技術基準の計算27【電験3種 法規】架空は「電線延長」で3線分!1線地絡電流12A・B種50Ω 平成18年度 B問題11 完全解説

電験3種 法規科目 技術基準の計算 平成18年度 B問題11 架空は電線延長・地中は線路延長!3倍を忘れずに

今回は平成18年度 法規科目 B問題11架空線と地中線が混在する高圧配電線路の1線地絡電流を求める問題です。技術基準の計算のなかでも最も間違えやすい一問です。

最大の落とし穴は「電線延長」と「線路延長」の違い架空は電線延長=こう長×3線×回線数地中は線路延長=こう長×回線数。ここを取り違えると答えが大きくずれます。

目次

平成18年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢

まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

電験3種 法規科目 配電 平成18年度 B問題11 問題文
平成18年度 法規科目 B問題11 問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成18年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11

電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成18年度 B問題11

 6.6kVの中性点非接地式高圧配電線路に、総容量750kV·Aの変圧器(二次側が低圧)が接続されている。この配電線路は、架空配電線路が15km(2回線)及び10km(3回線)、地中配電線路が4.5km(2回線)で、いずれも三相3線式である。変電所引出口には1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられている。次の(a)及び(b)に答えよ。

 なお、1線地絡電流 I₁[A]は解釈第17条の式によって求めるものとする(V:公称電圧を1.1で除した電圧[kV]、L:架空配電線路の電線延長[km]、L′:地中配電線路の線路延長[km])。

(注)平成18年度は公式問題PDFが公表されていないため、条文と過去問データに基づいて問題文を再構成しています。

なお、1線地絡電流 I₁[A]は次式によって求めるものとする。I₁ = 1 + ( (V/3)×L − 100 ) / 150 + ( (V/3)×L′ − 1 ) / 2 (V:公称電圧を1.1で除した電圧[kV]、L:架空配電線路の電線延長[km]、L′:地中配電線路の線路延長[km])

(a) この配電線路の1線地絡電流[A]の値として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)10 (2)12 (3)13 (4)21 (5)30 A

(b) 変圧器の低圧側に施すB種接地工事の接地抵抗値[Ω]の上限として、最も近いのは次のうちどれか。

(1)12.5 (2)25 (3)40 (4)50 (5)75 Ω

答え(a)I₁≒12A = (2)/(b)600/12=50Ω = (4)

答えは(a)12A・(b)50Ω

電気設備技術基準の解釈 第17条(1線地絡電流の算出式)

I₁ = 1 + (V/3 × L − 100)/150 + (V/3 × L′ − 1)/2 /V:公称電圧を1.1で除した電圧[kV]/L:架空配電線路の電線延長[km]L′:地中配電線路の線路延長[km]/★算出結果は小数点以下を切り上げ、2未満となる場合は2とする。

★★Lは「電線延長」、L′は「線路延長」——名前が違います。

この非対称性が本問最大の急所です——架空は3倍、地中は3倍しない

★★「電線延長」と「線路延長」の違い

用語意味三相3線式での計算
★電線延長(架空)★★電線そのものの総延長★★こう長×3線×回線数
★線路延長(地中)★★線路(ルート)の長さ★★こう長×回線数(3倍しない)

架空線は3本の電線が別々に張られています——だから電線の長さを数えると3倍になります。

地中線はケーブル1条に3心が収まっています——ルートの長さで数えるほうが自然です。

この違いが式のLとL′の名前に表れている——用語を読めば計算方法がわかります

★STEP1:LとL′を計算する

$$L = 15 \times 2 \times 3 + 10 \times 3 \times 3 = 90 + 90 = 180\,\mathrm{[km]}$$
架空の電線延長(こう長×回線数×3線)
15km2回線と10km3回線
$$L’ = 4.5 \times 2 = 9\,\mathrm{[km]}$$
地中の線路延長(こう長×回線数)
★3倍しない
$$V = \dfrac{6.6}{1.1} = 6\,\mathrm{[kV]}$$
公称電圧を1.1で除した電圧
単位はkV

架空は2つの区間があるので、それぞれ計算して足します——15×2×3=90、10×3×3=90

地中を3倍してしまうと27kmになり、答えが大きくずれます——用語を確認する習慣が要るのです。

★STEP2:1線地絡電流を求める

$$\dfrac{V}{3}L = \dfrac{6}{3}\times 180 = 360$$
架空の項の分子(前半)
$$\dfrac{360 – 100}{150} = \dfrac{260}{150} \approx 1.733$$
架空の項
$$\dfrac{V}{3}L’ = \dfrac{6}{3}\times 9 = 18,\ \dfrac{18-1}{2} = 8.5$$
地中の項
$$I_1 = 1 + 1.733 + 8.5 = 11.23 \to 12\,\mathrm{[A]}$$
合計して切り上げ
(a)の答え

