今回は平成18年度 機械科目 A問題7を解説します。回転機器を雷・開閉サージから守る保護コンデンサ(CRサージサプレッサ)を問う穴埋め問題です。
回転機の絶縁を過電圧から守るため、コンデンサと避雷器を並列に接続します。コンデンサは急しゅんなサージを緩和し、避雷器は電圧の波高値を制限します。
問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題7
高圧回路に設置される発電機,電動機などの回転機器の(ア)を雷又は回路の開閉などに起因する(イ)から保護する目的で,(ウ)と避雷器を並列に接続したものを,回転機器の近傍に設置する場合がある。
(ウ)は急しゅんなサージに対する保護を行い,避雷器は所定のレベル以下に電圧の(エ)を制限する作用を行う。
また,開閉器が真空遮断器の場合,他の遮断器に比べ開閉時の発生サージ電圧が高いため,開閉サージからの保護を目的として,(ウ)と抵抗を直列に接続したものを,真空遮断器の負荷側導体と対地間に設置する場合がある。空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる語句として正しいものを組み合わせたのはどれか。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 導体 過電圧 リアクトル 波高値 (2) 導体 過電流 コンデンサ 波高値 (3) 絶縁体 過電圧 リアクトル 実効値 (4) 絶縁体 過電圧 コンデンサ 波高値 (5) 導体 過電流 リアクトル 実効値
(ア)(イ) 何を何から守るのか
守る対象は回転機の「絶縁体」——導体ではありません。脅威は「過電圧」——過電流ではないのがポイントです。
| 過電圧 | 過電流 | |
| 壊すもの | ★絶縁体 | 導体(発熱で溶断) |
| 原因 | ★雷、開閉サージ | 短絡、過負荷 |
| 守る機器 | ★避雷器、コンデンサ | 遮断器、ヒューズ |
サージは一瞬なので、熱では壊れません——絶縁を破って短絡させるのが怖いのです。だから守るべきは絶縁体になります。
回転機の絶縁はとくに弱い——巻線が密に巻かれていて、層と層の間の絶縁が薄いからです。サージが入ると巻線の最初の数ターンに電圧が集中する——そこで絶縁が破れやすいのです。

(ウ)(エ) コンデンサと避雷器の役割分担
2つの機器は、サージ波形の別の部分に効きます——だから併用するのです。
| 機器 | 効くところ | 働き |
| ★コンデンサ | ★波頭(立ち上がり) | ★急しゅんな変化をなまらせる |
| ★避雷器 | ★波高値(頂点) | ★一定電圧以上を大地へ逃がす |
コンデンサは電圧の急変を嫌う素子——i=C dv/dt ですから、急に変化しようとすると大きな電流が流れて、変化を抑えます。これが「波頭を緩和する」ということです。
ただしコンデンサでは電圧の最大値は下げられません——時間をかければ、いずれ同じ電圧まで上がるからです。そこで避雷器——一定の電圧を超えると導通して、それ以上は上げないのです。
「実効値」ではなく「波高値」——サージは一瞬の現象なので、実効値には意味がありません。絶縁を破るのは瞬間の最大値 です。
CRサージサプレッサ
真空遮断器の開閉サージ対策には、コンデンサと抵抗を直列にしたもの——抵抗が入る理由を考えてみましょう。
コンデンサだけでは、回路のインダクタンスと共振してしまいます——かえって振動が続くことになります。抵抗を直列に入れると、その振動エネルギーを熱として消費できるのです。
「サージを吸収して消す」——だからサージサプレッサ(抑制器)と呼ばれます。コンデンサが受け止め、抵抗が消費するという役割分担です。

⚠️ よくある間違い
(ウ)を「リアクトル」としてしまう——選択肢(1)(3)(5)がそれです。
問題文の最後に「(ウ)と抵抗を直列に接続したもの」とあり、これはCRサージサプレッサ——C はコンデンサ です。問題文の後半が手がかりになります。
(イ)を「過電流」とする選択肢(2)(5)——雷や開閉で問題になるのは電圧。「絶縁体を保護する」という文脈からも過電圧だと分かります。
(ア)と(イ)はセット——絶縁体を壊すのは過電圧 という対応です。
⏱️ 本番での進め方
①(ア)(イ) 絶縁体を過電圧から守る。過電流ではない。
②(ウ) コンデンサ+避雷器を並列。CR のC がヒント。
③(エ)★避雷器が制限するのは波高値。実効値ではない。
④コンデンサは波頭をなまらせ、避雷器は頂点を切る。
💡 覚え方
「コンデンサは立ち上がり、避雷器は頂点」——役割分担がはっきりしています。そして「サージが壊すのは絶縁」——一瞬なので熱では壊れません。
真空遮断器のサージについては平成22年度 A問題9にあります(保護機器:真空遮断器(VCB))。

