今回は令和7年度上期 機械科目 A問題12を解説します。幅6m、奥行き8mの長方形駐車場の四隅に立てた柱の頂点に均等光源を設置したときの、駐車場中心点Oの水平面照度を求める計算問題です。
対称性より4隅の光源はO点に同じだけ寄与するので、1つの光源による照度を求めて4倍します。中心までの水平距離は対角線の半分=5m、光源の高さ5mなので、光源からの距離は√(5²+5²)=5√2mです。
令和7年度上期 機械科目 A問題12:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題12
電験3種 機械科目 【照明】 令和7年度上期 A問題12
図に示すような幅6m,奥行き8mの長方形の駐車場の四隅に柱を立て,各柱の地上から5mの頂点に全光束5000lmのランプを設置した.駐車場の中心Oの水平面照度〔lx〕の値として,最も近いものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ.
ただし,各ランプは均等光源とする.
(1)283 (2)141 (3)31.8 (4)22.5 (5)5.6〔lx〕

出題のポイント:対称性で4分の1の手間に
4隅の光源は、中心O からすべて等距離——1つ計算して4倍すれば済みます。
★3:4:5 の2倍
対角線の半分
★高さも5 m
長方形の中心は対角線の交点——だから隅から中心までは対角線の半分です。6と8 なので対角線は10——3:4:5 の直角三角形を2倍したものになります。
水平距離5 m と高さ5 m が等しい——だから45°の方向から照らしていることになります。cosθ=1/√2=0.707 です。


計算する
★r2=(5√2)2=50
cosθ=高さ/r
★答え
(5√2)2=50——√ を残したまま2乗すれば、根号が消えます。7.072=50 と計算するより確実です。

選択肢はどこで間違えた値か
本問の選択肢は、途中で止まった値がそのまま並んでいます——どの段階で終わったかが分かります。
| 選択肢 | 値[lx] | どこで間違えたか |
| (1) | 283 | 4π を落とした(桁が大きく外れる) |
| (2) | 141 | 同じく4π を落とし、距離も取り違えた |
| (3) | 31.8 | ★cosθ を掛け忘れた(7.96×4) |
| ★(4) | 22.5 | ★正解 |
| (5) | 5.6 | ★4倍するのを忘れた(1灯ぶん) |
(3)と(5)は、正解のすぐ手前で止まった値——計算そのものは合っているのに、最後の一手を忘れると落ちるという作りです。
答えを出したら「cosθ を掛けたか」「4倍したか」を確認——この2つのチェックだけで、3つの誤答を避けられます。
⚠️ よくある間違い
cosθ に「水平距離/r」を使ってしまう——本問では水平距離も高さも5 m なので、偶然どちらも1/√2。たまたま正解になります。
しかしこれは本問だけの偶然——正しくは「高さ/r」です。θ は床の法線(鉛直線)と光線のなす角 だからです。
他の問題では高さと水平距離が違うので、ここで誤って覚えると次で外します。本問で「たまたま合った」ことに気づいておくことが大切です。
4隅配置の均一性
この配置で、中心以外はどうなっているか——照明設計の視点で見てみましょう。
| 位置 | 照度の目安[lx] | 理由 |
| 柱の真下 | 約22 | 1灯が近い(高さ5 m)+他3灯は遠い |
| ★中心O | ★22.5 | 4灯から等距離 |
| 長辺の中央 | 約20 | 2灯が近い |
どこも20 lx 台——かなり均一な配置だと分かります。4隅に置くだけで、中央が暗くならないのです。
駐車場の推奨照度は10〜20 lx 程度——本問の22.5 lx は十分な明るさです。計算結果が実用的な値になっていることも確認しておきましょう。
⏱️ 本番での進め方
①対角線=√(62+82)=10、その半分が水平距離5 m。
②r=5√2、r2=50(√を残したまま2乗する)。
③cosθ=高さ/r=1/√2。★水平距離/r ではない。
④最後に4倍。★これを忘れると(5)に落ちる。
💡 覚え方
「対称なら1つ求めてn倍」——4隅なら4倍。そして「cosθ は高さ÷斜距離」——本問はたまたま水平距離でも同じ値になるので、ここで誤解しないよう注意してください。
2灯の対称配置は令和5年度下期 B問題17にあります(照明:均等放射点光源2個による地面照度)。考え方は同じです。

この問題が令和7年度に出た意味
照明の計算問題がA問題(5点)で出題された——B問題より短い時間で解く必要があります。
| A問題 | B問題 | |
| 配点 | 1問5点 | (a)(b)各5点 |
| 目安時間 | ★4〜5分 | 7〜8分 |
| 本問の作業 | ★対角線→距離→照度→4倍 | — |
4段階の計算を4分で——手順が身についていないと厳しいでしょう。だからこそ、過去問で型を覚えておく価値があります。
計算を速くする工夫
√ を最後まで残す——r=5√2 のまま2乗すれば50。7.07 と小数にしてから2乗すると、誤差も手間も増えます。
4π=12.57 は暗記——5000÷(12.57×50)=5000÷628.5=7.96。電卓が使えない試験では、この程度の割り算を素早くこなす練習も要ります。
あるいは分数のまま進める——E=5000/(200π)=25/π。最後に4×(25/π)×(1/√2)=50√2/π として、1回だけ数値にするのが最も速い方法です。
駐車場照明で考えるべきこと
本問の設定は、実際の屋外照明そのもの——計算以外にどんな要素があるかも見ておきましょう。
| 観点 | 内容 |
| 照度 | ★駐車場は10〜20 lx が目安 |
| 均斉度 | 暗がりを作らない |
| グレア | ★運転者の目に直接入らない配置 |
| 光害 | 近隣への漏れ光を抑える |
4隅に柱を立てるのは、車の動線を妨げないため——中央に柱は立てられません。その制約の中で中心が暗くならないかを確かめるのが本問の意義です。
高さ5 m という設定も現実的——低すぎるとまぶしく、高すぎると柱が高価になります。駐車場では4〜6 m が一般的です。
光源を増やさずに明るくするには
同じ4灯でも、配光を工夫すれば中心を明るくできます——中心方向へ光を集める器具を使うのです。
本問は「均等光源」なので、光の4分の3以上は駐車場の外や上空へ逃げています——反射板で下向きに絞れば、同じ電力で数倍の照度が得られます。
これが照明率U の考え方——光束法で U を掛けるのは、まさにこの「逃げる分」を見込むためです。点光源の計算と光束法が、ここでつながります。
まとめ
| 水平距離 | 5m |
| rA | 5√2m |
| 法線照度E | 25/π lx |
| 水平面照度EA | 12.5√2/π lx |
| EO=4EA | ≒22.5lx |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・均等放射点光源2個による地面照度:【機械】令和5年度下期B問題17
・均等放射点光源の平均光度と水平面照度:【機械】令和6年度下期B問題17

コメント