地中送電26【電験3種 電力】CVTは熱放散よく許容電流大・熱伸縮を吸収し曲げやすい 平成19年度 A問題11 完全解説

電験3種 電力科目 地中送電 平成19年度 A問題11 CVTは3本バラで熱を逃がす!曲げやすさも利点

今回は平成19年度 電力科目 A問題11CVTケーブルを3心共通シース形CVケーブル(CV-3C)と比較する空欄補充問題です。cb2・cb13で登場した「CVT=熱抵抗小・容量大・作業性良」を、空欄で正確に言えるかが問われます。

CVT(トリプレックス形)は単心CVケーブル3条をより合わせた構造。3心共通シース形と違って心線間の介在物がなく各心が独立しているため、熱放散が良く許容電流を大きくとれ、熱伸縮を吸収しやすく、軽くて曲げやすい——4つの利点がそのまま4つの空欄になっています。

目次

平成19年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 地中送電 平成19年度 A問題11 問題文
平成19年度 電力科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11

電験3種 電力科目 【地中送電】 平成19年度 A問題11

 CVTケーブルのCV-3Cケーブル(3心共通シース形)と比較した特徴に関する記述の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句の組合せを選ぶ問題である(正解の組合せ:(ア)熱放散・(イ)許容電流・(ウ)熱伸縮・(エ)曲げ)。

CVTケーブルは、3心共通シース形CVケーブルと比較して、(ア)が大きくなるため、(イ)を大きくとることができる。また、(ウ)の吸収が容易であり、(エ)やすいため、接続箇所のマンホール設計寸法を縮小化できる——という趣旨の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句の組合せを選ぶ。

※選択肢は5つの組合せ表(原文の表は省略。正解の組合せは下記解説を参照)。

答え正しい組合せは (2)です。

答えは(2):熱放散・許容電流・熱伸縮・曲げ

空欄入る語理由
★(ア)★★熱放散★介在物がないので熱が逃げやすい
★(イ)★★許容電流★熱が逃げれば電流を流せる
★(ウ)★★熱伸縮★より合わせ構造が伸び縮みを吸収する
★(エ)★★曲げ★1心ずつ独立しているので柔らかい

4つの利点が、すべて1つの構造から出てきます——介在物がなく、各心が独立していること。

(イ)を「送電電圧」としないことが要点——熱の話なので電流です。

電圧は絶縁体の厚さで決まります——放熱とは関係ありません

CVTとCV-3Cの構造の違い

★CVT(トリプレックス形)★CV-3C(3心共通シース形)
★構造★★単心ケーブル3本をより合わせただけ★★3心をまとめて1つのシースで覆う
★介在物★★ない★★すき間を埋める介在物がある
★外形★三つ葉状★円形
★熱放散★★良い★★悪い
★取り扱い★★1心ずつ扱える★★3心まとめてしか扱えない

CV-3Cは、3心のすき間に介在物を詰めて円くします——その介在物が熱を閉じ込めるのです。

CVTには介在物がないので、外気に触れる面積が大きい——だから熱がよく逃げます

より合わせただけなので、必要なら1心ずつほどけます——端末処理も1心単位でできるのです。

だから接続部が小さくなり、マンホールも小型化できます——問題文の結論はここです。

(ウ) 熱伸縮を吸収するとは

ケーブルは、電流が流れると温まって伸びます

段階起きること
★負荷が増えて導体が温まる
★②★★金属なので熱膨張で伸びる
★③★逃げ場がないと接続部に力がかかる
★④★★CVTならより合わせが緩んで吸収する

まっすぐな管の中では、伸びた分の逃げ場がありません——接続部に力が集中するのです。

CVTはらせん状によられているので、少し緩めば伸びを吸えます——ばねのような働きです。

だから接続部への負担が小さくて済みます——寿命が延びることになります。

CV-3Cはシースで固められているので、この余裕がありません

⚠️ よくある間違い
(イ)を「送電電圧」としてしまう——熱放散が良いと上がるのは許容電流です。電圧は絶縁体の厚さで決まります
CVTとCV-3Cの優劣を逆にしてしまう——CVTのほうが有利です。
(ウ)を「電磁力」としてしまう——問題文は接続部の寸法の話をしています
(エ)を「引っ張り」としてしまう——柔らかさの話なので曲げです。
4つの利点がすべて「介在物なし」から出てくる——1つの構造で覚えられます

