今回は平成23年度 機械科目 A問題11を解説します。ランプ効率・演色性・ランプ寿命・色温度・保守率など、照明用光源の性能評価に関する記述の誤りを見つける問題です。
色温度は光色を表す指標で、同一光色を示す黒体の温度〔K〕で示されますが、色温度が低いほど赤みを帯びて暖かく感じ、高いほど青みを帯びて涼しく感じます。「高いほど赤みを帯び暖かく感じる」とする記述が誤りです。
平成23年度 機械科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成23年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題11
電験3種 機械科目 【照明】 平成23年度 A問題11
照明用光源の性能評価と照明施設に関する記述として,誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.
(1)ランプ効率は,ランプの消費電力に対する光束の比で表され,その単位は〔lm/W〕である.
(2)演色性は,物体の色の見え方を決める光源の性質をいう.光源の演色性は平均演色評価数(Ra)で表される.
(3)ランプ寿命は,ランプが点灯不能になるまでの点灯時間と光束維持率が基準値以下になるまでの点灯時間とのうち短い方の時間で決まる.
(4)色温度は,光源の光色を表す指標で,これと同一の光色を示す黒体の温度〔K〕で示される.色温度が高いほど赤みを帯び,暖かく感じる.
(5)保守率は,照明施設を一定期間使用した後の作業面上の平均照度の,新設時の平均照度に対する比である.なお,照明器具と室の表面の汚れやランプの光束減退によって照度が低下する.
(1)ランプ効率は、ランプの消費電力に対する光束の比で表され、その単位は〔lm/W〕である。
(2)演色性は、物体の色の見え方を決める光源の性質をいう。光源の演色性は平均演色評価数(Ra)で表される。
(3)ランプ寿命は、ランプが点灯不能になるまでの点灯時間と光束維持率が基準値以下になるまでの点灯時間とのうち短い方の時間で決まる。
(4)色温度は、光源の光色を表す指標で、これと同一の光色を示す黒体の温度〔K〕で示される。色温度が高いほど赤みを帯び、暖かく感じる。
(5)保守率は、照明施設を一定期間使用した後の作業面上の平均照度の、新設時の平均照度に対する比である。なお、照明器具と室の表面の汚れやランプの光束減退によって照度が低下する。
誤りは(4):色温度と光色の対応が逆
「色温度が高いほど赤みを帯び、暖かく感じる」——これが逆です。高いほど青白く、涼しく感じます。
| 色温度 | 光源の例 | 光の色 | 感じ方 |
| 約1,900 K | ろうそくの炎 | ★赤み | 暖かい |
| 約2,800 K | 白熱電球 | やや赤み(電球色) | 暖かい |
| 約5,000 K | 昼白色の蛍光灯 | 自然な白 | 中間 |
| 約6,500 K | 昼光色の蛍光灯 | ★青み | 涼しい |
| 約12,000 K | 晴天の青空 | 強い青み | 冷たい |
なぜ高温ほど青いのか——物体を熱していくときの色を思い浮かべてください。鉄はまず赤くなり、さらに熱すると橙、黄、白へと変わります。
温度が上がるほど、放射の山が短い波長(青側)へ移る——これが黒体放射の性質です。色温度とは「その色に見える黒体の温度」ですから、高温=青で当然なのです。
ところが人間の感覚では「赤=暖かい、青=冷たい」——物理と感覚が逆になっているのが、この用語のややこしさです。「暖色は低色温度」と覚えてください。


(1)(2)(3)(5) が正しい理由
(1) ランプ効率
| 光源 | ランプ効率[lm/W] | 特徴 |
| 白熱電球 | ★10〜15 | 大半が熱になる |
| ハロゲン電球 | 15〜25 | 白熱電球の改良形 |
| 蛍光ランプ | 60〜100 | 放電と蛍光体 |
| LED | ★100〜200 | 現在の主流 |
| 高圧ナトリウムランプ | ★120〜150 | 効率は高いが演色性が低い |
白熱電球とLED では10倍以上の差——同じ明るさなら電力が10分の1で済みます。照明が省エネの主戦場になった理由です。
(2) 演色性
演色性は「物の色が自然に見えるか」——平均演色評価数 Ra で表します。
| Ra | 評価 | 例 |
| 100 | ★基準光と同じ | 白熱電球、太陽光 |
| 80〜90 | 良好 | 高演色形の蛍光灯、LED |
| 25程度 | ★低い | 高圧ナトリウムランプ |
