今回は平成19年度 電力科目 A問題11、CVTケーブルを3心共通シース形CVケーブル(CV-3C)と比較する空欄補充問題です。cb2・cb13で登場した「CVT=熱抵抗小・容量大・作業性良」を、空欄で正確に言えるかが問われます。
CVT(トリプレックス形)は単心CVケーブル3条をより合わせた構造。3心共通シース形と違って心線間の介在物がなく各心が独立しているため、熱放散が良く許容電流を大きくとれ、熱伸縮を吸収しやすく、軽くて曲げやすい——4つの利点がそのまま4つの空欄になっています。
平成19年度 電力科目 A問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」電力科目 A問題11
電験3種 電力科目 【地中送電】 平成19年度 A問題11
CVTケーブルのCV-3Cケーブル(3心共通シース形)と比較した特徴に関する記述の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句の組合せを選ぶ問題である(正解の組合せ:(ア)熱放散・(イ)許容電流・(ウ)熱伸縮・(エ)曲げ)。
CVTケーブルは、3心共通シース形CVケーブルと比較して、(ア)が大きくなるため、(イ)を大きくとることができる。また、(ウ)の吸収が容易であり、(エ)やすいため、接続箇所のマンホール設計寸法を縮小化できる——という趣旨の文章の空欄(ア)〜(エ)に当てはまる語句の組合せを選ぶ。
※選択肢は5つの組合せ表(原文の表は省略。正解の組合せは下記解説を参照)。

答えは(2):熱放散・許容電流・熱伸縮・曲げ
| 空欄 | 入る語 | 理由 |
| ★(ア) | ★★熱放散 | ★介在物がないので熱が逃げやすい |
| ★(イ) | ★★許容電流 | ★熱が逃げれば電流を流せる |
| ★(ウ) | ★★熱伸縮 | ★より合わせ構造が伸び縮みを吸収する |
| ★(エ) | ★★曲げ | ★1心ずつ独立しているので柔らかい |
4つの利点が、すべて1つの構造から出てきます——介在物がなく、各心が独立していること。
(イ)を「送電電圧」としないことが要点——熱の話なので電流です。
電圧は絶縁体の厚さで決まります——放熱とは関係ありません。
CVTとCV-3Cの構造の違い
| ★CVT(トリプレックス形) | ★CV-3C(3心共通シース形) | |
| ★構造 | ★★単心ケーブル3本をより合わせただけ | ★★3心をまとめて1つのシースで覆う |
| ★介在物 | ★★ない | ★★すき間を埋める介在物がある |
| ★外形 | ★三つ葉状 | ★円形 |
| ★熱放散 | ★★良い | ★★悪い |
| ★取り扱い | ★★1心ずつ扱える | ★★3心まとめてしか扱えない |
CV-3Cは、3心のすき間に介在物を詰めて円くします——その介在物が熱を閉じ込めるのです。
CVTには介在物がないので、外気に触れる面積が大きい——だから熱がよく逃げます。
より合わせただけなので、必要なら1心ずつほどけます——端末処理も1心単位でできるのです。
だから接続部が小さくなり、マンホールも小型化できます——問題文の結論はここです。
(ウ) 熱伸縮を吸収するとは
ケーブルは、電流が流れると温まって伸びます。
| 段階 | 起きること |
| ① | ★負荷が増えて導体が温まる |
| ★② | ★★金属なので熱膨張で伸びる |
| ★③ | ★逃げ場がないと接続部に力がかかる |
| ★④ | ★★CVTならより合わせが緩んで吸収する |
まっすぐな管の中では、伸びた分の逃げ場がありません——接続部に力が集中するのです。
CVTはらせん状によられているので、少し緩めば伸びを吸えます——ばねのような働きです。
だから接続部への負担が小さくて済みます——寿命が延びることになります。
CV-3Cはシースで固められているので、この余裕がありません。
⚠️ よくある間違い
(イ)を「送電電圧」としてしまう——熱放散が良いと上がるのは許容電流です。電圧は絶縁体の厚さで決まります。
CVTとCV-3Cの優劣を逆にしてしまう——CVTのほうが有利です。
(ウ)を「電磁力」としてしまう——問題文は接続部の寸法の話をしています。
(エ)を「引っ張り」としてしまう——柔らかさの話なので曲げです。
4つの利点がすべて「介在物なし」から出てくる——1つの構造で覚えられます。
⏱️ 本番での進め方
①★CVTの4大利点=放熱・容量・伸縮・柔軟。
②★すべて「介在物なし・各心独立」から出てくる。
③★熱放散が良いと上がるのは許容電流。
④★1心ずつ扱えるので接続部が小さくなる。
💡 覚え方