⏱️ 本番での進め方
①★CVTの4大利点=放熱・容量・伸縮・柔軟。
②★すべて「介在物なし・各心独立」から出てくる。
③★熱放散が良いと上がるのは許容電流。
④★1心ずつ扱えるので接続部が小さくなる。

💡 覚え方
「介在物がないから全部よい」——放熱も柔らかさも、そこから出てきます電圧は絶縁、電流は熱——この対応で(イ)が決まります

マンホールと布設方式は平成26年度 A問題10地中送電:布設方式)にあります。

CVケーブルという名前

アルファベットが構造を表しています

文字元の語意味
★C★Cross-linked polyethylene★★架橋ポリエチレン絶縁
★V★Vinyl(ポリ塩化ビニル)★★ビニルシース
★T★Triplex★★3本をより合わせた形

架橋ポリエチレンは、分子どうしを橋渡しした樹脂です——熱に強くなるのです。

ふつうのポリエチレンは70 ℃ ほどで軟らかくなります——架橋すれば90 ℃ まで使える

許容温度が上がれば、そのぶん電流を流せます——だからCVが主流になりました

Tが付けば、単心3本をよったトリプレックス形——名前だけで構造が分かるのです。

(ア) 介在物が熱を閉じ込める

CV-3Cの構造上の弱点を見ましょう

段階起きること
★3心を円形にまとめるため、すき間に介在物を詰める
★②★★介在物は繊維や樹脂で熱を通しにくい
★③★★導体の熱が外へ逃げにくくなる
★④★★同じ電流でも温度が高くなる
★⑤★許容温度に達するのが早く、許容電流が小さい

介在物は、形を整えるために必要なものです——けれども熱の面では邪魔になる

CVTには介在物がないので、この問題がありません——3本がそのまま外気に触れるのです。

表面積も、三つ葉状のほうが大きくなります——だから熱がよく逃げることになります。

許容温度は同じ90 ℃ でも、そこに達する電流が違う——それが許容電流の差です。

(エ) 曲げやすさが効いてくる場面

柔らかいと、どこで得をするのでしょうか

場面CVTの利点
★管路に通すとき★★曲がった管でも通しやすい
★マンホール内★★小さく曲げて収められる
★端末処理★★1心ずつ分けて処理できる
★運搬★ドラムに巻きやすい

管路は直線ばかりではありません——道路に沿って曲がるのです。

硬いケーブルは、曲げられる半径に限りがあります——無理に曲げれば絶縁体が傷むから。

CVTは1心ずつほどけるので、小さく曲げられます——だからマンホールが小さくて済む

マンホールが小さくなれば、工事費も下がります——問題文の結論につながるのです。

架橋ポリエチレンが主流になった理由

CVケーブルのCが表す材料です

絶縁体許容温度短所現在
★油浸紙(OFケーブル)★80 ℃ 程度★★油の給油設備が要る★★減っている
★ポリエチレン★70 ℃★★熱に弱い★使われない
★★架橋ポリエチレン★★90 ℃★水トリー劣化★★主流

分子どうしを橋渡しすると、熱で軟らかくなりません——それが架橋という処理です。

許容温度が70 ℃ から90 ℃ に上がりました——そのぶん電流を流せるのです。

油を使わないので、給油設備も漏油の心配も要りません——保守が格段に楽になります。

弱点は水分が入ると起きる水トリー劣化——だから遮水層を設けます

CVTが選ばれる理由をまとめる

4つの利点が、それぞれ実務でどう効くか見ましょう

利点実務での効き方
★熱放散が良い★★同じ太さでより多く送れる
★許容電流が大きい★★細いケーブルで済み材料費が下がる
★熱伸縮を吸収する★★接続部が傷まず寿命が延びる
★曲げやすい★★マンホールが小さくなり工事費が下がる

どれも費用に直結しています——だからCVTが標準になりました

構造としては、単心3本をよっただけの単純なもの——作るのも簡単です。

単純な工夫が、大きな差を生んでいます——介在物をなくしただけなのに。

いまでは配電用も送電用もCVTが主流——CV-3Cは特別な場合に限られます

まとめ

(ア)熱放散(介在物なしで良好)
(イ)許容電流(熱放散良→大きくとれる)
(ウ)熱伸縮(より合わせで吸収容易)
(エ)曲げ(軽量・1心単位で扱える)
効果接続箇所のマンホール寸法を縮小化
答え(2)

▼あわせて解きたい関連問題
・CVTの基本(地中送電2):【電力】令和7年度上期 A問題10
・ケーブル各種の比較(地中送電13):【電力】平成30年度 A問題11

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