技術基準の計算2【電験3種 法規】CVケーブルの絶縁耐力試験!充電電流1.17A・補償リアクトル3台 令和7年度下期 B問題12 完全解説

電験3種 法規科目 技術基準の計算 令和7年度下期 B問題12 試験の充電電流1.17A!補償リアクトルは3台

今回は令和7年度下期 法規科目 B問題12高圧CVケーブルの交流絶縁耐力試験の計算問題です。ケーブルは静電容量が大きく充電電流が問題になるという、実務直結のテーマです。

流れは3ステップ。①試験電圧=最大使用電圧×1.5 ②充電電流 Ic=2πfCV ③変圧器で足りない分を補償リアクトルで打ち消す。(b)は「割って切り上げ」なので、端数処理で迷わないことが大切です。

目次

令和7年度下期 法規科目 B問題12:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 令和7年度下期 B問題12 問題文
令和7年度下期 法規科目 B問題12 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「令和7年度下期 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題12

電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 令和7年度下期 B問題12

 「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、最大使用電圧が6.9kVの電路に接続する、導体断面積100mm²、長さ800mの高圧CVケーブル(単心)の絶縁耐力試験を交流で実施する場合について、次の(a)及び(b)に答えよ。ただし、周波数は50Hz、ケーブルの対地静電容量は1km当たり0.45μFとする。

(a) ケーブルに試験電圧を印加した場合の充電電流[A]の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)0.78 (2)1.17 (3)1.46 (4)2.34 (5)3.51 A

(b) 図のような試験回路でケーブルの絶縁耐力試験を行う場合、試験用変圧器の容量を5kV·Aとしたとき、補償リアクトルの必要最少の設置台数として、正しいのは次のうちどれか。ただし、試験電圧を印加したとき、1台の補償リアクトルに流すことができる電流(電流容量)は270mAとする。

(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5 台

令和7年度下期 B問題12 ケーブルの絶縁耐力試験回路
令和7年度下期 B問題12 ケーブルの絶縁耐力試験回路
令和7年度下期 B問題12 ケーブルの絶縁耐力試験回路
令和7年度下期 B問題12 ケーブルの絶縁耐力試験回路
答え(a)I_c≒1.17A = (2)/(b)補償リアクトル3台 = (3)

答えは(a)1.17A・(b)3台

電気設備技術基準の解釈 第15条ほか

★最大使用電圧7 000V以下の電路の交流試験電圧=最大使用電圧の1.5倍/★充電電流 I_c = 2πfCV /★試験用変圧器が供給できる電流 I_T = S/V /★不足分(I_c − I_T)を補償リアクトルで打ち消す。台数は必要最少=切り上げ

★18年前の平成19年度 問11と、数値も選択肢も同一です。

平成19年度 B問題11が同一問題です。そちらは補償リアクトルの原理を扱っています

この記事は、試験回路と撹乱情報の見抜き方を主軸にします

★★撹乱情報を見抜く

与えられた値使うか理由
★最大使用電圧6.9kV★★使う★★試験電圧=×1.5
★導体断面積100mm²★★使わない★★静電容量が直接与えられている
★長さ800m★★使う★★静電容量が1kmあたりで与えられている
★周波数50Hz★★使う★★I_c=2πfCV
★対地静電容量0.45μF/km★★使う★★同上

導体断面積は使いません——静電容量が与えられているので不要です。

与えられた値をすべて使おうとすると、かえって迷います——「何を求めるか」から逆算するのです。

B問題では撹乱情報がよく混ぜられます——見抜く練習も必要です。

★STEP1:試験電圧と静電容量

$$V = 6900 \times 1.5 = 10350\,\mathrm{[V]}$$
最大使用電圧6.9kVの1.5倍
7 000V以下なので1.5倍
$$C = 0.45 \times \dfrac{800}{1000} = 0.36\,\mathrm{[\mu F]}$$
1kmあたり0.45μF、長さ800m
単心ケーブル1条なので3倍しない

長さの単位をkmに直してから掛けます——800m=0.8km

「単心」と書かれていれば1条分——3心なら扱いが変わります

★STEP2:充電電流

$$I_c = 2\pi f C V = 2\pi \times 50 \times 0.36\times 10^{-6} \times 10350$$
充電電流の計算
μF→Fの換算に注意
$$I_c \approx 1.17\,\mathrm{[A]}$$
計算結果
(a)の答えは(2)

