パワエレ35【電験3種 機械】直流チョッパ回路の基本構成図とデバイス配置!令和4年上期 A問題10 完全解説

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 令和4年度上期 A問題10 スイッチとダイオードの配置!どの回路になる?

今回は令和4年度上期 機械科目 A問題10を解説します。直流チョッパ回路の基本構成図に、降圧チョッパを構成するデバイス(トランジスタ・リアクトル・ダイオード)を正しく配置する問題です。

降圧チョッパは電源→スイッチ(トランジスタ)→リアクトル→負荷という構成で、還流ダイオードが並列に入ります。図2のA=ダイオード、B=リアクトル、C=トランジスタを図1の位置(ア)〜(ウ)に当てはめます。

目次

令和4年度上期 機械科目 A問題10:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 令和4年度上期 A問題10 問題文
令和4年度上期 機械科目 A問題10 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題10

電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 令和4年度上期 A問題10

 図1は直流チョッパ回路の基本構成図を示している。降圧チョッパを構成するデバイスを図2より選んで回路を構成したい。(ア)〜(ウ)に入るデバイスの組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。ただし,図2に示す図記号の向きは任意に変更できるものとする。

(ア)〜(ウ)に入るデバイスの組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)
(1)BAC
(2)BCA
(3)CAB
(4)CBA
(5)ABC
図1 直流チョッパの基本構成図と図2 デバイス記号A・B・C
図1 直流チョッパの基本構成図と図2 デバイス記号A・B・C
令和4年度上期 A問題10 選択肢の波形(グラフ)
選択肢(1)〜(5)

出題のポイント:3つの位置に3つの役割

降圧チョッパは、スイッチ・リアクトル・還流ダイオードの3つで構成されます。それぞれがどこに入るかは、役割から決まる——丸暗記ではなく、動作から考えれば配置は導けます

位置入るデバイス役割なぜそこか
(ア)電源に直列トランジスタ(スイッチ)電源から負荷への電流を断続する電源を切ったり入れたりする位置
(イ)負荷に直列リアクトル電流を平滑し、オフ期間も流し続ける負荷電流を連続させる位置
(ウ)負荷に並列ダイオードオフ期間にリアクトル電流を還流させる閉ループを作る位置

スイッチが電源と直列なのは、電源からの電流を切るためです。並列に入れたら電源を短絡してしまう——位置が決まる理由は明快です。

リアクトルが負荷と直列なのは、負荷電流を途切れさせないためです。スイッチがオフになっても、リアクトルが電流を流し続けようとする——だから負荷には連続的に電流が流れます

ダイオードは、その還流電流の通り道です。スイッチがオフのとき、リアクトル→負荷→ダイオード→リアクトルという閉ループができる——だから負荷と並列の位置に入ります

図1 直流チョッパの基本構成図と図2 デバイス記号A・B・C
図1 直流チョッパの基本構成図と図2 デバイス記号A・B・C
令和4年度上期 A問題10 選択肢の波形(グラフ)
選択肢(1)〜(5)
降圧チョッパのトランジスタ、リアクトル、還流ダイオードの位置と極性を示したブロック図
(ア)Cトランジスタ、(イ)Bリアクトル、(ウ)A還流ダイオードです。

2つの期間で電流の経路を追う

期間電流の経路リアクトルの状態
スイッチ オン電源 → スイッチ → リアクトル → 負荷 → 電源エネルギーを蓄える(電流が増える)
スイッチ オフリアクトル → 負荷 → ダイオード → リアクトルエネルギーを放出(電流が減る)

オン期間は電源から、オフ期間はリアクトルから電力が供給される——だから負荷には途切れなく電流が流れます降圧チョッパにコンデンサが必須でないのは、この構造のおかげです。

ダイオードの向きも決まります還流電流が流れる向きに順方向——負極側がアノード、スイッチとリアクトルの接続点側がカソードです。逆向きに入れると、スイッチがオンのとき電源を短絡してしまいます。

空欄アにCトランジスタ、イにBリアクトル、ウにAダイオードを配置して正解4を示した図
組合せは(ア)C、(イ)B、(ウ)Aなので正解は(4)です。
答え(ア)C(トランジスタ) (イ)B(リアクトル) (ウ)A(ダイオード)——正解は (4)です。

