配電25【電験3種 電力】保護協調は需要家側が先に動作!「変電所が先」は誤り 平成27年度 A問題6 完全解説

電験3種 電力科目 配電 平成27年度 A問題6 先に動くのは需要家側!保護協調の大原則

今回は平成27年度 電力科目 A問題6保護リレーの誤り選択問題です。保護リレーの役割・過電流リレー・差動リレー・後備保護・保護協調と、系統保護の基本が総登場します。

決め手は保護協調の動作順序。高圧需要家の構内事故では、事故点に近い需要家の保護リレーが配電用変電所より先に動作して切り離すべきです。「変電所の保護リレーが先に動作」は逆で、他の健全需要家まで停電させてしまうため誤りです。

目次

平成27年度 電力科目 A問題6:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 配電 平成27年度 A問題6 問題文
平成27年度 電力科目 A問題6 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題6

電験3種 電力科目 【配電】 平成27年度 A問題6

 保護リレーに関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 保護リレーは電力系統に事故が発生したとき、事故を検出し、事故の位置や種類を識別して、事故箇所を系統から直ちに切り離す指令を出して遮断器を動作させる制御装置である。

(2) 高圧配電線路に短絡事故が発生した場合、配電用変電所に設けた過電流リレーで事故を検出し、遮断器に切り離し指令を出し事故電流を遮断する。

(3) 変圧器の保護に最も一般的に適用される電気式リレーは、変圧器の一次側と二次側の電流の差から異常を検出する差動リレーである。

(4) 後備保護は、主保護不動作や遮断器不良など、何らかの原因で事故が継続する場合に備え、最終的に事故除去する補完保護である。

(5) 高圧需要家に構内事故が発生した場合、同需要家の保護リレーよりも先に配電用変電所の保護リレーが動作して遮断器に切り離し指令を出すことで、確実に事故を除去する。

答え誤っているのは(5)です。

答えは(5):需要家側が先に動作するべき

保護協調の原則は「下位が先」です

選択肢正誤要点
★(1) 保護リレーの役目★正しい★検出・識別して遮断器に指令
★(2) 過電流リレーで短絡を検出★正しい★配電線の短絡保護
★(3) 変圧器は差動リレー★正しい★一次と二次の電流の差を見る
★(4) 後備保護は補完★正しい★主保護が働かないときの備え
★★(5) 変電所が先に動作★★誤り★★需要家側が先に動くべき

保護協調が守る2つの原則

原則内容守らないと
★★選択性★★事故点に最も近い装置だけが動く★★健全な需要家まで停電する
★★時間協調★★下位ほど早く、上位ほど遅く動作する★★上位が先に動いてしまう

需要家の構内で事故が起きたとします——その需要家だけを切り離したいのです。

変電所が先に動くと、同じ配電線の全戸が停電します——数百軒が巻き添えになります。

だから需要家の保護リレーを早く動作させます——時限を短く整定するのです。

これを波及事故の防止といいます——需要家に課せられた義務でもあります。

主保護と後備保護

主保護後備保護
★動作の順★★最初に動く★★主保護が動かないとき
★時限★★短い(瞬時に近い)★★長め(待ってから動く)
★切り離す範囲★★事故点だけ★★やや広い範囲
★役目★★ふだんの保護★★最後の砦

装置は必ず故障しうるという前提に立ちます——だから二重に備えるのです。

主保護が働かなければ、少し遅れて後備保護が動きます——停電範囲は広がるが事故は除去される

その「待つ時間」が時間協調の余裕でもあります——だから時限が長めなのです。

記述(4)はそのことを正しく述べています

⚠️ よくある間違い
(5)を正しいと考える——下位(需要家側)が先に動作します
(3)を比率差動でないから誤りとする——差動リレーで正しいです。
(4)の後備保護を不要と考える——主保護の不動作に備えます
(2)の過電流リレーを地絡用と考える——短絡の保護です。
「確実に事故を除去する」に納得してしまう——除去できても範囲が広すぎるのです。

⏱️ 本番での進め方
①★保護協調は「事故点に近い下位が先に動く」。
②★変電所が先に動くのは波及事故そのもの。
③★短絡は過電流リレー、変圧器内部は差動リレー。
④★後備保護は主保護不動作に備える最後の砦。

