今回は平成19年度 法規科目 B問題11、高圧CVケーブルの交流絶縁耐力試験の計算問題です。驚くべきことに、18年後の令和7年度下期 B問題12で数値も選択肢もそのまま再出題されました。
流れは3ステップ。①試験電圧=最大使用電圧×1.5 ②充電電流 Ic=2πfCV ③変圧器で足りない分を補償リアクトルで打ち消す(台数は切り上げ)。
平成19年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成19年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成19年度 B問題11
「電気設備技術基準の解釈」に基づいて、最大使用電圧が6.9kVの電路に接続する、導体断面積100mm²、長さ800mの高圧CVケーブル(単心)の絶縁耐力試験を交流で実施する場合について、次の(a)及び(b)に答えよ。
ただし、周波数は50Hz、ケーブルの対地静電容量は1km当たり0.45μFとする。
(注)平成19年度は公式問題PDFが公表されていないため、過去問データに基づいて問題文を再構成しています。
(a) ケーブルに試験電圧を印加した場合の充電電流[A]の値として、最も近いのは次のうちどれか。
(1)0.78 (2)1.17 (3)1.46 (4)2.34 (5)3.51 A
(b) 試験用変圧器の容量を5kV·Aとしたとき、補償リアクトルの必要最少の設置台数として、正しいのは次のうちどれか。ただし、試験電圧を印加したとき、1台の補償リアクトルに流すことができる電流(電流容量)は270mAとする。
(1)1 (2)2 (3)3 (4)4 (5)5 台

答えは(a)1.17A・(b)3台
絶縁耐力試験を「実施する側」の計算です——実務そのままの出題。
この記事は、補償リアクトルの原理を主軸にします。
★STEP1:試験電圧と静電容量
7 000V以下なので倍率は1.5
★単心ケーブル1条なので3倍しない
単心ケーブルなので、3相分に換算する必要はありません——1条ずつ試験するからです。
導体断面積100mm²は使いません——静電容量が直接与えられているので撹乱情報です。
★STEP2:充電電流を求める
コンデンサの基本式
μF→Fの換算に注意
(a)の答えは(2)
2π×50≒314——314×0.36×10⁻⁶×10 350≒1.17と計算できます。
800mのケーブルで1A以上の充電電流——ケーブルの静電容量の大きさが実感できます。
★STEP3:試験用変圧器が供給できる電流
皮相電力を電圧で割る
この分を補償リアクトルで打ち消す
充電電流1.17Aに対し、変圧器は0.48Aしか出せません——このままでは試験できないのです。
足りない0.69Aをどうするか——そこで補償リアクトルの出番です。
★★補償リアクトルの原理
容量性なので進み電流
誘導性なので遅れ電流
向きが逆なので打ち消し合う
進み電流と遅れ電流は、位相が180度違います——だから足すのではなく引き算になるのです。
ケーブルとリアクトルの間で電流が往復する——電源からは差分だけを供給すればよいのです。
これは進相コンデンサによる力率改善とまったく同じ原理——電力科目とつながります。
★STEP4:補償リアクトルの台数
必要な台数
2台では足りない
2.55台という台数は存在しません——切り上げて3台です。
2台なら0.54Aしか打ち消せず、変圧器の負担は1.17−0.54=0.63A——0.48Aを超えるので不足です。
「必要最少」という語が切り上げを指示しています。
★リアクトルの接続方法
| 接続 | 内容 |
| ★並列接続 | ★★試験電圧に対してケーブルと並列に接続する |
| ★台数を増やす | ★★並列台数に比例して遅れ電流が増える |
| ★過補償 | ★★リアクトルが多すぎると今度は遅れ電流が余る |
並列に接続するので、台数分の電流が加算されます——270mA×3=810mA。
810mAで1.17Aを打ち消すと、残りは0.36A——変圧器の0.48A以内に収まります。
なぜケーブルは充電電流が大きいのか
導体と遮へい層の距離が近いほど大きい
ケーブルは導体のすぐ外側に遮へい層があります——距離が近いので静電容量が大きいのです。
架空線は導体と大地が遠く、静電容量はごく小さい——だから充電電流も問題になりません。
この違いが、ケーブルに直流試験が認められる理由でもあります。
直流試験なら装置は小さくて済む
| 交流試験 | 直流試験 | |
| ★試験電圧 | ★★10 350V | ★★20 700V(2倍) |
| ★流れる電流 | ★★充電電流1.17A | ★★漏れ電流のみ(μA〜mA) |
| ★必要な容量 | ★★12kV·A程度 | ★★数百V·A |
直流なら小型の装置で済みます——だから解釈が直流での代替を認めているのです。
本問はあえて交流で実施する場合の計算——補償リアクトルを使う実務です。
試験電圧の倍率表
| 最大使用電圧 | 倍率 | 最低値 |
| ★7 000V以下 | ★★1.5倍 | ★★500V |
| ★7 000V超 60 000V以下 | ★★1.25倍 | ★★10 500V |
| ★60 000V超(中性点接地式) | ★★1.1倍 | ★★75 000V |
本問は6.9kVなので7 000V以下、倍率は1.5です。
加圧時間はどの階級でも連続10分間——本問では問われていませんが、必ず押さえます。
⏱️ 本番での進め方
① 試験電圧は最大使用電圧×1.5。
② I_c=2πfCV——単心ケーブル1条なら3倍しない。
③ 変圧器が出せる電流はI_T=S/V。
④ 台数は不足分÷1台の容量、切り上げ。
💡 覚え方
ケーブルの絶縁耐力試験=①試験電圧V=最大使用電圧×1.5 ②充電電流I_c=2πfCV ③試験用変圧器が供給できる電流I_T=S/V ④不足分(I_c−I_T)を補償リアクトルの遅れ電流で打ち消す ⑤台数=不足分÷1台の電流容量、必要最少なので切り上げ。
⚠️ よくある間違い
単心ケーブル1条なら静電容量を3倍しない。導体断面積は撹乱情報——静電容量が与えられていれば使わない。台数は切り上げ——2.55なら3台。
まとめ
| 試験電圧 | 6 900×1.5=10 350 V |
| 静電容量 | 0.45μF/km×0.8km=0.36 μF |
| (a)充電電流 | 2πfCV≒1.17 A →(2) |
| 変圧器の電流 | 5 000/10 350≒0.483 A |
| 不足分 | 1.171−0.483≒0.688 A |
| (b)台数 | 0.688/0.27≒2.55→3台 →(3) |
▼あわせて解きたい関連問題
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