今回は平成25年度 法規科目 A問題1、主任技術者に関する3つの記述の正誤を判定する問題です。令和5年度上期 A問題1とほぼ同じ形式で、a の書き方だけが変えてあります。
決め手は「電気事業の用に供する電気工作物」も事業用電気工作物の一種だという点。a は条文の対象のうち電気事業用の部分だけを述べていますが、その範囲で選任義務があること自体は正しいので、記述内容としては適切です。
答えは(4):a・b・cすべて適切
aも適切——条文の主語は「事業用電気工作物を設置する者」で、電気事業の用に供する電気工作物の設置者もそこに含まれるからです。
a は「電気事業用に限る」とは書いていません——条文の対象の一部を取り出して述べた文なので、誤りにはならないのです。
b・cはどちらも条文そのまま——主任技術者本人の義務と、現場の人の義務です。
平成25年度 法規科目 A問題1:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成25年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題1
電験3種 法規科目 【電気事業法】 平成25年度 A問題1
次のa、b及びcの文章は、主任技術者に関する記述である。その記述内容として、「電気事業法」に基づき、適切なものと不適切なものの組合せについて、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
a.電気事業の用に供する電気工作物を設置する者は、電気事業の用に供する電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、経済産業省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。
b.主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。
c.事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。
a b c (1) 不適切 適切 適切 (2) 不適切 不適切 適切 (3) 適切 不適切 不適切 (4) 適切 適切 適切 (5) 適切 適切 不適切

「事業用」は電気事業用と自家用の両方を含む
| 区分 | 中身 | 主任技術者 |
| ★事業用電気工作物 | ★★電気事業用+自家用 | ★★選任が必要 |
| ★ └ 電気事業用 | ★★発電所・変電所・送配電網 | ★★必要 |
| ★ └ 自家用 | ★★工場・ビル・病院の受電設備 | ★★必要 |
| ★一般用電気工作物 | ★★一般家庭・小規模店舗 | ★★不要(調査で見る) |
この入れ子関係が、法規の用語のいちばんの土台です——「事業用」と聞いて電気事業用だけを思い浮かべると、必ず引っかかります。
電験3種を受ける人の多くは、自家用の主任技術者を目指しています——自分自身がこの条文の対象だと思えば、忘れません。
1語だけ変える——正誤問題の定番の作り方
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| 事業用電気工作物を設置する者 | ★★事業用電気工作物を設置する者 | ★電気事業の用に供する電気工作物を設置する者 | ★★後者は前者の一部——「限る」と書かなければ誤りにならない |
| 誠実に行わなければならない | ★★誠実に行わなければならない | ★誠実に行うよう努める | ★★努力義務にすり替えるのも定番 |
| 指示に従わなければならない | ★★指示に従わなければならない | ★指示を尊重しなければならない | ★★義務を弱める言い換えに注意 |
正誤問題は、条文を丸ごと写したうえで1語だけ書き換えて作られます——全体がそれらしいので、読み流すと気づけません。
だから主語・対象・語尾の3か所を意識して読みます——誰が・何に対して・どこまで義務を負うかです。
本問は主語が狭く見えても、条文の範囲内でした——「限る」と書いてあるかどうかまで確かめます。
主任技術者の権限は「双方向」で成り立つ
第4項は主任技術者に誠実な職務を義務づけています——免状があるだけでは足りないということです。
第5項は現場の人に、主任技術者の指示に従う義務を課しています——監督する権限に、実効性を与えるための規定です。