昇圧チョッパでは配置が変わる

同じ3つのデバイスでも、配置を変えれば昇圧チョッパになりますどこに何を置くかで、まったく違う働きをするのがチョッパ回路の面白いところです。

降圧チョッパ(本問)昇圧チョッパ
リアクトルスイッチの後ろ(負荷と直列)電源の直後(電源と直列)
スイッチ電源と直列リアクトルの後ろで並列
ダイオード負荷と並列(還流用)スイッチと負荷の間に直列(逆流防止)
コンデンサなくてもよい★必須(オン中の負荷電流を供給)

昇圧チョッパではリアクトルが電源側にあります。スイッチをオンにするとリアクトルが電源に短絡され、エネルギーを蓄える——オフにするとその逆起電力が電源に上乗せされて出力に現れるという動作です。

この構成では、スイッチがオンの間は負荷へ電流が流れませんだからコンデンサが必須——「コンデンサがあるほうが昇圧」という見分け方の理由がここにあります。

⏱️ 本番での進め方
① スイッチは電源と直列(並列だと短絡)。
② リアクトルは負荷と直列(電流を連続させる)。
③ ダイオードは負荷と並列(還流路を作る)。
④ ダイオードの向きは還流電流に順方向。逆だと短絡する。

💡 覚え方
「切るものは直列、逃がすものは並列」——スイッチは電流を切るので直列、ダイオードは電流を逃がすので並列リアクトルは電流を保つので負荷と直列——役割から位置が決まります

降圧チョッパのトランジスタON時の電源経路とOFF時の還流閉ループを比較した図
ON時は電源から負荷へ、OFF時はリアクトル・負荷・ダイオードの閉ループで電流が続きます。

図記号から素子を読み取る

本問では図2に示された3つの記号を、図1の位置に当てはめましたパワエレの問題では図記号が読めることが前提——主要な記号は整理しておきましょう

素子記号の特徴端子
ダイオード三角形と棒。矢印の向きが順方向2端子(アノード・カソード)
サイリスタダイオードの記号にゲート端子が付く3端子(アノード・カソード・ゲート)
トランジスタ/IGBT縦棒に矢印。ゲート(ベース)が横から入る3端子
リアクトルコイル状の曲線2端子
コンデンサ平行な2本の線2端子

端子の数を数えるだけでも、かなり絞れます制御端子があるのはサイリスタとトランジスタ/IGBT——受動素子(リアクトル・コンデンサ)とダイオードは2端子です。

チョッパ回路の象限動作

本問の降圧チョッパは、電流も電圧も一方向です。これを1象限チョッパと呼びます。デバイスを増やせば、電流や電圧の向きを反転させることもできます

形式電圧の向き電流の向きできること
1象限チョッパ(本問)片方向片方向力行のみ
2象限チョッパ片方向両方向力行+回生
4象限チョッパ両方向両方向正転・逆転とも力行・回生ができる

電気自動車や電車では、減速時にエネルギーを電源へ返したい——そのためには電流を逆向きに流せる2象限以上の構成が必要です。回生ブレーキが使えるかどうかは、チョッパの構成で決まるのです。

本問の3素子構成は最も基本的な形ですが、スイッチとダイオードを対にして増やしていけば、より自由な制御ができる——基本形を理解しておけば、応用形も読み解けます

チョッパ回路の3つの基本形

スイッチとダイオード、リアクトルの配置で動作が決まります——3種類を並べて覚えるのが確実です。

方式出力電圧スイッチの位置用途
★降圧チョッパ★入力より低い電源と負荷の間(直列)電車の速度制御
★昇圧チョッパ★入力より高いリアクトルの後(並列)太陽光発電の昇圧
昇降圧チョッパどちらも可(極性反転)両者の組合せ電源装置
降圧チョッパの出力
\( V_o=\alpha V_i \)

α:通流率(0〜1)。必ず入力以下

昇圧チョッパの出力
\( V_o=\dfrac{V_i}{1-\alpha} \)

α が1 に近づくほど高くなる

どちらの式も α=0 で確かめられます——降圧なら0、昇圧なら Viスイッチを閉じない状態を考えれば、式の形が正しいか判断できます

リアクトルが電流を平滑し、ダイオードが還流路をつくる——この2つがないとチョッパは成立しません配置図の問題では、まずこの2部品の位置を確認してください。

まとめ

(ア)C(トランジスタ)
(イ)B(リアクトル)
(ウ)A(ダイオード)
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・昇降圧チョッパの定常動作:【機械】令和3年度A問題11
・降圧チョッパの環流ダイオード電流波形:【機械】平成22年度A問題10

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和3年度A問題11(パワエレ34)
【機械】平成22年度A問題10(パワエレ36)
【機械】令和2年度A問題10(パワエレ27)
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