今回は平成21年度 電力科目 A問題13、配電設備や屋内設備における特徴a〜dから誤りが二つある組合せを選ぶ問題です。変電所の保護装置・非接地方式・引込線のヒューズ・漏電遮断器と、保護の知識が総登場します。
誤りはaとc。a「保護のために断路器を設置」は誤りで、断路器は事故電流を遮断できず保護用ではありません(保護は継電器+遮断器)。c「低圧引込線のヒューズは地絡保護が主目的」も誤りで、ケッチヒューズは短絡保護が主目的です。
平成21年度 電力科目 A問題13:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題13
電験3種 電力科目 【配電】 平成21年度 A問題13
次のa〜dは配電設備や屋内設備における特徴に関する記述で、誤っているものが二つある。それらの組み合わせは次のうちどれか。
a 配電用変電所において、過電流及び地絡保護のために設置されているのは、継電器、遮断器及び断路器である。
b 高圧配電線は大部分、中性点が非接地方式の放射状系統が多い。そのため経済的で簡便な保護方式が適用できる。
c 架空低圧引込線には引込用ビニル絶縁電線(DV電線)が用いられ、地絡保護を主目的にヒューズが取り付けてある。
d 低圧受電設備の地絡保護装置として、電路の零相電流を検出し遮断する漏電遮断器が一般的に取り付けられている。
(1) aとb (2) aとc (3) bとc (4) bとd (5) cとd

答えは(2):aとcが誤り
4つの記述を1つずつ確かめます。
| 記述 | 正誤 | 決め手 |
| ★★a 保護装置に断路器を含める | ★★誤 | ★★断路器は事故電流を切れない |
| ★b 非接地の放射状系統 | ★正 | ★経済的で簡便な保護ができる |
| ★★c ヒューズは地絡保護が主目的 | ★★誤 | ★★ケッチヒューズは短絡保護 |
| ★d 漏電遮断器は零相電流で地絡保護 | ★正 | ★低圧受電設備の標準 |
断路器が保護用でない理由
| 遮断器 | 断路器 | |
| ★消弧装置 | ★★ある | ★★ない |
| ★切れる電流 | ★★事故電流も切れる | ★★無電流のときだけ |
| ★役目 | ★★事故時に回路を切り離す | ★★保守時に確実に切り離す |
| ★操作の順序 | ★★先に開く | ★★遮断器を開いた後に開く |
断路器にはアークを消す装置がありません——電流が流れたまま開くと危険です。
だから必ず遮断器を開いてから操作します——順序が決まっているのです。
役目は「目に見える形で切り離す」ことです——作業の安全を確かめるため。
保護をするのは継電器と遮断器の組——だから記述aは誤りです。
ヒューズは短絡、漏電遮断器は地絡
| 装置 | 守る事故 | 検出するもの |
| ★★ケッチヒューズ | ★★短絡 | ★★大きな電流による発熱 |
| ★★漏電遮断器 | ★★地絡(漏電) | ★★行きと帰りの電流の差(零相電流) |
短絡は大電流なので、溶けるヒューズで足ります——単純で確実です。
地絡はわずかな電流なので、ヒューズでは切れません——数十ミリアンペアのこともあるから。
だから行きと帰りの電流の差を測ります——差があれば、どこかへ漏れているのです。
役目が違うので、両方が必要です——記述cはそこを取り違えているのです。
⚠️ よくある間違い
aを正しいと考える——断路器は保護用ではありません。
cを正しいと考える——ケッチヒューズは短絡保護です。
bを誤りと考える——非接地の放射状は日本の標準。
dを誤りと考える——零相電流で地絡を検出します。
誤りが2つという条件を見落とす——1つ見つけて止めないこと。
⏱️ 本番での進め方
①★保護は継電器+遮断器。断路器は保守用。
②★ケッチヒューズは短絡保護が主目的。
③★漏電遮断器は零相電流で地絡を検出。
④★誤りが2つの問題は、確実な1つから絞る。
💡 覚え方
「断路器は切り離すだけ、切るのは遮断器」——消弧装置の有無で決まります。ヒューズは短絡、漏電遮断器は地絡——役目が違うのです。
配電系統の保護装置は令和3年度 A問題13(配電:高低圧配電系統の保護)にあります。
放射状系統だから保護が簡単になる
記述bの「経済的で簡便」の理由です。
| 放射状(樹枝状) | ループ・ネットワーク | |
| ★電流の向き | ★★変電所から需要家へ一方向 | ★★両方向に流れうる |
| ★保護継電器 | ★★向きを考えなくてよい | ★★方向継電器が要る |
| ★費用 | ★★安い | ★★高い |
