パワエレ45【電験3種 機械】リアクトル・コンデンサとバルブデバイスの働きに関する記述!平成21年 A問題9 完全解説

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成21年度 A問題9 LとCとスイッチの役割!記述の正誤を判定

今回は平成21年度 機械科目 A問題9を解説します。パワーエレクトロニクス回路で使われるリアクトルとコンデンサ、バルブデバイスの働きに関する記述の誤りを見つける問題です。

交流電源の内部インピーダンスは通常インダクタンス成分を含むため、バルブデバイスで電流を遮断すると、遮断装置にかかわらずインダクタンスによる逆起電力が発生し、交流電源の端子電圧が上昇することが頻繁にあります(「上昇することはない」は誤り)。

目次

平成21年度 機械科目 A問題9:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成21年度 A問題9 問題文
平成21年度 機械科目 A問題9 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成21年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題9

電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成21年度 A問題9

 パワーエレクトロニクス回路で使われる部品としてのリアクトルとコンデンサ,あるいは回路成分としてのインダクタンス成分,キャパシタンス成分と,バルブデバイスの働きに関する記述として,誤っているのは次のうちどれか。

(1)リアクトルは電流でエネルギーを蓄積し,コンデンサは電圧でエネルギーを蓄積する部品である。
(2)交流電源の内部インピーダンスは,通常,インダクタンス成分を含むので,交流電源に流れている電流をバルブデバイスで遮断しても,遮断時に交流電源の端子電圧が上昇することはない。
(3)交流電源を整流した直流回路に使われる平滑用コンデンサが交流電源電圧のピーク値近くまで充電されていないと,整流回路のバルブデバイスがオンしたときに,電源及び整流回路の低いインピーダンスによって平滑用コンデンサに大きな充電電流が流れる。
(4)リアクトルに直列に接続されるバルブデバイスの電流を遮断したとき,リアクトルの電流が環流する電流路ができるように,ダイオードを接続して使用することがある。その場合,リアクトルの電流は,リアクトルのインダクタンス値〔H〕とダイオードを通した回路内の抵抗値〔Ω〕とで決まる時定数で減少する。
(5)リアクトルとコンデンサは,バルブデバイスがオン,オフすることによって断続する瞬時電力を平滑化する部品である。

出題のポイント:電流を切ると電圧が跳ね上がる

(2)の「遮断時に交流電源の端子電圧が上昇することはない」が誤りです。インダクタンス成分があるなら、電流を急に切れば必ず電圧が上昇します——\( v=L\,di/dt \) という基本の関係から避けられません。

インダクタンスの電圧

\( v=L\dfrac{di}{dt} \)

電流の変化が急なほど電圧が高くなる——遮断は最も急な変化です。

問題文自身が「交流電源の内部インピーダンスは、通常、インダクタンス成分を含む」と述べていますそこまで正しく書いておきながら、結論だけを逆にしている——前半が正しいだけに、後半の誤りに気づきにくい作りです。

実際、この電圧上昇(サージ電圧)はパワエレ回路で常に問題になりますデバイスの耐圧を超えれば破壊につながるので、スナバ回路やバリスタで吸収するのが定石です。

交流電源のインダクタンス成分により電流遮断時に端子電圧が上昇し得ることを示す要点
インダクタンス性回路では遮断時の過渡電圧に注意します。

正しい4つの記述を確認する

(1) リアクトルは電流で、コンデンサは電圧でエネルギーを蓄える

蓄えられるエネルギー

\( W_L=\dfrac{1}{2}LI^{2}\ ,\qquad W_C=\dfrac{1}{2}CV^{2} \)

リアクトルは電流の2乗、コンデンサは電圧の2乗——対になった関係です。

この対称性は、パワエレを理解する土台になります。リアクトルは電流を保とうとし、コンデンサは電圧を保とうとする——だからリアクトルの電流は急に変えられず、コンデンサの電圧は急に変えられません

(3) 平滑コンデンサへの突入電流

コンデンサの電圧が低い状態でダイオードがオンすると、電源とコンデンサがほぼ直接つながります間にあるのは電源と整流回路のわずかなインピーダンスだけ——だから大きな充電電流が流れます

とくに問題になるのが、電源投入の瞬間です。コンデンサが完全に放電しているので、事実上の短絡状態——定格電流の何十倍もの突入電流が流れることがあります

対策として、投入時だけ抵抗を直列に入れ、充電が済んだら短絡する(突入電流制限回路)のが一般的です。記述の内容は、この現象を正確に述べています

(4) 還流ダイオードと時定数

リアクトルの電流は急に0にできませんだからスイッチを切ったあとも電流が流れ続ける経路(還流路)を用意します——それが還流ダイオード(フリーホイールダイオード)です。