効率と演色性は両立しにくい——特定の波長だけを強く出せば効率は上がりますが、色が偏ります。高圧ナトリウムランプが道路照明に使われ、店舗には使われないのはそのためです。
(3) ランプ寿命と(5) 保守率
ランプ寿命は2つの基準の「短いほう」——切れるまでの時間と、暗くなりすぎるまでの時間です。
蛍光ランプは切れる前に暗くなる——だから光束維持率で寿命が決まります。「点くから使える」とは限らないのです。
保守率は光束法の計算にそのまま使われます——設計時に見込んでおくことで、数年後も基準照度を保てるのです。
⚠️ よくある間違い
色温度を「高い=暖色」と覚えてしまうのが最大の誤り——物理的には高温ほど青です。
「白熱電球(2,800 K)は赤っぽい」「昼光色(6,500 K)は青白い」——身近な例で確かめておくと忘れません。
もう1つ、(3)のランプ寿命を「切れるまで」だけと考えない——光束維持率も基準です。「短いほう」という言葉に印を付けて読んでください。
⏱️ 本番での進め方
①★色温度が低い=赤み・暖かい。高い=青み・涼しい。
②ランプ効率=光束÷消費電力[lm/W]。LED は白熱の10倍。
③演色性はRa。100 が基準光と同等。
④寿命は「切れるまで」と「暗くなるまで」の短いほう。
💡 覚え方
「熱すると赤→黄→白→青」——鉄を熱したときの色を思い出せば、高温=青だと分かります。感覚の暖色・寒色とは逆——ここが引っかけの定番です。
測光量の定義は令和5年度上期 A問題12で問われています(照明:光束・照度・光度・光束発散度・輝度)。

光源の種類と使い分け
効率・演色性・寿命は、光源ごとに一長一短——用途で選び分けられています。
| 光源 | 発光の原理 | 主な用途 |
| 白熱電球 | ★フィラメントの温度放射 | (ほぼ生産終了) |
| ハロゲン電球 | 温度放射+ハロゲンサイクル | スポット照明 |
| 蛍光ランプ | ★放電の紫外線を蛍光体で可視光に | 事務所・住宅 |
| 高圧ナトリウムランプ | ナトリウム蒸気の放電 | ★道路・広場 |
| LED | ★半導体の再結合発光 | 現在の主流 |
温度放射は「熱くして光らせる」——だからエネルギーの大半が赤外線になり、効率が上がりません。白熱電球の効率が10 lm/W 台に留まる理由です。
放電やLED は「電子のエネルギーを直接光に変える」——熱を経由しないので効率が高い。これがルミネセンスと呼ばれる発光です。
ハロゲンサイクル
ハロゲン電球は、蒸発したタングステンをハロゲンガスが捕まえ、再びフィラメントへ戻す——これがハロゲンサイクルです。
ガラス管の黒化を防げるので、寿命が延び、光束維持率も高く保てます——より高温で使えるため効率も上がるのが利点になります。
色温度と演色性は別の指標
この2つを混同しないこと——まったく違うことを表しています。
| 色温度 | 演色性 | |
| 表すもの | ★光そのものの色 | ★照らされた物の色の見え方 |
| 単位・記号 | K | Ra(無次元) |
| 高いと | 青白い | 自然に見える |
色温度が高くても演色性が低いことはあります——両者は独立です。「青白いが色が正しく見えない光」も「赤いが色が正しく見える光」も存在する——白熱電球は色温度2,800 K と低いのに Ra=100 がその例です。
照明の省エネはどこまで進んだか
ランプ効率の違いを、実際の電力で比べてみましょう——同じ明るさを得るのに必要な電力です。
| 光源 | 効率[lm/W] | 1,000 lm に必要な電力 |
| 白熱電球 | 12 | ★83 W |
| 蛍光ランプ | 80 | 13 W |
| LED | 150 | ★7 W |
白熱電球からLED へ替えるだけで、電力は約12分の1——照明は電力需要の1〜2割を占めるので、社会全体では大きな削減になります。
さらにLED は寿命も長い——白熱電球の1,000時間に対し、LED は4万時間。交換の手間も40分の1になります。
高所や屋外の照明では、この交換の手間が費用の大半——効率だけでなく寿命も、選定の重要な要素なのです。
まとめ
| (1)〜(3)(5) | 正しい記述 |
| (4)前半 | 色温度の定義は正しい |
| (4)後半 | 「高いほど赤み」が誤り(実際は低いほど赤み) |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
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