今回は平成20年度 電力科目 A問題12、架空配電線路と比較したときの地中配電線路の特徴の誤り選択問題です。景観・建設費・設置スペース・供給信頼度・復旧時間と、地中化の得失が問われます。
決め手は事故時の復旧時間。地中配電線路は事故が発生すると故障点の特定に時間がかかり、復旧は架空配電線路より長時間を要します。「復旧は架空配電線路の場合より短時間で済む」は逆で誤りです。
答えは(5):復旧は架空より長時間かかる
地中配電線路は「事故が起きにくいが、起きると復旧が遅い」のが特徴です。
| 選択肢 | 正誤 | 理由 |
| ★(1) 景観が向上する | ★正しい | ★電線と電柱がなくなる |
| ★(2) 建設費が高額 | ★正しい | ★掘削と管路が要る |
| ★(3) 歩道にスペースが要る | ★正しい | ★地上用変圧器を置く |
| ★(4) 供給信頼度が高い | ★正しい | ★台風や雷の影響を受けにくい |
| ★★(5) 復旧が短時間 | ★★誤り | ★★故障点の特定と掘削に時間がかかる |
平成20年度 電力科目 A問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成20年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題12
電験3種 電力科目 【配電】 平成20年度 A問題12
架空配電線路と比較したときの地中配電線路の一般的な特徴に関する記述として、誤っているのは次のうちどれか。
(1) 架空設備が地中化されることにより、街並みの景観が向上する。
(2) 設備の建設費用は、架空配電線路より高額である。
(3) 変圧器等を施設するためのスペースが歩道などに必要である。
(4) 台風や雷に際しては、架空配電線路より設備事故が発生しにくいため、供給信頼度が高い。
(5) いったん線路の損壊事故が発生した場合の復旧は、架空配電線路の場合より短時間で済む場合が多い。

なぜ故障点の特定に時間がかかるのか
| 架空配電線路 | 地中配電線路 | |
| ★故障点の見つけ方 | ★★巡視して目で見る | ★★測定器で位置を推定する |
| ★かかる時間 | ★★短い | ★★長い |
| ★修理の作業 | ★★電線を張り替える | ★★掘削してケーブルを取り替える |
| ★道路の扱い | ★★そのまま | ★★掘削の許可と復旧が要る |
架空線なら、断線した箇所は見ればすぐ分かります——目視で足りるのです。
地中ケーブルは土の中なので、外からは見えません——だから測定で探すのです。
マーレーループ法やパルスレーダ法で位置を推定します——それでも誤差があるのです。
そのうえ掘削の許可を取り、舗装を戻す必要があります——時間が積み重なるのです。
事故の起きにくさと復旧の速さは別の話
| 観点 | 地中配電 | 架空配電 |
| ★事故の頻度 | ★★少ない(自然災害に強い) | ★★多い(風・雷・樹木) |
| ★1回あたりの停電時間 | ★★長い | ★★短い |
| ★総合的な信頼度 | ★★高い | ★普通 |
この2つを混ぜると、選択肢の判断を誤ります——(4)と(5)は別のことを言っているのです。
(4)は「事故が起きにくい」ので正しい——台風でも樹木が触れないから。
(5)は「起きたときの復旧」の話で誤り——むしろ長くかかるのです。
だから問題文を読むとき、頻度の話か時間の話かを見分けます。
⚠️ よくある間違い
(4)と(5)を同じ話と考える——事故の頻度と復旧時間は別です。
(2)の建設費を安いと考える——掘削があるので高いのです。
(3)のスペースを不要と考える——地上用変圧器を置く場所が要る。
(1)の景観を欠点と考える——地中化の代表的な利点です。
誤りを選ぶ問題であることを見落とす——設問をよく読みましょう。
⏱️ 本番での進め方
①★地中配電=事故は少ないが復旧は遅い。
②★「短時間で済む」は逆で誤り。
③★景観・信頼度が利点、費用・スペース・復旧が欠点。
④★頻度の話か時間の話かを見分ける。
💡 覚え方
「起きにくいが、起きると長い」——地中配電の性格をこの一言で覚えます。掘らないと直せない——だから時間がかかるのです。
地中配電の得失は平成27年度 A問題11(配電:地中配電線路の得失)でも問われています。
故障点を探す2つの方法
掘る前に、どこが悪いのかを絞り込みます。
| 方法 | やり方 | 向いている事故 |
| ★★マーレーループ法 | ★★ブリッジ回路の平衡から距離を計算する | ★★地絡・短絡(健全相が要る) |
