今回は平成24年度 法規科目 B問題11、竣工時の自主検査で行う高圧引込ケーブルの交流絶縁耐力試験の計算問題です。電源(発電機)の容量まで問う、現場そのままの出題です。
流れは3ステップ。①充電電流 Ic=2πfCV ②補償リアクトルの電流を試験電圧に比例換算 ③発電機が負担するのは差分。回路図のA₂が充電電流、A₄がリアクトル電流、A₃が合成電流に対応しています。
平成24年度 法規科目 B問題11:問題文と選択肢
まずは、実際の試験問題を確認してみましょう。

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター「平成24年度 第三種電気主任技術者試験」法規科目 B問題11
電験3種 法規科目 【技術基準の計算】 平成24年度 B問題11
公称電圧6 600V、周波数50Hzの三相3線式配電線路から受電する需要家の竣工時における自主検査で、高圧引込ケーブルの交流絶縁耐力試験を「電気設備技術基準の解釈」に基づき実施する場合について、次の(a)及び(b)の問に答えよ。
ただし、試験回路は図のとおりとし、この試験は3線一括で実施し、高圧引込ケーブル以外の電気工作物は接続されないものとし、各試験器の損失は無視する。
【高圧引込ケーブルの仕様】6 600V CVT、公称断面積38mm²、こう長150m、1線の対地静電容量0.22μF/km
【試験用変圧器】入力電圧0-130V、出力電圧0-13kV、巻数比1/100、30分連続許容出力電流400mA(50Hz)
【高圧補償リアクトル】許容印加電圧13kV、印加電圧13kV・50Hz使用時での電流300mA
【単相交流発電機】携帯用交流発電機 出力電圧100V、50Hz
(a) 交流絶縁耐力試験における試験電圧印加時、高圧引込ケーブルの3線一括の充電電流(電流計A₂の読み)に最も近い電流値[mA]を次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)80 (2)110 (3)250 (4)330 (5)410 mA
(b) この絶縁耐力試験で必要な電源容量として、単相交流発電機に求められる最小の容量[kV·A]に最も近い数値を次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。
(1)1.0 (2)1.5 (3)2.0 (4)2.5 (5)3.0 kV·A



答えは(a)330mA・(b)1.0kV·A
竣工時の自主検査を想定した、現場そのままの出題です——携帯用発電機の容量まで問われます。
★(a)3線一括の充電電流
公称電圧から2段階で換算
1線0.22μF/km×こう長0.15km×3線
322mA→選択肢の330mA
この電流が回路図の電流計A₂の読みです——ケーブル側に流れる電流。
公称断面積38mm²は使いません——撹乱情報です。
★★(b)リアクトル電流を比例換算する
★この値をそのまま使ってはいけない
リアクトルは電圧に比例して電流が流れる
リアクトルの電流は電圧に比例します——I=V/(2πfL)だから。
13kVの仕様値を10 350Vに換算すると239mA——300mAのまま使うと誤答です。
この比例換算が本問の核心——仕様値の条件を必ず確認します。
★電源が負担する電流
これが試験用変圧器の2次側に流れる
約0.86kV·A
(b)の答え
補償リアクトルがなければ、10 350×0.322=3.3kV·Aが必要です——リアクトルで1/4以下に減らせます。
携帯用発電機で試験できるようになる——これが補償リアクトルの効果です。
★回路図の電流計の対応
| 電流計 | 読む電流 |
| ★A₁(入力側) | ★★発電機から供給される電流 |
| ★A₂ | ★★ケーブルの充電電流(進み) |
| ★A₃ | ★★合成電流(変圧器2次側) |
| ★A₄ | ★★補償リアクトルの電流(遅れ) |
A₂とA₄は向きが逆の電流です——進みと遅れ。
A₃はその差——A₃=A₂−A₄という関係になります。
回路図を読むことも問題の一部です。
★補償リアクトルの原理
容量性
誘導性
位相が180度違うので引き算
進み電流と遅れ電流は打ち消し合います——進相コンデンサによる力率改善と同じ原理です。
ケーブルとリアクトルの間で電流が往復する——電源からは差分だけです。
なぜ発電機を使うのか
竣工時の検査では、まだ受電していないことがあります——試験用の電源がないのです。
だから携帯用の交流発電機を持ち込みます——出力100V・50Hz。
その容量が足りるかを確かめるのが(b)——実務そのものです。
試験用変圧器の許容出力電流
| 項目 | 本問の値 |
| ★入力電圧 | ★★0-130V |
| ★出力電圧 | ★★0-13kV |
| ★巻数比 | ★★1/100 |
| ★30分連続許容出力電流 | ★★400mA(50Hz) |
補償後の83mAは400mA以内なので、変圧器も余裕があります——補償なしの322mAでも400mA以内ですが。
問題は電源(発電機)の容量——3.3kV·Aの携帯用発電機は現実的でないのです。
計算の手順をまとめる
| 手順 | やること | 落とし穴 |
| ★① | ★★試験電圧を求める | ★★2段階の換算 |
| ★② | ★★3線一括の静電容量(×3) | ★★3倍を忘れない |
| ★③ | ★★I_c=2πfCV | ★★— |
| ★④ | ★★リアクトル電流を試験電圧に比例換算 | ★★★仕様値のまま使わない |
| ★⑤ | ★★差分×試験電圧=必要容量 | ★★— |
④の比例換算が、この問題を難しくしています——仕様値の条件(13kV印加時)を読むのです。
竣工検査で行う試験
| 試験 | 内容 |
| ★絶縁抵抗測定 | ★★絶縁抵抗計で各相と大地間を測る |
| ★絶縁耐力試験 | ★★試験電圧を連続10分間加える(本問) |
| ★接地抵抗測定 | ★★A種10Ω・D種100Ω等を確認 |
| ★保護継電器の動作試験 | ★★整定値どおりに動作するか確認 |
竣工時の自主検査は、設置者の責任で実施します——電気主任技術者の職務です。
本問はその一場面を切り出した出題——実務がそのまま問題になっています。
⏱️ 本番での進め方
① 3線一括なら静電容量は×3。
② リアクトル電流は試験電圧に比例換算する。
③ 電源が負担するのは充電電流−リアクトル電流。
④ 必要容量=試験電圧×差分電流。
💡 覚え方
絶縁耐力試験の電源容量=①試験電圧V=公称電圧×1.15/1.1×1.5 ②3線一括の静電容量C=1線の値×こう長×3 ③充電電流I_c=2πfCV ④補償リアクトルの電流を試験電圧に比例換算(仕様電圧との比を掛ける)⑤必要容量S=V×(I_c−I_L)。
⚠️ よくある間違い
リアクトルの電流を仕様値のまま使わない——13kV印加時の値なので、試験電圧10 350Vに比例換算する。3線一括なら静電容量は3倍。
まとめ
| 試験電圧 | 6 600×1.15/1.1×1.5=10 350 V |
| 3線一括の静電容量 | 0.22×0.150×3=0.099 μF |
| (a)充電電流 A₂ | 2πfCV≒322 mA → 330mA →(4) |
| リアクトル電流 A₄ | 300×(10 350/13 000)≒239 mA |
| 合成電流 A₃ | 322−239=83 mA |
| (b)電源容量 | 10 350×0.083≒0.86 kV·A → 1.0kV·A →(1) |
▼あわせて解きたい関連問題
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