架空送電40【電験3種 電力】がいしの性能に「系統短絡電流」は無関係!性能4要素で整理 平成18年度 A問題7 完全解説

電験3種 電力科目 架空送電 平成18年度 A問題7 がいしに短絡電流は関係ない!性能4要素を整理

今回は平成18年度 電力科目 A問題7、送配電線路に使用するがいしの性能を表す要素として「特に関係のないもの」を選ぶ問題です。架空送電ユニットの締めくくりとして、がいしに求められる性能を整理しましょう。

がいしの性能4要素:①フラッシオーバ電圧(表面・気中の放電開始電圧=絶縁性能の代表値)②油中破壊電圧(絶縁油中で測る磁器自体の貫通破壊強度)③汚損特性(塩害への強さ)④機械的強度(電線の張力・風雪に耐える)。系統短絡電流は系統全体の特性で、がいし単体の性能とは無関係です。

目次

特に関係のないのは(1):系統短絡電流

系統短絡電流は、系統の電源容量とインピーダンスで決まる量です——がいし1個の性能を表すものではありません

項目何の量か意味
★系統短絡電流★★系統全体★短絡したときに流れる電流の大きさ
★フラッシオーバ電圧★★がいし★表面を伝って放電する電圧

油中破壊電圧は、がいしの磁器体を絶縁油に浸して測る貫通破壊の強さ——れっきとした がいしの試験項目です。

短絡電流の大きさは系統の構成で決まります——だから「特に関係のない事項」です。

問われているのが「がいしの性能を表す要素」——そこを読み取れば選べます

平成18年度 電力科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 電力科目 架空送電 平成18年度 A問題7 問題文
平成18年度 電力科目 A問題7 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題7

電験3種 電力科目 【架空送電】 平成18年度 A問題7

 送配電線路に使用するがいしの性能を表す要素として、特に関係のない事項は次のうちどれか。

(1)系統短絡電流 (2)フラッシオーバ電圧 (3)汚損特性 (4)油中破壊電圧 (5)機械的強度

答え特に関係のない事項は (1)です。

がいしに求められる性能

性能内容試験
★フラッシオーバ電圧★表面を伝って放電する電圧★乾燥・注水の各状態で測る
★汚損特性★塩分や塵埃が付いたときの絶縁★人工汚損試験
★機械的強度★電線の重さと張力に耐える★引張荷重試験
★耐候性★紫外線・温度変化に劣化しない★長期暴露試験

電気と機械の両方の性能が要ります——電線を支えながら絶縁するからです。

フラッシオーバ電圧は、乾燥時と注水時で測ります——雨のときのほうが低くなるから。

汚損特性は、塩害地域では特に重要——耐塩がいしの選定に使います

機械的強度は、電線の張力に耐えられるかどうか——切れれば断線事故になります

(1) 系統短絡電流との関係

これが答えです——がいし単体の性能ではなく、系統側の条件だからです。

直接の関係間接の関係
★系統短絡電流★がいし自体の性能ではない★★アークホーンの設計に影響する

短絡電流が大きいほど、アークのエネルギーも大きくなります——アークホーンの間隔や材質に影響するのです。

けれども「がいしの性能を表す要素」ではありません——系統側の条件です。

アークホーンの設計に間接的に効くことはあります——それでも「がいしの性能を表す要素」ではないので、(1)が答えです。

「特に関係のない」という問い方は、程度の比較——最も無関係なものを選びます

⚠️ よくある間違い
(4)の油中破壊電圧を選んでしまう——「油=変圧器」と早合点した誤りです。がいしの磁器体を絶縁油に浸して貫通破壊の強さを測る、標準的な試験項目
(2)のフラッシオーバ電圧を疑ってしまう——がいしの最も基本的な性能
(3)の汚損特性を疑ってしまう——塩害対策に直結する重要な性能です。
(5)の機械的強度を疑ってしまう——電線を支えるので必須
「がいし単体の性能か、系統側の条件か」——その線引きで即答できます

⏱️ 本番での進め方
①★問われているのは「がいし単体の性能」かどうか。
②★系統短絡電流は系統側の条件——がいしの性能ではない。
③★がいしの性能はフラッシオーバ電圧・油中破壊電圧・汚損特性・機械的強度。
④電気と機械の両方の性能が求められる。