| ★★パルスレーダ法 | ★★パルスを送って反射が戻る時間を測る | ★★断線 |
マーレーループ法は、抵抗の比から距離を求めます——健全な相と組んでブリッジを作るのです。
パルスレーダ法は、音の反響を測るようなものです——往復の時間から距離が出るのです。
どちらも位置の推定であって、正確ではありません——だから掘ってから探すことになるのです。
架空線なら巡視だけで済むのと、大きな違いです——これが復旧時間の差になります。
地中化にかかる費用の中身
(2)が正しいことは、内訳を見ると納得できます。
| 項目 | 内容 | 架空にはあるか |
| ★掘削と埋め戻し | ★★道路を掘り、舗装を復旧する | ★★ない |
| ★管路・マンホール | ★★ケーブルを通す道を造る | ★★ない |
| ★ケーブル | ★★絶縁体と遮へい層があり高価 | ★裸電線なので安い |
| ★地上機器 | ★★変圧器を収める箱が要る | ★電柱に載せるだけ |
電線そのものより、道を造る費用のほうが大きい——土木工事だからです。
しかも道路を掘るには許可と交通規制が要ります——時間も費用もかかるのです。
だから建設費は架空の何倍にもなります——(2)は正しい記述です。
同じ理由で、復旧のときも費用と時間がかかります——(5)の判断につながるのです。
地上に置く機器
(3)のスペースが必要な理由です。
| 機器 | 役目 | 置き場所 |
| ★★地上用変圧器 | ★★高圧を低圧に落とす | ★★歩道や敷地の一角 |
| ★開閉器 | ★★区分と切り替えを行う | ★同じく地上の箱 |
| ★分岐装置 | ★★各戸への引込みを分ける | ★地上または地中の箱 |
架空なら電柱の上に載せられます——地面を使わないのです。
地中化すると、それらを地上に置くしかありません——水没や点検の都合があるから。
だから歩道に大きな箱が並ぶことになります——景観を良くしたはずが箱が増えるのです。
この矛盾が、地中化の難しさの一つです——(3)は正しい記述になります。
誤り選択問題を速く解く順序
知っている選択肢から消していきます。
| 段階 | 行うこと | 本問では |
| ★① | ★★明らかに正しい選択肢を消す | ★★(1)景観・(2)建設費 |
| ★② | ★★残りを比べて違和感を探す | ★★(4)と(5)が逆のことを言っている |
| ★③ | ★★言い切りや逆転の表現を疑う | ★★(5)の「短時間で済む」 |
地中化の利点と欠点は、常識で判断できるものが多い——景観が良くなるのは当たり前です。
迷ったら、逆のことを言っていないかを確かめます——誤りは逆転で作られるのです。
本問は(5)がまさにそれ——「長時間」を「短時間」にすり替えているのです。
この型を知っていれば、数十秒で解けます——時間を計算問題に回せるのです。
停電時間で見る信頼度
信頼度は2つの数字で表されます。
| 指標 | 意味 | 地中配電では |
| ★停電回数 | ★★1年に何回停電するか | ★★少ない |
| ★1回あたりの停電時間 | ★★1回の停電が何分続くか | ★★長い |
年間の停電時間は、この2つを掛けたものです——回数×1回の長さ。
地中は回数が大きく減るので、総合では有利になります——だから(4)は正しいのです。
けれども1回の長さでは不利です——だから(5)は誤りになります。
2つの数字を分けて考えれば、迷いません——それが本問の要点です。
地中化を後押しする法律
近年は国の方針として進められています。
| 項目 | 内容 |
| ★無電柱化推進法 | ★★2016年に成立し、国と自治体に計画づくりを求める |
| ★新設道路 | ★★原則として電柱を建てさせない区間を設ける |
| ★費用の低減 | ★★浅く埋める・小型機器を使うなどの工法を採用 |
費用の高さが最大の壁なので、工法の工夫が進んでいます——浅層埋設や小型ボックスです。
それでも架空より高いことに変わりはありません——(2)は今も正しいのです。
まとめ
| 誤り | (5) 復旧は架空より長時間(短時間は誤り) |
| 景観 | 地中化で街並み向上(1) |
| 建設費 | 架空より高額(2) |
| スペース | 歩道等に変圧器スペース必要(3) |
| 信頼度 | 事故が発生しにくく高い(4) |
| 答え | (5) |
▼あわせて解きたい関連問題
・地中配電線路の得失(配電26):【電力】平成27年度 A問題11
・地中配電線路の機器(配電22):【電力】平成28年度 A問題11

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