保護機器2【電験3種 機械】真空遮断器(VCB)の穴埋め!平成22年 A問題9 完全解説

電験3種 機械科目 保護機器 平成22年度 A問題9 真空中でアークを消す!VCBの仕組みとは?

今回は平成22年度 機械科目 A問題9を解説します。真空遮断器(VCB)の原理・構造・用途を問う穴埋め問題です。

VCBは高真空中の高い絶縁耐力と強力な拡散作用による消弧能力を利用。電極部は真空容器に収められ、24kV以下の回路で広く使われます。サージ対策に避雷器を併用します。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成22年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 A問題9

 真空遮断器(VCB)は10⁻⁵〔Pa〕以下の高真空中での高い(ア)と強力な拡散作用による(イ)を利用した遮断器である。遮断電流を増大させるために適切な電極材料を使用するとともに,アークを制御することで電極の局部過熱と溶融を防いでいる。電極部は(ウ)と呼ばれる容器に収められており,接触子の周囲に円筒状の金属製シールドを設置することで,電流遮断時のアークが真空中に拡散し絶縁筒内面に付着して絶縁が低下しないようにしている。

 真空遮断器は,アーク電圧が低く電極の消耗が少ないので長寿命であり,多頻度の開閉用途に適していることと,小形で簡素な構造,保守が容易などの特徴があり,24〔kV〕以下の電路において広く使用されている。一方で他の遮断器に比べ電流遮断時に発生するサージ電圧が高いため,電路に接続された機器を保護する目的でコンデンサと抵抗を直列に接続したもの又は(エ)を遮断器前後の線路導体と大地との間に設置する場合が多い。空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる語句として正しいものを組み合わせたのはどれか。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)冷却能力消弧能力空気容器リアクトル
(2)絶縁耐力消弧能力真空容器リアクトル
(3)消弧能力絶縁耐力空気容器避雷器
(4)絶縁耐力消弧能力真空容器避雷器
(5)消弧能力絶縁耐力真空容器避雷器

真空中でなぜアークが消えるのか

真空には、電流を運ぶものが何もありません——これが消弧の原理です。

空気中のアークは、空気が電離してできたイオンと電子が電流を運びます——ところが真空には気体分子がないだから電離するものがありません

では何が電流を運ぶのか——接触子から蒸発した金属蒸気です。電極が溶けて出た金属が、アークの担い手になっているのです。

段階起きること
①開極接触子が離れ、金属蒸気アークが発生
②電流が減少金属蒸気の供給が減る
★③電流零点★金属蒸気が高真空へ急速に拡散して消える
④遮断完了高真空の絶縁耐力ですぐ回復

交流は1秒間に100回(50 Hz なら)電流がゼロになります——その瞬間に金属蒸気の供給が止まり、拡散して消えるこれが「強力な拡散作用による消弧能力」です。

(ア)は絶縁耐力、(イ)は消弧能力——「高真空中での高い(ア)」という語順から、真空そのものの性質=絶縁耐力だと分かります。

真空容器内の固定接触子、可動接触子、アーク、金属シールド、ベローズを示した真空遮断器断面図
接触子とアークは真空容器内にあり、金属シールドが蒸気の絶縁筒への付着を抑えます。

(ウ) 真空容器とシールド

電極部を収める容器が真空バルブ(真空容器)——「空気容器」では真空になりません

10-5 Pa という圧力は、大気圧(約105 Pa)の100億分の1——きわめて高い真空です。

その中に金属シールドを置くのは、飛び散った金属蒸気を受け止めるため——絶縁筒(セラミックなど)の内面に金属が付着すると、絶縁が下がるからです。

問題文の「絶縁筒内面に付着して絶縁が低下しないように」——シールドが身代わりになっているのです。

電極材料の工夫

「適切な電極材料」とあるのは、相反する要求を満たす必要があるからです。

求められる性質理由
導電率が高い通電時の発熱を抑える
★溶けにくい★アークによる消耗を減らす
溶着しにくい接触子がくっつくのを防ぐ

銅は導電率が高いが溶けやすい——そこでクロムなどを混ぜた合金(Cu-Cr)が使われます。1つの金属では両立できないので、合金にするのです。

(エ) 遮断サージへの対策

真空遮断器の弱点は、サージ電圧が高いこと——あまりに消弧能力が高いことの裏返しです。

現象内容結果
★電流裁断★電流零点を待たずに切れてしまうL di/dt で高い電圧
再点弧いったん切れたアークが再び生じる急しゅんなサージが繰り返す

電流を無理やり切ると、インダクタンスに蓄えられたエネルギーが電圧になる——v=L di/dtdi/dt が大きいほど高い電圧が発生します。

だから対策が要る——コンデンサと抵抗を直列にしたもの(CRサージサプレッサ)か、避雷器を設置します。

「リアクトル」では逆効果——インダクタンスを増やせばサージはむしろ大きくなります選択肢(1)(2)が誤りだと、原理から判断できるのです。

絶縁耐力、消弧能力、真空容器、避雷器の四つの空欄と正解4を示した図
空欄は絶縁耐力、消弧能力、真空容器、避雷器となり、正解は(4)です。
答え正解は (4)——(ア)絶縁耐力 (イ)消弧能力 (ウ)真空容器 (エ)避雷器 です。

