今回は令和2年度 法規科目 A問題1、主任技術者の空欄補充問題です。後半では、まさに受験生自身が目指している第3種電気主任技術者免状で保安監督できる範囲が問われます。
数字は必ず暗記。第1種=制限なし/第2種=17万V未満/第3種=5万V未満(ただし出力5000kW以上の発電所を除く)。空欄(ア)は「保安の監督」、(イ)は「工事、維持及び運用に従事する者」です。
令和2年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和2年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 令和2年度 A問題1
次の文章は、「電気事業法」及び「電気事業法施行規則」に基づく主任技術者に関する記述である。
a) 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の(ア)の職務を誠実に行わなければならない。
b) 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に(イ)する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。
c) 第3種電気主任技術者免状の交付を受けている者が保安について(ア)をすることができる事業用電気工作物の工事、維持及び運用の範囲は、一部の水力設備、火力設備等を除き、電圧(ウ)万V未満の事業用電気工作物(出力(エ)kW以上の発電所を除く。)とする。
上記の記述中の空白箇所(ア)〜(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(ア) (イ) (ウ) (エ) (1) 作業,検査等 従事 5 5 000 (2) 監督 関係 3 2 000 (3) 作業,検査等 関係 3 2 000 (4) 監督 従事 5 5 000 (5) 作業,検査等 従事 3 2 000

答えは(4):監督・従事・5万V・5000kW
(ア)は「監督」——主任技術者は自ら作業する人ではなく、保安を監督する立場です。
(イ)は「従事」——実際に手を動かす人に、指示に従う義務がかかります。
(ウ)(エ)は「5万V」「5000kW」——第3種だけは電圧と出力の2つの上限があるのが特徴です。
免状3種類の範囲を一枚で押さえる
| 免状 | 電圧の上限 | 出力の制限 |
| ★第1種 | ★★制限なし | ★★なし |
| ★第2種 | ★★17万V未満 | ★★なし |
| ★第3種 | ★★5万V未満 | ★★出力5000kW以上の発電所を除く |
第2種までは電圧だけの制限です——出力の条件が付くのは第3種だけです。
17万Vと5万Vという数字も、そのまま問われます——「3万V・2000kW」と覚え違えないよう注意しましょう。
第3種で何ができるのか
| 設備 | 受電電圧 | 第3種で監督できるか |
| ★工場・ビル・病院 | ★★6600V | ★★できる |
| ★大規模工場 | ★★22000V・33000V | ★★できる |
| ★特別高圧の受電 | ★★66000V | ★できない(5万V以上) |
| ★大型発電所 | ★★— | ★できない(5000kW以上) |
世の中の自家用電気工作物の大半は6600V受電です——だから第3種で十分に仕事ができます。
これが電験3種の需要が大きい理由です——数の多いところをカバーしているのです。
「監督」と「従事」は役割が違う
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 監督 | ★★監督 | ★作業,検査等 | ★★主任技術者は見て判断する立場 |
| 従事 | ★★従事 | ★関係 | ★★実際に手を動かす人に義務がかかる |
| 5万V未満 | ★★5万V未満 | ★3万V未満 | ★★第3種の電圧上限は5万V |
主任技術者が自分で作業してはいけない、という意味ではありません——しかし条文が課しているのは監督の職務です。
「作業、検査等」を選ぶと、監督する人がいなくなってしまいます——制度の要は、判断できる人を置くことだからです。
「一部の水力設備、火力設備等を除き」の意味
条文には、この但し書きが付いています——電圧が低くても、監督できない設備があるという意味です。
ダムを伴う水力発電所や、大型のボイラを持つ火力発電所が該当します——電気以外の危険が大きい設備だからです。
電圧だけで割り切れない部分がある——ここも条文どおりに覚えておきましょう。
