変圧器36【電験3種 機械】電気機器の損失(銅損・鉄損・機械損)とは?令和元年度 A問題7 完全解説

電験3種 機械科目 令和元年度 A問題7 電気機器の損失の分類

電験3種(第三種電気主任技術者試験)の機械科目では、変圧器をはじめとする電気機器の損失が繰り返し問われます。本記事で扱う令和元年度 A問題7は、実は【機械】令和5年度下期A問題7とほぼ同一の問題で、それだけ頻出かつ重要なテーマであることを示しています。確実に得点できるよう、損失の分類から丁寧に解説します。

この問題のポイントは、損失を「どこで生じるか」で見分けることです。銅線(コイル)で生じれば銅損、鉄心で生じれば鉄損(ヒステリシス損+渦電流損)、回転で生じれば機械損。この対応さえ押さえれば、紛らわしい選択肢にも迷いません。

🔁 この問題は繰り返し出題されています
ほぼ同じ問題が 【機械】令和5年度下期A問題7 でも出題されています。出題パターンが固定なので、セットで解けば確実な得点源になります。
目次

令和元年度 機械科目 A問題7:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 機械科目 令和元年度 A問題7 問題文(電気機器の損失の分類)
令和元年度 機械科目 A問題7 問題文

電験3種 機械科目 【変圧器】 令和元年度 A問題7

次の文章は、電気機器の損失に関する記述である。

a コイルの電流とコイルの抵抗によるジュール熱が (ア) であり、この損失を低減するため、コイルを構成する電線の断面積を大きくする。交流電流が並列コイルに分かれて流れると、並列コイル間の電流不平衡からこの損失が増加する。この損失を低減するため、並列回路を構成する各コイルの鎖交磁束と抵抗値、すなわち、各コイルのインピーダンスを等しくする。

b 鉄心に交流磁束が通ると損失が発生する。その成分は (イ)(ウ) の二つに分類される。前者は、交流磁束によって誘導された電流が鉄心を流れてジュール熱として発生する。そこで、電気抵抗が高い強磁性材料や、表面を絶縁膜で覆った薄い鋼板を積層した積層鉄心を磁気回路に用いて、電流の経路を断つことで損失を低減する。後者は、鉄心の磁束が磁界の履歴に依存するために発生する。この (ウ) を低減するために電磁鋼板が磁気回路に広く用いられている。

c 上記の電磁気要因の損失のほか、電動機や発電機では、回転子の運動による軸受け摩擦損や冷却ファンの空気抵抗による損失などの (エ) がある。

空白箇所(ア)(エ)に当てはまる組合せとして正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。

(ア)(イ)(ウ)(エ)
(1)銅損渦電流損ヒステリシス損機械損
(2)鉄損抵抗損ヒステリシス損銅損
(3)鉄損渦電流損インダクタンス損機械損
(4)鉄損機械損ヒステリシス損銅損
(5)銅損抵抗損インダクタンス損機械損

出題のポイント:巻線・鉄心・回転部分で分類する

電気機器の損失を発生場所ごとに、巻線の銅損、鉄心の渦電流損とヒステリシス損、回転部分の機械損へ分類した図
巻線は銅損、鉄心は鉄損、回転部分は機械損です。鉄損は渦電流損とヒステリシス損に分かれます。

巻線の電流と抵抗によるジュール熱は銅損、鉄心の交流磁束によって生じる損失は鉄損、回転子や冷却ファンの運動による損失は機械損です。鉄損は、鉄心内の誘導電流による渦電流損と、磁化の履歴によるヒステリシス損に分かれます。問題文の「発生場所」と「原因」を対応させると、空欄を確実に判別できます。

ポイント解説:渦電流損とヒステリシス損を見分ける

鉄損を構成する渦電流損とヒステリシス損について、発生原因、問題文の手掛かり、低減対策を比較した図
誘導電流と電流経路が手掛かりなら渦電流損、履歴と磁気特性が手掛かりならヒステリシス損です。

1. 「どこで生じるか」で覚える

銅線で生じる=銅損鉄心で生じる=鉄損(ヒステリシス損+渦電流損)回転で生じる=機械損。発生する場所で分類すると、用語の取り違えがなくなります。

2. 無負荷損と負荷損

鉄損は電圧・周波数が一定なら負荷によらず一定なので無負荷損、銅損は負荷電流の2乗に比例するので負荷損です。鉄損=銅損のとき効率が最大になる、という関係とセットで覚えましょう。

3. 渦電流損とヒステリシス損の見分け方

「誘導電流(渦電流)が鉄心を流れて発生」=渦電流損、「磁束が履歴に依存して発生」=ヒステリシス損。渦電流損は鋼板を薄く積層して、ヒステリシス損は電磁鋼板(ケイ素鋼)で低減する、という対策とあわせて覚えると確実です。

問題の解説:(ア)〜(エ)を発生原因から判別する

コイルのジュール熱を銅損、鉄心の誘導電流を渦電流損、磁気履歴をヒステリシス損、軸受摩擦と風損を機械損と判別する表
(ア)銅損、(イ)渦電流損、(ウ)ヒステリシス損、(エ)機械損となり、正解は選択肢(1)です。

損失の分類図をもとに、(ア)〜(エ)を一つずつ判別します。

(ア) コイルのジュール熱 → 銅損

コイル(巻線)の電流と抵抗によるジュール熱は銅損です。電線の断面積を大きくする(太くする)と抵抗が下がり、損失が減ります。銅損は負荷電流の2乗に比例する負荷損です。並列コイルではインピーダンスを等しくして電流の偏りを防ぐと、さらに損失を抑えられます。

(イ)(ウ) 鉄心の損失 → 渦電流損・ヒステリシス損

鉄心の損失(鉄損)は2種類に分かれます。「交流磁束によって誘導された電流が鉄心を流れてジュール熱として発生する」のが(イ) 渦電流損(薄い鋼板を積層して低減)。「鉄心の磁束が磁界の履歴(B-Hループ)に依存して発生する」のが(ウ) ヒステリシス損(電磁鋼板で低減)です。

(エ) 回転による損失 → 機械損

回転子の軸受け摩擦損や冷却ファンの空気抵抗(風損)による損失は機械損です。これは回転機(電動機・発電機)特有の損失で、静止器である変圧器にはありません。

以上より、(ア)銅損・(イ)渦電流損・(ウ)ヒステリシス損・(エ)機械損 となり、正解は (1) です。「抵抗損」「インダクタンス損」は損失の名称として一般に使われない用語なので、それらを含む選択肢は除外できます。

まとめ:電気機器の損失の分類

空欄損失生じる場所・特徴
(ア)銅損巻線の抵抗によるジュール熱(負荷損)
(イ)渦電流損鉄心の渦電流によるジュール熱(鉄損)
(ウ)ヒステリシス損磁束の履歴に依存(鉄損)
(エ)機械損軸受摩擦・風損(回転機)

この問題は【機械】令和5年度下期A問題7と同一問題で、損失の分類は頻出テーマです。さらに5つの空欄で損失と周波数特性を問う【機械】平成23年度A問題6、損失と効率の論説【機械】令和4年度下期A問題9もあわせて確認しておきましょう。

📚 次に解くべき関連問題
【機械】平成23年度A問題6(変圧器37)
【機械】令和2年度A問題8(変圧器38)
【機械】令和4年度下期A問題9(変圧器34)
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