2π×50≒314——314×0.36×10⁻⁶≒1.13×10⁻⁴

それに10 350を掛けて1.17A——電卓なしでも概算できます

★STEP3:試験回路の構成

機器役割
★試験用変圧器★★低圧側の電圧を試験電圧まで昇圧する
★電圧調整器★★試験電圧をゆっくり上げる
★補償リアクトル★★充電電流を打ち消し、変圧器の負担を減らす
★電圧計・電流計★★試験電圧と漏れ電流を監視する

補償リアクトルはケーブルと並列に接続します——試験電圧が同じようにかかる位置です。

変圧器から見ると、進み電流と遅れ電流が打ち消し合った差分だけが流れます

★STEP4:台数の計算と切り上げ

$$I_T = \dfrac{5000}{10350} \approx 0.483\,\mathrm{[A]}$$
試験用変圧器5kV·Aが供給できる電流
$$\Delta I = 1.1706 – 0.4831 \approx 0.688\,\mathrm{[A]}$$
不足分
補償リアクトルで打ち消す量
$$n = \dfrac{0.688}{0.27} \approx 2.55 \to 3\,\text{台}$$
1台270mAで割り、切り上げ
(b)の答え

2.55を切り捨てて2台にすると、電流が足りません——「必要最少」は切り上げです。

2台なら0.54A、残り0.63Aを変圧器が負担——0.48Aを超えるので不可です。

3台なら0.81A、残り0.36A——0.48A以内に収まります

★端数処理で迷わないために

場面処理理由
★補償リアクトルの台数★★切り上げ★★足りないと試験できない
★B種接地の1線地絡電流★★切り上げ(2未満は2)★★安全側に倒す
★電線の太さ選定★★上位のサイズを選ぶ★★足りないと焼損する

法規の計算では、ほぼすべて「安全側に倒す」処理です——迷ったら厳しいほうを選びます

切り捨てが正解になる場面はまずありません

なぜ補償リアクトルが要るのか

$$S_{\text{必要}} = V I_c = 10350 \times 1.17 \approx 12.1\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
補償なしで必要な試験装置の容量
12kV·A級の装置が要る
$$S_{\text{実際}} = 5\,\mathrm{[kV\cdot A]}$$
手持ちの試験用変圧器
容量が足りない

12kV·Aの試験装置は大型で、現場に持ち込みにくいのです。

補償リアクトルを使えば5kV·Aの装置で足りる——実務上の工夫です。

これは進相コンデンサによる力率改善と同じ発想——無効電力を現地で融通するのです。

18年ぶりの再出題

年度問題答え
★平成19年度 問11★★6.9kV・100mm²・800m・0.45μF/km・5kV·A・270mA★★(a)1.17A (b)3台
★令和7年度下期 問12(本問)★★数値も選択肢も同一★★同一

18年を経て、まったく同じ問題が出ました——法規の計算では珍しくありません

古い過去問も解く価値がある——ただし条文の改正には注意します。

直流試験という選択肢

交流試験直流試験
★試験電圧★★10 350V★★20 700V(交流の2倍)
★流れる電流★★充電電流1.17A★★漏れ電流のみ
★必要な装置★★12kV·A級(又は補償リアクトル)★★数百V·A

ケーブルなら直流試験も認められています——解釈15条

本問はあえて交流で実施する場合の計算——補償リアクトルを使う実務を問うています

⏱️ 本番での進め方
導体断面積は撹乱情報——静電容量が与えられていれば使わない。
② 静電容量は1kmあたりの値×長さ[km]
③ 変圧器が出せる電流はI_T=S/V
④ 台数は切り上げ——「必要最少」は足りることが条件。

💡 覚え方
ケーブルの絶縁耐力試験=①試験電圧V=最大使用電圧×1.5 ②静電容量C=1kmあたりの値×長さ[km](単心1条なら3倍しない)③充電電流I_c=2πfCV ④試験用変圧器が供給できる電流I_T=S/V ⑤補償リアクトルの台数=(I_c−I_T)÷1台の電流容量、切り上げ。

⚠️ よくある間違い
導体断面積は使わない——撹乱情報。台数は切り上げ——2.55なら3台。2台では充電電流を打ち消しきれない。

まとめ

試験電圧6 900×1.5=10 350 V
静電容量0.45μF/km×0.8km=0.36 μF
(a)充電電流2πfCV≒1.17 A →(2)
変圧器の電流5 000/10 350≒0.483 A
不足分1.171−0.483≒0.688 A
(b)台数0.688/0.27≒2.55→3台 →(3)

▼あわせて解きたい関連問題
・6600V電路の絶縁性能(電技省令23):【法規】令和2年度 A問題3
・ケーブルの絶縁耐力試験(技術基準の計算27):【法規】平成19年度 B問題11

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