💡 覚え方
「下位が先、上位が後」——それが保護協調です。変電所が先に動けば全戸が停電——だから(5)は誤りなのです。

配電系統の保護装置は令和3年度 A問題13配電:高低圧配電系統の保護)にあります。

差動リレーが変圧器を守るしくみ

状態一次側の電流二次側の電流
★正常★★巻数比どおり★★巻数比どおり★★ゼロ
★外部事故★★大きい★★大きい★★ゼロ(動作しない)
★★内部事故★★大きい★★釣り合わない★★現れる(動作する)

入った電流と出た電流を比べます——合わなければ中で漏れているのです。

外の事故では両方が同じだけ増えるので動きません——選択性が保たれるのです。

だから変圧器の内部故障だけを捉えられます——(3)は正しい記述です。

過電流リレーの整定

整定する項目意味
★電流タップ★★何アンペアから動作させるか
★時限(タイムレバー)★★動作するまでの時間
★瞬時要素★★大電流なら待たずに動作させる

負荷電流では動かず、短絡電流では動く値に決めます——その間に設定するのです。

時限を上位ほど長くすることで、時間協調をとります——下位が先に動くのです。

需要家に求められる保護

装置役目略号
★★地絡方向継電器付き高圧交流負荷開閉器★★構内の地絡を検出して切り離す★DGR付きPAS・UGS
★過電流継電器★★構内の短絡・過負荷を検出する★OCR
★真空遮断器★★指令を受けて事故電流を切る★VCB

高圧需要家は、構内の事故を自分で切り離す義務があります——波及事故を起こさないためです。

そのために引込口にDGR付きPASなどを設けます——電力会社より先に動くのです。

これが(5)が誤りである実務上の理由でもあります

保護リレーが「識別」するということ

識別する内容使う情報
★事故の種類(短絡か地絡か)★★線電流か零相電流か
★事故の位置(構内か構外か)★★零相電流と零相電圧の位相
★事故の方向★★電力の向き

ただ大きな電流を検出するだけでは足りません——どこで何が起きたかを見分けるのです。

だから記述(1)は「位置や種類を識別して」と書いています——保護リレーの本質です。

時間協調をどうやってとるか

位置動作時限の目安ねらい
★需要家の引込口★★最も短い★★真っ先に動く
★配電線の区分開閉器★★中くらい★下位が動くのを待つ
★配電用変電所の遮断器★★最も長い★★最後の砦として動く

下位ほど時限を短く、上位ほど長く整定します——階段状に差をつけるのです。

差が小さすぎると、上位も一緒に動いてしまいます——だから余裕をとるのです。

差が大きすぎると、事故が長く続いて被害が広がります——ほどよい値を選ぶのです。

これが保護協調の整定という作業です

リレーの種類を事故の型で覚える

事故の型使うリレー検出するもの
★短絡・過負荷★★過電流リレー★★線電流の大きさ
★地絡★★地絡(方向)リレー★★零相電流と零相電圧
★変圧器の内部故障★★差動リレー★★一次と二次の電流の差
★逆電力★★電力方向リレー★★電力の向き

事故の型ごとに、見るべき量が違います——だからリレーも違うのです。

この対応を覚えておけば、選択肢の正誤が判断できます

波及事故を起こすとどうなるか

段階起きること
★需要家の構内で事故が起きる
★②★★需要家の保護装置が動かない
★③★★変電所の遮断器が動作する
★④★★同じ配電線の全需要家が停電する
★⑤★★原因を作った需要家が責任を問われる

だから高圧需要家は、保護装置の点検が義務になっています——電気主任技術者の仕事です。

記述(5)は、この波及事故そのものを述べています——避けたい状態なのです。

だから誤りだと判断できます

リレーと遮断器は組で働く

役割担当する機器できないこと
★事故を見つける★★保護リレー★★電流を切ることはできない
★指令を伝える★★制御回路★—
★電流を切る★★遮断器★★自分では事故を判断できない

リレーは判断し、遮断器は実行します——役割が分かれているのです。

どちらが欠けても保護は成り立ちません——だから記述(1)は両方に触れているのです。

制御電源が失われると動作しない点にも注意が要ります——だから蓄電池を備えるのです。

まとめ

誤り(5) 需要家側が先に動作(変電所が先は誤り)
保護リレー事故検出→遮断器に切り離し指令(1)
過電流リレー高圧配電線の短絡保護(2)
差動リレー変圧器の一次二次電流差で検出(3)
後備保護主保護不動作時の補完(4)
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
・配電系統の保護協調(配電16):【電力】令和3年度 A問題13
・高低圧配電系統の保護(配電20):【電力】平成29年度 A問題12

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