今回は平成24年度 機械科目 A問題9を解説します。★パワエレ49(令和7年度上期A問題8)と一言一句同じ問題文の再出題で、選択肢の並び順のみが異なります。太陽光パワーコンディショナの単独運転検出機能に関する空欄補充問題です。
太陽電池発電設備は出力が直流のため、配電線と連系運転するには逆変換装置(インバータ)が必要です。単独運転検出のため電圧位相や周波数の急変を監視し、瞬時電圧低下では不要な切り離しをしないという考え方はパワエレ49と同じです。
ほぼ同じ問題が 【機械】令和7年度上期A問題8 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
平成24年度 機械科目 A問題9:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題9
電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成24年度 A問題9
次の文章は,太陽光発電設備におけるパワーコンディショナに関する記述である。
近年,住宅に太陽光発電設備が設置され,低圧配電線に連系されることが増えてきた。連系のためには,太陽電池と配電線との間にパワーコンディショナが設置される。パワーコンディショナは(ア)と系統連系用保護装置とが一体になった装置である。パワーコンディショナは,連系中の配電線で事故が生じた場合に,太陽光発電設備が(イ)状態を継続しないように,これを検出して太陽光発電設備を系統から切り離す機能をもっている。パワーコンディショナには(イ)の検出のために,電圧位相や(ウ)の急変などを常時監視する機能が組み込まれている。ただし,配電線側で発生する(エ)に対しては,系統からの不要な切り離しをしないよう対策がとられている。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 逆変換装置 単独運転 周波数 瞬時電圧低下 (2) 逆変換装置 単独運転 発電力 瞬時電圧低下 (3) 逆変換装置 自立運転 発電力 停電 (4) 整流装置 自立運転 発電力 停電 (5) 整流装置 単独運転 周波数 停電
出題のポイント:単独運転と自立運転は別物
(イ)で問われている「単独運転」と、選択肢にある「自立運転」——似た言葉ですが、まったく違う状態を指します。ここを区別できるかが本問の核心です。
| 単独運転 | 自立運転 | |
| 系統との接続 | つながったまま(切り離せていない) | 意図的に切り離してある |
| 状態 | 系統が停電しているのに発電を続けている | 系統停電時に、専用コンセントへ自前で給電 |
| 安全性 | ★危険(作業員の感電、機器の破損) | 安全(系統から切り離されている) |
| 対応 | 検出して直ちに停止させる | 意図的な機能として備える |
単独運転は避けるべき異常状態です。系統が停電しているのに配電線へ電気を送り続けている——停電したはずの線路に電圧が残り、作業員が感電するおそれがあります。
また系統が復旧したときに、位相がずれた状態で接続されれば機器が破損します。だから確実に検出して停止させなければならない——問題文の「これを検出して太陽光発電設備を系統から切り離す」は、この機能のことです。
一方の自立運転は、意図して備える機能です。停電時に系統から完全に切り離したうえで、専用コンセントに給電する——防災上の利点として、むしろ推奨される機能になります。

(ア)(ウ)(エ)を確定する
(ア)逆変換装置
太陽電池が出すのは直流です。これを交流に変換するのが逆変換装置(インバータ)——整流装置は交流→直流で逆方向ですから当てはまりません。
「逆変換」という言葉は、整流(交流→直流)を順変換と呼ぶことの対です。順変換の逆だから逆変換——インバータの日本語名になります。
(ウ)周波数の急変
系統から切り離されると、発電と負荷のバランスが崩れます。発電が多ければ周波数が上がり、少なければ下がる——系統につながっているときは大きな系統が周波数を支えていたのに、切り離された途端に太陽光発電だけで支えることになるからです。
| 検出方式 | 仕組み | 監視する量 |
| 受動的方式 | 系統が切れたときに生じる変化を検出する | 電圧位相の急変、周波数の急変、電圧の異常 |
| 能動的方式 | わざと微小な擾乱を与え、系統がなければ現れる反応を見る | 無効電力変動、周波数シフト、負荷変動 |
電圧位相と周波数の急変を監視するのが受動的方式です。単純で確実ですが、発電と負荷がたまたま釣り合っていると変化が現れにくい——だから能動的方式と併用されます。
(エ)瞬時電圧低下
配電線では、落雷などで一瞬だけ電圧が下がることがあります——瞬時電圧低下(瞬低)です。これは停電ではなく、すぐに回復します。
瞬低のたびにパワーコンディショナが停止していたら、発電が頻繁に止まってしまう——だから「不要な切り離しをしない」対策がとられます。短時間の電圧低下は運転を継続する(FRT機能)という考え方です。
選択肢の「停電」では話が合いません。停電なら切り離すのが正しい動作——「不要な切り離しをしないよう対策」する対象にはなりません。