3つの項を足して、最後に切り上げます——11.23→12A

地中の項の分母が2と小さい——地中は静電容量が大きく、地絡電流への寄与が大きいのです。

9kmの地中線が、180kmの架空線より大きく効いている——ケーブルの静電容量の大きさです。

★STEP3:B種接地抵抗値

$$R_B \leq \dfrac{600}{12} = 50\,\Omega$$
1秒以内に自動遮断する装置があるので600/I₁
(b)の答え

問題文の「1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置」——だから600/I₁です。

変圧器の総容量750kV·Aは使いません——撹乱情報です。

★なぜ地中の項の分母が小さいのか

$$I_g \propto \omega C V$$
地絡電流は対地静電容量に比例する
非接地式では静電容量が地絡電流を決める
$$C_{\text{ケーブル}} \gg C_{\text{架空線}}$$
ケーブルの静電容量は架空線よりはるかに大きい
導体と遮へい層が近接しているから

ケーブルは1kmあたり0.2〜0.5μF——架空線はその数十分の1です。

だから同じ長さなら、地中のほうがずっと大きな地絡電流を生む——式の分母150と2の差がそれを表しています

係数の大小にも物理的な意味があるのです。

回線数の扱い

条件電線延長
★こう長15km・2回線・三相3線式★★15×2×3=90km
★こう長10km・3回線・三相3線式★★10×3×3=90km
★合計★★180km

回線数と線数を両方掛けます——2回線なら電線は6本です。

「同一母線に接続される」線路をすべて足す——1つの変電所から出る配電線全体です。

なぜ同一母線の全線路を数えるのか

地絡電流は、健全な線路の対地静電容量を通って流れます——事故点だけの問題ではないのです。

同じ母線につながる線路が長いほど、静電容量の合計が大きくなります——地絡電流も増えるのです。

だから「同一母線に接続される」すべてを数える——式の前提です。

計算の手順をまとめる

手順やること落とし穴
★①★★V=公称電圧÷1.1[kV]★★単位はkV
★②★★架空の電線延長L=こう長×回線×3★★3倍を忘れない
★③★★地中の線路延長L′=こう長×回線★★★3倍しない
★④★★式に代入して合計、切り上げ★★2未満なら2
★⑤★★遮断時間で150/300/600を選ぶ★★問題文を読む

②と③の非対称性が、この問題の核心です——用語で見分けます

非接地式配電線の地絡電流

$$I_g = 3\omega C_0 E$$
1線地絡時の地絡電流(C₀は1相あたりの対地静電容量)
3相分の対地容量を通って流れる
$$I_g \propto C_0 \propto \text{線路の長さ}$$
地絡電流は線路長に比例
だから式にLとL′が入る

非接地式では、地絡電流は対地静電容量を通って流れます——線路が長いほど大きくなるのです。

解釈17条の算出式は、この物理をもとにした経験式です。

B種接地の目的

$$V = I_1 R_B \leq 150\,\mathrm{V}$$
混触時の低圧側の対地電圧
150V以下に抑えるのが原則
$$R_B \leq \dfrac{150}{I_1}$$
接地抵抗値の上限
遮断時間で300/600に緩和される

I₁が大きいほど、許される接地抵抗は小さくなります——本問はI₁=12Aなので600/12=50Ω

都市部の長い配電線ではI₁が大きく、施工が難しくなります

⏱️ 本番での進め方
架空は「電線延長」=こう長×回線数×3
地中は「線路延長」=こう長×回線数(3倍しない)。
③ Vの単位はkV——公称電圧÷1.1。
④ 地中の項の分母が小さいのはケーブルの静電容量が大きいから。

💡 覚え方
1線地絡電流の式=I₁=1+(V/3×L−100)/150+(V/3×L′−1)/2。★Lは架空配電線路の「電線延長」(こう長×回線数×3線)、L′は地中配電線路の「線路延長」(こう長×回線数、3倍しない)。算出結果は切り上げ、2未満なら2。

⚠️ よくある間違い
地中を3倍しない——「線路延長」だから。架空は3倍する——「電線延長」だから。変圧器の総容量は撹乱情報。

まとめ

V6.6/1.1=6 kV
L(架空・電線延長)15×2×3+10×3×3=180 km
L′(地中・線路延長)4.5×2=9 km
(a)I₁1+260/150+17/2=11.23→切り上げ12 A →(2)
遮断時間1秒以内 → 600/I₁
(b)答え600/12=50 Ω →(4)

▼あわせて解きたい関連問題
・B種接地工事の計算(技術基準の計算3):【法規】令和6年度下期 A問題4
・B種接地工事の計算(技術基準の計算20):【法規】平成24年度 A問題10

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