電流が一方向なら、大きさだけ見れば足ります——装置が簡単になるのです。
両方向に流れる系統では、向きも見る必要があります——装置が複雑になるのです。
そのうえ非接地なので地絡電流も小さい——機器への負担が軽いのです。
だから記述bは正しい——日本の配電の標準的な構成です。
漏電遮断器が漏れを見つけるしくみ
記述dの「零相電流を検出」の意味です。
| 状態 | 行きの電流 | 帰りの電流 | 差 |
| ★正常 | ★★10 A | ★★10 A | ★★ゼロ |
| ★★漏電 | ★★10 A | ★★9.97 A | ★★30 mA(大地へ漏れた分) |
正常なら、行った電流はそのまま帰ってきます——差はゼロです。
どこかで大地へ漏れると、帰りが少なくなります——その差が漏電電流です。
差が30 mA を超えると遮断します——人が感電しても致命傷にならない値です。
行きと帰りをまとめて1つの鉄心に通すと、差だけが現れます——それが零相変流器です。
低圧引込線を守るのは何か
記述cの誤りを、役割分担から確かめます。
| 守るもの | 短絡保護 | 地絡保護 |
| ★低圧引込線 | ★★ケッチヒューズ | ★★(担当しない) |
| ★屋内配線 | ★★配線用遮断器 | ★★漏電遮断器 |
| ★柱上変圧器 | ★★高圧カットアウト | ★★(高圧側で別途) |
短絡と地絡では、電流の大きさがまるで違います——だから守る装置も違うのです。
ケッチヒューズは、大電流で溶ける単純な部品です——わずかな漏電では溶けないのです。
地絡を捉えるには、行きと帰りの差を見る必要があります——それは漏電遮断器の仕事です。
だから記述cの「地絡保護を主目的に」は誤り——DV電線の部分は正しいのですが。
誤りが2つある問題の進め方
1つ見つけて満足しないことが大切です。
| 段階 | 行うこと | 本問では |
| ★① | ★★確実に誤りと分かるものを1つ決める | ★★aの断路器 |
| ★② | ★★それを含む選択肢に絞る | ★★(1)aとb・(2)aとc |
| ★③ | ★★残りの候補だけを判定する | ★★bとcのどちらが誤りか |
| ★④ | ★★1つに決める | ★★cが誤りなので(2) |
4つすべてを判定する必要はありません——1つ決まれば候補が2つに減るのです。
断路器が保護用でないことは、はっきり分かります——そこから始めるのがこつ。
あとはbとcを比べるだけです——bは日本の配電の標準なので正しい。
だから誤りはaとc——手順どおりで答えが出ます。
配電用変電所にある機器を並べる
記述aの判断に必要な知識です。
| 機器 | 役目 | 保護用か |
| ★★保護継電器 | ★★事故を検出して指令を出す | ★★保護用 |
| ★★遮断器 | ★★指令を受けて事故電流を切る | ★★保護用 |
| ★断路器 | ★★保守時に回路を切り離す | ★★保護用ではない |
| ★計器用変成器 | ★★電圧・電流を継電器に送る | ★保護を助ける |
保護とは、事故を検出して切り離すことです——継電器と遮断器の組で成り立ちます。
断路器はその働きに加わりません——事故電流を切れないから。
けれども変電所には必ずあります——保守の安全に欠かせないのです。
「あるかどうか」と「保護用かどうか」は別——記述aはそこを混ぜているのです。
屋内設備の保護装置
記述dは低圧受電設備の話です。
| 装置 | 守る事故 | どこに付くか |
| ★★漏電遮断器 | ★★地絡(漏電) | ★★分電盤の主幹 |
| ★配線用遮断器 | ★★短絡・過負荷 | ★★分岐回路ごと |
| ★接地工事 | ★★感電の防止 | ★★機器の金属部分 |
分電盤を開けると、この2つが並んでいます——主幹が漏電遮断器です。
漏電遮断器は、テストボタンで動作を確かめられます——わざと差を作るのです。
接地工事と組み合わせることで、感電を防ぎます——片方だけでは不十分なのです。
だから記述dは正しい——低圧受電設備の標準的な構成です。
まとめ
| 誤り | (2) aとc |
| a | 保護は継電器+遮断器(断路器は不可)=誤 |
| c | 低圧引込線ヒューズは短絡保護(地絡でない)=誤 |
| b | 非接地放射状で簡便な保護=正 |
| d | 漏電遮断器は零相電流で地絡保護=正 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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