還流路に流れる電流は、L と回路抵抗 R で決まる時定数 L/R で減衰します。抵抗が小さいほどゆっくり減る——記述のとおりです。

(5) リアクトルとコンデンサは平滑部品

スイッチング動作では、瞬時電力が断続的になりますそのままでは負荷に脈動した電力しか届かない——リアクトルとコンデンサがエネルギーを一時的に蓄えて、なめらかにします

平成21年度機械A問題9、インダクタンス成分により遮断時に端子電圧が上昇し得るため答えは2
誤っている記述は選択肢(2)です。
答え誤っているのは (2)です。インダクタンス成分があれば、電流遮断時に端子電圧は必ず上昇します——「上昇することはない」は明確な誤りです。

リアクトルとコンデンサは「双対」の関係

リアクトル(L)コンデンサ(C)
蓄えるもの磁界のエネルギー電界のエネルギー
エネルギー\( \frac{1}{2}LI^{2} \)\( \frac{1}{2}CV^{2} \)
急に変えられない量電流電圧
急変させると高い電圧が発生(サージ電圧)大きな電流が流れる(突入電流)
直列/並列電流を平滑するので負荷と直列電圧を平滑するので負荷と並列

電流と電圧、直列と並列——すべてが入れ替わった対称な関係にあります。これを双対性(デュアリティ)と呼びます。

本問の(2)と(3)は、まさにこの対称性の2つの側面です。(2)はリアクトルの電流を切ると電圧が跳ねる話、(3)はコンデンサの電圧が低いと電流が跳ねる話——裏返しの現象だと気づけば、両方まとめて理解できます。

片方を覚えれば、もう片方は「電流と電圧を入れ替えるだけ」——暗記量が半分で済みます

⏱️ 本番での進め方
①「インダクタンスがあれば遮断時に電圧が上がる」。v=L di/dt から必然。
② 論説で「〜することはない」という断定は疑ってかかる。
③ L と C は双対。電流↔電圧、直列↔並列で入れ替わる。
④ 他の4肢はパワエレの基本現象。全部正しいので復習に使える。

💡 覚え方
「リアクトルは電流を守り、コンデンサは電圧を守る」——守られている量を無理に変えようとすると、相手の量が跳ね上がる電流を切れば電圧が跳ね、電圧を急変させれば電流が跳ねる——この一言で(2)(3)の両方が説明できます

交流電源の内部インピーダンスに含まれるインダクタンス成分と遮断時過渡電圧の関係
『電流を遮断しても端子電圧は上昇しない』という断定は誤りです。

サージ電圧をどう抑えるか — スナバ回路

(2)で確認したとおり、電流を遮断すればサージ電圧が発生します放置すればデバイスの耐圧を超えて破壊につながる——だから必ず対策を打ちます

最も一般的なのがスナバ回路です。デバイスと並列に、抵抗とコンデンサを直列にしたものを接続する——サージのエネルギーをコンデンサに吸収させ、抵抗で消費させます

対策仕組み主な用途
スナバ回路(RC)コンデンサがサージを吸収し、抵抗が消費するサイリスタ・IGBTの保護
還流ダイオード電流の逃げ道を作り、そもそも急変させない誘導性負荷(電動機・リレー)
バリスタ・アレスタ一定電圧を超えると急に導通してクランプする電源ラインの雷サージ対策

還流ダイオードは、本問の(4)で述べられている対策そのものです。電流の逃げ道を用意しておけば、そもそも急変が起きない——サージを吸収するのではなく、発生させないという考え方になります。

どちらが優れているという話ではありません還流ダイオードが使えるのは、電流を流し続けてよい回路だけ——電流を確実に止めたい場合には、スナバで吸収するしかありません

本問の5つの記述は、リアクトルとコンデンサがパワエレ回路で果たす役割を、エネルギーの蓄積・突入電流・還流・平滑という4つの側面から並べたものです。どれもパワエレの基本現象——誤りを1つ見つけて終わりにせず、残る4つも知識として押さえておくと、他の問題にも効いてきます

まとめ

誤りの記述(2) 電流遮断時に端子電圧は上昇しないとする記述
正しくは上昇することが頻繁にある
答え(2)

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