今回は平成24年度 法規科目 A問題10、B種接地工事の接地抵抗値を求める計算問題です。12年後の令和6年度下期 A問題4で数値までそのまま再出題されました。
手順は2つ。①与えられた式で1線地絡電流 I₁ を求め、小数点以下を切り上げる(2未満なら2とする)②遮断時間に応じて 150/300/600 を I₁ で割る。本問は計算結果が2A未満になるのが最大の罠です。
平成24年度 法規科目 A問題10:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 A問題10
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成24年度 A問題10
公称電圧6 600Vの三相3線式中性点非接地方式の架空配電線路(電線はケーブル以外を使用)があり、そのこう長は20kmである。この配電線路に接続される柱上変圧器の低圧電路側に施設されるB種接地工事の接地抵抗値[Ω]の上限として、「電気設備技術基準の解釈」に基づき、正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
ただし、高圧電路と低圧電路の混触により低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に、1秒以内に自動的に高圧電路を遮断する装置を施設しているものとする。
なお、高圧配電線路の1線地絡電流 I₁[A]は次式によって求めるものとする。V は配電線路の公称電圧を1.1で除した電圧[kV]、L は同一母線に接続される架空配電線路の電線延長[km]。
なお、高圧配電線路の1線地絡電流 I₁[A]は、I₁ = 1 + ( (V/3)×L − 100 ) / 150 [A] によって求めるものとする。V は配電線路の公称電圧を1.1で除した電圧[kV]、L は同一母線に接続される架空配電線路の電線延長[km]
(1) 75 (2) 150 (3) 225 (4) 300 (5) 600

答えは(4):300Ω
この問題は12年後の令和6年度下期に、数値までそのまま再出題されました——それだけ定番の型です。
★STEP1:1線地絡電流を求める
★単位はkV。6 600Vのまま入れると桁が3つずれる
Lは電線延長[km]
計算結果は0.6A
単位がkVであることが第一の関門です——6 600を代入すると全く違う値になります。
問題文に「公称電圧を1.1で除した電圧[kV]」と明記されています——単位の指定を必ず読むのです。
★STEP2:切り上げと下限2A
解釈17条の注記による
★これが最大の落とし穴
切り上げただけで止めると1A——600/1=600Ωで選択肢(5)を選んでしまいます。
下限2Aという注記を見落とさないこと——計算結果が小さいときこそ危ないのです。
「切り上げ」と「下限2A」は2段階——両方を適用します。
★STEP3:B種接地抵抗値
| 遮断時間 | 接地抵抗値 | 本問の計算 |
| ★遮断装置なし(又は2秒超) | ★★150/I₁ | ★★150/2=75Ω |
| ★1秒を超え2秒以下 | ★★300/I₁ | ★★300/2=150Ω |
| ★1秒以下 | ★★600/I₁ | ★★600/2=300Ω |
本問は「1秒以内に自動的に遮断する装置」——だから600/I₁です。
選択肢には75・150・300がすべて用意されています——遮断時間の読み取りを試しているのです。
★式の意味を読み解く
Vは公称電圧/1.1[kV]、Lは電線延長[km]
対地静電容量が電圧と長さに比例するから
非接地式の高圧配電線では、地絡電流は対地静電容量を通って流れます——だから線路が長いほど大きくなるのです。
V/3×L という項が、その静電容量の効果を表しています——電圧にも長さにも比例します。
「−100」「/150」「+1」は実測に合わせた経験的な係数です。
★なぜ下限2Aなのか
算出式は経験式なので、短い線路では実態より小さい値になります——0.6Aという値は現実的でありません。
実際には変圧器や機器の対地静電容量もあります——式が拾いきれない分です。
だから安全側に倒して2Aを下限とする——接地抵抗を小さめに要求することになります。
なぜ150/I₁なのか
1線地絡電流I₁がB種接地抵抗R_Bを流れて生じる
だから接地抵抗値の上限が150/I₁
オームの法則そのものです——覚える式ではなく、導ける式。
300/600は、速く切れるなら高い電圧を許すという緩和——危険は「電圧×時間」で決まるからです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★Vを公称電圧÷1.1[kV]で求める | ★★単位がkV |
| ★② | ★★式に代入してI₁を計算 | ★★Lは電線延長 |
| ★③ | ★★小数点以下を切り上げる | ★★切り捨てない |
| ★④ | ★★2未満なら2とする | ★★★最大の落とし穴 |
| ★⑤ | ★★遮断時間に応じて150/300/600を割る | ★★遮断時間の読み取り |
5ステップのうち、③④で落とす人が多い——ここを意識するだけで正答率が上がります。
「電線延長」と「こう長」
| 条文の言葉 | ダミー語 | 違い | |
| こう長 | ★★こう長 | ★電線延長 | ★★線路の長さ/電線の総延長(相数を掛ける場合がある) |
| 20km(本問) | ★★20km(本問) | ★式のL | ★★問題文の与え方に従う |
本問は「こう長は20km」とあり、式のLに20を入れます——問題文の指示どおりです。
厳密には電線延長と区別されますが、試験では与えられた値をそのまま使います。
B種接地線の太さと施設
| 項目 | 基準 |
| ★接地線の太さ | ★★直径4mm以上の軟銅線(高圧と低圧を結合する場合) |
| ★接地極の埋設深さ | ★★地下0.75m以上 |
| ★接地線の防護 | ★★地表上0.6mまで合成樹脂管等で覆う |
B種はいちばん太い接地線が要求されます——混触時に高圧側の地絡電流がそのまま流れるからです。
接地線が溶断すれば、電位上昇を抑えられません——太さにも意味があるのです。
B種接地の施設箇所(24条)
| 箇所 | 使う場面 |
| ★低圧側の中性点 | ★★原則。単相3線式・三相4線式など |
| ★低圧側の1端子 | ★★使用電圧300V以下で中性点に施し難いとき |
| ★混触防止板 | ★★低圧電路が非接地である場合 |
17条が「いくらにするか」、24条が「どこに施すか」——2つで1組です。
計算問題を解くときも、目的を理解していれば迷いません。
⏱️ 本番での進め方
① 式のVは公称電圧÷1.1[kV]——単位はkV。
② 算出結果は小数点以下を切り上げる。
③ ★2未満となる場合は2とする——最大の落とし穴。
④ 遮断時間で150/300/600を使い分ける。
💡 覚え方
B種接地抵抗値の計算=①V=公称電圧÷1.1[kV] ②与えられた式でI₁を計算 ③小数点以下を切り上げ、2未満なら2とする ④遮断装置なし150/I₁、1秒超2秒以下300/I₁、1秒以下600/I₁。本問はI₁=2A、1秒以内なので600/2=300Ω。
⚠️ よくある間違い
Vの単位はkV——6 600を代入すると桁が3つずれる。2未満は2とする——1Aのまま600/1=600Ωとすると誤り。
まとめ
| V | 6.6/1.1=6 kV |
| L | 20 km |
| I₁(生値) | 1+(6/3×20−100)/150=0.6 A |
| I₁(採用値) | 切り上げ・下限2 → 2 A |
| 遮断時間 | 1秒以内 → 600/I₁ |
| 答え | 600/2=300 Ω →(4) |
▼あわせて解きたい関連問題
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