同期機27【電験3種 機械】同期電動機のトルクと誘導起電力!平成26年 B問題15 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成26年度 B問題15 トルクと起電力の関係!同期電動機を解剖

今回は平成26年度 機械科目 B問題15を解説します。同期電動機のトルクと、界磁を変えたときの誘導起電力を求める2問構成です。

トルクは \(T=P/\omega\)、出力 \(P=\sqrt3 V_\ell I\cos\theta\)。(b)は \(\dot E=\dot V-jx_s\dot I\) で計算します。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成26年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題15

 周波数が60 Hzの電源で駆動されている4極の三相同期電動機(星形結線)があり,端子の相電圧 V [V]は 400/√3 V,電機子電流 IM [A]は200 A,力率1で運転している。1相の同期リアクタンス xs [Ω]は1.00 Ωであり,電機子の巻線抵抗,及び機械損などの損失は無視できるものとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。

(a) 上記の同期電動機のトルクの値[N・m]として最も近いものを,次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 12.3 (2) 368 (3) 735 (4) 1 270 (5) 1 470

(b) 上記の同期電動機の端子電圧及び出力を一定にしたまま界磁電流を増やしたところ,電機子電流が IM1 [A]に変化し,力率 cosθ が √3/2(θ=30°)の進み負荷となった。出力が一定なので入力電力は変わらない。このときの1相の誘導起電力 E [V]として,最も近い E の値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 374 (2) 387 (3) 400 (4) 446 (5) 475

出題のポイント:力率1でトルク、力率変更で誘導起電力

(a)は力率1での素直なトルク計算、(b)は励磁を強めて進み力率にしたときの誘導起電力——同期電動機のV曲線を、計算で追いかける構成になっています。

(b)の鍵は「出力が一定なので入力電力は変わらない」という一文です。有効電力が同じなら、力率が下がった分だけ電流が増える——まずその新しい電流を求めてから、ベクトル図に入ります

同期電動機のトルク735ニュートンメートルと誘導起電力400ボルトの複素計算図
トルクはP/ω、界磁増加後は有効電流一定とE=V−jxsIを使います。

(a) トルクを求める

損失が無視できるので、電気入力がそのまま機械出力になります。力率1なので、入力は単純に「3×相電圧×電流」です。

\( P=3V_p I_M=3\times\dfrac{400}{\sqrt{3}}\times200 \)
三相入力
力率1なので cos θ=1
\( \phantom{P}=\sqrt{3}\times400\times200 \)
整理
3/√3=√3
\( \phantom{P}\fallingdotseq 138\,600\ [\mathrm{W}] \)
出力
約138.6 kW
\( N_s=\dfrac{120\times60}{4}=1\,800\ [\mathrm{min^{-1}}] \)
同期速度
4極・60 Hz
\( \omega_s=\dfrac{2\pi\times1\,800}{60}\fallingdotseq 188.5\ [\mathrm{rad/s}] \)
角速度
毎秒30回転×2π
\( T=\dfrac{138\,600}{188.5}\fallingdotseq 735\ [\mathrm{N\cdot m}] \)
トルク
出力÷角速度
答え(a)の正解は (3) 735 N・mです。相電圧が 400/√3 と与えられているので、3を掛けると √3×400 という扱いやすい形になります。

⚠️ よくある間違い
(1) 12.3角速度を求めるときに60で割り忘れたときの値(138 600÷(2π×1 800)≒12.3)です。回転速度の単位が min-1(毎分)であることを忘れると、ここに落ちます。
(5) 1 470極数を2として同期速度を3 600 min-1 とした……のではなく正解の2倍(2) 368正解の半分——極数の取り違えで作られた肢です。

(b) 新しい電流を求める

入力電力が変わらないのですから、有効電力は138.6 kW のままです。力率が0.866 に下がった分、電流は増えます

\( P=3V_p I_{M1}\cos\theta \)
三相入力
力率が入る
\( I_{M1}=\dfrac{138\,600}{3\times230.9\times0.866} \)
電流
Vp=400/√3≒230.9
\( \phantom{I_{M1}}\fallingdotseq 231\ [\mathrm{A}] \)
新しい電流
200 A から231 A に増えた