⚠️ よくある間違い
(ア)(イ)を逆にしてしまう——選択肢(3)(5)がそれです。
「高真空中での高い(ア)」——真空そのものが持つ性質は絶縁耐力「拡散作用による(イ)」——アークを消す働きなので消弧能力 です。
語のつながりで判断できます——「拡散作用による絶縁耐力」では意味が通りません
(ウ)を「空気容器」とする選択肢(1)(3)——真空遮断器なのに空気を入れては話が合いません(ウ)だけで2つ落ちます

⏱️ 本番での進め方
①(ア)(イ) 真空=絶縁耐力、拡散=消弧能力。語のつながりで判断。
②(ウ) 真空容器(真空バルブ)。空気容器ではない。
③(エ)★サージ対策はCR か避雷器。リアクトルは逆効果。
④電流を運ぶのは金属蒸気。電流零点で拡散して消える。

💡 覚え方
「真空にはアークを支えるものがない」——だから電流零点で一気に消えるその代わりサージが高いので、CR か避雷器で保護します。

遮断器の種類は平成19年度 A問題8保護機器:遮断器の機能と種類)、CRサージサプレッサは平成18年度 A問題7保護コンデンサとCRサージサプレッサ)にあります。

真空遮断器で接触子が開き金属蒸気アークが生じ電流零点で拡散消弧する三段階図
金属蒸気アークは交流電流の零点で急速に拡散・消弧し、遮断サージはCRまたは避雷器で抑えます。

真空遮断器が広く使われる理由

問題文が挙げる特徴を整理しておきましょう——どれも実用上の大きな利点です。

特徴理由
★長寿命★アーク電圧が低く電極の消耗が少ない
多頻度開閉に適する同上。数万回の開閉に耐える
小形・簡素★真空バルブだけで済む
保守が容易★油の交換や点検が不要

アーク電圧が低い——金属蒸気アークは数十V 程度です。アークで消費されるエネルギーが小さいので、電極が傷まないことになります。

油遮断器なら、遮断のたびに油が分解してガスが出ます——定期的な油の交換が必要でした。真空バルブは密閉されていて、中身が減りません

真空を保つ工夫

10-5 Pa という真空を何十年も保つ——容易なことではありません

セラミックと金属をろう付けで密封し、内部にゲッター(吸着材)を入れる——わずかに出る気体を吸着して真空を維持します。

真空度が落ちると遮断できなくなる——だから真空度を確認する試験も行われます目に見えない性能なので、定期的な確認が欠かせないのです。

空欄の絞り込み手順

4つの空欄がありますが、2つで確定します。

確定させる欄正しい値残る選択肢
(ウ)真空容器★(2)(4)(5)
(ア)絶縁耐力★(2)(4)
(エ)避雷器★(4)に確定

(ウ)は「真空遮断器なのだから真空容器」——空気容器では原理が成り立ちませんこれで2つ落ちます

(ア)は「高真空中での高い〜」という語のつながり——真空そのものの性質は絶縁耐力さらに1つ落ちます

最後に(エ)——サージを抑えるのに「リアクトル」では逆効果避雷器が正解です。3手で確定します。

24 kV 以下という適用範囲

真空遮断器が使われるのは主に24 kV 以下——それより上ではガス遮断器になります。

電圧階級主に使われる遮断器理由
低圧(600 V以下)気中遮断器(ACB)・配線用遮断器電圧が低くアークが消えやすい
★6.6〜24 kV★真空遮断器★小形・長寿命・保守容易
24 kV 超ガス遮断器(SF6★高電圧での絶縁確保

真空バルブは絶縁距離が短くて済む——真空の絶縁耐力が高いからです。ところが電圧が上がると、真空バルブを直列にする必要が出てくる——構造が複雑になり、利点が薄れるのです。

だから高電圧領域ではSF6 ガス遮断器——電圧階級で使い分けられていることになります。

6.6 kV の高圧受電設備なら、まず真空遮断器——電験3種で扱う範囲では、これが標準だと考えてよいでしょう。

まとめ

(ア)絶縁耐力
(イ)消弧能力
(ウ)真空容器
(エ)避雷器
答え(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・遮断器の機能と種類:【機械】平成19年度A問題8
・保護コンデンサ:【機械】平成18年度A問題7

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成19年度A問題8(保護機器3)
【機械】平成29年度A問題9(保護機器5)
【機械】平成22年度A問題7(保護機器1)
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