選任のしかたと免状の関係
| 方法 | 免状 | 手続 |
| ★選任 | ★★必要 | ★★遅滞なく届出 |
| ★許可選任 | ★★不要 | ★★経済産業大臣の許可 |
| ★外部委託承認 | ★★受託者が持つ | ★★承認(原則7000V以下) |
原則は免状所持者を自社で選任することです——免状がない人を選ぶには、大臣の許可が要ります。
小さな事業場では、外部の保安協会などに委託する形が一般的です——これも承認が必要な例外です。
指示に従う義務があるから監督が成り立つ
主任技術者に権限があっても、現場が聞かなければ意味がありません——だから第5項が置かれています。
監督する側とされる側の両方に義務を課す——この双方向で、はじめて制度が動きます。
実務では、この条文が主任技術者の後ろ盾になります——「法律で決まっている」と言えるのは強いのです。
数字を混同しやすいところ
| 数字 | 何の基準か |
| ★5万V未満 | ★★第3種免状の電圧範囲 |
| ★5000kW以上 | ★★第3種が監督できない発電所 |
| ★17万V未満 | ★★第2種免状の電圧範囲 |
| ★7000V以下 | ★★外部委託承認の原則 |
似た桁の数字が並ぶので、何の基準かをセットで覚えます——数字だけ覚えると取り違えます。
7000Vは免状の話ではなく、委託の話です——混ぜないよう気をつけましょう。
免状はどうやって取るのか
| 取り方 | 中身 |
| ★試験 | ★★電気主任技術者試験に合格する |
| ★認定 | ★★認定校を卒業し、所定の実務経験を積んで申請する |
どちらの道でも、交付される免状の効力は同じです——条文が求めているのは「免状の交付を受けている者」だけです。
免状を交付するのは経済産業大臣です——電気事業法の手続は、ほぼすべて大臣が相手になります。
電気工事士免状が都道府県知事の交付である点と対照的です——混同しやすいので、あわせて覚えておきましょう。
主任技術者を置かない設備はどうするのか
| 設備 | 選任 | 代わりの仕組み |
| ★一般用電気工作物 | ★★不要 | ★★電線路維持運用者の調査(法57条) |
| ★小規模事業用 | ★★不要 | ★★技術基準適合維持・使用前自己確認 |
| ★事業用(一般) | ★★必要 | ★★— |
主任技術者を置かない設備には、必ず別の仕組みが用意されています——保安を空白にしないという考え方です。
どの設備に誰が責任を持つのか——この対応が頭に入っていると、条文の位置づけが見えてきます。
⏱️ 本番での進め方
① (ア)(イ)は「監督」「従事」で即決——条文の語をそのまま選ぶ。
② (ウ)(エ)は5万V・5000kW。第3種は電圧と出力の両方に制限がある。
③ 3万V・2000kWを含む肢は落とす——これが定番のダミー。
④ 自分が取る免状の話なので、ここは落とせないと考える。
出題履歴——主任技術者は毎年のように出る
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成25年度 問1 | ★★a〜cの正誤(主語のすり替え) |
| ★令和2年度 問1 | ★★職務と免状の範囲(本問) |
| ★令和5年度上期 問1 | ★★正誤形式で再度 |
平成25年度 A問題1では、同じ43条が正誤形式で問われました。条文を覚えていれば、どちらの形式でも解けます。
主任技術者の条文は、法規で最も出題頻度が高い部類です——43条は全項を暗記する価値があります。
💡 覚え方
主任技術者免状の範囲(施行規則56条)=第1種は制限なし/第2種は17万V未満/第3種は5万V未満(出力5000kW以上の発電所を除く)。職務は保安の監督(法43条4項)、指示に従うのは従事する者(同5項)。
⚠️ よくある間違い
主任技術者は「作業・検査」をする人ではなく監督する人。第3種の上限を「3万V・2000kW」としない——5万V・5000kW。第3種だけ出力の制限もある点を忘れずに。
まとめ
| (ア) | 監督 |
| (イ) | 従事 |
| (ウ) | 5(万V未満) |
| (エ) | 5 000(kW以上の発電所を除く) |
| 第2種 | 17万V未満 |
| 答え | (4) |
▼あわせて解きたい関連問題
・主任技術者(電気事業法6):【法規】令和5年度上期 A問題1
・電気主任技術者の選任(電気事業法29):【法規】平成23年度 A問題1

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