力率が1から0.866 に下がると、電流は 1/0.866=1.155 倍になります。200×1.155=231 A——割り算をしなくても、この比だけで出せます

(b) 誘導起電力を求める

電動機なので \( \dot{E}=\dot{V}-jx_s\dot{I}_{M1} \)進み力率なので \( \dot{I}_{M1} \) は \( \dot{V} \) より30°進む——\( \dot{I}_{M1}=231(\cos30^{\circ}+j\sin30^{\circ}) \) です。

\( \dot{I}_{M1}=231(0.866+j0.5)=200+j115.5 \)
電流
進みなので虚部が正
\( jx_s\dot{I}_{M1}=j1.00\times(200+j115.5)=-115.5+j200 \)
降下
j を掛けて90°回す
\( \dot{E}=230.9-(-115.5+j200) \)
電動機の式
V から引く
\( \phantom{\dot{E}}=346.4-j200 \)
整理
実部が増え、虚部が負になる
\( E=\sqrt{346.4^{2}+200^{2}}=\sqrt{160\,000} \)
大きさ
2乗して足す
\( \phantom{E}=400\ [\mathrm{V}] \)
誘導起電力
ちょうど400 V
平成26年機械B問題15の同期角速度、トルク、誘導起電力の計算図
(a)のトルクは735 N・m、(b)の誘導起電力は400 Vで、両問とも(3)です。
答え(b)の正解は (3) 400 Vです。ぴったり400 になるのは、正しい道筋を通った証拠——√160 000=400 と割り切れたら安心してよいということです。

⚠️ よくある間違い
(1) 374 V電流を200 A のまま計算したときの値です。力率が変わったのだから電流も変わる——「出力一定・力率低下 ⇒ 電流増加」という因果を踏まないと、ここに落ちます

(a)から(b)への変化がV曲線そのもの

(a) 調整前(b) 界磁を増やした後
励磁の状態適正励磁過励磁
力率1.00.866 進み
電機子電流200 A(最小)231 A(増加)
誘導起電力約231 V(1相)400 V(1相)
有効電力138.6 kW138.6 kW(不変)

界磁電流を増やすと誘導起電力が大きくなり、電流が進み位相になって大きさも増える——これがV曲線の右半分(過励磁側)を登る動きです。有効電力は変わらないのに電流だけ増えるので、銅損は増え、効率は下がります

それでも過励磁で運転する意味は、系統に進み無効電力を供給できることです。工場全体の力率改善に貢献できる——効率の低下と引き換えに、電力料金の力率割引を得るという運用になります。

⏱️ 本番での進め方
①(a) 3×(400/√3)=√3×400。相電圧が 400/√3 なのは計算しやすくするため。
②(a) 4極60 Hz は1 800 min-1=188.5 rad/s。頻出なので暗記推奨。
③(b) 力率1→0.866 なら電流は 1/0.866=1.155 倍。200→231 A。
④(b) 進みなので E は V より大きくなる。400 V は妥当。

💡 覚え方
「界磁を強める=進み=E が大きい=過励磁」逆に「界磁を弱める=遅れ=E が小さい=不足励磁」——この対応を覚えておけば、計算する前に答えの向き(E が400 V 前後の大きい値)が予想できます

同期電動機の進み電流の有効・無効成分と誘導起電力の成分計算図
進み30°ではI=200+j115.47 Aとなり、E=346.41−j200 Vです。

まとめ

同期角速度\(\omega=4\pi\times60/4=60\pi\,\mathrm{rad/s}\)
トルク\(T=\sqrt3\times400\times200/(60\pi)\fallingdotseq735\,\mathrm{N\cdot m}\)…(a)(3)
誘導起電力\(E=400\,\mathrm V\)…(b)(3)
答え(a) (3)、(b) (3)

▼あわせて解きたい関連問題
・トルクの穴埋め:【機械】令和元年度A問題5
・同期速度とトルク:【機械】平成19年度B問題15

📚 次に解くべき関連問題
【機械】令和5年度下期A問題5(同期機26)
【機械】令和元年度A問題5(同期機28)
【機械】平成30年度A問題5(同期機31)
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