FRT機能という考え方
太陽光発電が大量に導入されると、瞬低のたびに一斉に停止することが問題になります。全国の太陽光発電が同時に止まれば、系統の需給バランスが大きく崩れる——停電が拡大するおそれすらあります。
だから近年は「多少の擾乱では止まらない」ことが求められています——FRT(Fault Ride Through)機能と呼ばれます。「事故を乗り越えて運転を続ける」という意味です。
| 状況 | 望ましい動作 |
| 瞬時電圧低下(数十ms〜数百ms) | 運転を継続し、復帰後すみやかに出力を戻す |
| 周波数の小さな変動 | 運転を継続 |
| 系統の停電(単独運転) | 直ちに停止・解列 |
「止まるべきときは確実に止まり、止まるべきでないときは止まらない」——この両立が求められているのが、いまのパワーコンディショナです。問題文の最後の一文には、そうした設計思想が凝縮されています。
⏱️ 本番での進め方
①「単独運転」=異常、「自立運転」=意図的な機能。区別する。
② 直流を交流に変換するのは逆変換装置(インバータ)。
③ 単独運転の検出には電圧位相と周波数の急変を監視。
④「不要な切り離しをしない」対象は瞬時電圧低下。停電ではない。
💡 覚え方
「単独運転は止めるべき異常、自立運転は使える機能」——1字違いで正反対です。そして「瞬低では止まらない、停電では止まる」——この使い分けがFRT機能の考え方になります。

なぜ単独運転は検出しにくいのか
単独運転の検出は、実は簡単ではありません。発電量と負荷がたまたま釣り合っていると、系統が切れても何も変化が起きない——これを不感帯と呼びます。
| 状況 | 系統が切れたときの変化 | 検出のしやすさ |
| 発電 > 負荷 | 電圧・周波数が上がる | 検出しやすい |
| 発電 < 負荷 | 電圧・周波数が下がる | 検出しやすい |
| 発電 ≒ 負荷 | ほとんど変化しない | ★検出しにくい(不感帯) |
受動的方式だけでは、この不感帯を埋められません——変化がないものは検出しようがないからです。だから能動的方式を併用します。
能動的方式は、こちらから微小な擾乱を与えます。無効電力を周期的に少しだけ変動させる、あるいは周波数をわずかにずらそうとする——系統につながっていれば大きな系統に押さえ込まれて何も起きません。
ところが系統から切り離されていれば、その擾乱がそのまま現れます——電圧や周波数が動く。「押さえ込まれるかどうか」で系統の有無を判定するという巧みな方法です。
ただし擾乱を与えるということは、常時わずかに系統を乱しているということ。太陽光発電が大量に導入されると、その擾乱が積み重なる問題も指摘されています——検出の確実さと系統への影響の兼ね合いが、いまも研究されているテーマです。
まとめ
| (ア) | 逆変換装置 |
| (イ) | 単独運転 |
| (ウ) | 周波数 |
| (エ) | 瞬時電圧低下 |
| 答え | (1) |
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