サージ波形の見方
「急しゅん」「波高値」という言葉——サージ波形の用語です。
| 用語 | 意味 | 対策する機器 |
| ★波頭長 | ★立ち上がりにかかる時間 | ★コンデンサ |
| ★波高値 | ★電圧の最大値 | ★避雷器 |
| 波尾長 | 半分に下がるまでの時間 | — |
雷インパルス電圧の標準波形は 1.2/50 µs——1.2 µs で立ち上がり、50 µs で半分に下がるという意味です。
この1.2 µs という速さが「急しゅん」——マイクロ秒の世界です。コンデンサはこの立ち上がりをなまらせて、数µs に引き延ばす働きをします。
なぜ立ち上がりを鈍らせるとよいのか
回転機の巻線にサージが入ると、最初の数ターンに電圧が集中します——波頭が急なほど、この集中が激しくなるのです。
立ち上がりが緩やかなら、電圧が巻線全体に分散します——層間絶縁にかかる負担が減ることになります。だから波高値が同じでも、波頭を鈍らせる意味があるのです。
避雷器だけでは、この効果は得られません——だからコンデンサと併用する——2つの機器が別々の役割を果たしているわけです。
避雷器の動作
ふだんは絶縁物、サージが来たら導体——電圧によって性質が変わる素子を使っています。
| 状態 | 避雷器の抵抗 | 動作 |
| 平常時 | ★きわめて大きい | 電流を流さない |
| ★サージ侵入時 | ★急激に小さくなる | ★大地へ放電する |
| サージ通過後 | 再び大きくなる | 続流を遮断 |
酸化亜鉛(ZnO)素子が使われます——電圧・電流特性が非直線で、ある電圧を超えると急に電流が流れ出すのです。
サージが去れば、また絶縁物に戻る——これが避雷器の要点です。戻らなければ、そのまま地絡事故になってしまいます。
制限電圧という指標
避雷器が放電しているときの端子電圧——これが制限電圧です。
「所定のレベル以下に電圧の波高値を制限する」——この「所定のレベル」が制限電圧にあたります。機器の絶縁強度より低くなるよう選定することになります。
空欄の絞り込み手順
4つの空欄がありますが、2つで確定します。
| 確定させる欄 | 正しい値 | 残る選択肢 |
| (ウ) | コンデンサ | ★(2)(4) |
| (ア) | 絶縁体 | ★(4)に確定 |
(ウ)は問題文の最後「(ウ)と抵抗を直列に接続」——CR サージサプレッサのC。これで3つ落ちます。
(ア)は「導体」か「絶縁体」か——過電圧が壊すのは絶縁です。これで確定します。
本問は問題文の後半に手がかりが置かれている——空欄の順に読み進めるのではなく、全体を見渡してから解くのが要領です。同じ記号が複数箇所に出てくる穴埋めでは、とくに有効でしょう。
回転機の絶縁はなぜ弱いのか
変圧器より回転機のほうがサージに弱い——構造上の理由があります。
| 変圧器 | ★回転機 | |
| 絶縁の余裕 | 比較的大きい | ★小さい |
| 理由 | 油中で絶縁距離を取れる | ★スロットに巻線を詰め込む |
| 避雷器の必要性 | あり | ★コンデンサも併用 |
回転機は限られた鉄心のスロットに巻線を収めます——絶縁を厚くすると銅の断面積が減り、性能が落ちるのです。だから絶縁は必要最小限になります。
しかも回転するので、遠心力や振動が絶縁に加わります——機械的にも厳しい条件。だからサージに対する保護が、とくに重要になるのです。
「回転機器の近傍に設置する」と問題文にあるのも意味があります——離れているとその間の配線でサージが再び急しゅんになるから。できるだけ近くに置くのが原則です。
まとめ
| (ア) | 絶縁体 |
| (イ) | 過電圧 |
| (ウ) | コンデンサ |
| (エ) | 波高値 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・真空遮断器(VCB):【機械】平成22年度A問題9
・遮断器の機能と種類:【機械】平成19年度A問題8

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