧が送電端より高くなる

(エ)を電圧降下と答えたくなりますが、逆です——静電容量が原因なら電圧は上がるのです。

ケーブルは架空線の数十倍の静電容量をもちます——距離が近く、誘電体が入るから。

だから地中配電では、電圧上昇のほうが問題になります——深夜など軽負荷のときです。

対策として分路リアクトルやコンデンサの切り離しを行います——進み電流を減らすのです。

設備増強が容易でないとはどういうことか

架空配電線路地中配電線路
★電線を増やす★★電柱に腕金を足せばよい★★管路に空きがなければ掘り直す
★変圧器を増やす★★電柱に取り付ける★★地上に設置場所を確保する
★工期★★短い★★長い
★道路の使用★★ほぼ不要★★掘削の許可が要る

需要が増えたとき、架空線なら簡単に増設できます——電柱に足すだけだから。

地中は管路の容量が決まっているので、そうはいきません——あらかじめ余裕をみて造るのです。

だから将来の需要を見込んだ設計が要ります——あとから直せないのです。

これが地中化の費用が高くなる理由の一つでもあります

⚠️ よくある間違い
(エ)を電圧降下とする——対地静電容量が原因ならフェランチ効果です。
(ウ)を保護協調とする——掘削の話なので設備増強です。
(ア)を需要率とする——地中化の利点は景観です。
(イ)を操業者過失とする——自然災害の話なので他物接触
利点と欠点を取り違える——前半が利点、後半が欠点です。

⏱️ 本番での進め方
①★地中配電の利点=都市の景観・他物接触事故が少ない。
②★欠点=建設費高・設備増強が容易でない・フェランチ効果。
③★対地静電容量が大きい→電圧は上がる(降下ではない)。
④★ダミーは需要率・操業者過失・保護協調・電圧降下。

💡 覚え方
「景観よし・他物接触なし/高い・増設しにくい・電圧が上がる」——利点2つ欠点3つで覚えます静電容量が大きい=電圧上昇——ここを取り違えないこと。

地中配電の復旧時間は平成20年度 A問題12配電:地中配電線路の特徴)で問われています。

無電柱化が進む場所と進まない場所

費用の高さが、進み方を左右しています

場所地中化の進み方理由
★都心の主要道路★★進んでいる★★景観と防災の効果が大きい
★観光地・歴史的街並み★★進んでいる★★景観の価値が高い
★住宅地の生活道路★★進みにくい★★費用に見合わない・道路が狭い
★郊外・農村部★★ほとんど進まない★★需要密度が低い

地中化の費用は、架空線の10倍ほどとされます——掘削と管路と地上機器が要るから。

だから効果の大きい場所から順に進めます——限られた予算を配分するのです。

災害時に電柱が倒れないという利点も大きい——緊急車両が通れるのです。

費用と効果のつり合いで決まる——それが本問の(ウ)にもつながる話です。

ダミーの語はどこで使われるか

選択肢の語を知っていれば、消去法が効きます

ダミーの語本来の意味本問で不適な理由
★需要率★★最大需要電力÷設備容量★★地中化で良くなるものではない
★操業者過失★★人の操作ミス★★自然災害の話に合わない
★保護協調★★上位と下位の遮断器の動作順序★★掘削工事とは無関係
★電圧降下★★線路の抵抗とリアクタンスで電圧が下がる★★静電容量なら上昇側

どれも配電で使う正しい用語です——だが文脈に合わないのです。

「台風等の自然災害」とあるので(イ)は他物接触——操業者過失は人為的だから。

「掘削工事を要することから」とあるので(ウ)は設備増強——保護協調は工事と関係がないのです。

前後の言葉が手がかりになります——空欄の周りを丁寧に読むのがこつです。

架空とケーブルで静電容量が違う理由

(エ)の根拠になる、構造の違いです

架空配電線地中ケーブル
★導体と大地の距離★★数メートル★★数ミリメートル(遮へい層まで)
★間にあるもの★★空気(比誘電率1)★★架橋ポリエチレン(約2.3)
★対地静電容量★★小さい★★数十倍
★充電電流★小さい★★大きい

静電容量は、距離が近いほど大きくなります——コンデンサと同じ理屈です。

ケーブルは絶縁体をはさんですぐ外側が遮へい層です——だから極端に近いのです。

しかも誘電体が入るので、さらに大きくなります——比誘電率の分だけ増えるのです。

だから同じ長さでも、影響がまるで違います——それが(エ)の答えの根拠です。

地中化の利点をもう一度整理する

景観と他物接触以外にもあります

利点内容
★★都市の景観★★電線と電柱がなくなり街並みが整う
★★他物接触事故が少ない★★樹木・飛来物・鳥獣が触れない
★防災性★★地震や台風で電柱が倒れず道路をふさがない
★安全性★★歩行者が充電部に近づかない
★通行空間★★歩道が広く使える

本問が挙げているのは前の2つです——けれども実際の利点はもっと多いのです。

災害に強いことが、近年とくに重視されています——電柱が倒れると救急車が通れないから。

だから国も無電柱化を進めています——費用の高さが課題ですが。

利点を多く知っていれば、空欄も選びやすくなります

フェランチ効果への対策

(エ)の欠点には、ちゃんと手が打たれています

対策しくみ使う場面
★★分路リアクトル★★遅れ電流を流して進み電流を打ち消す★★軽負荷時
★コンデンサの切り離し★★進み無効電力を減らす★★深夜など
★開閉器付コンデンサ★★負荷に応じて入り切りする★時間帯で制御

原因が進み電流なので、遅れ電流をぶつけます——打ち消せば電圧上昇が収まるのです。

力率改善用のコンデンサは、軽負荷時には邪魔になります——だから切り離すのです。

時間帯によって入り切りするのが実際の運用です——昼は入れ、夜は切る

欠点があっても、対策があれば地中化は進められます——それが実務の考え方です。

まとめ

(ア)都市の景観(利点・良くなる)
(イ)他物接触(利点・事故が少ない)
(ウ)設備増強(欠点・容易でない)
(エ)フェランチ効果(欠点・影響が大きい)
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・地中送電の特徴(地中送電1):【電力】令和7年度上期 A問題9
・地中配電線路の機器(配電22):【電力】平成28年度 A問題11

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