片方だけでは制度が働きません——監督する側とされる側の両方に義務があって、はじめて保安が保てるのです。
⏱️ 本番での進め方
① 正誤問題は主語を最初に確認する——ただし狭い言い方=誤りとは限らない。
② 「〜に限る」と書いてあるかで、限定なのか一部を述べただけなのかを分ける。
③ 語尾の「しなければならない」が「努める」に変わっていないか見る。
④ 1つ誤りを見つけたら、残りは条文そのままか軽く確認して先へ進む。
出題履歴——形式を変えて繰り返される
| 年度 | 問われ方 |
| ★平成25年度 問1 | ★★a〜cの正誤(本問) |
| ★令和5年度上期 問1 | ★★ほぼ同形式 |
| ★令和2年度 問1 | ★★主任技術者の範囲 |
令和5年3月から、小規模事業用電気工作物は選任の対象外になりました——太陽光10kW以上50kW未満・風力20kW未満がこれに当たります。
新しい制度は数年遅れで出題されます——この除外は今後狙われる可能性が高いので押さえておきましょう。
免状の種類で見られる範囲が決まる
| 免状 | 監督できる範囲 |
| ★第1種 | ★★制限なし |
| ★第2種 | ★★電圧17万V未満 |
| ★第3種 | ★★電圧5万V未満(出力5000kW以上の発電所を除く) |
第3種の「5万V未満」と「5000kW以上の発電所を除く」はセットで問われます——電圧だけ覚えていると、発電所の但し書きで落とします。
ふつうの工場やビルの受電は6600Vなので、第3種で十分に足ります——だから電験3種の需要が大きいのです。
選任のしかたには、直接雇う選任のほかに、許可選任・外部委託承認(7000V以下が原則)があります。
主任技術者を置かなくてよい場合
| 区分 | 選任 | 備考 |
| ★事業用(一般) | ★★必要 | ★★免状所持者から選任 |
| ★小規模事業用 | ★★不要 | ★★令和5年3月から。事業用ではあるが選任は不要 |
| ★一般用 | ★★不要 | ★★電線路維持運用者の調査で見る |
小規模事業用電気工作物は、事業用でありながら選任が要りません——ここが引っかけやすいところです。
太陽光10kW以上50kW未満・風力20kW未満がこれに当たります——代わりに技術基準適合維持義務と使用前自己確認が課されます。
選任のしかたは3通りある
| 方法 | 中身 | 手続 |
| ★選任 | ★★免状所持者を自社で選任する | ★★遅滞なく届出 |
| ★許可選任 | ★★免状がない者を選任する | ★★経済産業大臣の許可 |
| ★外部委託承認 | ★★選任せず外部に委託する | ★★経済産業大臣の承認(原則7000V以下) |
原則は自社で選任、例外が許可選任と外部委託承認です——例外はどちらも行政の判断が要るので、届出では済みません。
外部委託承認は7000V以下が大原則です——高圧受電の小さな事業場を想定した制度だからです。
複数の事業場を1人が見る兼任は、また別の承認が必要です——許可選任とは別の手続なので混同しないようにしましょう。
正誤問題を1分で終える読み方
| 見る場所 | 確認すること |
| ★主語 | ★★対象を狭めていないか、「限る」と書いてあるか |
| ★対象 | ★★事業用か一般用か、範囲が正しいか |
| ★語尾 | ★★「しなければならない」が「努める」になっていないか |
| ★数値 | ★★電圧・出力・期限が入れ替わっていないか |
この4か所だけを見れば、たいていの正誤問題は片付きます——全文を丁寧に読む必要はありません。
逆に言えば、作問者もこの4か所しか変えるところがない——だから狙いを絞って読めるのです。
💡 覚え方
法43条1項の主語は「事業用電気工作物を設置する者」——電気事業用+自家用の両方(小規模事業用は除く)。4項=主任技術者は職務を誠実に行う/5項=従事者は指示に従う。この双方向でひとつの制度。
⚠️ よくある間違い
狭い言い方=誤り、と早合点しないこと——「電気事業の用に供する電気工作物」も事業用電気工作物なので、aは適切。「〜に限る」と書いてあってはじめて限定になる。
まとめ
| a | 適切(電気事業用も事業用電気工作物に含まれる) |
| b | 適切(法43条4項) |
| c | 適切(法43条5項) |
| 正しい主語 | 事業用電気工作物を設置する者 |
| 答え | (4) |
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