同期機29【電験3種 機械】同期速度からトルクを求める!平成19年 B問題15 完全解説

電験3種 機械科目 同期機 平成19年度 B問題15 同期速度は変わらない!トルクは何N·mか?

今回は平成19年度 機械科目 B問題15を解説します。同期電動機の同期速度(角速度)とトルクを求める2問構成です。

角速度 \(\omega=\dfrac{4\pi f}{p}\)、出力 \(P=\dfrac{V_0V}{x_s}\sin\delta\)、トルク \(T=P/\omega\) を順に使います。

目次

問題文と選択肢

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題15

 6極,定格周波数60 Hz,電機子巻線がY結線の円筒形三相同期電動機がある。この電動機の一相当たりの同期リアクタンスは3.52 Ωであり,また,電機子抵抗は無視できるものとする。端子電圧(線間)440 V,定格周波数の電源に接続し,励磁電流を一定に保ってこの電動機を運転したとき,次の(a)及び(b)に答えよ。

(a) この電動機の同期速度を角速度[rad/s]で表した値として,最も近いのは次のうちどれか。

(1) 12.6 (2) 48 (3) 63 (4) 126 (5) 253

(b) 無負荷誘導起電力(線間)が400 V,負荷角が60°のとき,この電動機のトルク[N・m]の値として,最も近いのは次のうちどれか。

(1) 115 (2) 199 (3) 345 (4) 597 (5) 1 034

出題のポイント:(a)で作った角速度を(b)で使う

B問題は(a)の答えを(b)で使う構成が基本です。本問も、(a)で求めた同期角速度が(b)のトルク計算の分母になります——(a)を落とすと(b)も連鎖して落とすので、(a)を確実に取りましょう。

6極60ヘルツの同期電動機で同期速度から角速度と出力とトルクを求める流れ
同期速度をrad/sへ換算し、電磁出力を角速度で割ってトルクを求めます。

(a) 同期角速度を求める

同期速度と同期角速度

\( N_s=\dfrac{120f}{p}\ [\mathrm{min^{-1}}]\ ,\qquad \omega_s=\dfrac{2\pi N_s}{60}\ [\mathrm{rad/s}] \)

min-1 を rad/s に直すのが 2π/60——1回転=2π rad、1分=60秒だからです。

\( N_s=\dfrac{120\times60}{6}=1\,200\ [\mathrm{min^{-1}}] \)
同期速度
6極・60 Hz
\( \omega_s=\dfrac{2\pi\times1\,200}{60}=2\pi\times20 \)
角速度
1 200÷60=20 回転/秒
\( \phantom{\omega_s}\fallingdotseq 125.7\ [\mathrm{rad/s}] \)
答え
選択肢の126に一致
答え(a)の正解は (4) 126 rad/sです。1秒間に20回転するので、20×2π=125.7 rad/s——「毎秒何回転か」を先に出すと暗算しやすくなります

⚠️ よくある間違い
電気角速度 ω=2πf=377 rad/s と混同しないことです。トルクの計算に使うのは機械的な角速度(回転子が実際に回る速さ)——極数で割った同期速度から作ります2極機なら両者は一致しますが、本問は6極なので3倍の差が出ます。

(b) 出力からトルクを求める

円筒形同期機の三相出力

\( P=3\cdot\dfrac{V_p E_p}{x_s}\sin\delta=\dfrac{V_{\ell}E_{\ell}}{x_s}\sin\delta\ [\mathrm{W}] \)

線間電圧どうしを掛ければ、3倍を別に掛けなくてよい——本問はこの形が圧倒的に速いです。

相電圧で書くと \( 3\times\dfrac{(V_{\ell}/\sqrt{3})(E_{\ell}/\sqrt{3})}{x_s}\sin\delta \)——\( 3/(\sqrt{3}\times\sqrt{3})=1 \) なので、線間どうしを掛けた形と一致します√3 を2回割って3を掛ける手間が、まるごと省けるのです。

