今回は平成27年度 機械科目 B問題16を解説します。配光特性I(θ)=I(0)cosθをもつLED1個について、床面A点の照度から鉛直角θA方向の光度I(θA)を逆算する(a)と、直下B点の照度(b)を求める問題です。
A点の照度の式EA=I(θA)cosθA/r²にA点までの距離r=√(1.2²+2.4²)を代入して逆算し、I(θA)からI(0)=I(θA)/cosθAを求め、最後にB点照度EB=I(0)/2.4²を計算します。
平成27年度 機械科目 B問題16:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成27年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題16
電験3種 機械科目 【照明】 平成27年度 B問題16
図に示すように,LED1個が,床面から高さ2.4mの位置で下向きに取り付けられ,点灯している.このLEDの直下方向となす角(鉛直角)をθとすると,このLEDの配光特性(θ方向の光度I(θ))は,LED直下方向光度I(0)を用いてI(θ)=I(0)cosθで表されるものとする.次の(a)及び(b)の問に答えよ.
(a)床面A点における照度が20lxであるとき,A点がつくる鉛直角θAの方向の光度I(θA)の値〔cd〕として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.ただし,このLED以外に光源はなく,天井や壁など,周囲からの反射光の影響もないものとする.
(b)このLED直下の床面B点の照度の値〔lx〕として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.
(1)60 (2)119 (3)144 (4)160 (5)319〔cd〕
(1)25 (2)28 (3)31 (4)49 (5)61〔lx〕

出題のポイント:照度から光度へ逆算する
ふつうは光度から照度を求めますが、本問は逆向き——与えられた照度から光度を求めるのが(a)です。
| 段階 | 求めるもの | 使う関係 |
| ① | A点までの距離と角度 | 三平方の定理 |
| ②(a) | ★斜め方向の光度I(θA) | ★照度の式を逆に解く |
| ③ | 直下方向の光度I(0) | 配光特性 I(θ)=I(0)cosθ |
| ④(b) | 直下B点の照度 | 逆二乗則(cosθ=1) |
「照度→光度→光度→照度」と往復する——一見遠回りに見えますが、配光特性が分からないと直下が求まらないので、この順序しかありません。


(a) 斜め方向の光度
★r2=7.2 のまま使う
高さ/斜距離
★これを逆に解く
★答え
r2=7.2 は根号を外さずに使えます——(√7.2)2=7.2。cosθ を求めるときだけ√7.2=2.683 が必要になります。
選択肢(3)の144 は 20×7.2——cosθ で割るのを忘れた値です。照度の式にcosθ が入っていることを見落とすと、ここに落ちます。
(b) 直下の照度
★配光特性を逆に使う
cosθ=1 なので余弦は不要
★(3)
(a)で161 と求まったら、選択肢の160 に丸めずに計算を続ける——丸めた値を使うと(b)で誤差が出ます。選択肢は「最も近いもの」を選ぶだけで、次の計算には正確な値を使うのが鉄則です。
LED の配光が cosθ になる理由
本問の I(θ)=I(0)cosθ——これはLED に限らず、平らな発光面に共通の性質です。
斜めから見ると、発光面が細長くつぶれて見えます——見かけの面積がcosθ 倍。輝度が一定なら、光度も同じ割合で減ることになります。
| 方向 | 見かけの面積 | 光度 |
| 真下(θ=0) | S | ★I(0)(最大) |
| θ=60° | 0.5S | 0.5 I(0) |
| 真横(θ=90°) | 0 | ★0 |
だから平らな発光面は、真下がいちばん明るく、真横には光が出ません——天井に取り付ける照明として自然な配光だと言えます。
これを完全拡散(ランバート)配光といいます——白い紙が反射する光もこの形。照明の計算でいちばんよく登場する配光です。
実際のLED 照明器具は
素子そのものはcosθ 配光ですが、レンズや反射板を付ければ変えられます——狭角にすればスポット、広角にすれば全般照明。
本問は「LED1個が下向きに取り付けられ」とあるだけ——器具の補正はない素の配光として扱っています。
B問題を確実に取る順序
本問は(a)の答えを(b)で使う——連鎖する構成です。だからこそ(a)を確実に取りましょう。
| 段階 | 確認すること |
| ①図を描く | ★高さ2.4、水平1.2、斜辺√7.2 を書き込む |
| ②角度を決める | cosθ=高さ/斜辺(鉛直基準) |
| ③式を書く | E=I cosθ/r2 をまず正しい向きで |
| ④解く | ★求めたい文字について変形 |
いきなり「I=Er2/cosθ」と書こうとしない——まず素直な形E=I cosθ/r2 を書いてから移項するのが確実です。
逆算の問題では、掛けるべきか割るべきかで迷いがち——元の式を書いてから動かせば、迷いようがありません。
数値の丸め方
(a)で161 cd と求まり、選択肢は160——「最も近いもの」なので160 を選びます。
しかし(b)の計算には161 を使う——160 を使うと E=(160/0.894)/5.76=31.1。今回はどちらでも31 になりますが、問題によっては選択肢をまたぐ誤差になりかねません。
途中の値は丸めない——B問題の基本作法です。
まとめて1つの式にすると
★cos の2乗
★計算が楽
cos2θ なら根号が出てきません——5.76÷7.2=0.8 と、割り算1回で済みます。(b)だけを問われたなら、この形が最速です。

⚠️ よくある間違い
照度の式でcosθ を落とす——選択肢(3)の144 cd がその値です。
水平面照度=法線照度×cosθ——逆算するときは、cosθ で「割る」ことになります。
もう1つ、r2 に高さ2.42=5.76 を使ってしまう——A点までの距離は斜辺の√7.2 です。2乗して7.2——5.76 とは3割ほど違います。
「距離」と「高さ」を図で区別してから式に入れてください。
⏱️ 本番での進め方
①r2=1.22+2.42=7.2(根号は外さない)。
②(a) I(θ)=E r2/cosθ=20×7.2/0.894=161 cd。
③(b) I(0)=I(θ)/cosθ=180 cd →E=180/5.76=31 lx。
④★まとめると I(0)=E r2/cos2θ。cos2θ=0.8 で根号なし。
💡 覚え方
「照度から光度へは、cosθ で割って r2 を掛ける」——照度の式を逆に読むだけです。そして「cos の2乗なら根号が消える」——計算を楽にする視点を持っておきましょう。
配光特性の問題は平成22年度 B問題17にもあります(照明:配光特性の異なる2光源による中点照度)。そちらはθ が水平基準——本問は鉛直基準です。

まとめ
| rA | √7.2 m |
| I(θA) | ≒161.0cd |
| (a) | (4) |
| I(0) | ≒180.0cd |
| EB | ≒31.25lx |
| (b) | (3) |
| 答え | (a)-(4),(b)-(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
・配光特性の異なる2光源による中点照度:【機械】平成22年度B問題17
・円板光源による照度・輝度の計算:【機械】平成29年度B問題17

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