パワエレ32【電験3種 機械】平滑コンデンサ付き整流器の各部電流波形の組合せ!平成29年 A問題11 完全解説

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成29年度 A問題11 各部を流れる電流波形!正しい組合せはどれ?

今回は平成29年度 機械科目 A問題11を解説します。平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流器で、電源電流i1とダイオード電流i2〜i5の波形の組合せを選ぶ問題です。

コンデンサ電圧edが電源電圧の絶対値|vs|より小さい間だけダイオードが導通し電流が流れます。vs>0の期間はi2とi5が、vs<0の期間はi3とi4がi1と同じパルス状の電流を分担します。

目次

平成29年度 機械科目 A問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 パワーエレクトロニクス 平成29年度 A問題11 問題文
平成29年度 機械科目 A問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成29年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題11

電験3種 機械科目 【パワーエレクトロニクス】 平成29年度 A問題11

 図1は,平滑コンデンサをもつ単相ダイオードブリッジ整流器の基本回路である。なお,この回路のままでは電流波形に高調波が多く含まれるので,実用化に当たっては注意が必要である。

 図1の基本回路において,一定の角周波数ωの交流電源電圧をvs,電源電流をi1,図中のダイオードの電流をi2,i3,i4,i5とする。平滑コンデンサの静電容量は,負荷抵抗の値とで決まる時定数が電源の1周期に対して十分大きくなるように選ばれている。図2は交流電源電圧vsに対する各部の電流波形の候補を示している。

 図1の電流i1,i2,i3,i4,i5の波形として正しい組合せを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

電流i1〜i5の波形候補は、下の問題図(図2)を参照してください。

(1)i1=波形1,i2=波形4,i3=波形3,i4=波形3,i5=波形4
(2)i1=波形2,i2=波形3,i3=波形4,i4=波形4,i5=波形3
(3)i1=波形1,i2=波形4,i3=波形3,i4=波形4,i5=波形3
(4)i1=波形2,i2=波形4,i3=波形3,i4=波形4,i5=波形3
(5)i1=波形1,i2=波形3,i3=波形4,i4=波形4,i5=波形3

図1 平滑コンデンサ付き単相ダイオードブリッジ整流器と図2 電流波形候補
図1 平滑コンデンサ付き単相ダイオードブリッジ整流器と図2 電流波形候補
平成29年度 A問題11 選択肢の波形(グラフ)
選択肢(1)〜(5)

出題のポイント:導通するのはピーク付近だけ

平滑コンデンサ付きの整流回路では、ダイオードは常に導通しているわけではありません電源電圧の絶対値がコンデンサ電圧を上回る、ごく短い期間だけ——だから電流はパルス状になります

状態電源電圧の絶対値 |vs|ダイオード電流
ピーク付近コンデンサ電圧より高い導通パルス状に流れる
それ以外コンデンサ電圧より低い阻止0(負荷はコンデンサから供給を受ける)

コンデンサは電源のピーク値近くまで充電されています電源電圧がそれより低い間は、ダイオードに逆電圧がかかって導通しません——その間、負荷にはコンデンサから電流が供給されます

時定数が電源の1周期より十分大きいので、コンデンサ電圧はほとんど下がりません——だから導通期間はごく短くなります

図1 平滑コンデンサ付き単相ダイオードブリッジ整流器と図2 電流波形候補
図1 平滑コンデンサ付き単相ダイオードブリッジ整流器と図2 電流波形候補
平成29年度 A問題11 選択肢の波形(グラフ)
選択肢(1)〜(5)
平滑コンデンサ付き単相ブリッジ整流器でi1が波形1、i2とi5が波形3、i3とi4が波形4となる対応
i1=波形1、i2・i5=波形3、i3・i4=波形4で、答えは(5)です。

4つのダイオードの分担を追う

単相ブリッジでは、4つのダイオードが2個ずつペアで働きます電源電圧の正負でペアが切り替わる——これが波形の違いを生みます

電源電圧導通するダイオード電流の向き本問での波形
\( v_s>0 \)i2 と i5正の向き波形3
\( v_s<0 \)i3 と i4負の向き(負荷には正)波形4

ペアになる2個は、必ず同じ電流を流します直列につながって1つの経路を作っているからです——だから i2 と i5、i3 と i4 はそれぞれ同じ波形になります。

この「ペアは同じ波形」という性質だけで、選択肢がかなり絞れますi2=i5、i3=i4 になっていない組合せは誤り——回路の構造から必然的にそうなるからです。

電源電流 i1 は正負両方のパルス

電源電流 i1 は、交流側を流れる電流です。正の半サイクルでは正向き、負の半サイクルでは負向きにパルスが立つ——だから正負両方にパルスがある波形(波形1)になります。

