電験3種の機械科目で問われる直流分巻発電機の誘導起電力と効率。本記事では、平成18年度 B問題15で出題された、(a)誘導起電力・(b)効率の2段構成の計算問題を解説します。
カギは発電機の式 \( E=V+I_ar_a \) と \( I_a=I_n+I_f \)、効率は η=出力/(出力+銅損+機械損) です。
平成18年度 機械科目 B問題15:問題文と選択肢
(a)で出した電流が(b)でそのまま効いてくる構成です。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」機械科目 B問題15
電験3種 機械科目 【直流機】 平成18年度 B問題15
定格出力 100 kW、定格電圧 220 V の直流分巻発電機がある。この発電機の電機子巻線の抵抗は 0.05 Ω、界磁巻線の抵抗は 57.5 Ω、機械損の合計は 1.8 kW である。この発電機を定格電圧、定格出力で運転しているとき、次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、ブラシによる電圧降下、補極巻線の抵抗、界磁鉄心と電機子鉄心の鉄損及び電機子反作用による電圧降下は無視できるものとする。(a) この発電機の誘導起電力 [V] の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 232 (2) 239 (3) 243 (4) 252 (5) 265(b) この発電機の効率 [%] の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1) 88 (2) 90 (3) 92 (4) 94 (5) 96
出題のポイント:(a)で出した電流を(b)でそのまま使う
B問題は(a)の答えが(b)の材料になるように作られていることが多く、本問もその典型です。(a)で電機子電流458 A を確定させれば、(b)の銅損はその2乗を掛けるだけ——(a)を落とすと(b)も連鎖して落ちる構造になっています。

(a)の解説:電流を3つ書き出す
定格出力は端子から出ていく電力。界磁ぶんは含まれていない。
界磁巻線は端子に並列 ⇒ 端子電圧220 V がそのままかかる。
発電機は足す。電機子が両方をまかなう。
内部抵抗で失う22.9 V を上乗せしたものが起電力。
符号を逆にすると 220−22.9=197 V となり、選択肢に存在しません。「選択肢にない=符号を間違えた」と気づけるので、この(a)は比較的親切な作りです。

(b)の解説:損失を3つ数える
効率の分母は「出力+全損失」です。本問で数えるべき損失は3つ——問題文の但し書きで鉄損とブラシ損は無視と指定されているので、それ以外を拾います。
\( VI_f=220\times3.83 \) と計算しても同じ。
(a)で出した458 A の2乗。ここが最大の損失。
問題文で与えられている。忘れやすい。
分母は原動機からの機械入力。

(b)の誤答は「損失の数え落とし」で説明できる
| 選択肢 | そう出る計算 | 何を数え落としたか |
| (1) 88 | 100/(100+0.84+10.51+1.8) | 正解 |
| (2) 90 | 100/(100+0.84+10.51)=89.8 | 機械損1.8 kW を忘れた |
| (3) 92 | 損失を約8.7 kW と見積もった場合 | 電機子銅損を小さく見積もった |
| (4) 94 | 損失を約6.4 kW と見積もった場合 | 同上 |
| (5) 96 | 損失を約4.2 kW と見積もった場合 | 同上 |
(2)90 が本命の罠です。問題文に堂々と「機械損の合計は1.8 kW」と書いてあるのに、電気的な損失だけを数えてしまう——与えられた数値を全部使ったかを最後に確認する習慣が対策になります。
損失の内訳を見ると、電機子銅損10.5 kW が圧倒的です。界磁銅損は0.84 kW、機械損は1.8 kW——電機子銅損だけで全損失の8割を占めています。大電流機では Ia2ra が支配的になるという、実機の姿がそのまま出ています。
界磁抵抗57.5 Ω という値の意味
この問題の界磁巻線抵抗57.5 Ω は、電機子巻線の0.05 Ω と比べて1000倍以上あります。同じ機械の中でこれほど桁が違うのには理由があります。
| 電機子巻線 | 界磁巻線 | |
| 流したい電流 | 大きい(458 A) | 小さい(3.8 A) |
| 必要な起磁力 | — | 巻数を多くして稼ぐ |
| 電線 | 太く短い | 細く長い |
| 抵抗 | 0.05 Ω(小さい) | 57.5 Ω(大きい) |
| 損失 | 10.5 kW(電流の2乗で効く) | 0.84 kW |
界磁は「少ない電流で強い磁界を作る」ことが目的なので、細い電線を何千回も巻きます。結果として抵抗は大きくなりますが、流れる電流が小さいので損失は小さく収まります(0.84 kW)。
逆に電機子は大電流を流すので、太い電線で抵抗を極力小さくします。それでも電流が458 A もあると、0.05 Ω でも10.5 kW の損失になってしまう——Ia2ra の2乗が効いているわけです。
この構造の違いは、分巻と直巻の界磁巻線の作りの違いにもそのまま現れます。分巻は細く長い巻線(高抵抗・小電流)、直巻は太く短い巻線(低抵抗・大電流)——直巻の界磁には負荷電流がそのまま流れるので、電機子巻線と同じくらい太くする必要があるのです。
発電機と電動機で効率の式はどう違うか
効率はいつでも「出力÷入力」ですが、発電機と電動機では入口と出口が逆なので、式の見た目が変わります。
| 発電機 | 電動機 | |
| 入力 | 原動機からの機械動力 | 端子からの電力 VI |
| 出力 | 端子への電力 VIn | 軸への機械動力 |
| 効率 | η=出力/(出力+損失) | η=(入力−損失)/入力 |
| 直接測れるのは | 出力(電気量) | 入力(電気量) |
どちらも「電気側が測りやすく、機械側が測りにくい」ため、測れる電気量に損失を足し引きして機械側を推定する——これが規約効率の考え方です。本問が「出力+損失」の形になっているのは、発電機だからです。
最大効率になる条件も押さえておきましょう。負荷によらない損失(機械損+界磁銅損+鉄損)と、負荷の2乗に比例する損失(電機子銅損)が等しくなるときに効率が最大になります。本問では固定的な損失が2.64 kW、電機子銅損が10.5 kW ——電機子銅損のほうがはるかに大きいので、この機械は定格より軽い負荷で運転したほうが効率が良いことになります。
⏱️ 本番での進め方
① 電流を3つ書き出す:In=P/V、If=V/rf、Ia=In+If(発電機は足す)。
② (a)は E=V+Iara に代入するだけ。符号を逆にすると選択肢に無い値になる。
③ (b)は損失を指で数える:界磁銅損・電機子銅損・機械損の3つ。
④ 与えられた数値を全部使ったかを確認する。1.8 kW を使い忘れたら(2)へ落ちる。
💡 覚え方
発電機は Ia=In+If、E=V+Iara(どちらも「足す」)。効率=出力/(出力+全損失) で、損失は界磁銅損 V2/rf+電機子銅損 raIa2+機械損の3つ。大電流機では電機子銅損が支配的(本問では全損失の8割)。
⚠️ よくある間違い
機械損を数え落とすのが最頻で、そのまま(2)90 % に着地します。問題文に与えられている数値は必ずどこかで使う——使っていない数値が残っていたら、どこかを見落としています。もう一つは発電機なのに E=V−Iara とする誤りですが、こちらは197 V という選択肢に無い値になるので気づけます。

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