変圧器41【電験3種 機械】三相変圧器の並行運転の条件(角変位)とは?令和5年度上期 A問題8 完全解説

電験3種 機械科目 令和5年度上期 A問題8 三相変圧器の並行運転

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目で頻出の「変圧器の並行運転」。本記事では、令和5年度上期 A問題8で問われた三相変圧器の並行運転の条件に関する論説問題から誤っているものを選ぶ問題を、角変位(位相変位)の図を交えて解説します。

カギは角変位(位相変位)。三相変圧器を並行運転するには角変位が一致している必要があり、角変位が異なる結線どうしは並行運転できません。問題文(3)は「Δ-YとY-Yは並行運転できる」としていますが、Δ-Y(30°)とY-Y(0°)は角変位が異なるためできないのが正しく、ここが誤りです。

出題のポイント:並行運転は「角変位が同じ」結線どうし

三相変圧器の並行運転の条件は、①極性が一致 ②変圧比(巻数比)が等しい ③%インピーダンス降下が等しい ④巻線抵抗と漏れリアクタンスの比が等しい ⑤角変位が等しい ⑥相回転の方向が一致、の6つです。とくに角変位は、Δ-Δ・Y-Yが0°、Δ-Y・Y-Δが30°。同じ角変位どうしでないと並行運転できません

目次

令和5年度上期 機械科目 A問題8:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 令和5年度上期 A問題8 問題文(三相変圧器の並行運転の論説)
令和5年度上期 機械科目 A問題8 問題文

電験3種 機械科目 【変圧器】 令和5年度上期 A問題8

三相変圧器の並行運転に関する記述として、誤っているものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(1) 各変圧器の極性が一致していないと、大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。
(2) 各変圧器の変圧比が一致していないと、負荷の有無にかかわらず循環電流が流れて巻線の過熱を引き起こす。
(3) 一次側と二次側との誘導起電力の位相変位(角変位)が各変圧器で等しくないと、その程度によっては、大きな循環電流が流れて巻線の焼損を引き起こす。したがって、Δ-YとY-Yとの並行運転はできるが、Δ-ΔとΔ-Yとの並行運転はできない。
(4) 各変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスとの比が等しくないと、…取り出せる電力は各変圧器の出力の和より小さくなり、…利用率が悪くなる。
(5) 各変圧器の百分率インピーダンス降下が等しくないと、各変圧器が定格容量に応じた負荷を分担することができない。

問題の解説:各記述を一つずつ確認する

角変位と並行運転の可否をもとに、(1)〜(5)の正誤を確認します。誤りは(3)で、Δ-YとY-Yは角変位が異なるため並行運転できません。

令和5年度上期 A問題8 解説1/2 角変位と並行運転の可否
解説(1/2):角変位(位相変位)と並行運転の可否
令和5年度上期 A問題8 解説2/2 各記述の正誤と(3)が誤りの理由
解説(2/2):各記述の正誤と(3)が誤りの理由

(1)(2) 極性・変圧比 — 正しい

極性が一致しないと大きな循環電流が流れて巻線が焼損します((1) 正)。変圧比が一致しないと、無負荷でも二次起電力の差により循環電流が流れて過熱します((2) 正)。

(3) 角変位(並行運転の可否) — 誤り

前半(角変位が等しくないと循環電流が流れる)は正しいですが、後半が誤りです。角変位は Δ-Δ・Y-Yが0°Δ-Y・Y-Δが30°。並行運転は角変位が等しい結線どうしでのみ可能です。Δ-Y(30°)とY-Y(0°)は角変位が異なるため並行運転できません。問題文の「Δ-YとY-Yとの並行運転はできる」が誤りです(なお「Δ-ΔとΔ-Yはできない」は角変位が0°と30°で異なるため正しい記述です)。

(4)(5) 抵抗とリアクタンスの比・%インピーダンス — 正しい

巻線抵抗と漏れリアクタンスの比が等しくないと、二次電流に位相差が生じて利用率が悪化します((4) 正)。%インピーダンス降下が等しくないと、各変圧器が定格容量に比例した負荷分担をできません((5) 正)。

したがって、誤っているものは (3) です。

ポイント解説:並行運転の条件を整理する

1. 角変位が等しい結線どうしでのみ並行運転できる

角変位は Δ-Δ=0°、Y-Y=0°、Δ-Y=30°、Y-Δ=30°Δ-ΔとY-Y(ともに0°)、Δ-YとY-Δ(ともに30°)の組合せは並行運転できますが、0°と30°の組合せ(例:Δ-YとY-Y)は循環電流が流れて並行運転できません

2. 変圧比・極性の不一致は循環電流の原因

極性や変圧比が一致しないと、二次起電力に差が生じて循環電流が流れ、巻線が過熱・焼損します。並行運転の具体的な循環電流の計算は変圧器29(並行運転と循環電流)で扱っています。

3. %インピーダンスが等しいと容量比で分担

各変圧器の%インピーダンス降下が等しいと、定格容量に比例した負荷分担ができます。さらに巻線抵抗と漏れリアクタンスの比(R/X)も等しいと、各変圧器の電流の位相がそろい、利用率の低下を防げます。

まとめ:各記述の正誤

記述内容正誤
(1)極性不一致 → 循環電流・焼損
(2)変圧比不一致 → 無負荷でも循環電流
(3)Δ-YとY-Yは並行運転できる誤(角変位が異なりできない)
(4)R/X比不一致 → 利用率悪化
(5)%インピーダンス → 容量比の負荷分担

並行運転は「角変位が等しい結線どうし」を押さえることが得点のカギです。循環電流の計算を扱う変圧器29や、各種変圧器の論説変圧器39変圧器40もあわせて確認しておきましょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次