💡 覚え方
「がいしの性能は4つ——せん絡電圧・油中破壊電圧・汚損特性・機械的強度」系統短絡電流だけが系統側の量——単体の性能か系統の条件かで切り分けます

がいしの塩害と汚損特性は令和3年度 A問題10架空送電:がいしの塩害)にあります。

がいしの種類と使い分け

用途によって形が違います

種類使う場所
★懸垂がいし★皿状のものを連結する★★送電線の吊り下げ
★長幹がいし★1本の長い棒状★★塩害地域
★ピンがいし★柱の上に立てる★配電線
★耐張がいし★張力を受ける形★引留箇所

懸垂がいしは、個数を変えれば任意の電圧に対応できます——だから最も広く使われます

長幹がいしは継ぎ目がないので、汚損に強い——雨で自然に洗われやすい形です。

耐張がいしは、電線の張力をすべて受け止めます——だから機械的強度がとりわけ重要になります。

用途が違えば求められる性能の重みも違う——けれども系統短絡電流は、どの用途でも がいしの性能ではありません

(2) フラッシオーバ電圧の測り方

がいしの絶縁性能は、状態別に測ります

試験状態特徴
★乾燥せん絡電圧★乾いた状態★★最も高い値
★注水せん絡電圧★人工的に雨を降らせる★★2〜3割低くなる
★汚損せん絡電圧★塩分を付けて霧を当てる★★さらに低い
★油中破壊電圧★がいし本体を貫通させる★せん絡電圧より高く設計

雨に濡れると、表面に水の膜ができます——沿面距離が実質的に短くなるのです。

だから注水時のほうが低い値になります——設計はこちらを基準にします

破壊電圧は、せん絡電圧より高くなるよう設計します——貫通するとがいしが割れて交換が必要だから。

表面で放電するなら、電気が消えれば元に戻ります——だから表面で先に放電させるのです。

(5) 機械的強度が問われる場面

がいしは電線の重さをすべて支えます

荷重内容大きさの目安
★電線の自重★径間の半分ずつを負担★数百 kg〜
★風圧★横向きに押される★台風時に最大
★着氷雪★★電線の重さが数倍になる★豪雪地で厳しい
★張力(耐張部)★★電線の張力そのもの★数トンに達する

着氷雪では、電線の重さが何倍にもなります——氷が10 mm 付くだけで大きな荷重です。

だから設計は、最悪の気象条件を想定します——電気的な性能だけでは足りません

懸垂がいしの標準は破壊荷重120 kN 級など——数字で管理されています

電気と機械の両方を満たしてはじめて使える——だから(5)は「関係のある」性能です。

(1) 系統短絡電流とアークホーン

まったく無関係でもない、その関係を見ましょう

段階起きること
★雷でがいし装置がフラッシオーバする
★②★アークホーン間に系統からアークが続く
★③★★流れる電流は系統の短絡電流で決まる
★④★アークのエネルギーでホーンが溶ける

雷は一瞬で去りますが、そのあと系統の電流が流れ続けます——それを続流といいます

短絡電流が大きい系統ほど、アークのエネルギーが大きい——だからホーンを頑丈にする必要があるのです。

けれども、それはがいしではなく金具の設計の話——「がいしの性能を表す要素」ではありません

だから答えは(1)——がいしそのものを測って得られる値ではないのです。

(3) 汚損特性を数値で管理する

汚損の程度は、塩分の量で表します

汚損区分等価塩分付着密度地域
★A(軽汚損)★0.03 mg/cm²★内陸部
★B★0.06 mg/cm²★海岸から数 km
★C★0.12 mg/cm²★海岸に近い
★D(重汚損)★★0.35 mg/cm²★★海岸線・工業地帯

1 cm² あたり何ミリグラムの塩分が付くか——それで区分します

実際には海塩以外の汚れも付くので、食塩に換算して表します——だから「等価」

この数値をもとに、がいしの個数や種類を決めます——設計の入口になる値です。

汚損特性という性能があるからこそ、こう管理できる——だから(3)はがいしの性能そのものになります。

まとめ

無関係(1) 系統短絡電流(系統側の特性)
絶縁・外フラッシオーバ電圧(2)
絶縁・中油中破壊電圧(4)=磁器の貫通破壊強度
汚損汚損特性(3)=塩害への強さ
機械機械的強度(5)=張力・風雪に耐える
答え(1)

▼あわせて解きたい関連問題
・がいしの設計思想(架空送電4):【電力】令和7年度上期 A問題8
・がいしの塩害対策(架空送電15):【電力】令和3年度 A問題10
・短絡電流と%Z(変電41):【電力】平成22年度 B問題16

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