\( P=\dfrac{440\times400}{3.52}\times\sin60^{\circ} \)
代入
線間電圧どうしを掛ける
\( \phantom{P}=\dfrac{176\,000}{3.52}\times0.866 \)
計算
440×400=176 000
\( \phantom{P}=50\,000\times0.866 \)
整理
176 000÷3.52=50 000
\( \phantom{P}=43\,300\ [\mathrm{W}] \)
三相出力
約43.3 kW
\( T=\dfrac{P}{\omega_s}=\dfrac{43\,300}{125.7} \)
トルク
出力÷角速度
\( \phantom{T}\fallingdotseq 345\ [\mathrm{N\cdot m}] \)
答え
選択肢の345に一致
平成19年機械B問題15の同期角速度とトルクおよび正解を示す図
同期角速度は約126 rad/sで(a)(4)、トルクは約345 N・mで(b)(3)です。
答え(b)の正解は (3) 345 N・mです。176 000÷3.52=50 000 ときれいに割り切れるのは、正しい道筋を通っている証拠になります。

選択肢の作られ方を読む

選択肢正解との関係どんな誤りか
(1) 115345÷31相分のまま答えた(3倍を忘れた)
(2) 199345÷√3√3 を1回余分に割った
(3) 345 ← 正解
(4) 597345×√3√3 を1回余分に掛けた
(5) 1 034345×33倍を2回掛けた

5つの選択肢が、正解を中心に 1/3・1/√3・1・√3・3 の比で並んでいます三相の係数をどう扱ったかだけで、5通りの答えが作れる——だからこそ「線間どうしを掛ければ3も √3 も出てこない」形が有利なのです。

☝️ ひっかけの作り方:負荷角60°の sin を cos と取り違えるのも起きやすい誤りです。sin60°=0.866、cos60°=0.5——cos で計算すると25 000 W → 199 N・m となり、(2)に落ちます「トルクは sin δ に比例」を最初に確認してください。

⏱️ 本番での進め方
①(a) 1 200 min-1=毎秒20回転 → ω=20×2π≒126 rad/s。
②(b) P=V線間E線間/xs×sin δ。3も √3 も出てこない。
③ 440×400/3.52=50 000。割り切れたら道筋が正しい。
④ T=P/ω。43 300/125.7≒345。

💡 覚え方
「線間どうしを掛ければ、三相の係数はもう入っている」——相電圧で書くときだけ3を掛けるそして「トルクは出力÷機械角速度」——電気角速度ではないことに注意すれば、この型は完答できます。

同期角速度125.7ラジアン毎秒と電磁出力43.3キロワットからトルク345ニュートンメートルを求める図
1200 min⁻¹を125.7 rad/sへ直し、43.3 kWを割ると約345 N・mです。

負荷角60°はどれくらい余裕があるのか

本問の運転点は負荷角60°です。トルクは \( \sin\delta \) に比例し、最大は90°ですから、いまどれくらいの余裕があるのかを確かめておきましょう

負荷角 δsin δ最大トルクに対する割合本問の値なら
30°0.50050 %199 N・m
60°(本問)0.86687 %345 N・m
90°1.000100 %(脱出トルク)398 N・m

脱出トルクは 176 000/3.52=50 000 W を角速度で割った398 N・mです。本問の345 N・m は、その87 %に達しています——かなり重い負荷だと分かります。

ここからさらに負荷を15 %増やせば脱出トルクを超え、同期外れを起こします実機ではこれほど δ を大きくして運転することはなく、30〜40°程度に抑えるのが普通です。外乱で δ が跳ね上がっても90°に届かない余裕を残しておくためです。

本問が60°という大きめの角度を設定しているのは、sin60°=0.866 という計算しやすい値だからでしょう。ただし出てきた数字の意味を考えると、この電動機は限界近くで運転されている——計算結果を物理的に解釈する習慣が、論説問題の理解にもつながります

まとめ

同期角速度\(\omega=4\pi\times60/6\fallingdotseq125.7\,\mathrm{rad/s}\)…(a)(4)
出力\(P=\dfrac{400\times440}{3.52}\sin60^\circ\fallingdotseq43\,300\,\mathrm W\)
トルク\(T=43\,300/125.7\fallingdotseq345\,\mathrm{N\cdot m}\)…(b)(3)
答え(a) (4)、(b) (3)

▼あわせて解きたい関連問題
・トルクの計算:【機械】平成26年度B問題15
・トルクの穴埋め:【機械】令和元年度A問題5

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