「介在物がないから全部よい」——放熱も柔らかさも、そこから出てきます。電圧は絶縁、電流は熱——この対応で(イ)が決まります。
マンホールと布設方式は平成26年度 A問題10(地中送電:布設方式)にあります。
CVケーブルという名前
アルファベットが構造を表しています。
| 文字 | 元の語 | 意味 |
| ★C | ★Cross-linked polyethylene | ★★架橋ポリエチレン絶縁 |
| ★V | ★Vinyl(ポリ塩化ビニル) | ★★ビニルシース |
| ★T | ★Triplex | ★★3本をより合わせた形 |
架橋ポリエチレンは、分子どうしを橋渡しした樹脂です——熱に強くなるのです。
ふつうのポリエチレンは70 ℃ ほどで軟らかくなります——架橋すれば90 ℃ まで使える。
許容温度が上がれば、そのぶん電流を流せます——だからCVが主流になりました。
Tが付けば、単心3本をよったトリプレックス形——名前だけで構造が分かるのです。
(ア) 介在物が熱を閉じ込める
CV-3Cの構造上の弱点を見ましょう。
| 段階 | 起きること |
| ① | ★3心を円形にまとめるため、すき間に介在物を詰める |
| ★② | ★★介在物は繊維や樹脂で熱を通しにくい |
| ★③ | ★★導体の熱が外へ逃げにくくなる |
| ★④ | ★★同じ電流でも温度が高くなる |
| ★⑤ | ★許容温度に達するのが早く、許容電流が小さい |
介在物は、形を整えるために必要なものです——けれども熱の面では邪魔になる。
CVTには介在物がないので、この問題がありません——3本がそのまま外気に触れるのです。
表面積も、三つ葉状のほうが大きくなります——だから熱がよく逃げることになります。
許容温度は同じ90 ℃ でも、そこに達する電流が違う——それが許容電流の差です。
(エ) 曲げやすさが効いてくる場面
柔らかいと、どこで得をするのでしょうか。
| 場面 | CVTの利点 |
| ★管路に通すとき | ★★曲がった管でも通しやすい |
| ★マンホール内 | ★★小さく曲げて収められる |
| ★端末処理 | ★★1心ずつ分けて処理できる |
| ★運搬 | ★ドラムに巻きやすい |
管路は直線ばかりではありません——道路に沿って曲がるのです。
硬いケーブルは、曲げられる半径に限りがあります——無理に曲げれば絶縁体が傷むから。
CVTは1心ずつほどけるので、小さく曲げられます——だからマンホールが小さくて済む。
マンホールが小さくなれば、工事費も下がります——問題文の結論につながるのです。
架橋ポリエチレンが主流になった理由
CVケーブルのCが表す材料です。
| 絶縁体 | 許容温度 | 短所 | 現在 |
| ★油浸紙(OFケーブル) | ★80 ℃ 程度 | ★★油の給油設備が要る | ★★減っている |
| ★ポリエチレン | ★70 ℃ | ★★熱に弱い | ★使われない |
| ★★架橋ポリエチレン | ★★90 ℃ | ★水トリー劣化 | ★★主流 |
分子どうしを橋渡しすると、熱で軟らかくなりません——それが架橋という処理です。
許容温度が70 ℃ から90 ℃ に上がりました——そのぶん電流を流せるのです。
油を使わないので、給油設備も漏油の心配も要りません——保守が格段に楽になります。
弱点は水分が入ると起きる水トリー劣化——だから遮水層を設けます。
CVTが選ばれる理由をまとめる
4つの利点が、それぞれ実務でどう効くか見ましょう。
| 利点 | 実務での効き方 |
| ★熱放散が良い | ★★同じ太さでより多く送れる |
| ★許容電流が大きい | ★★細いケーブルで済み材料費が下がる |
| ★熱伸縮を吸収する | ★★接続部が傷まず寿命が延びる |
| ★曲げやすい | ★★マンホールが小さくなり工事費が下がる |
どれも費用に直結しています——だからCVTが標準になりました。
構造としては、単心3本をよっただけの単純なもの——作るのも簡単です。
単純な工夫が、大きな差を生んでいます——介在物をなくしただけなのに。
いまでは配電用も送電用もCVTが主流——CV-3Cは特別な場合に限られます。
まとめ
| (ア) | 熱放散(介在物なしで良好) |
| (イ) | 許容電流(熱放散良→大きくとれる) |
| (ウ) | 熱伸縮(より合わせで吸収容易) |
| (エ) | 曲げ(軽量・1心単位で扱える) |
| 効果 | 接続箇所のマンホール寸法を縮小化 |
| 答え | (2) |
▼あわせて解きたい関連問題
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