今回は平成24年度 電力科目 A問題4を解説します。0.01kgのウラン235が核分裂して0.09%の質量欠損が生じたとき、同じ熱を得るのに必要な重油の量[L]を求める問題です。重油発熱量は43000kJ/Lとします。
E=mc²シリーズの平成24年版。今回はウランが0.01kg(10g)で、発熱量がkJ/L(体積あたり)。手順はいつもの質量欠損→×9×10¹⁶→kJ→発熱量で割るで変わりません。
平成24年度 電力科目 A問題4:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題4
電験3種 電力科目 【原子力】 平成24年度 A問題4
0.01[kg]のウラン235が核分裂するときに0.09[%]の質量欠損が生じるとする。これにより発生するエネルギーと同じだけの熱を得るのに必要な重油の量[l]の値として、最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、重油発熱量を43000[kJ/l]とする。
(1)950 (2)1 900 (3)9 500 (4)19 000 (5)38 000 L

質量が kg で与えられている
本問は最初から kg——単位換算の手間がありません。
★そのまま kg
★8.1×10¹¹ J
0.01 kg=10 g のウランから、8.1×1011 J——1 g なら8.1×1010 Jですから、その10倍です。
重油の発熱量は体積あたり
本問の43,000 kJ/L は、1リットルあたりの発熱量——質量あたりではありません。
| 表し方 | 単位 | 求まるもの |
| ★質量あたり | ★kJ/kg | ★燃料の重さ[kg] |
| ★体積あたり | ★kJ/L | ★燃料の体積[L] |
問題文が「重油の量[L]」と問うているので体積あたり——単位を見れば、何が求まるか分かります。
★÷10³
★約19,000 L
ドラム缶(200 L)で約94本——それが10 g のウランに相当します。
この型の出題パターン
E=mc² の問題は、繰り返し形を変えて出題されています。
| 年度 | 与えられる質量 | 換算先 | 答え |
| ★平成23年度 A4 | ★燃料1 kg(濃縮度3 %) | ★エネルギーそのもの | ★2.43×1012 J |
| ★平成24年度 A4 | ★ウラン0.01 kg | ★重油[L] | ★19,000 L |
| ★令和元年度 A4 | ★ウラン1 g | ★石炭[kg](2.51×104) | ★3,200 kg |
| ★令和6年度上期 A4 | ★ウラン1 g | ★石炭[kg](25,000) | ★3,200 kg |
与えられる質量と、換算先の燃料が変わるだけ——骨格はいつも同じです。
| 順 | やること | 注意 |
| ① | 核分裂する質量を求める | ★濃縮度が与えられたら掛ける |
| ② | 質量欠損=質量×0.09 % | ★0.0009 を掛ける |
| ③ | kg に直す | ★g のままだと1000倍ずれる |
| ④ | E=mc²(c²=9×1016) | ★答えは J |
| ⑤ | 燃料の発熱量で割る | ★J を kJ に直してから |
本問は①が不要(濃縮度が与えられない)で③も不要(最初から kg)——最も手数が少ない形だと言えます。
⚠️ よくある間違い
質量を g に直してしまう——0.01 kg=10 g ですが、E=mc² は kg で計算します。わざわざ直す必要はありません。
J を kJ に直し忘れる——8.1×1011/43,000=1.88×107となって桁が3つずれます。
0.09 % を0.9 % と読む——答えが10倍の190,000 L になります。選択肢にないので気づけます。
c を2乗し忘れる——9×10-6×3×108=2,700。桁が大きく外れます。
選択肢が2倍刻み(950/1,900/9,500/19,000/38,000)——桁の誤りが素直に現れる作りになっています。
⏱️ 本番での進め方
①★c²=9×1016。この値を覚えておく。
②★kJ/L なら体積[L]、kJ/kg なら質量[kg]が求まる。
③J → kJ は÷10³。発熱量の単位に合わせる。
④質量が kg で与えられていれば、そのまま使える。
💡 覚え方
「単位を見れば答えの単位が分かる」——kJ/L で割れば L が出ます。c²=9×1016 と÷10³——この2つで解けます。
同じ型の問題が令和元年度 A問題4(原子力:E=mc²で石炭換算)、令和6年度上期 A問題4(原子力:E=mc²で石炭換算)にあります。
重油の発熱量の表し方
燃料の発熱量は、質量あたりと体積あたりの2通りで表されます。
| 燃料 | 質量あたり | 体積あたり |
| ★重油 | 約44,000 kJ/kg | ★約43,000 kJ/L |
| 石炭 | 25,000〜34,000 kJ/kg | —(固体なので使わない) |
| LNG | 約54,700 kJ/kg | — |
液体燃料は体積で取引されることが多い——だからリットルあたりの値もよく使われます。
★重油の密度
重油の密度は約0.98 kg/L——水よりわずかに軽いのです。
だから kJ/kg と kJ/L の値が近くなります——44,000 と43,000 という数字の関係がそこから来ています。
求める単位から逆算する
問題文が[L]を問うている——だから kJ/L で割るのです。
もし[kg]を問われていたら、44,000 kJ/kg で割る——与えられた発熱量の単位が、そのまま答えの単位を決めます。
計算を始める前に、単位を確かめる——それだけで方針が定まります。
要点をもう一度
0.01 kg の0.09 % =9×10-6 kg——最初から kg なので換算は不要です。
E=9×10-6×9×1016=8.1×1011 J——kJ に直して43,000 で割ると約19,000 L になります。
発熱量が kJ/L なので答えは L——単位が答えの形を決めています。
桁を確かめる習慣
| 確認すること | 本問では |
| ★質量の単位 | ★kg か g か |
| ★エネルギーの単位 | ★J か kJ か |
| ★発熱量の単位 | ★kJ/kg か kJ/L か |
3か所すべてで単位を確かめる——1つ間違えると1000倍ずれます。
選択肢が2倍刻みで並んでいる——桁の誤りが素直に現れる作りです。
計算そのものは掛け算と割り算だけ——確実に得点したい問題でしょう。
ウランと重油を並べて見る
本問の結果から、エネルギー密度の差が読み取れます。
| 燃料 | 本問での量 | 同じエネルギー |
| ★ウラン235 | ★0.01 kg(10 g) | ★8.1×1011 J |
| ★重油 | ★約19,000 L | ★同じ |
★約18.6 t
★約186万倍
質量で比べると約186万倍——桁が6つ違います。
化学反応は電子のやりとり、核分裂は原子核の変化——結びつきの強さがまったく違うのです。
だから原子力は燃料の輸送も貯蔵も負担が小さい——数年分をまとめて備蓄できます。
まとめ
| 質量欠損 | Δm=0.01×0.0009=9×10⁻⁶kg |
| エネルギー | E=9×10⁻⁶×9×10¹⁶=8.1×10¹¹J |
| kJへ | 8.1×10⁸kJ |
| 重油換算 | 8.1×10⁸/43000≒18837L |
| 答え | ≒19000L→(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
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