各ダイオードの電流は、そのうち片方の向きだけです。i1 を正の部分と負の部分に切り分けたもの——それが i2〜i5 の波形になります。

平成29年度機械A問題11のi1からi5までの波形番号と選択肢5
正しい組合せは選択肢(5)です。
答えi1=波形1、i2=波形3、i3=波形4、i4=波形4、i5=波形3——正解は (5)です。

☝️ ひっかけの作り方:i2 と i5、i3 と i4 のペアを取り違えるのが、本問で最も多い誤りです。ブリッジ回路の対角にあるダイオードどうしがペアになる——回路図で電流の経路を指でたどって確認してください。

なぜ高調波が問題になるのか

問題文が「この回路のままでは電流波形に高調波が多く含まれる」とわざわざ注意しているのには理由があります。

電源電流がパルス状になるということは、正弦波から大きくかけ離れているということ。フーリエ級数で分解すれば、基本波のほかに第3・第5・第7……の高調波が含まれます

問題影響
電源設備の過熱実効値が大きくなり、変圧器や電線が余分に発熱する
力率の悪化基本波力率は良くても、総合力率(ひずみ率を含む)は0.6程度まで落ちる
他の機器への影響電圧波形がひずみ、コンデンサの過熱や機器の誤動作を招く

だから実用の機器では、対策が施されています交流側にリアクトルを入れて電流の立ち上がりを鈍らせる(ACリアクトル方式)直流側にリアクトルを入れる(DCリアクトル方式)アクティブフィルタや力率改善回路(PFC)を組み込む——いずれも電流波形を正弦波に近づける狙いです。

本問が「基本回路」と断っているのは、これが対策前の素の姿だから波形を正しく読めることが、対策の必要性を理解する前提になります。

⏱️ 本番での進め方
① 平滑コンデンサ付きなら、導通はピーク付近だけ。電流はパルス状。
② ブリッジの対角どうしがペア。同じ波形になる。
③ i1 は正負両方のパルス、各ダイオードは片方だけ。
④ ペアが同じ波形になっていない選択肢は、その時点で誤り。

💡 覚え方
「コンデンサが電圧を保つから、電源はピークだけ働く」——だから電流はパルス状で高調波だらけそして「ブリッジは対角がペア」——この2点で波形の組合せは決まります

コンデンサ入力形整流回路の導通条件と正負半周期でのダイオード電流の分担
|vs|>edの短い期間だけ導通し、正半周期はi2・i5、負半周期はi3・i4が流れます。

コンデンサインプット形とチョークインプット形

本問の回路は、整流後すぐにコンデンサが入っている「コンデンサインプット形」です。これに対し、先にリアクトル(チョーク)を入れる「チョークインプット形」もあります——両者は性質がまったく違います

コンデンサインプット形(本問)チョークインプット形
最初に入る素子コンデンサリアクトル
出力電圧高い(ピーク値に近い)低い(平均値に近い)
電源電流の波形パルス状(高調波が多い)方形波に近い(高調波が少ない)
力率悪い(0.6前後)良い(0.9前後)
負荷変動に対する電圧変動が大きい安定している

コンデンサインプット形の利点は、出力電圧が高いことです。ピーク値近くまで充電されるので、単相100 V なら約140 V の直流が得られます——同じ電源からより高い電圧を取り出せるのは大きな利点です。

代償が、パルス状の電流と悪い力率でした。短い時間に大きな電流を流すので、実効値が大きくなり、高調波も多く含まれます

チョークインプット形では、リアクトルが電流を平滑するので、電源電流は連続的な方形波に近づきます——高調波が減り、力率も改善しますただし出力電圧は平均値近くまで下がるのが欠点です。

近年の機器はコンデンサインプット形が主流ですが、高調波規制に対応するため、力率改善回路(PFC)を組み合わせるのが一般的です。PFCは電源電流を強制的に正弦波に近づける回路で、コンデンサインプット形の利点を保ちながら欠点を消す——問題文の「実用化に当たっては注意が必要」という一文は、まさにこの話を指しています。

まとめ

i1波形1(全周期パルス)
i2,i5波形3
i3,i4波形4
答え(5)

▼あわせて解きたい関連問題
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・入力電流波形から回路を特定する:【機械】平成19年度A問題9

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【機械】令和元年度A問題10(パワエレ33)
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